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暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。
番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、
印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていく番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。番組パーソナリティの青木源太と足立梨花が、毎回、専門家をゲストに招きトークを繰り広げ、印象に残った“推し”をコレクションしていきます。

2023.11.19

悩まず相談 女性の人権ホットライン



世界的にジェンダー平等の流れがある一方、家や職場などで女性の人権を踏みにじる対応や行為が、まだまだあります。
今回は、「悩まず相談 女性の人権ホットライン」というテーマで深掘りしました。

(青木)
足立さん、最近、悩んでいることありますか?

(足立)
食べても、食べても、お腹が空くことですね。食欲の秋って言うじゃないですが。

(青木)
でも、良いことですよね?

(足立)
良いことなんですけど、多少、見た目も気にしつつ。自分の中でここまでってあるんですが、そのラインを越えていて、4年に一度くらいのスパンでこういう時期があるんです。秋はおいしい味覚がたくさんあるので!

(青木)
なるほど! でも、それは幸せな悩みかもしれませんね。こうした、たわいもない悩みごとは友人に相談することもできますが、ときには、人に相談しにくい深刻な悩みを抱えてしまうこともあります。そこで、今日のテーマです。「人権」と聞くと、ちょっと堅苦しいイメージがありますが、「人権」とは、「人間が人間らしく生きて行く権利」のことで、全ての人が生まれながらにして持っている権利です。

(足立)
以前、この番組で「こどものいじめ問題」をテーマにしたときに、そのようなお話をしましたね。

(青木)
はい。人権は憲法でも保障されていて、お互いに相手を思いやり、違いを認め合って、自分の人権も相手の人権も大切に守りながら、共に幸せに暮らせる社会を築いていけるよう尊重されるべきものです。でも、実際には「いじめ」「職場でのハラスメント」「パートナーや恋人からの暴力」「インターネット上の誹謗中傷」など、人権が侵害されるケースは後を断ちません。そして、こうしたケースは性別に関係なく起こっています。

(足立)
でも、今日はあえて女性の人権を深掘りするんですね。それはどうしてですか?

(青木)
今はジェンダー平等に向けた世界的な流れがありますよね。日本も女性の社会参加や、活躍の場を拡大するよう様々な政策を進めています。でも、今なお、男女の役割を固定的に捉える意識が、社会に根強く残っていることも否定できません。こうしたことは、家庭や職場において様々な男女差別を生む一因となっています。実際、女性の管理職や役員、国会議員などは、男性よりも少ないですし、平均賃金も、一月当たり8万円ほど低い状況です。

(足立)
今は以前に比べたら、男女差がなくなってきていると思っていましたけど、こうやって聞くと、まだまだなんですね。

(青木)
特に、女性は、性犯罪や性暴力、配偶者などからの暴力、いわゆるDV、職場におけるセクシュアル・ハラスメント、妊娠・出産などを理由とする不利益な取扱い、などの問題に直面することが多く、こうした被害から守られるシステムが必要です。そこで「女性の人権ホットライン」なんです。本日のゲストお二人をご紹介しましょう。法務省人権擁護局調査救済課長の齊藤 雄一さんと人権擁護委員の石床 洋子さんです。

(青木)
人権擁護委員とは、法務大臣から委嘱された民間のボランティアの方々で、現在、およそ1万4,000名が全国の市町村に配置されています。人権擁護委員は法務局と連携して、地域の皆さんから人権相談を受け、問題解決のお手伝いをしたり、地域の皆さんに人権について関心を持ってもらえるような啓発活動を行っているかたです。この番組には、何度かご出演いただいたことがありますよね。石床さんは、どちらで活動されているんですか?

(石床)
はい、私は、東京都で8年ほど活動させていただいております。

(足立)
では、まずは、齊藤さん、「女性の人権ホットライン」とはどういうものか教えていただけますか?

