プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。


今日は6月23日に行われた鎮守の森のプロジェクトによる「鎮守の森のプロジェクト植樹&育樹祭2018 in岩沼市」の模様をお届けします。
津波からいのちを守る森を作る、という趣旨でスタートしたこの取り組み。すでに、東北はじめ各地に広がっています。今回取材した宮城県岩沼市では、東日本大震災の津波被害を受けた土地を活用、市の沿岸およそ10kmに6つの公園と園路が整備され、こうした森作りが続いています。
今回は植樹祭と合わせて「育樹祭」、すでに植樹した場所の草取りが、市内外から集まった500人のボランティアの手で行われました。
このプロジェクトで、植樹指導をされている、東京農業大学の西野文貴さんに伺いました。


〜今日は、最初に植樹じゃなくて、育樹祭ということで雑草抜く作業なんですね?
 そうなんです。植樹祭は木を植える作業なんですが、育樹祭は木を早く育てるために我々がサポートをしてあげる作業なんですね。

〜今日の作業する場所は、何年前に植樹をしたところなんですか?
  2年前ですね。大きいものは1メートル50センチくらいまで大きくなっていて、この場所の故郷の木であるタブノキも、大きくなっていますね。
 今、ちょうど目の前にあるのが、セイタカアワダチソウといいます。今は20センチ位なんですけれども、将来は80センチとか1mくらいの高さにになって、1年間の間に種子をたくさんつけます。その種がどんどんばらまかれて、セイタカアワダチソウだらけになってしまうんです。


〜じゃあここで抜いておかないといけないんですね。
 大事なのは根っこから抜くということです。抜いた草は外に出すのではなく、そのまま置いておいて、自然の新しい肥料にします。これも自然のメカニズムを利用するんです。
 雑草だらけになっても、それでたくさんの木が死んでしまうということでは無いんですが、早く自然の森に育ってもらうためには、我々の力がもうちょっと必要なのかなと思います。3年たって木が大きくなると、その影にはなかなか雑草は出てこないんですね。それまでの間、我々がもうちょっとサポートをする必要があるんです。明治神宮の森にしても、最初は人間が手伝ってあげて、でも最後の仕上げは自然がするんですね。



〜見ていると小さい木もあるじゃないですか。これって競争が始まっているということなんですか?
 競争が始まっているということもありますが、いま、目の前にあるワサキという木なんですけども、実はこの木はあまり大きくならない木なんです。縁の下の力持ちな存在なんですね。ですので、この木はゆっくり自分のペースで成長していきます。逆にタブノキは、ここの場所で将来、20メートル位まで大きくなる主役の木なので、今一生懸命どんどん上に伸びていますね。

〜なるほど。この場所は津波から命を守る森に着実に成長していってるんですね
 そうですね。これから何百年何千年とどんどん成長して、この場所の名前になっている「千年希望の丘」と言う場所になるんじゃないかなと思っています。


今回の植樹&育樹祭には、鎮守の森のプロジェクトの発足当時から理事として参加している、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんも参加されていました。

〜やっぱり植樹した場所って特別な場所になりますよね。
 なりますね。海との距離とか、生き残った松とか、周りにたくさんあるんですね。それが私たちの活動を見守ってくれている、震災の向こう側からずっと見つめてくれているような気がしますね。ゼロから全てを作るんじゃなくて、昔の風景が所々に残っている。そして海は変わらない、海の表情そのものは変わらないので、それをミックスした空間の中に立ち会えるというのは気持ち良いですよね。2、3年ずっと通っていて感じる事は、最初はすごく海の遠い波の音と風が耳に響いていたんですよね。すごく静かだったのが、この1、2年は、鳥がたくさん飛んでいて、鳥の鳴き声がうるさい位に聞こえてきますね。季節のこともあるのかもしれないですけれども、やっぱり緑に惹かれて、鳥たちがやって来て、歌ってくれているのかなって思いますね。ここは、ちょっとまだ頼りないけれども、まずはちょっと寄ってみようかなって鳥たちが来ているみたいですね。あと2、3年ぐらい経つと、その鳥たちが色々と、生活を営めるようになっていくんですよ。


「鎮守の森のプロジェクト植樹&育樹祭2018 in岩沼市」の模様をお届けしましたが、いかがだったでしょうか。今回の模様はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!


鎮守の森のプロジェクトによる植樹、森作りは、さらに全国へ広がっています。7月1日には三重県明和町でも行われ、8月には岩手県山田町でも予定しているそうです。詳しくは鎮守の森プロジェクトのサイトをチェックしてください!
鎮守の森プロジェクト→http://morinoproject.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Live Forever / OASIS
・Unlonely / Jason Mraz
自然科学ライターでイラストレーターの川上洋一さんのインタビュー、3回めをお届けします。川上さんはTV番組「鉄腕ダッシュ!」の、東京・新宿の生きものを探す企画でもおなじみ。前回までは、タヌキや、トンボや水鳥が集まる水辺など、「東京にもいるんだな〜」「あるんだな〜」というお話をたくさん伺いました。
最後は、「東京にしかいない」「東京でしかみられない」そんな生きもののお話です。意外に思われますが、実はそういう生きものがいるんです!


