高橋:今週も焚き火の達人でアウトドアライフアドバイザーの寒川一さんとの焚き火回、続きをお届けします。
北欧のスタイル、焚き火で入れるレンメルコーヒー、
そしてアイヌの方から学ぶ「焚き火」についてお送りしましたが
寒川さん、その北欧の先住民族、サーミの方たちとも焚き火を通じて
親交を深めています。
どうやら焚き火には、数万年の時間を飛び越える不思議な力があるらしい・・・今日はそんなお話をお伝えします。


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<< 取材レポートの様子 >>

寒川:地球には先住民の方たちって
いくつかいらっしゃるんですけど、
その中でサーミとうのは北極圏に暮らす、
1万年前からそこでトナカイを放牧して自然の中で生きている、
ある意味先住民の人たちなんですけど、
さすがにスウェーデンまでは行けなかったので、
僕の家から、この鎌倉の庭からオンラインでラップランドといわれる
北極圏のサーミの方々とオンラインでつないで、
僕は夜の7時、サーミの彼はちょうどお昼ぐらいに
本当に雪の原野の中で火を起こしてくれて。




寒川:コーヒーも一緒に入れようといって
向こうでも煮だしコーヒーを自分たちで作って、僕もこっちで作って。
それでお互いにカップをククサに入れて見せあって、
それでコーヒーを飲みながらお話をいろいろ聞いたんですけど、
サーミの人たちはやっぱり本当に自分たちの世代のことを考えて
行動をするんではなくて、自分の7代先のことを考えていると。


寒川:7代先考えられますか? 
何百年も先ということですよね。
でもそれぐらいのスパンで物事を見ないと、
人がちょっと直そうと、よくしようと思っても、
自然はいちど壊れたらすごく時間がかかるわけですよ。
彼らは本当に自然の中からほとんどのものを得て暮らしているんです。
それはアイヌの方達以上ですね。特にその彼はものを買わないんですよ。
薬も食べ物も全部森からいただいていると。「全部ある」と言うんです。
薬も。気づいていないだけで。




寒川:例えば僕が熱が出たら薬は何を飲むのと聞かれれば、解熱剤みたいなもの。
でもサーミのその方は父親から教えてもらった薬草で、
瓶がいっぱいあるんですって。お腹が痛くなった時は
これ、食欲がない時はこれといういくつも瓶があって、
全部薬草が入っていて、それが、父親から教えられたという事は
体質的にその家系の人たちはそれで治ったり、熱が下がったり。




寒川:僕が飲んでいるバファリンとか解熱剤みたいなものは
言ってしまえば万人向けに作っているから僕の体質とは関係ないんです。
逆に、サーミの彼はなんでそんな薬が効くって信用してるのか聞くと、
さっきのコーヒーの話と同じですよね。
人それぞれ体の中は違うし、でもそのそれぞれに合うものが、
食べ物も体を治すものも森にある。
全部自分たちの足元に必要なものはそもそも最初からあるんだと。
彼はちょっとアイヌの方と違うのは、
八百万の神ではなくて彼は宗教を持たないんですが、
信頼する石があると。結構大きな石らしいんです。
何か悩んだり辛いことがあったら森の中の石に会いに行くんですって。
石の上に座ったり手を当てたり、それでしばらくすると気持ちが晴れると。
石は何も語らないんですよ。何も言ってくれないんですけど、
ただ石の上に座って目を閉じて、
その石に何か自分の気持ちを打ち明けるとちゃんと解決すると。
その石は、自分の子どもたちにも最近ある場所を教えたと。
と言う事は今まで内緒だったんですよ。
自分が死んだらこの石の周りに骨を撒いてくれ
みたいな話をしているらしいんですよね。それもすごく素敵な話だなと。




寒川:自分が信じる石があると言う。
石って落ちているものでしょう。
でもそれを一番自分は信頼しているという、
なんか、素晴らしいなって思いますよね。
それでサーミの方は自分たちが暮らしている
今のこの地球とか自分らのエリアみたいなものは、
親から譲り受けたもの、おじいちゃんおばあちゃんから
代々譲り受けてきたものではなくて、
さっき言った7代先の子孫から預かっていると。
過去から渡されてきたのではなくて、
未来の人たちが自分に預けてくれていると。
だからちゃんと返さなきゃダメだと。汚すわけにもいかない。
だって未来から借りているから。
過去からだったら自分が変えちゃうわけですよ。
自分の代でこうしちゃいましたって。
でもそうじゃなくて未来まで決まっている。
そこを単に自分は通過点にしかいないと。
それは目から鱗が落ちるというか、考えてもいなかったことで。寒川:

寒川:僕は対談が終わった後に
宇宙人に会ったなという感覚になったんです。
ひょっとしたら先住民の人たちって一昔前は旅したり、
野蛮だとか差別された時代がすごくあったんですよね。
でも今の時代になるとそれがどんなに輝いて見えるかという。
そうやって自分たちの力で生きていける人たちは、
どんなITを使いこなす人より、やっぱり一番素敵じゃないですか。
それが実は先住と言われる人たちの持っている能力だとすれば、
いま僕らが求めているものって答えを知っているのは彼らなんです。
そういうのは火を見ているとなんとなくそこに思いが寄せられるというか。
焚き火を通してアイヌの人たち、サーミの人たちと出会えて、
彼らといろんな話ができたと言うのは
本当に僕の中では宝物のようなものだし、
やっぱり火を炊き続ける意味はやっぱりあるんだなと確信に変わりましたね。


寒川:今の時代にできるひとつのタイムトラベルだなって。
だって10,000年前から同じことを受け継いでいる人たちの、
今の人です。アイヌの人たちも縄文期の頃から継いでいるんですよね、
技術とか考え方を。だから今の人に会えると言う事は
10,000年前の人に会えていることとある意味同じなわけですよ。
しかもその人たちは常に見ているのは未来の人たち。
宇宙人以外の何物でもないですよ。




高橋:すごく不思議なのが、会議室でそれを言われてもなんのこっちゃって。でも焚き火を前にすると私たちは心のガードが何枚も取れて、その言葉が入ってくるし、自分事に捉えられる。今私自身もそうだなと思いました

寒川:僕も話すのにさっき言ったみたいに同じ時間に火を炊く、
おんなじコーヒーを作って飲むという、そういう仕掛けが必要なんですよね。
それがすごく深いところまで彼らとコンタクトできる方法だなと。
焚き火は間違いなくコンタクトする手段ですよ。
本当に神様というか神事には欠かせないじゃないですか火って。
人が一番角が取れるというか、普段武装しているものが
1枚2枚取れていて生身の人間として会話ができるみたいな。
なので彼らと火を囲めたと言うのはすごく大きな事でしたね。


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【今週の番組内でのオンエア曲】
・ 不思議 / 星野源
・ The A Team [Acoustic Version] / エド・シーラン



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高橋万里恵
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