- 2016.10.02
モバイルボヘミアン四角大輔さんインタビュー 2
先週に引き続き、モバイルボヘミアン四角大輔さんのインタビュー、お届けします。
旅人で半自給自足の生活者で、冒険家で、仕事と遊びの境のない暮らし。
これをモバイルボヘミアンと呼び、日々を生きる四角さん。
その始まりは、幼少期に出会ったフライフィッシングでした。湖でそれをしているときが、一番「自分が自分らしくいられる瞬間」で、なによりも気持ちいい時間だと子供時代に気づいてしまった・・・と言います。
その後、大人になり、音楽プロデューサーとして多忙な日々を送る中でも、「10年後には、湖のほとりで釣りをして、半自給自足の生活をする」と考え続けていたのだそうです。
そして現在、四角さんは本当にそういう暮らしをニュージーランドで実現しています。果たして、その日常はどんなものなのでしょうか。

◆ニュージーランドでの自給自足のくらし
僕が学生時代に「ニュージーランドに移住して、湖のほとりで森の生活を送りたい」という夢を抱いたとき、仕事に関して全くイメージつかなかったんですよ。食は自分で畑をやって、魚を釣って…というイメージが持てました。実際にそういうことを学生時代もやっていましたから。「衣」に関しても、服はありあまってる。あと、「住」を確保するにはお金が必要だなと思って、それもあって10年頑張って働こうって決めたんです。結果的には15年になったんですが。
そして向こうで300~400件くらいの物件をみて、奇跡的な場所に建つ中古の一軒家を見つけたんです。イギリスの老夫婦が建てて持ってらっしゃったんですけど、その湖畔に建つ、自給自足ができる家を買いまして、そこの庭をどんどん畑のスペースを自分で増やして、より自給自足ができるシステムに7年くらいかけて改造してきたって感じですね。
湖の周りは原生林に囲まれてまして、そのなかにちっちゃい集落があるんですね。その集落の中に建つ一軒家なんです。家の周りは森で、庭が湖という環境です。

その家には電話線と電線は来ているんですけど、水道は来ていないんです。でも湖の水が飲める。原生林って本当にすごく土が良いので、森に降り注いだ雨がろ過されて湖に湧き出てるんです。その水を電機のポンプで汲み上げて家庭用水として使っているんです。だから、アトピーの人はみんなこの家で生活すると治っちゃうんですよね。それはいちばん大きな森からの贈り物です。それに果物とかきのことか山菜とかハーブとか、無数に森の中にあります。庭に農薬のオーガニック菜園と、小さな果樹園があるんですけども、森は巨大な天然の畑みたいな感じですね。
ニュージーランドの森は常緑樹なんですよ。つまり一年中グリーンで、葉っぱが赤になったりとか黄色になったりはしないですし、葉っぱを落とさないですよね。だから冬でもグリーンなんです。僕は日本の紅葉も大好きです。でも常にグリーンなニュージーランドの森、命溢れるあの感じがすごく大好きですね。
ニュージーランドは、陸上には哺乳類が元々いなかったんですよ。鳥類しかいなかったので、独自の進化をして、飛べない鳥のキーウィなんかがいるわけです。ヨーロッパの人が一部うさぎとか持ち込んでしまって、今はちょっといるんですけど、基本的には鳥類しかいません。なので、友達が鳥みたいな感じですね。なので、自分がどんどん人間じゃなくなっていくんじゃないかっていう感覚になるんですけど。野鳥は本当に美しい鳴き声で、向こうではそれが一番の音楽ですね。
僕がこういう自給自足の話をすると、すごいですねって言われるんです。ですが、ラッキーなことに、森って腐葉土なんです。畑をやる場合は、腐葉土を作るためにものすごく苦労するんですが、それがすでにあるわけです。また、虫が大量発生して作物がやられるって話をよく聞くと思うんですけど、あれは人間がたくさん暮らしていて、自然のサイクルが壊された町中とか郊外で畑をやってるとそういうことが起きるんです。ですが、僕は森の中の壊れてない循環の中に畑を持っているので、そういうような、虫が異常発生するということがないんです。だから完全無農薬で、無化学肥料で、ほぼ自然栽培の状態でやってるんですが、いわゆる一般的に畑をされてる方が直面する苦労っていうのがあんまりないんです。