(齊藤)
はい。「女性の人権ホットライン」は、女性の人権を守るために法務省が設置している専用相談電話です。全国共通番号で、電話を掛けるとお近くの法務局につながるようになっています。法務局は、全国、全ての都道府県に設置されています。電話の応対は法務局の職員や人権擁護委員が行い、女性をめぐる様々な人権問題に関する相談に応じています。そして、人権が侵害された疑いがある場合には、調査を行い、事案に応じて、「啓発」「援助」「要請」などの適切な措置を講じています。

(足立)
女性をめぐる人権問題というと、例えば、どんなことですか?

(齊藤)
主なものは、配偶者などからの暴力、いわゆるDV、職場における各種ハラスメント、ストーカー被害、AV出演被害、JKビジネス被害などがあります。

(青木)
実は現在、全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間の真っ最中なんです。今年の強化週間の日程は11月15日から21日までとなっていまして、その期間中は、いつもより時間を延長して電話相談に応じているんですよね。

(齊藤)
はい。通常時は、平日のみ午前8時30分から午後5時15分までの受付なのですが、強化週間の21日までは、平日は午前8時30分から午後7時まで、さらに、休日も午前10時から午後5時まで相談を受け付けています。昨年実施した強化週間では、1週間で661件の相談が寄せられました。

(足立)
思っていたよりも多いですね。主にどういった相談が多いんですか?

(齊藤)
やはり、配偶者などからの暴力や、職場でのセクシュアル・ハラスメントに関する相談が多い傾向にあります。

(青木)
内閣府が2021年に行った調査によると、これまで結婚したことのある女性のうち、配偶者などから暴力を受けたことが「何度もあった」人は、およそ10人に1人です。

(足立)
すごい数ですね。石床さん。

(石床)
はい。暴力というと、殴る蹴るなど身体を傷つける行為だと思われているかたもいますが、暴力に当たる行為は他にもたくさんあります。例えば、「無視」「行動を監視したり制限する行為」「自分や家族に危害を加えると脅迫する行為」は精神的な暴力です。また、「生活費を渡さない」「外で働くことを制限する」こうした行為は「経済的な暴力」ですし、「嫌がっているのに性的な行為を強要すること」は性的な暴力です。

(青木)
近頃は交際中の相手から被害を受ける、いわゆるデートDVの被害に遭う女性も多いそうですね。

(石床)
はい。デートDVでは、嫌がっているのに「ポルノを見せる」「裸の写真を撮る」「避妊に協力しない」こうした性的な暴力もみられます。また、「お金をせびる」「借金を強要する」「無理にバイトをさせたり辞めさせる」こうした経済的な暴力もみられます。

(足立)
一口に暴力と言っても、様々な行為があるので、中には自分が受けている行為が暴力だと気付いていないかたもいそうですね。そもそも、相談するのは勇気がいることですから、一人で悩んで相談できずにいるかたも、きっといますよね。

(石床)
はい。「女性の人権ホットライン」は、女性の人権問題に詳しい法務局職員や人権擁護委員が対応しますので、配偶者や交際相手との間や、家庭、学校、職場の関係などで違和感があれば、まずはお電話をしていただければと思います。相談は無料。もちろん、秘密は守ります。

(青木)
電話番号は、全国共通ナビダイヤル0570-070-810。ここからは、事例などもご紹介しながら、具体的にどのような対応があるのか深掘りしていきます。

(足立)
齊藤さん、ここからは、「女性の人権ホットライン」に相談すると、具体的にはどのように対応していただけるのか教えてください。

(齊藤)
はい。女性の人権相談に限らず、法務局では人権相談を受けたら、まずお話をよく聞いて、相談者の希望をお聞きし、必要に応じて職員や人権擁護委員が調査を行います。その結果に基づき人権侵害が認められるかどうかを判断し、事案に応じて、「啓発」などの適切な措置を講じています。

(足立)
具体的には、どういったことをしてくれるのですか?

(齊藤)
それでは、私から、法務局として「啓発」という措置を行った事例をご紹介します。研修講師による受講者に対するセクシュアル・ハラスメントの事例です。研修の受講者が講師から研修中に性的な発言を受けたとして相談がありました。法務局が調査した結果、確かに、そのような発言を行ったことが認められたため、法務局は講師に対し、「あなたの発言は受講者の意に反する性的な言動であって、セクシュアル・ハラスメントに該当する」と指摘しました。その上で人権尊重に対する理解を深めるための働きかけを行いました。

(足立)
なるほど、人権意識の低い講師に「人権とは」をしっかりと伝えて、今後、同じようなことが起こらないよう、対応をしてくださったということですね。気付いていないかたもいらっしゃるかもしれないですよね。それで講師のかたは反省してくれたんですか?

