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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2023.10.08

早わかり! 最低賃金



今年度、最低賃金が引上げられました。
時給で働く方はもちろん、日給・月給、そして、雇い主の方それぞれに関わってきます。
大事なお金の話だからこそ、しっかり確認していきましょう。
今回は、「早わかり! 最低賃金」というテーマで深掘りしました。


足立  テーマになっている「最低賃金」って、少し前から話題になってますよね。

青木  ざっくり言うと、2023年度の最低賃金の額が全国平均で初めて1,000円を超えて、今月10月1日から順次適用されているんです。

足立  物価が上がっていますから、これはグッドニュースですよね?

青木  物価に伴い、賃金、手取り額も上がらないと生活が苦しいですからね。
ただ、そもそも「最低賃金」がどういうものか、自分は最低賃金をもらえているのか?など、具体的なことについて分からない方も多いと思うんです。

足立  確かに、ざっくりは知っているけれど、詳しくは分かりませんね。

青木  ですので、今日は「最低賃金」について基本中の基本から深掘りしていきましょう。
厚生労働省 労働基準局 賃金課長の篠崎拓也さんです。

足立  篠崎さん、最低賃金って、そもそも、どういうものなんですか?

篠崎  最低賃金とは、分かりやすく言うと、使用者が労働者に支払わなければならない最低限の賃金です。最低賃金法により、国が賃金の最低基準を定め、使用者は、その最低基準以上の賃金を労働者に支払うことを義務付ける制度が作られています。
この制度は、働く人の暮らしを守り・安定させることを目的に設けられており、最低基準額は、都道府県ごとに1時間当たりの賃金、いわゆる時給という形で示されています。

足立  「使用者」は「事業主」と言ったり「事業者」と言ったりしますが、つまり雇い主ということですよね。ここで言う労働者というのは何なんですか?

青木  労働者というのは、労働の対価として、雇い主である使用者から賃金を支給される人です。最低賃金制度では、「正規」「非正規」「パート」「アルバイト」といった働き方の違いや、年齢に関わらず、全ての労働者に対して賃金の最低額を保障しています。
ただし、個人事業主や、いわゆるフリーランスといった、雇用関係にない方は含まれません。

足立  パートやアルバイトの方も対象なら、多くのリスナーにも関係することですね。
先ほど、今年度は、最低賃金が初めて全国平均で1,000円を超えたと聞きましたけど、もう少し詳しく教えていただけますか?

篠崎  はい。最低賃金の金額は毎年度、見直されています。
具体的には、厚生労働省の審議会で全国的な引上げ額の目安が示された後、その目安を参考に、47都道府県ごとの審議会で議論して、地域の経済や雇用の状況も考慮し、都道府県ごとの額が決定されます。今年度は、結果として、全国の加重平均額が1,004円となり、初めて1,000円を超えることになりました。

青木  加重平均というのは、単に47都道府県の水準の平均ではなく、各都道府県の労働者の数で重みを付けて計算した平均のことです。

足立  私は中学3年生の頃に、この仕事を始めたので、アルバイト経験がなく、基準が分かっていないんですが、青木さんは確かアルバイト経験がありますよね。時給1,004円って、どうですか?

青木  私がアルバイトしていたのは、今から大体20年くらい前の大学生の時で、そのときは、居酒屋さんで働いていて、その居酒屋さんは時給1,000円を超えていたんです。当時、時給1,000円を超えていると、「結構いいね!」と周りから言われていました。逆に言うと、1,000円以下のアルバイトもたくさんありました。

足立  なるほど! 1,000円を超えることはなかなかなかったんですね。

青木  そうなんです。だから、この20年くらいで時給も上がってきたということも言えますよね。

篠崎  そうですね。
ちなみに今から20年前の2003年度の東京の最低賃金は708円でした。
今年度は1,113円なので、当時と比べると時給は約1.5倍の金額ということになります。

青木  篠崎さん、実は、今年度は最低賃金の引上げ額も、過去にない大幅なものでしたよね。

篠崎  はい。2021年度までの約5年間は、引上げ額は概ね20円台で推移していましたが、昨年の2022年度は31円と大きくアップしました。今年度は、さらに平均43円の引上げとなり、昨年度を超えて過去最高の引上げとなっています。

青木  ここ2年で70円以上、上がっているということになりますよね。

足立  すごい!

篠崎  特に引上げ額が高かったのは、青森、山形、鳥取、島根、佐賀、長崎、熊本、大分などで、東京などの都市部との格差が縮まっています。

足立  素朴な疑問なんですけど、最低賃金は都道府県ごとに決められているということなんですが、派遣で働いている人で、派遣元と派遣先が違う都道府県の場合、どちらの最低賃金が適用されるんですか?

篠崎  派遣労働者の場合、実際の就業場所である派遣先の地域の最低賃金額が適用されます。
ですから、例えば、派遣会社が埼玉県にあっても、埼玉県の最低賃金の1,028円ではなく、派遣先が東京ならば、東京の最低賃金である1,113円が適用されることになります。
今年度は大幅な最低賃金の引上げもありますので、派遣労働者の方も含め、ご自身でもしっかりと確認してみるのが良いと思います。

足立  確認と言っても、時給で働いていない方はどうやって確認すればいいんですか?
 
青木  その辺り、気になりますよね。

篠崎  はい。日給や月給で働いている場合、確認したい賃金の1時間当たりの額を出して、最低賃金額と比較してください。計算方法など、詳しくは厚生労働省の最低賃金特設サイトをご覧いただくと、時間額を割り出す方法について詳しい説明を見ることができます。

青木  簡単にどのように計算するのか、ご紹介しますと、
日給の場合、基本の日給÷1日の平均所定労働時間
月給の場合、基本の月給÷1か月の平均所定労働時間
この計算方法で時間額が出せます。

足立  基本の日給や月給は給料明細などを見れば書いてありますよね?

