今回のいのちの森は、縄文時代の人たちの道具だけを使って、当時の「竪穴式住居」を、そっくりそのまま作っちゃおう!ということに挑戦している大工さん、雨宮国広さんをお招きしてお話しをうかがいます。


〜雨宮さんは山梨県甲州市で大工をなさっているということですが、甲州市の辺りというのは、昔から腕がいい大工さんがたくさんいたんですか?
 そうですね。山梨県は平らなところがない、農地が少ない場所で、子どもがたくさんいたら農業を継がせるのではなく、手に職を覚えさせるというところでした。それでいろいろな職人が生まれたと思うのですが、そのなかで大工さんになる人も多かったと思います。また、下山大工という大工の集団がある地域がありまして、そこは社寺建築なんかを中心にやっていた技術集団だったので、そういう面でいろんな日本建築の真髄を習得した大工さんの下でたくさんの大工さんが生まれていったのではないかなという、そういう背景はあるとおもいます。甲州市は人口は少ないんですが、大工さんはそこら中にいる感じですね。


〜雨宮さんご自身も大工さんということで、やっぱり代々受け継がれてきたんですか?
 私の父は工務店に勤めていた大工なんですが、私の家は農業です。小さい頃は、他の子どもは遊んでいるのに、おじいさんに畑仕事を手伝わされたという、嫌な思い出がありますが、でもいまでは農業を通していろんな幅広い考えが自分自身に身についたんじゃないかなと思って、感謝しています。

〜そんななかで雨宮さんが他の大工さんとは大きく違うのが、道具ということなんですが、どんな道具を使っているんですか?
 生活していくためには電動工具を使っていますが、自分が造りたいものに関しては、石斧を使ったり、鉄の道具を使ったりして、だんだん切り替えていってるんです。2008年ごろに、5年くらいかけて、6畳の小屋を手道具だけで造ったんですよ。電気とか動力を必要としない、人力と道具だけで造るということですね。それが転機でしたね。
 普通は動力を使わないと大変だというイメージがあるんですが、でもやってみると、これがものすごく楽しい世界で、ストレスゼロだといことがわかります。やっぱりいまの流れいまどきの大工の仕事をやっていたときに感じていたことは、命をつなげるものづくりじゃないなといことです。自ら自分たちの命を縮めるものづくりを一生懸命しているんです。古い建物をみて、建物に込められた、人々の汗とその思いみたいなものを感じてくると、やっぱり人が生きるというのはどういうことなのかとか、家とはどういうものであるべきなのかとか、そういうことをだんだん感じて考えるようになってきましたよね。


〜命をつなげるものではないというのは、どういうことですか?
 現在の建築素材って人間の命を短くする有害物質がほとんどなんですよ。接着剤にしても、断熱材にしても、ありとあらゆるものです。人間が生み出していく新建材といわれているものは、絶対深呼吸できないものなんです。その素材を加工した時には粉塵が出ますが、現場の人たちは呼吸せざるを得ないですね。それでアスベストの問題など、いろんな害が出ています。でもそれがまかり通る時代なんですね。そういうところに対して声を上げたいし、いろんなかたちでこれからの家というものを考えていきたいなということを投げかけていきたいと思っています。

〜雨宮さんが使っている道具は、時間はかかりますよね。
 時間がかかるからいいんですよ。相手を知ることにいちばん何が必要だと思いますか?それは時間なんですね。みんな、わかったつもりにみんななっているんです。私も木のことは、ほんの一部しかまだわかってないですけれども、それもそのはずですよね。電話一本で山に生えていた木が角材になって手元に届くんですから。ましてや手の道具も使わないで加工されたものをただ組み立てるとか、そういう時代になっているなかにおいて、木ってなんだっていわれたときに、本質的なところを話ができる人はだんだんいなくなっていくと思うんですね。
 でも山に入って斧を手にして木を切るときは、命をいただくところの精神的なところから入るわけじゃないですか。何百年生きた木に向かって斧を入れるというのは、本当に祈らなければいけないような心境になりますよね。そこで祈りがはじまって、そこから絶対にすべてを活かしていこうという気持ちの中で斧を入れる。やっぱりそういうものづくりが本当にいまなくなっちゃってる。それを復活させていきたいなと思いますね。
 やっぱり相手を活かすということが全てに求められていると思うんですよ。自然の恵みを活かすということですね。それにはその特性、性質、性格を知らなければいかせない。知るには時間をかけて向き合うということなんですね。


