今週は、「森林セラピー」について専門家の方をお招きしてお話伺います。
千葉大学 環境健康フィールド科学センター 副センター長の宮崎良文教授です。森に癒やされる「森林浴」が、実は、海外でも認知され始めているらしいということで、そんなお話も伺います!


〜森林セラピーとは具体的にはどういったものなんでしょうか。
 まず”森林浴”という言葉があるのですが、これは1982年に林野庁の元長官だった秋山さんが作った言葉なんですね。海水浴とか日光浴というものがありますので、それに合わせて森林浴としたんです。これは非常に日本人になじみ深い言葉になったんですけれども、サイエンスという観点から見ると、脳の活動とか体の活動とか、そういう測定手法がまだ世界的にもなかったんですね。それまではアンケートばかりで、そういうデータはたくさんあるんですけれども、体が実際にリラックスしているかどうかというデータはなかったんですね。それが2000年の初めくらいから測定方法が急に進歩してきたこともあって、科学的裏付けのある森林浴という意味で、森林セラピーという言葉を作ったんです。

〜具体的にはどんな数値が変わるのでしょうか。
 わかりやすい例で言いますと、人の体にはストレスホルモンというものがあるんです。これはストレス状態になると上がるんですが、森を歩いているときと、都市を歩いているとき、運動量を同じようにしてとってみる。そこに差があれば、森がリラックスしてるとわかるわけですね。それと、体の自律神経活動という、リラックスしているときに高まる副交感神経活動、ストレス時に高まる交感神経活動、同じように森で歩いているときと座っているとき、都市で歩いているときと座っているとき、これを同じ人でデータをとりました。最終的に800人程度のデータを取ったのですが、そうすると歩いているときも座っているときも、森にいるときのほうがリラックスしたときに高まる副交感神経活動が約1.5倍から2倍になるんですね。それで、ストレス時に高まる交感神経活動が低下する。そういうことがわかったんです。これは自律神経活動ですから、自分でコントロールできないんです。体が勝手に変化するんですね。そして、副交感神経活動というのは休息のための働きをしますので、お腹もすくわけです。だから森に行くとお腹がすくとみなさんよく言うでしょ?みなさんも緊張した状態、ストレス状態の時って何食べてもおいしくないですよね。たとえば身近だとそういうことにつながっているわけです。それから、最近は脳の活動も簡単にデータが取れるようになってきたんです。森の中に行くと、脳の前頭前野という、これは高度な価値判断をするところなんですけれども、そこの活動が沈静化してリラックスするんです。

〜この森林浴というのは日本国内だけではなくて、世界中に広がりつつあるのですか?
 最初に私が国際会議等に行って、「森林浴」という言葉をは流行らせようと思って、イタリックで”Shinrin-Yoku”って発表していたんですね。でも海外の人は”しんりんよく”って発音できないんですよ。だからこれは広がらないなと思って、アロマセラピーってありますよね。あれは経験的にはずっと使われている言葉で、ゴロがいいですよね。だから、森林セラピー、Forest Therapyでずっとやってたんですが、最近海外で、特にヨーロッパ、アメリカでですね、”Shinrin-Yoku”という言葉がはやりになったんですよ。僕も不思議で、今回、森林浴の本をイギリスの出版社から出させてもらったのですが、1年半前の夏に「こういう本を書いてほしい」っていうメールが来て、内容については相談しながら作ったんですが、タイトルは”Shinrin-Yoku”にしてくれっていうんですよ。で、僕は不思議で、”Shinrin-Yoku”ってみなさん馴染みがないし、言いにくいって言ったら、「日本的でミステリアスでいい」んだそうです(笑)。

〜宮崎さんが書かれた「Shinrin-Yoku(森林浴): 心と体を癒す自然セラピー 」は創元社から出されていますが、これはなんと16か国語に訳されているんですね。
 ありがたいですね。最初にイギリスのアシェット社という大手の出版社から出て、16か国に広がって、去年の12月に日本では創元社というところから出まして、それが16か国目ですね。ドイツのベルリンに住んでいる知人が、書店で森林浴フェアがあったというので写真を送ってくれたんですよ。そうしたら23冊あるんですよ。書店でそれだけのフェアができるということは、やっぱりブームなんですね。

〜ドイツというと元々森について知見が深いというイメージもありますね。
 その通りですね。150年位前から森とのかかわりあいがずっとありまして、特記すべきことは保険適用になっているということなんですね。お医者さんが、「あなた心臓があまりよくないから、ゆっくり歩きましょう」とか言って、僕は実際に入ったことがないのですが、話ではそういうような処方箋も書いて使っていると、そういう大きいのがあるんですが、先ほど申し上げたように、データがないんですね。経験的には非常に我々にも学ばなければいけないことがたくさんあるんですが、データについては日本が圧倒的です。実際にドイツで森林セラピーガイドをやっている人も日本に来て、私の本で紹介したところを周るんだという人がいました。
 森林セラピーで大事なことは、森と人がシンクロするということだと思っているんです。同調する。一体になる。これができると快適感が生まれるんですね。森をただ歩くのが好きな人もいれば、ガイドさんとやり取りをするのが好きな人もいますね。あるいは少し険しいところに行くのが好きな人もいれば、小さな森でじっとしているのが好きな人もいますね。それは個人がやりたいことをしたときに一番効果を得られるんです。で、それをシンクロした状態は、個人個人違うということなんですね。


宮崎良文先生のお話、いかがだったでしょうか。インタビューの続きは来週お届けします。


「Shinrin-Yoku(森林浴): 心と体を癒す自然セラピー 」宮崎良文著(創元社)

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高橋万里恵
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