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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2023.01.08

110番通報の新たなシステムと、使い分けよう#9110番



警察への緊急通報ダイヤル110番ですが、その通報内容は様々。
通報に迅速かつ的確に対応し、解決へ導くためにも、多くの皆さんに知っていただきたい内容です!
今回は、『110番通報の新たなシステムと、使い分けよう#9110番』というテーマで深掘りしました。


青木  さぁ、今日、深掘りするのは大人に限らず、こどもからご高齢の方々まで、暮らしの安全・安心を守るために知っておいてもらいたい、そんな内容です。

足立  110番通報の新たなシステムとは、どういうものなんですか?

青木  110番通報の新たなシステムは、既に試行運用がスタートしていまして、事件・事故の対応に役立っているそうなんですが、気になりますよね。
早速、スペシャリストをお招きしましょう。
警察庁 生活安全局 調査官 桝野龍太さんです。

足立  桝野さん、110番通報の新たなシステムの試行運用が始まっているそうですが、どんなシステムなんですか?

桝野  はい。110番は、皆さんご存じのとおり、電話で事件や事故の発生を通報する緊急通報ダイヤルです。
電話での通報ですので、これまでは、発生した事件や事故の状況を、言葉だけで伝えていただいていました。
ところが、110番通報の新たなシステムである「110番映像通報システム」は、110番通報中に、通報者のスマートフォンやタブレット端末から、警察に事件・事故の映像などを送信することが可能となりました。
送信を受けた映像などは、通信指令室の担当者がリアルタイムに確認して、現場に向かう警察官にも送信することができるシステムです。
既に、昨年10月から全国の都道府県警察で試行運用を始めておりまして、今年の春頃からの本格運用を目指しています。

足立  やっぱり、映像や画像で情報を送ってもらえる方が分かりやすいですか?

桝野  そうですね。音声だけでなく、映像や画像を送信していただけると、視覚的に詳細な状況を知ることができるので、110番通報を受けた警察としても、迅速かつ的確に対応することができるんです。

青木  目の前の状況を伝えようと思っていても、言葉では難しいニュアンスや表現などありますよね。
「迅速かつ的確」というのは、大きなメリットです。

例えば、自動車の多重事故が発生した場合、映像や画像を送信してもらえれば、言葉の説明だけでは分かりづらい、詳細な現場の状況が視覚的に分かりやすくなり、何台のパトカーで現場に向かうべきか、何の装備や機材などが必要か、交通規制の必要性はあるかなどを素早く判断できますし、現場に警察官が到着する前に、状況に応じて関係各所に連絡して、事故の対応にスピーディーに当たれますよね。

桝野  はい。事件・事故による被害の拡大を防止したり、速やかな事件解決のためには、発生直後にどのようなことをするのか、初動活動がとても重要です。
ですから、その最初の情報伝達をより迅速に、より的確に行うために「110番映像通報システム」の活用が期待されているんです。

足立  これは、私たちも協力していきたいですね!
実際、どのようにして映像や画像を送ればいいんですか?

青木  それでは「110番映像通報システム」を利用する際の手順を、スマホを例にご説明しましょう。
まず、スマホから110番通報します。
すると、通報を受理した通信指令室の担当者が「事件ですか? 事故ですか?」と状況について質問してきます。

足立  ここまでは、通常の110番通報と同じですね。

青木  はい。そのやり取りをしている途中で、担当者が必要だと判断すると、「映像通報にご協力いただけますか?」と訪ねてきます。

足立  なるほど。こちらから一方的に映像や画像を送信できるわけじゃないんですね。

青木  そうなんです。あくまでも、担当者が必要と判断したときのみ、協力を求められるんです。
そして、同意すると「映像送信依頼」がショートメールでスマホに届きます。
このメールに記載されているURLにアクセスすると、アクセスコードを入力する画面が現れます。
ここで、電話で話している担当者から、口頭で伝えられる数字4桁のコードを入力してください。
そうするとシステムにログインできます。

足立  ショートメールに送られてきたURLにアクセスして、数字4桁を入力したらログイン。簡単ですね。

青木  そうですね。ログインしたら、「留意事項画面」が表示されます。
ここには、次の4つの事項が記載されています。
1「送信する映像等に係る著作権は放棄していただきます」
2「GPS機能を用いて通報者の位置情報を取得します」
3「第三者のプライバシーを不当に侵害することがないよう撮影してください」
4「映像等の送信に係るデータ通信料金は通報者の負担となります」

足立  留意事項への同意は、緊急のときでも、トラブルを避けるためには必要なことなんですね。

青木  そうですね。この「留意事項」に同意する場合は「同意する」を押すと、カメラモードが起動して映像をリアルタイムで警察と共有できるようになります。

足立  これは、ビデオ通話をしているような感じですか?

青木  そういうイメージだと思います。
スピーカー機能を使って、映像を撮りながら会話もできます。
しかも、映像を撮影中、画面上に「もう少し右側を写してください」など、担当者からの指示がテレビのテロップのように、画面上に文字で表示される機能もあるんですよね。桝野さん、この狙いというのは?

桝野  はい。特に交通事故現場など、人がたくさんいる場合は周りの音がうるさくて、電話の声が聞き取りにくい場合もあります。
そのための指示を文字で伝えることもできるようになっています。
また、通報者は撮影に夢中になってしまう場合もありますので、「安全な場所から撮影してください」というような注意事項なども画面上に表示して、通報者の安全確保に留意しています。

青木  こうした映像は、現場に向かう警察官にも共有されるので、それにより、事件がスピーディーに解決することも期待できますね。
この新システムでは、リアルタイムの映像だけでなく、その場で撮影した写真や、既にスマホに保存していた映像なども送信することができるそうです。

足立  桝野さん、昨年の10月から試行運用がスタートしたということですが、実際にどのように活用されているのか教えていただけますか?

