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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2022.12.11

開業150周年 鉄道の魅力再発見!



乗り鉄、撮り鉄、見る鉄など、ファンも多い鉄道ですが、鉄道の魅力はそれだけではないんです。
今回は、『開業150周年 鉄道の魅力再発見!』というテーマで深掘りしました。


青木  早速、足立さんに問題です!
今年、2022年10月14日に、鉄道は開業150年を迎えました。
150年前の、1872年10月14日、新橋・横浜間におよそ29キロメートルの鉄道が開通し、日本の鉄道の歴史が始まったのですが、では、2019年度時点で、全国の鉄道の営業距離は何キロメートルでしょうか?
ここには、地下鉄やモノレールなども含みます。

足立  え・・・全国ですか!?

青木  ヒントは、日本は直線距離で、東西におよそ3,000キロメートル、南北にも、およそ3,000キロメートルあると言われています。

足立  6,000キロメートル?

青木  答えは、およそ2万8,000キロメートルです。
地球1周は、およそ4万キロメートルですから、およそ地球4分の3周です。

足立  凄いですね!!!

青木  ちなみに、開業当時は、蒸気機関車(SL)で、新橋・横浜間の29キロメートルを53分で走行していたそうです。
当時の横浜駅というのは、現在の桜木町駅に当たるそうですが、現在の新橋・桜木町間は、JR京浜東北線の電車で39分。
移動時間も技術の進歩により短縮されていることになりますね。

足立  確かに! これはすごいですよね。
しかも、日本の鉄道は時間に正確で、ほぼ定刻どおりに走るので、外国の方が驚くといいますよね。

青木  そうですよね。他にも素晴らしいことがたくさんあります!
ここからは、国土交通省 鉄道局 総務課 企画室長の土田宏道さんに鉄道の魅力など伺っていきます。

足立  早速ですが、土田さん!
鉄道の優れた点を挙げると、どんなことがありますか?

土田  先ほどお話されていた、定時性に優れていることや、大量輸送、高速輸送に適していることなど、いくつかありますが、鉄道が、環境に優しい交通機関ということを、是非知っていただきたいです。
例えば、2019年度の調査では、鉄道で、1人を1キロメートル運ぶのに排出される二酸化炭素の量は、自家用乗用車の8分の1、鉄道で、貨物を輸送する際に排出される二酸化炭素の量は、営業用トラックの13分の1というデータがあります。

足立  そんなに違いがあるんですか?

土田  そうですね。鉄道は飛行機やバスと比べても、一度に運べる人数や、貨物の量が多く、また、電気を使用して走る列車も多いため、環境負荷が少ない交通機関と言えると思います。

青木  その上、時刻とおりに運行されることがほとんどなので、到着時間の予想が付き、予定が立てやすい、というメリットがありますね。

足立  やっぱり、鉄道は優秀ですね!

青木  足立さんは、日頃、鉄道を利用していますか?
仕事に行くときは、車ですか?

足立  プライベートで、電車に乗ったりしますが、圧倒的に車に乗る方が多いですね。

青木  2015年度の、日本国内の移動における、距離別の交通機関分担率、これは、移動する際に、飛行機、鉄道、船、バス、乗用車などのうち、どの交通機関を利用したかという割合ですが、500キロメートルから700キロメートル未満の移動では、鉄道が、64パーセントで最もシェアが多いのですが、500キロメートル未満の移動となると、乗用車等のシェアが50パーセントを超え、さらに、100キロメートル未満だと、95パーセントを乗用車等が占めているんです。

足立  つまり、近距離の移動には、多くの人が車を利用しているということになるんですね。土田さん。

土田  はい。しかも、新型コロナウイルスの影響で、鉄道を利用する方が大幅に減ってしまっています。
現在は、コロナ以前と比較し、7、8割ほどまで回復してきているところですが、利用者数が、元の水準まで回復することは難しいと言われています。

足立  確かに、リモートワークが普及して、そもそも家から出なくてもよくなり、鉄道を利用する回数が減り、定期券を買わなくなり、鉄道を利用しなくなったという方もいらっしゃると思うので、これは、鉄道会社の収入にも影響が出てきてますよね。

青木  そうですよね。回復してきていると言っても、まだ7、8割ですからね。
ところで、足立さん。地方のローカル線に乗ったことはありますか?

足立  三重県に住んでいたとき、最寄り駅は無人駅で、単線だったので、駅で交差するしかないという路線に乗っていました。

青木  ありますよね。
地方へ行って、踏切で待っていると、ローカル線が1車両だけで来て、短い!!と思ったりしますよね。

足立  写真に収めたくなりますよね!
あとは、地方に行くと、車内で食べられるご飯がありますよね。
いいなぁと思いますが、なかなか旅行で鉄道に乗る機会が少ないなと思っちゃいます。

青木  ローカル線は、都市部の鉄道にはない魅力がありますが、これも、新型コロナウイルスの影響などを受け、地方のローカル鉄道が特に心配されているんですよね、土田さん。

土田  そうなんです。ローカル鉄道の中には、コロナ以前から、沿線地域の人口減少や、少子化が進んでいたり、マイカーを利用する人が多く、生活スタイルが、自動車利用を中心としたものになっていることもあり、利用客が減少している路線が多くありました。

青木  鉄道は、多くの人を一度に運ぶことができ、環境に優しい交通機関であると、先ほどお話しました。
利用者が少なくなると、そうした鉄道の特性が十分に発揮できないですね。

土田  そうですね。利用客が少ないと、鉄道事業者は収益が出ないので、鉄道路線の維持に向け、列車の本数を減らしたり、様々な経費を削減するなどして調整したりするんですが、そうした結果、利便性が低くなり、ますます利用者が減ってしまう、そんな、負のスパイラルに陥っている路線も少なくありません。
また、大手の鉄道会社では、地方の赤字を、都市部で上げた収益で補うことにより路線を維持していたんですが、その都市部の路線も、コロナの影響で打撃を受けていることもあり、ローカル線の維持については課題がある状況です。

青木  中には、100円を稼ぐのに、1万円以上費用が掛かる路線もあるそうです。

足立  採算が合ってないですよね!?