(齊藤)
はい。法務局からの指摘で初めてことの重大さに気付くケースは少なくありません。このケースの場合は、反省が示されました。このように、法務局が行う救済措置は関係者の理解を得て、自主的な改善を促すことを主な目的としています。

(足立)
こうやって気付いてくださるとうれしいですが、夫から妻に対する暴力や暴言などの家庭内のお悩みもありますよね。これって、自主的な改善が難しい場合もあるんじゃないかなと思うんですが、そのような場合は、どのような対応をされているんですか?

(石床)
例えば、夫から暴力を受けている妻からの相談を受けた事例がありました。妻が夫に対して、強い恐怖心を抱いたこともあり、関係機関に情報提供を行う「援助」という措置を、こちらの事例では講じました。具体的には、速やかに婦人相談所に情報提供を行って、妻及びそのこどもを婦人相談所に保護してもらいました。

(青木)
ということは、奥さんと、お子さんの身柄を家から移動させたんですね。

(石床)
そうです。それによって、安全が確保されるとともに、関係機関による情報共有が図られ、妻やこどもに対する支援体制を構築することができました。これらの事例のように、私たちに話をすることで、何か問題解決の糸口を見付けるきっかけになれば良いなと思っています。

(青木)
このように、まず相談すれば、相談者に寄り添い、解決の糸口を見付けてくれますから、一人で悩まずに相談してほしいですね。全国共通ナビダイヤルの番号をもう一度お知らせします。0570-070-810。受付は通常は平日午前8時30分から午後5時15分までですが、今は強化週間中なので、日曜日は午前10時から午後5時まで。20日(月曜日)と21日(火曜日)は午前8時30分から午後7時まで受け付けています。

(足立)
でもこの時間に連絡できないかたもいますし、そもそも電話では話しにくいかたもいるんじゃないですか?

(青木)
はい。そういったかたもいらっしゃると思います。そのため、インターネットによる人権相談受付窓口もあるんですよね。

(齊藤)
はい。今日は、「女性の人権ホットライン」の強化週間中なので全国共通の電話番号をご案内していますが、インターネットでも相談できます。

(青木)
相談フォームに必要事項を入力して送信していただくと、相談者の住所を管轄する法務局に相談に関する情報が送信され、後日、メール、電話などにより回答します。「インターネット人権相談」で検索すると、すぐに見付けることができます。

(齊藤)
インターネットなら24時間、いつでも、どこからでもアクセスできます。人権について困ったことがあれば、一人で悩まずに相談してください。

(足立)
「女性の人権ホットライン」強化週間ということで、今年の強化週間の日程は11月15日から21日までとなっていて、いつもより時間を延長して電話相談に応じてくれているのはすごいなと思いました。通常時は、平日のみ午前8時30分から午後5時15分までの受付ですが、強化週間の21日までは、平日は午前8時30分から午後7時まで、さらに、休日も午前10時から午後5時まで相談を受け付けているので、普段、電話で相談をするのが難しいかたも、この強化週間中、時間を延長してくれたことによって相談できるという人もいると思いますし、電話が難しいかたは、インターネットでの相談もあるので、困ったことがあったら、一人で悩まないで電話してほしいなと思いました。

(青木)
強化週間というのを一つのきっかけにしてほしいですよね。私が今日の話の中で印象に残ったのは、「10人に1人」という数字です。内閣府が2021年に行った調査で、これまで結婚したことのある女性のうち、配偶者などから、暴力を受けたことが「何度もあった」人の数です。それだけ悩まれているかたも多いと思いますので、「女性の人権ホットライン」強化週間、是非、相談してみてください。


【 関連リンク 】
・女性の人権ホットライン / 法務省
 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken108.html

・インターネット人権相談受付窓口へようこそ! / 法務省
 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html