桝野  はい。傷害事件に活用された例といたしまして、被疑者が被害者に傷害を加えて逃走したものの、被害者と一緒にいた方が、逃走する被疑者の車のナンバーを撮影していたため、その画像を送信してもらい、被疑者を割り出し検挙することができた。という事例があります。

青木  この場合、被疑者の車のナンバーから被疑者が割り出されましたけど、たとえナンバーが写っていなくても、車の映像や画像があると、車種や色などを正確に伝えることができるので、捜査に役立ちますよね。

桝野  そのとおりです。通報者が車に詳しくない方ですと、車種を説明できない場合もありますし、色などの特徴を正確に伝えるのは、言葉より映像の方が分かりやすい場合もあります。

足立  確かにそうですね。青と言っても、パステルな青なのか、ビビットな青なのか、いろいろな青がありますからね。
やっぱり、言葉で伝えるよりも、映像や画像だったら、より伝わると思いますので、そこから、スピーディーな事件解決につながるというわけですね。
他には、どのような事例がありますか?

桝野  小学生の女の子が、学校から帰宅しないという通報を受け、その女の子の写真データを送信してもらいました。
そして、警察の担当者は、この写真を管轄の警察官と共有し、公園内での発見につながりました。

足立  すぐに写真を共有できれば、それだけ早期発見につながりますよね。
こうした保護などにも活用されているんですね。

桝野  はい。昨年10月から11月の2か月間で、110番映像通報システムを活用した件数は、全部で622件だったんですが、そのうち、保護・救護関係は、およそ46パーセントと最も多く、次に交通関係で、およそ20パーセントでした。

足立  保護・救護関係と、交通関係で6割ほどを占めたんですね。
そもそもなんですけど、110番通報はどのくらい掛かってきているんですか?

桝野  昨年の1月から11月までの間で、日本全国で受けた110番通報の件数は、およそ850万件です。これは、人口でいうと国民のおよそ15人に1人が110番通報し、また、頻度で言えば、約3.4秒に1件の割合で誰かが110番通報をしているということになります。

足立  思ったよりも多いですね。

桝野  ただ、そのうちの2割ほどは「身の上相談」や「免許更新の問い合わせ」など、事件や事故ではない、緊急対応を必要としない通報となっています。
こうした通報が寄せられると、本当に緊急を要する事件や事故への対応が遅れてしまうことにもなりかねません。

足立  対応が遅れたら、被害が拡大する可能性だってありますから、これは、何とかならないんですかね。

青木  そこで、もう一つの警察への窓口が「#9110番」なんですよね。

桝野  はい。#9110番は警察相談専用ダイヤルです。
全国どこから掛けても、電話を掛けた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる全国共通の電話番号です。

足立  110番とは何が違うんですか?

桝野  110番は、今すぐ警察官に駆け付けてもらいたいような、緊急の事件・事故などを受け付ける緊急通報ダイヤルです。
#9110番は、緊急ではないけれど、警察に相談したい、問い合わせたいことがあるというときに利用いただきたい警察相談専用ダイヤルです。

足立  緊急なら110番、緊急性のない相談・要望などは#9110番と覚えればいいですね。
#9110番には、どのような相談が寄せられているんですか?

桝野  いじめやDV事案に関する相談、痴漢など性犯罪被害の相談、悪質商法・サイバー犯罪に関する相談、交通相談など、様々なご相談があります。

青木  相談には、相談内容に応じて関係する部署が連携して対応し、指導、助言、相手方への警告、検挙など、相談者の不安などを解消するために必要な措置を講じてくれます。
また、相談内容によっては、弁護士が助言してくれる法テラスや消費生活センター、児童相談所など他の専門機関へ引継ぎや紹介をしてくれるんです。

足立  どこに相談したらいいか分からないときなど、#9110番に電話してほしいですね。

青木  #9110番は、基本的には、各都道府県警察本部の受付時間内で対応しています。
時間外や土日・祝日は24時間受付体制の一部の県警を除き、当直または音声案内で対応しています。
ダイヤル回線や一部のIP電話からは利用できませんのでご注意ください。

桝野  本日紹介した「110番映像通報システム」は、110番通報の新たなシステムとして、全国警察において試行運用中ですが、本年春頃には本格運用を開始することとしています。110番通報の際に警察から映像や画像の送信を求められた際には、無理のない範囲でのご協力をどうぞよろしくお願いします。
また、緊急の場合は110番、緊急性のない相談・要望は#9110番を使い分けていただき、警察が速やかに緊急通報に対応ができるよう、ご協力をお願いします。

足立  今日の話で印象に残ったのは、「110番映像通報システム」です。
この新しいシステムは、今後、役に立ちそうだなと思いました!
被害の拡大を防いだり、早急に事件解決へ向けて動くためには、私たちが映像や画像の送信にできる限り協力したいなと思いました。

青木  #9110番への相談には、相談内容に応じて関係する部署が連携して対応してくれるということが印象に残りました。やっぱり、暮らしの中で、緊急性はないけれど、警察に相談してみたいなと思うことがあると思うんです。
そういうときに電話すると、専門機関へ引継ぎや紹介をしてくれるというのは安心ですよね。


【 関連リンク 】
・110番映像通報システム/警視庁
 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/110/app/index-2.html

・警察相談ダイヤル#9110/警視庁
 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/110/110_9110.html