青木  基本的にはそうですね。ただ、日給や月給で働いている場合、基本給のほかに、様々な手当が出ている場合があります。
最低賃金の確認をするとき、どのような手当かによって、基本給に手当を加算して計算するか、しないかが違います。

足立  手当と言ってもいろいろありますよね。

青木  そうです。
例えば、通勤手当、時間外の割増賃金、休日割増賃金、また結婚手当や賞与・ボーナスなど、こうした賃金は、基本給に加えて計算しません。

足立  でも、これらのほかにもありますよね? 基本給に加えるか、加えないか、この判断はどうすればいいですか? 篠崎さん。

篠崎  はい、資格手当や役職手当など、手当はいろいろあります。
様々なケースがありますので、そうした場合の計算方法なども、最低賃金特設サイトでご紹介しています。
自分で計算しようとすると難しく感じるかもしれませんが、皆さんの就労場所、月給や手当の額などを入力すれば、最低賃金額が順守されているかチェックできる計算ツール、「比較チェック」も公開していますので、是非ご活用ください。

足立  ちなみに、時間額を割り出してみて、その地域の最低賃金よりも高ければ良いですけど、低かった場合、どうなるんですか?

篠崎  その場合、最低賃金との差額を使用者に請求できます。仮に最低賃金額より低い賃金額で使用者と合意をしていた場合でも、それは法律により無効となり、使用者は差額を支払う義務があります。使用者がルールを守らなかった場合は罰則もあります。もし、最低賃金のルールが守られておらず、お困りの場合は、最寄りの労働基準監督署にご相談ください。

足立  最低賃金制度は働く人に寄り添った制度なんですね。
ただ逆に、賃金を支払う側、使用者側にとってみれば大変ですよね。

青木  そうなんです。特に今年度の最低賃金は、先ほどもご紹介しましたが、過去最高の引上げ額です。大手企業などは余力があるかもしれませんが、中小企業では対応に苦慮するかもしれません。
そのため、賃金引上げを支援する助成金制度があるんです。
篠崎さん、ご説明をお願いします。

篠崎  はい。最低賃金が大幅に引上げられる中、特に中小企業・小規模事業者の皆さんに対応していただくためには、稼ぐ力を高めていただくことが重要です。そのため、厚生労働省では、賃金引上げと設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する業務改善助成金をご用意しています。

足立  業務改善助成金とは何ですか?

篠崎  具体的には、工場や店舗、事務所などの事業場の中の一番低い賃金を一定額以上引上げるとともに、売り上げ増や収益改善、作業の効率化など、生産性向上に役立つ設備投資を行う場合に、その設備投資の費用の一部を助成するものです。

足立  「生産性向上に役立つ設備投資」って、どんなことですか?

青木  例えば、ある小規模なスーパーマーケットでは、購入代金やお釣りの受け渡しを全て従業員が行っていたため、お客さんが多い時間帯は、レジ待ちの行列ができる状況でした。
そこで、セルフ方式の新しいレジを導入し、商品バーコードの読み取り後の代金の支払いや、釣り銭の受け渡しをお客さん自身が機械で行うようにしたところ、精算に掛かる時間が短縮し、同じ時間でより多くの精算処理ができるようになりました。その結果、23人の従業員の時間給を52円も引上げられたそうです。
このケースの場合は、新しいレジを購入する費用などの一部が助成されたんです。

足立  精算を機械がやってくれると、お釣りを間違う心配がなくなって、レジを打つ方の負担が軽減しますし、その上、時給もアップするなんて、助成金を上手に活用すると、事業主だけでなく、働く方にとってもメリットが大きいんですね。

青木  上手に活用したいですよね。
篠崎さん、この制度は以前からあったものですが、8月31日から内容が拡充されたんですよね。

篠崎  はい。10月の最低賃金引上げに合わせて、この制度をより積極的に活用していただけるよう、いくつか拡充をしました。
例えば、助成率はこれまでも最大で9割だったのですが、その最大となる9割支援に該当する範囲を拡大するなど、手厚い支援を受けやすくしました。
また、これまでは、賃金を引上げる前に、これから賃上げを計画している事業者のみが申請可能でしたが、今回の拡充によって、従業員の規模が小さい場合であれば、賃金を引上げた後でも申請することが可能になりました。

青木  要件や申請期限についてなど、詳しくは厚生労働省の最低賃金特設サイトで確認できますので、まずは、そちらをご覧になっていただきたいですね。

篠崎  最低賃金制度は、会社員、パート、アルバイト、学生さんなど働く全ての方と、雇う方のための大事なルールです。その大事なルールに基づいた、今年度の最低賃金は、大幅な引上げが行われ、47の都道府県ごとに額が決まっています。
働く方も、雇う側の方も、厚生労働省ホームページや最低賃金特設サイトも参考に、最低賃金の確認や、設備投資等への助成措置の活用の検討をしていただきたいと思います。

足立  今日の話を聞いて、確かに日給や月給で働く人たちは、自分の最低賃金が分からないと思ったんですが、自分の最低賃金を確認できる、計算できる特設サイトがあるのは、すごく良いなと思いました。皆さんに一度調べてほしいなと思いました。

青木  私が印象に残ったのは、雇い主にとって、最低賃金が上がっているのは大変でもあるので、そういった方には「業務改善助成金」があることを知っていただきたいですね。
賃金引上げと設備投資を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
是非、チェックをお願いします。


【 関連リンク 】
・最低賃金特設サイト / 厚生労働省
 https://pc.saiteichingin.info/

・あなたの賃金を比較チェック / 厚生労働省
 https://pc.saiteichingin.info/check/analyze.php