今週も引き続き植物の不思議な力について、ベストセラー『植物はすごい!』の著者で、農学者の田中修さんのインタビューをお届けします。

今回は秋がこれから深まり、紅葉が楽しみになるということで、植物の色についてのお話しです。

植物の種はだいたい黒か茶色ですね。しかしその種から育って咲いた花は綺麗な色をしています。
じつはこれにも納得の理由があるんです!

◆種と花の色の理由
種が何でほとんど茶色や黒なのかというと、種は目立ったらいけないからです。目立ったら鳥に食べられてしまいます。ですので、土の色によく似た茶色や黒なんです。
ところが花は受粉して種を作るために、蜂や蝶などの虫を呼びよせなければなりません。だから目立たないといけないんですね。ですから、赤だったり、白だったり、目立つ色の花を咲かせるんです。
植物ごとに花の色は違うし、大きさ形も違うし、香りも違うし蜜も違うんですね。それは虫たちに「私の方がすごい魅力的がある!」とアピールしてい競争してるんです。それがこの植物の花の色の違いの大きな意義です。
ですから、ありえない花の色というのは、葉っぱと同じ緑色です。葉っぱと同じ色の花を咲かせても目立たないので、緑色の花はまずありません。まったくないことはないですけども、良く見てもらったら葉っぱとは全然色が違います。
ちなみに、白い花は、実は空気の小さい泡が花弁の中にいっぱい入っているんです。例えば波しぶきは白く見えますよね。でもコップに波しぶきをとってきても、ただの水です。ビールの泡は真っ白ですが、それを集めてしばらくおくとただのビールです。白い花の花弁も一緒なんです。だから白い花を親指と人差し指でぎゅーって搾って透かして見ると、泡が出て、その部分が透明になってます。


さて、つぎは、これから紅葉のシーズンということで、イチョウの黄色と、
紅葉の赤い色。この二つの「色」のヒミツを教えて頂きました。

◆イチョウの黄色とモミジの紅葉
秋になるとイチョウが黄色くなり、モミジは赤くなりますが、このふたつは実は全然違う現象です。
イチョウの場合は、今年は色づきが良いとか、あそこのイチョウは綺麗だとか、年や場所による違いはありえません。一本一本のイチョウの木が緑から黄色に変わっていく過程は、暖かい年は遅い、早く寒くなる年は早いっていう違いはありますが、場所によって、あるいは年によって色づきがどうのこうのっていうのはないんです。
イチョウが緑の葉っぱの時に黄色い葉の色素、カロテノイドっていう色素なんですが、それは葉っぱの中にもう出来てるんです。ですからイチョウが黄色くなるっていうのは、クロロフィルという緑の色素が分解して無くなっていけば、葉っぱは自然と黄色になるんです。クロロフィルが分解して無くなっていくのは、気温が下がってくるとそれが起こる。だから寒くなってくるとイチョウは黄色くなるという現象が自然に起こります
それに対してモミジが赤くなるというのは全然違います。モミジは緑の葉っぱの時、あんな赤い色素なんか持ってません。赤い色素はアントシアニンといいますが、それは新たに作られてこなければならないんです。だから作られるための条件を満たすっていうとこが大事です。
それはどういう条件が必要かと言うと、一つは紫外線が多く当たること。二つ目は昼夜の気温差。これは、アントシアニンを作る為に温かい温度がいるし、緑の色素を消すためには夜の寒さがいるんです。そして三つ目は湿度です。乾燥すると汚くなるんです。湿度が高く保たれると、老化過程がゆっくり進むので、赤い色素を持ったまま綺麗な状態が保てる。だから紅葉の名所っていうのはこの3つの条件を大体満たしています。それは山の中腹の谷間のところですね。中腹の斜面は紫外線が多く当たります。そして太陽が当たってるから昼温かくて、夜は谷間なので冷える。そして谷間なので湿度が高い。だから紅葉の名所というと大抵山の中腹の谷間のところということになります。
この現象は1本だけ生えているところを見るとよくわかります。先端の方の、太陽の光が直接当たるところは紫外線があたっているので綺麗に紅葉します。でも木の真ん中の辺になってくると紫外線があまり当たりませんし、風が吹いても周りは冷えても、中は温度がそんなに下がらないので緑が消えないんですね。