魚に関していうと目の前の湖で大きなマスが釣れますし、一時間ほどで海に行けるので、そこで多種多様な魚を釣って食べてるんですが、そういうオーガニックで安全な食べ物を日々体に入れてるっていうことと、森からきれいな水とかきれいな空気とか、いろんなものを受け取って生きているので、とにかく病気にならず、体調が良い。僕はいま46歳なんですけど、20代の時よりも山を歩いてますし、今の方が体力があるんですよ。若返るっていうとちょっと大げさですが、なんか体調がいいとか健康であるっていうことも超越した状態に自分がどんどんなってくるんですよ。その感覚が気持ちよくてこの生活がやめられないっていうのはありますね。
いま向こうはちょうど冬が終わって春の兆しを感じる時期です。庭にはもう無数の花が咲き始めて、森もたくさんの花が咲き始めています。この時期にちょうど夏野菜の仕込みを始めます。土の温度が低すぎると、種とか苗を植えても上手くいかないことが多いので、土の温度が上がってくるこの頃から仕込みをします。
家の庭には桜の木が一本生えていて、日本のソメイヨシノそっくりなんですけども、花だけではなく、さくらんぼを毎年実らせてくれるんですよ。これは家宝ですね。ものすごくおいしいんですよ!ご近所さんに人気なので、みんなに配って、いつも僕食べる分あんまり残らないんです。でも、僕が普段本当にお世話になってる人達に、これで恩返ししようと思っていつも配り切ってしまうんですが、それが楽しみですね。その集落ではいつも物々交換、もしくは物技交換が行われています。例えばパイプ詰まったとかっていうときは、近所のそういうことが得意な人が無料で修理してくれるんですね。その代わりに僕が釣った魚をお渡しするとか、さくらんぼがなったときには、たくさんその方に差し上げるとか、そういうやりとりがなされています。
僕は森の生活、自然が大好きでここにいるんですけど、周りの仲間たちっていうのがひとつの財産で、それもあってこの暮らしやめられないっていうのはありますね。
四隅さんのお話いかがだったでしょうか。
四角さんは先日、ご自身のライフスタイルを形作る大きなキーワード「旅」をテーマにした新刊を発表しています。
『The Journy 自分の生き方をつくる原体験の旅』いろは出版
読んだら、四角さんのような暮らしが、もっと羨ましくなるかもしれませんよ。
来週も引き続き四角大輔さんのお話をお届けします。
四角大輔さんのサイト→四角大輔のすべて|Daisuke YOSUMI Official Media.
【今週の番組内でのオンエア曲】
・LOVE MYSELF / HAILEE STEINFELD
・family feat.YeYe / 古川本舗
旅人で半自給自足の生活者で、冒険家で、仕事と遊びの境のない暮らし。
これをモバイルボヘミアンと呼び、日々を生きる四角さん。
その始まりは、幼少期に出会ったフライフィッシングでした。湖でそれをしているときが、一番「自分が自分らしくいられる瞬間」で、なによりも気持ちいい時間だと子供時代に気づいてしまった・・・と言います。
その後、大人になり、音楽プロデューサーとして多忙な日々を送る中でも、「10年後には、湖のほとりで釣りをして、半自給自足の生活をする」と考え続けていたのだそうです。
そして現在、四角さんは本当にそういう暮らしをニュージーランドで実現しています。果たして、その日常はどんなものなのでしょうか。

◆ニュージーランドでの自給自足のくらし
僕が学生時代に「ニュージーランドに移住して、湖のほとりで森の生活を送りたい」という夢を抱いたとき、仕事に関して全くイメージつかなかったんですよ。食は自分で畑をやって、魚を釣って…というイメージが持てました。実際にそういうことを学生時代もやっていましたから。「衣」に関しても、服はありあまってる。あと、「住」を確保するにはお金が必要だなと思って、それもあって10年頑張って働こうって決めたんです。結果的には15年になったんですが。
そして向こうで300~400件くらいの物件をみて、奇跡的な場所に建つ中古の一軒家を見つけたんです。イギリスの老夫婦が建てて持ってらっしゃったんですけど、その湖畔に建つ、自給自足ができる家を買いまして、そこの庭をどんどん畑のスペースを自分で増やして、より自給自足ができるシステムに7年くらいかけて改造してきたって感じですね。
湖の周りは原生林に囲まれてまして、そのなかにちっちゃい集落があるんですね。その集落の中に建つ一軒家なんです。家の周りは森で、庭が湖という環境です。