このお話の続きは来週お届けします。どうぞお楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Week End / 星野源
・All That's In The Universe / Def Tech
今回のいのちの森は、10月3日・4日の2日間、東京・新宿御苑で行われた『GTF グリーンチャレンジデー2015in新宿御苑』のステージイベントの模様をお届けします。
生物多様性を意識するための様々なチャレンジを応援する日に行われたこのイベント。自然に触れるワークショップや、食を通じて環境を考えるワンコインの屋台など、様々な催しが行われました。
そして、会場に据えられたステージでも、楽しいトークセッションが行われたんです。登場したのはアーティストのLOVEさんと、公益社団法人・日本環境教育フォーラム 理事長の川嶋直さん。
TOKYOFMの中村亜裕美アナウンサーを司会に行われたトークセッションのテーマは「大人のための環境教育」です。

中村:LOVEさん、どうですか。新宿御苑初めてということですが。
LOVE:じつはそうなんですよ。なんてリッチな芝生なんでしょう。気持ちがいい、ふかふかですね。みなさん、床に座っているけど、芝生気持ちいいですよね。

川嶋:芝生の上も気持ちいけど、ちょっと木陰のほうにいくと、様々な木がたくさん生えていますし、春は桜の名所ですよね。あっちのほうに桜がば〜っと並んでいましてね。ものすごく気持ちがいい。
中村:春は桜、そして秋は紅葉を楽しめて本当に素敵な場所ですよね。川嶋先生は日本環境教育フォーラムで自然体験を通した環境教育の普及に尽力されているということなんですが、大人向けの環境教育をされているということなんですね。
川嶋:大人が変わらないでどうして子どもが変われるんですか。子どもたちにしてみれば今の環境問題を起こしたのはあなたたちでしょうと。あなたたちが、自分たちが無理だから未来を担う君たちにこそ環境教育なんて、そんな無責任なことをいう大人の言うことを聞く子どもがどこにいるんですかっていう、怒りが元なんですよ。

LOVE:私、先生好きです。すごいこの感じ好きです(笑)
中村:まず私たち大人が変わらないといけないと。
川嶋:僕らがまず変わることがやっぱりいちばんの子どもたちへの教育だと思っていますから。ほんのちょっとした一緒の体験とか、ちょっとした言葉の端々で子どもたちっていうのは世の中の価値を学んでいくわけですよね。だから、僕の子どもたちは、僕がそういうことを大事にする仕事をしているっていうことを傍から見ていて、いまはアメリカの学校に行って、社会的な課題を解決するための勉強に行っていたりします。いつのまにか親の仕事をそうやって見ているんですかね。
LOVE:たぶん私たちも、大自然の環境に暮らしていなくても、こうやって普段暮らしている都会の真ん中の新宿御苑に連れて来てくれたお父さん、お母さんの気持ちを、子どもたちは「楽しい〜」のなかになにか覚えているものが残るんでしょうね。

中村:確かに、触れている自然に合わせて心が大きく育っていくような感じがしますよね。では、せっかくの機会なので、大人のための環境教育を先生に入門編を教えていただけないでしょうか。


ということで、手鏡を渡されたLOVEさんと、TOKYOFM中村アナウンサー。
川嶋さんに教えてもらい、その手鏡を、目のすぐ下・鼻の頭にくっつけて、鏡に、空が写るように上を向かせました。
これで準備完了。下を向いているんだけど、目に映るのは、鏡に映った空。この状態で、森の中をお散歩するんです。

こうして歩くと、突然鏡に、うっそうとした森の木の枝が現れる!上下がさかさまになるというか、足元に空と森の木々があるというか、すごく不思議な感覚。森の存在をすごく感じることができるんです。これを「スキヤキハイク」というそうです。上を向いて歩こう!ですね。
そして、さらに川嶋さんはオトナのための環境教育・入門編その二も教えてくれました。
それが「はっぱっぱ!」です。

中村:先生、他にもありますか?
川嶋:もうひとつ、「葉っぱじゃんけん はっぱっぱ」というのがあるんです。今日はそこら辺に落ちている葉っぱを拾ってきましたので、中村さんとLOVEちゃんに葉っぱじゃんけんをやってもらおうと思います。葉っぱの大きさとか色とか形とか、できるだけ違う5種類のものを5枚選んでください。二人背中合わせになって。
じゃあ、一番フレッシュな葉っぱを一枚選んでください。それで、はっぱっぱの掛け声で振り返って出してください。はい、それでは、「葉っぱじゃんけん、はっぱっぱ!」どうですか?
LOVE:どう考えても中村さんのほうがフレッシュですね。
川嶋:はい、じゃあ勝った人は負けた人から葉っぱをもらってください。
LOVE:これ、ざっくりとした基準でいいんですね。
川嶋:はい。で、二人の意見が譲れなかったら交換します。
中村:あいこもあるんですね。