植物の色の不思議のお話、いかがだったでしょうか。
今回お届けした内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・ほめられたくないワンピース / 山崎あおい
・となりのメトロ / YUKI
今週は、ベストセラー『植物はすごい!』の著者で、農学者の田中修さんのインタビューをお届けします。
田中さんは、NHKの「子ども科学電話相談室」という番組にも出ていて、メディアだけでなく講演でも、植物たちの不思議な力について色んなお話をされています。


植物の不思議な力、例えば春には桜が咲きます。夏にはヒマワリが咲いて、秋にはコスモスが咲きます。当たり前だけど、よく考えると、なぜなんでしょう。
なぜ桜は必ず春に咲くのか。なぜコスモスは必ず秋に咲くのか。
大人になるとなかなか、こういう疑問で立ち止まらなくなりますけど、実は全く私たち、これ分かってない。

というわけでまずはこの疑問に答えて頂きました!

◆秋の花はなぜ秋に咲くのか
春には多くの植物が花を咲かせます。秋にも多くの植物が花咲かします。なぜ春と秋に多くの植物が蕾を作って花を咲かすのでしょうか。
例えば秋には菊やコスモスが花を咲かせますが、それは、秋は寒い冬の前だからなんです。
というのは、秋に花咲かせる植物は冬の寒さに弱いんです。だから秋の間に花を咲かせて種を作って、種の姿で冬の寒さを過ごそうとする植物です。種だと暑さ寒さに強いんです。ですから、春に花を咲かせる植物は暑さに弱いということ。夏は緑が多いので枯れた植物って目立たないんですけども、春に花咲いてた植物を探してみて下さい。夏にはありません。
ということは、春に花咲く植物は春の間にもうすぐ暑くなるということを知ってることになるんです。そして秋に花咲く植物は秋の間にもうすぐ寒い冬が来るということを知ってることになるんです。どうしてわかるんでしょうか。
それは葉が夜の長さをはかるからなんです。秋の菊やコスモスでいえば、夜が長くなってくると、葉で蕾を作る物質を作って芽に送って、そして花を咲かすんです。春に花咲く植物は逆で、夜が短くなってくるということを感じて、やっぱり蕾を作って花を咲かすんです。
この夜の長さをはかる能力は大変正確で、例えばアサガオなんかで調べると、品種にもよりますけども9時間っていう夜を与えても蕾は作らない。でも、9時間15分ならば蕾を作るんです。つまり15分刻みの精度を植物は見極めて、蕾を作っている。ものすごい時計を持ってるんです。


15分という時間がわかるというのはすごいですね!
こうした「体の中の時計」は、植物だけでなく動物にもあるといいます。いわゆる“体内時計”って呼ばれるものですよね。ただ、その正体はなんなのかは、まだはっきりは分かっていないそうです。

では続いての疑問。夏の風物「ひまわり」についてです。
ひまわりって、よく「太陽の方向を向いて首を動かしてる」っていいますが、これは本当なんでしょうか。

◆ヒマワリは太陽を追って向きを変える?
ヒマワリの花は太陽の姿を追って動くって言われることがあります。でもそれは本当ではありません。あんな大きく重い花が太陽の動きを追って毎日移動してるっていうことはありません。ヒマワリの花は東の方を向いて咲くって決まってるんです。
でも葉は太陽の光をすごい欲しがってるんで、東の方から太陽が昇ると東の方を向いてる。そしてお昼に段々上に来ると上を向く。そして西の方に傾いていくと西の方に傾いていく。ですから葉が太陽の動きを追って動いてるって表現するとそれは間違ってないんです。
では日が沈んだら葉はどこを向くのでしょうか。これは是非観察してほしいんですけども、実は夜の間に東を向いて、太陽を待っているんです。


植物ってすごいんですね!こうしたお話しは田中さんの著書「植物はすごい 七不思議篇」(中公新書)で詳しく知ることができます。


今回のお話はポッドキャストでもお届けしています。こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・フォエバ / BENI
・日曜の夜に鳴く鶏 feat. 高田漣 / 大橋トリオ
長年、マタギを追いかけ取材しているカメラマン田中康弘さんが、東北のマタギをはじめ、山とともに生きる人たちから聞き取った、不思議な体験談の数々。
ここまで、風もないのにざわめく謎の竹やぶの話し、キツネやタヌキに化かされる話し、そして人魂の話しなど、怖いけど、ちょっとわくわくするようなお話が色々ありました・・・