〜川上さんは都内でいろんな自然を見てきてらっしゃると思うんですが、珍しい生き物にも出会っているとか
 意外と東京にしかいない生きものがいたりするんです。キイロホソゴミムシと言うんですが、1センチ位しかなくて、しょぼい虫なんですけども、地球上で東京湾の周辺にしかいないんです。

キイロホソゴミムシ 撮影:原島真ニ

すごく小さくて、川岸のゴミが打ち寄せられているような場所の下にいます。東京では多摩川の河口あたりにいるんですけれども、それは125年間再発見されなかったんです。絶滅したと思われていて、よく探してみたら多摩川の河口にいたということなんです。それは125年前に隅田川のほとりで、イギリス人が発見したんです。幕末ぐらいに来た外国の人たちは、「日本はなんて自然が豊かなんだ!」ということで夢中になって調べたんです。そうしたら、両国橋のほとりで偶然見つけた虫が新種で、日本にしかいないキイロホソゴミムシだったんです。
 後は、ダンゴムシ。もともと東京にいたダンゴムシとそうでないダンゴムシがいるんです。公園の石の下とかによくいるダンゴムシはオカダンゴムシといって、海外から入ってきたものなんです。トウキョウコシビロダンゴムシというのがいまして、それは豊かな自然が残った、例えば明治神宮とか皇居とか自然教育園とか、大学のキャンパスなんかにもいるところがあるそうですが、そういう豊かな森が残っている場所でないといないんです。


トウキョウコシビロダンゴムシ 撮影:吉田譲

〜どう違うんですか?
 お尻の所の節の形がちょっと違うんです。だから捕まえてみてこうやってお尻の形を調べてみるとわかるんですけれども、逆にそれで森の豊かさもはかれるんですね。他にもセミの抜け殻を集めて何種類いるかどうか。いろんな種類があるんですけれども、それによっても自然の豊かさをはかれるんです。

〜隅田公園は、あいだに川が通っていて、川を挟んでセミの色種類が違うそうですね。
 ミンミンゼミは1980年代くらいまでは、23区内にはすごく少なかったんです。私が子どもの頃は新宿でミンミンゼミなんて、見たことも聞いたこともありません。それはやっぱり、緑が少なかったからだと思うんですけれども、今はだんだん増えてきています。
 隅田公園の、川を挟んで東側にはミンミンゼミがいなくて、西側にはいるんですけれども、セミの飛べる距離ってそんなに長くないんですね。隅田川は広いですから、どうやらそこを飛び越せないらしいんです。あと、下町の西部の方は、いちど東京の大空襲で地面が焼かれちゃったもんですから、ミンミンゼミもいなくなっちゃったんですが、まだそこまで分布を回復してきていないみたいなところがあるらしいですね。
 また、東京の山手と下町って段差がすごくあるじゃないですか。山手のほうにいたミンミンゼミがだんだん分布を広げてきて、隅田川まで来たんだけれどもそれを越せずにいるということもあるようです。ただ千葉の方からも入り込んでくることはあるので、そっちから来るものもあるかもしれないですね。


ミンミンゼミ 撮影:佐久間聡

〜そうなんですね。昔はクマゼミもあまり東京では聞かなかったっていいますもんね。
 大阪の友達に聞くと、セミといえばクマゼミだそうなんですね。東京にいるクマゼミは、どうも人工的な公園から広がったようなんです。例えば、代々木公園とか平和島公園とか葛西の方とか、ああいうところに常緑の木を植えるじゃないですか。それを関西のほうの植木屋さんから持ってきたらしいんです。そうすると根っこにセミの幼虫がついたままになっていて、それが出てきて、そうすると同じように仲間もいるから、そこでオスメスが出会って繁殖できたということみたいなんです。

クマゼミ 撮影:佐久間聡

〜じゃあ点々と渡ってきたというよりは、知らないうちに私たちが運び役になっていたという事ですね。
 運び役にもなってるし、環境を整えてやれば、東京の生物多様性も豊かになるということが言えますね。

〜東京にこれだけ豊かな森があるなら、もっと生きものや森と身近に関われるといいなと思うんですが、何か私たちがやれる事って何かありますでしょうか。
 やっぱり雑草をやたら取らないことですね。駐車場のフェンスとかにいろいろ雑草が絡んでいるじゃないですか。あれが意外と重要で、蝶や蜂が飛んでくる蜜源になっていたり、それを食べているいろんな幼虫がいたり、またその虫を目当てに鳥が集まってきたりします。ちょっとした雑草でも、全くないのとちょっとあるだけでは全然違うんですよね。

川上さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、そちらもぜひお聞きください!


「東京いきもの散歩――江戸から受け継ぐ自然を探しに」川上洋一(早川書房)

【番組内でのオンエア曲】
・Big Sur / Jack Johnson
・In The Morning / The Coral
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パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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