青木  鉄道を動かすには、人件費や電気代、補修のお金などありますが、収益で割ると、そういう計算になるんですよね。

足立  思っていたよりも、厳しい状況なんですね。

青木  こうした状況を変えるには、新しい取組も必要になってきます。
ここからは、鉄道の将来について伺っていきます。

土田  はい。今後、危機的状況のローカル鉄道に関しては、現状維持ではなく、地域の発展に貢献し、利用者から感謝され、利用してもらえる、人口減少時代に相応しい、コンパクトでしなやかな地域公共交通に再構築していく必要があると考えています。
そのため、国・沿線自治体・交通事業者などが、利用者や地域戦略の視点に立って、ローカル鉄道の在り方の見直しも含め、将来に向けた地域モビリティについて検討を進めるとともに、協力・協働した取組を進めていくことが不可欠であると考えています。

青木  既に、鉄道事業者と沿線自治体などが、協力・協働してサービスを向上させ、黒字化を達成した取組や、郵便局や図書館など、鉄道とは直接関係ない事業者と連携して、駅の活性化を図る取組も行われているそうです。

足立  聞いているだけでも面白そうですが、いろいろ努力がされているんですね!
是非、多くの方に鉄道を利用してほしいですね。
ところで、開業から150年という長い歴史がある鉄道ですが、今後はどんなことに期待できそうですか?

土田  日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しています。
2030年度の目標として、温室効果ガスを2013年度と比較して、46パーセント削減することを目指しています。
このチャレンジに、鉄道分野でも貢献したいと考えていまして、カーボンニュートラルに向けた、様々な取組について検討しています。

足立  鉄道は、CO2の排出量が他の交通手段と比べて少ないし、環境に優しい交通機関だと先ほど伺いましたけど、更に検討しているんですか?

土田  はい。鉄道の、CO2の排出量の9割が電力由来で、そのうち、4分の3が火力発電です。
この、火力発電を再生可能エネルギーに変えると、もっとCO2の排出量を抑えられると思っています。
また、既存の車両を省エネ性能に優れた車両に変えたり、駅を省エネ化したり、車両をより効率的に走らせられるように列車運行のダイヤを見直したり、こうしたことが検討されているんです。

青木  そうした、鉄道の脱炭素だけでなく、鉄道による再生可能エネルギーの生産なども検討されているんですよね。

土田  はい。例えば、線路の敷地や駅、車両基地といった鉄道が持つ膨大なインフラを利活用し、再生可能エネルギーの供給や、消費ができるのではないかと検討しています。
例えば、鉄道の施設内のスペースに太陽光パネルや、風力発電機を設置して発電をし、そこで発電した電気を鉄道用の電線で送電し、駅や地域で使えるようにしたり、さらに線路の下にパイプラインを敷設して、水素を運んだり、そんな構想もあるんです。

青木  そうなれば、全国にある駅を、水素ステーションにすることもできますね。

足立  後々、この水素で走る列車も出てきそうじゃないですか?

土田  おっしゃるとおり、既に、水素をエネルギー源とする鉄道車両が開発されているんです。
2030年の実用化を目指している事業者もいて、国土交通省では、こうした鉄道分野などにおける、脱炭素化に向けた取組を加速化し、その検討内容を深めるために、鉄道関係者と省エネ・再エネ関係の技術や、知見を有する企業が、それぞれの情報を共有し、協力体制を構築する、鉄道脱炭素官民連携プラットフォームも立ち上げています。

青木  異業種が集まれる場作りもされているんですね。

土田  既に、100社以上が参画しており、各社の持つ知見などを発表し、活発に情報共有がなされているところです。
興味のある関係者の方は、是非、ご参加いただければと思います。

青木  足立さんは、これからの鉄道にどんなことを期待したいですか?

足立  何だろうな。空を飛んでみたいですね。鉄道で!

青木  銀河鉄道の世界ですね(笑)
夢は広がりますが、技術を進歩させたり、新しいサービスを構築したりするにも、鉄道事業者が元気でなければなりませんから、私たちが乗って応援することも大切かもしれません。

土田  はい。冬休みや、年末年始は、旅行や帰省をされる方も多いと思います。
その際には、是非、環境に優しい鉄道のご利用をご検討いただければと思っています。そして、多くの皆さんにローカル鉄道を含め、今後の公共交通サービスの在り方について、関心を持っていただければと思います。

足立  今日の話を聞いて、水素で走る列車が開発されていて、実用化に向けて動き始めていることは、すごく夢があると思いました。
まだまだ、列車って進化するんだ!ということを、今日、知ることができて面白かったです。
だから、いろんな列車の乗りたいなとも思いました。

青木  私も、やっぱり、環境面ですね。鉄道は、環境負荷が少ない交通機関ということが最初にありましたが、1人を1キロメートル運ぶのに排出される二酸化炭素の量、自家用乗用車の8分の1、鉄道で貨物を輸送する際に、排出される二酸化炭素の量は、営業用トラックと比べると13分の1!
もともと、環境に良いけれども、更に環境に配慮した水素で走る列車が生まれるかもしれませんね。

足立  楽しみな未来が待っていますね!

青木  150年という歴史ありますが、更に鉄道の未来に期待したいと思います!