しかし今回は恐い話しです。これは田中さんが、石川県・白山連峰の麓で猟師をしている男性から直接聞いたという、本当に不思議なお話しなんです。

◆白山の山小屋
ある猟師の人が若い頃の話です。猟を始める前に山の上で遊歩道を整備したりするバイトをやってたそうなんですが、ある日その仕事をしていると、天気悪くなってきたので、仕事を切り上げて、二人の仲間と避難小屋に入ることにしたそうです。
しかし、入口が凍りついてなかなか開かない。大の男三人で力を合わせてもなかなか開かなかったそうです。凍ってるし、古い建物なので、曲がってるということもあったんでしょう。しかし、入れないと大変ですから、必死になって、なんとかこじ開けたそうです。
それで、やっとのことで中に入り、もちろん扉を閉めて、持ってきた食べ物なんかを食べて落ち着いていたんだそうです。外はすごい雪になっていました。
するとそのうち何か音がした。あれ?って思って聞いてると、ゴウゴウゴウゴウ風がする中で「シャン」っていう音がするんですよ。それがある一定の間隔でシャン シャンって音がする。それが段々段々はっきりと聞こえるようになってきて、近寄ってくるのがわかる。
そのうちに、山伏が持つ杖の上に付いている鈴の音だとわかったそうです。それが段々近づいてきて、小屋の前に来たのがわかった。すると、今度は小屋の周りを回り出しました。その「シャン、シャン」という音は全員聞いてるんですよ。
誰かが、「開かないから困ってるんじゃないか」と言ったそうです。確かに、屈強な山の男三人で開かないわけですから、一人の力で開くはずがないわけです。だから「開けてやったほうがいいんじゃないですかね?」って言ってたけど、今度はそのシャンっていう音が聞こえなくなった。
どこかへ行ってしまったかな?って思ってたら、いきなり今度は天井でドンっていう音がするんです。そして今度は屋根を歩く音がするんですよ、「ミシ ミシ」と。それと同時にシャンっていう音がする。あ、屋根の上を歩いてると。
「さすが山伏だ」なんて言っていたけど、そんなわけはない。これはこの世のものじゃないってみんな思ってるんですが、でもそう思うと怖いから山伏が歩いてると思うわけですよね、必死に。
そのうちそれが止んだから、「あーよかった。どっか行ったのかな。」と思ったら、さっきまでみんなで苦労して開けた戸がですね、ピシューッ!って開くんです。一瞬で!。三人がかりでバールを突っ込まないと開かなかった扉ががシューンて開くんですよ。そして外からブワーッと吹雪が入ってくる。もう誰も目は開けていません。みんな目を瞑って念仏を唱えていた。しばらくそうやって念仏唱えていたら、扉がピシャーンと閉まったそうです。それでもしばらく誰も顔を上げなかったってそうです。
この話はすごく怖いなと思ったんですよ。場所もはっきりわかってるんだけど、それを言うと登山者の人が怖がるからやめてくれって止められてるんです。白山にはたくさん登山者の避難小屋がありますからね、そのどれか一つです。


いったいどこなんでしょうね。このお話は、田中さんの著書『山怪 山人が語る不思議な話』(山と渓谷社)の中でも、より詳細に書かれていますので、ぜひチェックしてみてください。
この『山怪』という本。田中さんは長い期間たくさんの人への聞き取り取材を経て、一冊にまとめたわけですが、そのお仕事をする中で、田中さんは一つのことに気がついたんです。