川嶋:じゃあ二回戦いきます。二回戦はいちばん寂しい葉っぱ。じゃあみなさん、いきますよ。「葉っぱじゃんけん、はっぱっぱ!」さあどっちが寂しいか。
LOVE:これは私の勝ちでしょう。枯れている上に丸まってますからね。
川嶋:はい、じゃあLOVEさんの勝ち。こうやって沢山の人達が集まったら、どんどんペアを変えたりして、一番虫が食べた穴が多い方とか、ギザギザして痛い葉っぱとかね。長い葉っぱ、大きい葉っぱ、赤い葉っぱ、なんでもいいです。森への見方が変わってくるっていう、さっきのスキヤキハイクも森の見方が変わっていくっていうことなんです。
LOVE:今度、甥っ子に葉っぱっぱやってみようかなと思いました。
川嶋:ぜひやってください。
中村:まずは大人から環境に心を開いていくっていうのが大切ですよね。LOVEさん、川嶋先生ありがとうございました。




きょうは、10月3日・4日の2日間、東京・新宿御苑で行われた『GTF グリーンチャレンジデー2015in新宿御苑』のなかから、ステージイベントの模様をお届けしました。川嶋さんは、スキヤキハイク、はっぱっぱの他にも、鏡を使った万華鏡つくりなんかも教えてくれました。

今日ご紹介した内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!

以前この番組でご紹介した、「アースデイ いのちの森」でいただいてきた宝石とうもろこしのを番組パーソナリティ高橋万里恵さんが育てて、収穫することができました!
お約束通り、種の一部をお返ししたいと思います!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Oh My My / Jtr
・「未来へ帰ろう」(20151004GTF新宿御苑ライブより)
  • 2015.10.11

明治神宮の森

今回のいのちの森は、東京の中心に鎮座する「大きな森」のお話。
2020年へ向け、明治神宮・外苑は大きく変ろうとしていますが、その中心にある神宮の森も、長い年月をかけて「変化」を続けているんですよね。

今日は明治神宮・国際神道文化研究所の門崎泰輔さんにスタジオまでお越しいただき、お話を伺います。


〜門崎さんは権禰宜という立場ということで、勝手なイメージなんですが、古風な洋服を着ているようなイメージだったんですが、今日はスーツ姿なんですね。普段はどんな服装をされているんですか?
 普段もスーツを着て仕事をしていることが多いんですが、朝拝というものがありまして、そのときは白衣袴、神主さんの格好をしてお参りをして、お掃除をします。また、月に一度は月次祭といって、装束を着て、神職のお勤めもしております。

〜そんな門崎さんがお勤めしている明治神宮なんですが、2020年には鎮座100年をむかえるということですが、100年前にはここはどうなっていたんですか?
 100年前は明治神宮の場所は通称、代々木原といわれていて、いまのような森はなかったんです。明治神宮は人工の森なんですが、1912年、明治45年に明治天皇が崩御して、明治天皇のお墓を東京につくりたいという運動があったんですが、明治天皇は京都生まれで、ご遺言でお墓は京都ということが決まっていました。それならばお墓にかわる明治天皇、明治時代を記念する、象徴するような施設を作ろうという話になり、神社を東京の地につくろうということで、明治神宮創建の流れができてきます。

〜わたしもこの番組を通して知るまでは、そこがまさか人の手でつくられたとは思わなかったんですが、明治神宮にある木の種類にもこだわりがあったんでしょうか。
 明治神宮の森をつくろうというとき、木が足りないので全国から奉納してもらおうということになったんですが、結果的に365種類10万本の木が奉納されました。林縁計画書という当時の森の設計図が残っているのですが、いまでも明治神宮は林縁計画書の通りに維持管理をしています。そのなかに林相変異図といって、森がこういう風に進化していくだろうと示された図があるのですが、最初は松や杉、ヒノキのような針葉樹林を主要木として植えて、その下に奉納された照葉樹、広葉樹を植えて、針葉樹である程度の高さを出して、森としての形を作ろうということで、いちばん最初はそのように計画されたんです。それで50年後、100年後、150年後と段階を踏んで針葉樹はだんだん淘汰され、照葉樹、広葉樹が大きくなって天然更新する森になるだろうという計画でつくられたのがいまの森です。
自然の森として天然更新するには、100〜150年かかるだろうと当時言われていたんですが、当時この森をつくった人々は、この明治神宮の森が立派になった状態を見ることができないので、将来の我々に託して残してくれたんじゃないかなというふうに思うんです。その計画がやはり素晴らしかったんだと思うのですが、鎮座80年くらいのときにはすでに天然更新をしていて、自然の森といえる森にまで成長していたと言われています。
平成23年から2年かけて境内の動植物の総合調査をしたのですが、そのときには2840種類の動植物が明治神宮の森のなかに住んでいて、昆虫だけでも1100種類いました。新種のムカデが発見されたり、新種のかたつむりが発見されたり、東京都内では絶滅したと思われていた蝶が発見されたりしました。また、オオタカが巣をつくるようになりました。タカは食物連鎖の頂点に立つ動物なので、タカがいるということは、明治神宮のなかだけで食物連鎖が完結しているということを示す例なんですね。ですので、100年前に森を作った方々が想像していたかどうかわかりませんが、まさにいのちの森として、命を育むもりにまで成長して立派な森になったということです。