その家には電話線と電線は来ているんですけど、水道は来ていないんです。でも湖の水が飲める。原生林って本当にすごく土が良いので、森に降り注いだ雨がろ過されて湖に湧き出てるんです。その水を電機のポンプで汲み上げて家庭用水として使っているんです。だから、アトピーの人はみんなこの家で生活すると治っちゃうんですよね。それはいちばん大きな森からの贈り物です。それに果物とかきのことか山菜とかハーブとか、無数に森の中にあります。庭に農薬のオーガニック菜園と、小さな果樹園があるんですけども、森は巨大な天然の畑みたいな感じですね。
ニュージーランドの森は常緑樹なんですよ。つまり一年中グリーンで、葉っぱが赤になったりとか黄色になったりはしないですし、葉っぱを落とさないですよね。だから冬でもグリーンなんです。僕は日本の紅葉も大好きです。でも常にグリーンなニュージーランドの森、命溢れるあの感じがすごく大好きですね。
ニュージーランドは、陸上には哺乳類が元々いなかったんですよ。鳥類しかいなかったので、独自の進化をして、飛べない鳥のキーウィなんかがいるわけです。ヨーロッパの人が一部うさぎとか持ち込んでしまって、今はちょっといるんですけど、基本的には鳥類しかいません。なので、友達が鳥みたいな感じですね。なので、自分がどんどん人間じゃなくなっていくんじゃないかっていう感覚になるんですけど。野鳥は本当に美しい鳴き声で、向こうではそれが一番の音楽ですね。
僕がこういう自給自足の話をすると、すごいですねって言われるんです。ですが、ラッキーなことに、森って腐葉土なんです。畑をやる場合は、腐葉土を作るためにものすごく苦労するんですが、それがすでにあるわけです。また、虫が大量発生して作物がやられるって話をよく聞くと思うんですけど、あれは人間がたくさん暮らしていて、自然のサイクルが壊された町中とか郊外で畑をやってるとそういうことが起きるんです。ですが、僕は森の中の壊れてない循環の中に畑を持っているので、そういうような、虫が異常発生するということがないんです。だから完全無農薬で、無化学肥料で、ほぼ自然栽培の状態でやってるんですが、いわゆる一般的に畑をされてる方が直面する苦労っていうのがあんまりないんです。

魚に関していうと目の前の湖で大きなマスが釣れますし、一時間ほどで海に行けるので、そこで多種多様な魚を釣って食べてるんですが、そういうオーガニックで安全な食べ物を日々体に入れてるっていうことと、森からきれいな水とかきれいな空気とか、いろんなものを受け取って生きているので、とにかく病気にならず、体調が良い。僕はいま46歳なんですけど、20代の時よりも山を歩いてますし、今の方が体力があるんですよ。若返るっていうとちょっと大げさですが、なんか体調がいいとか健康であるっていうことも超越した状態に自分がどんどんなってくるんですよ。その感覚が気持ちよくてこの生活がやめられないっていうのはありますね。
いま向こうはちょうど冬が終わって春の兆しを感じる時期です。庭にはもう無数の花が咲き始めて、森もたくさんの花が咲き始めています。この時期にちょうど夏野菜の仕込みを始めます。土の温度が低すぎると、種とか苗を植えても上手くいかないことが多いので、土の温度が上がってくるこの頃から仕込みをします。
家の庭には桜の木が一本生えていて、日本のソメイヨシノそっくりなんですけども、花だけではなく、さくらんぼを毎年実らせてくれるんですよ。これは家宝ですね。ものすごくおいしいんですよ!ご近所さんに人気なので、みんなに配って、いつも僕食べる分あんまり残らないんです。でも、僕が普段本当にお世話になってる人達に、これで恩返ししようと思っていつも配り切ってしまうんですが、それが楽しみですね。その集落ではいつも物々交換、もしくは物技交換が行われています。例えばパイプ詰まったとかっていうときは、近所のそういうことが得意な人が無料で修理してくれるんですね。その代わりに僕が釣った魚をお渡しするとか、さくらんぼがなったときには、たくさんその方に差し上げるとか、そういうやりとりがなされています。
僕は森の生活、自然が大好きでここにいるんですけど、周りの仲間たちっていうのがひとつの財産で、それもあってこの暮らしやめられないっていうのはありますね。
四隅さんのお話いかがだったでしょうか。
四角さんは先日、ご自身のライフスタイルを形作る大きなキーワード「旅」をテーマにした新刊を発表しています。
『The Journy 自分の生き方をつくる原体験の旅』いろは出版
読んだら、四角さんのような暮らしが、もっと羨ましくなるかもしれませんよ。
来週も引き続き四角大輔さんのお話をお届けします。
四角大輔さんのサイト→四角大輔のすべて|Daisuke YOSUMI Official Media.
【今週の番組内でのオンエア曲】
・LOVE MYSELF / HAILEE STEINFELD
・family feat.YeYe / 古川本舗