◆『山怪 山人が語る不思議な話』
『山怪』で取材してきたものは、短い話だと「この間山の中で木切ってる音がしたんだ。あれタヌキだんべ。」っていう、これで終わっちゃうんですね。こんな話がいっぱいあって、これを色々聞いていて思ったのが、これが民話の元になっているのではないかということ。こういう話がいっぱい集まって完成された地方の民話なのではないかと思ったんです。
昔は今と違って携帯もないしパソコンもないし、テレビもない。そういう時代は話するしかないんですよ。特に阿仁のように雪深いところは四ヶ月くらい雪の中に埋もれてるんですね。昔は雪かきをしなかったので、あまり忙しくなかったんです。雪は踏んで固めて道を作っていました。埋もれたら埋もれたままなんです。
その代わり昼間でも暗いわけですよね、周り雪に埋もれてますから。そんなときは囲炉裏の周りにみんなが集って、縄をなったりとか、そういう作業をずっとやってるんですね。それをおじいちゃんおばあちゃんたちがやっていて、周りにはたくさんの子供たちがいて、一日中飽きることなく話をするんです。それは近所の噂だったり、山の中での不思議な話だったり、人から聞いた話だったりとか、それを延々とするんですよ。
そういう空間があるから、オチも何もないような「ああ、あれはタヌキだった」という話に、それに何か違う話がくっつく。くっついて、くっついて、練られて、練られて長い話になっていく。民話とか昔話はこうやってできてるんじゃないのかなと思ったんです。閉ざされた空間で、人が額を寄せあって、話をせざるを得なかったんじゃないでしょうか。
でもそういう場ってもう今はないんですよね。少子高齢化でおじいちゃんおばあちゃんしか住んでないとか、孫はいるんだけど、夜は別々の部屋にいて、孫はゲームやってる、おじいちゃんおばあちゃんもテレビ見てる。こういう話は語ることでしか生きていくことのできない話なので、話す人がいない、それを聞かされる人がいないと、こんなふうに話が練られて、面白い話に生まれ変わることっていうのは多分もうないんだろうなと思います。
山であった不思議な事って話さないと思い出さないんですよ。だから山でなにか不思議な体験をしても、戻って来て話す相手がいないともう消えちゃうんですよね。
でもこれはちょっともったいないなと思って、それをこの本の中では集めてきちんと記録していこうということなんです。多分これから先はこういうのはもう出てこないような気がするんですよ。恐らく今がもうギリギリかなという感じでやってきましたね。


3回にわたってお届けしてきた田中さんのお話いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひ聞いてみてください!

『山怪 山人が語る不思議な話』 田中康弘(山と溪谷社)

【今週の番組内でのオンエア曲】
・雫に恋して / indigo la End
・パフィーのHey!Mountain / PUFFY
今週も、貴方を不思議な世界へといざないます。
長年、マタギを追いかけ取材しているカメラマンが、東北のマタギたちから聞き取った、ちょっと背筋のゾクっとする体験談。まだまだ、たくさんあるんです。 今回は、その中でも日本の昔話や民話にたくさん登場する「キツネ」と「タヌキ」のお話です。
キツネやタヌキに化かされた・・・という昔話は、日本中どこにいっても、数えきれないほどあるのですが、実は現代を生きるマタギたちの中にも、キツネやタヌキに化かさた!という人がたくさんいるんです。

◆キツネに化かされる
秋田の辺りでは、色んな不思議なことが起きると、まずキツネのせいなんですね。例えばいつも行き慣れた道で絶対迷うことがない庭先みたいなところで迷うことがある。何故そうなったかよくわからないという場合、それは全部キツネに騙されたっていうことが多いんです。今でもまだ買いに来る人いるのかな?昔は、富山の薬売りが集落を回って熊の胆とか、熊の血から作った薬ですとか熊の油とかそういうのを買いに来てたんですよ。それで、富山の薬売りが阿仁の集落にやって来た時に、ある家に買いに来て、次はまた違う家に行く。すると突然その足取りが掴めなくなったことがあって、探したら、沢に入って水浴びをしていたんです。で、みんなで引き上げて聞いてみたら、道に綺麗な女の人がいて、手招きするんだと。それで、ついて行って、その人の家に行ってお酒飲んで、風呂入れっていうから風呂入ってたらそこで引っ張り上げられたっていうことを言ってた。それが20年ちょっと前ですから、そんな昔じゃないんです。
そういう話もあれば、林道にいたキツネを車で追っかけたら、夜にきれいな女の人がやってきて、連れまわされて酷い目に遭ったとか。キツネに酷い目にあわされるっていうパターンが東北の場合は圧倒的に多かったですね。


キツネは、キレイな女性に化けて出てくる・・・というパターンが多いそうなんです。そしてキツネに化かされた人は、命に関わるようなことに巻き込まれるケースもいろいろあると言います。今のお話のように化かされて川に入っていた、程度ならいいですが、真冬の雪山で、人を迷わせたりすることもあるというんです!
そんなキツネに対して。タヌキはちょっと違うみたいです。

◆木を切る?タヌキ
阿仁でくよくタヌキの話を聞いたんですが、山の中でタヌキが音を出すというんです。大抵は木を切る音の真似をするそうなんですよ。山で作業をしていると、山の中から、斧でコーンコンコーンっと木を切る音が山にこだまする、そしてドドッと倒れる音が聞こえる。そのうちそれが止むと、太鼓の音がするって言うんですよ。それで、こんなところで太鼓を叩くやつはいないから、あれはタヌキだって言うんです。
それが現在になるとチェーンソーになるんですよ。これも複数の人から聞いてる。営林場の人たちが山に入って作業をして、一休みをしていると反対側で誰かがチェーンソーを使って木を倒す音がする。でも自分たち以外に山に入っている人はいないということは、営林場の人だから知ってるわけですよ。そうすると「あれはタヌキだ。」っていう。その話は3人くらいに聞いてます。そういうのがよくあるらしいですね。
タヌキは基本的に北の方は音を立てるという話が多いです。東京でも、江戸の頃に本所の七不思議とかあるわけですが、その中にタヌキ囃子ってあるわけですよね。でも、それが四国の方まで行くと、タヌキが後ろからヒタヒタ付いてきたりとか、そういう風に変わるんですよね。東北のタヌキは姿が見えなくて音だけっていうパターンが多かったですね。


東京都墨田区本所。この地では、夜な夜な、どこからともなく聞こえる太鼓の音が、タヌキの仕業ではないかと騒動になったと言われています。また、「しょうじょうじのタヌキばやし」という歌がありますが、あれもやはり、タヌキがおなかをポンポコ叩く音をテーマにしたもの。それが現代ではチェーンソーを使うようになるんですね!

さてもう一つ。日本の怪談に必ず登場するものがあります。
「人魂」です。

◆火の玉
やっぱり光に関しては、これも地域によって人魂であるとか、火の玉であるとか、狐火であるとか色んな言い方があるんですよ。
やっぱりその形も千差万別で、巨大に伸びる光もあれば丸い光もあるし、横に伸びていくようなものとか色んな形があるんですね。
私が一番面白いなと思ったのは、阿仁の方で、いまは60代後半の方が中学生の時のお話で、その人の家は、本当に暗いところなんですよ、山の中だから。それで、あるの日真冬に深い雪の中を夜に歩いて帰っていた。途中にキツネが出ると言われている場所があって、そこを通るのが怖かったそうなんです。で、その場所を曲がった瞬間に目の前が一気に明るくなったそうなんです。びっくりして見てみると、夜店が6件ぐらい出てるんです。それがすごく明るくて、おもちゃや靴を売ってたりとかはっきり見えたそうです。「あれ?今日お祭りだったかな?」と思ってしばらく見てた。そしたらいきなりパッと消えたという。
そういう話もあれば、ある人は、家に帰る途中に沢があるんですが、その沢にたくさんの光があったって言うんですよ。最初は誰かが電気を持ち込んで、魚を獲るためにそういうことをしてるのかと思ったそうなんです。でもそんな大掛かりにやるわけもないし、まして夜、魚を獲るのは禁止されてますから、と思って見てたらやっぱりいきなり消えたんですね。
あとはそのよくあるのが火の玉。ふわふわ飛んでくる不思議なものというのも、あちこちで結構聞いて、大体はバレーボール程度っていうのが多いんですが、直径2mくらいあったという話も2か所くらいで聞きました。それも、人によっては赤っぽかったり、青っぽかったり、それからボウボウ音がしたって言う人もいるんですね。
昔から言われてるのが、火の玉の正体はリンが燃えたとかプラズマだとか言います。実際、そういう実験をして「ほら光った!」って見せるのはすごい容易いんだけど、ところが山でそういう物を見てる人たちには明らかに違うものなんですよ。見たという人の話では2mくらいの大きさで、ボウボウ燃えながら100mくらい移動してるわけですよね。リンが燃えたとかいうものとは明らかに違う。プラズマだって、全く違うものです。
でもそれはやっぱりわからないですよね。同時に2人の人が目撃しているケースもあるわけですよ。ですから多分いたんだろうなと思うんです。でもやっぱりそれは正体はわからない。


今回のお話いかがだったでしょうか。田中さんのお話はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、ぜひ聞いてみてください!


『山怪 山人が語る不思議な話』 田中康弘(山と溪谷社)

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Blackbird / Beatles
・いつでも誰かが / 上々颱風
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高橋万里恵
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