〜最初は自然にサイクルができるまでもっと時間がかかると言われていたのが縮まったというのはなぜなんでしょうか。
 先人が林縁計画書という森の取り扱い説明書を残してくれたわけですが、我々の歴代の先輩方がそれを忠実に守って森の管理をしていたんですね。たとえば落ち葉は、一般的には燃やしたりしますが、明治神宮ではそれをすべて森に返しなさいと書かれています。また、虫が発生しても、いろいろな種類の木を交互に植えているので隣の違う木には移らないので、殺虫剤は撒くなと書かれていたり、そういうことを忠実に守って先輩方が苦労して森を維持管理してきたと思うんですね。そういった苦労のかいがあって、計画よりは森の更新が進んだんじゃないかと思います。

〜お話を聞いていると、明治神宮の鎮守の森は先代からちゃんとバトンをしっかり引き継ぎながらここまできて、2020年に鎮座100年ということなんですが、これから先の100年の課題ってありますか?
 明治神宮は明治時代という時代を象徴する場所としてつくられたものです。明治時代がどういう時代だったかということを考えると、西洋文化を取り入れた時代。西洋の知識をたくさん取り入れて近代日本を作っていった時代です。その時代を象徴する神社として、いま現代においても海外からの知識をたくさん取り入れて、海外にもひろく発信していくというのは明治神宮という神社としては大切なことではないかなと思います。

〜そして、今年の4月からは、明治神宮も含む渋谷に関する興味深い講演会が続いているということなんですが、どういうものなんですか?
 「日英連続講演会 TOKYO FUTURES, 1868-2020 東京-未来への歴史」というのですが、東京が明治維新を経て、色々な時代の変革を経て、これから2020年東京オリンピックがあるわけですが、どのように変遷していくのか、それを自然、都市、美術のおおきな3つのテーマから検証してみようという企画です。
10/31には都市というテーマで、表参道の日本看護協会のJNAホールというところで開催します。明治神宮のサイトのトップページに詳細があります。当日はお申込が必要になりますので、そちらをぜいご参照ください。
お話をするのは青山学院大学総合文化政策学部の教授 黒石いずみ先生がお話くださいます。黒石先生は建築が専門分野ですが、長年都市計画も研究されていて、とくに渋谷をテーマにフィールドワークなどを通して学生と一緒に研究されています。テーマも「21世紀都市渋谷を楽しむ」という興味深いものになっています。


〜表参道や渋谷ってお買い物、飲みに行く街というイメージが強い方が多いかもしれませんが、改めてこういうことを知ると、また見る目が変わるかもしれませんね。
 最近では古地図を見ながら街歩きというのが流行っていますが、そういった感覚でぜひ明治神宮界隈を歩いていただいて、渋谷という街、明治神宮を見て頂けると、ひと味違った体験になるのではないかと思います。
日英連続講演会 TOKYO FUTURES, 1868-2020 東京-未来への歴史

明治神宮のお話いかがだったでしょうか。
今回ご紹介した内容はポッドキャストでも詳しくお届けしています。こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・Hold My Hand / Jess Glynne
・Story / AI
今週も引き続き、植物を見る目が大きく変わるお話です。
ベストセラー『植物はすごい!』の著者で、農学者の田中修さんのインタビューをお届けします。

子ども向けの電話相談の番組で、ちびっこたちの、とっても素朴な疑問にも丁寧に分かりやすく答えている田中さん。
「植物の種はなんで黒や茶色なの」とか、「なんでイチョウは黄色くなって、モミジは赤くなるの」といった、子どものように純粋な疑問の中に、実は植物のもつ本当にすごい力が隠れている・・・ということを教えてくださいました。

今日は、こんな疑問に答えてもらいます。
よく、「お花や植物に話しかけると元気になる」という話を聞きませんか。
あれ、誰が言いだしたのか分かりませんけど、結構まことしやかに言われています。これ実際にはどうなのか。田中さんに教えてもらいました!


◆植物に優しい声をかけて育てる綺麗な花が咲く?
植物に優しい声を掛けて育てると綺麗な花が咲くって言われますけども、それは嘘です。植物は言葉はわかりません。でも「いや、本当にそうなるんだ。」という人もいます。
だいたい、そういう方は優しい声を掛けながら触ってるんですね。植物は触られると体の中にエチレンという物質ができるんです。エチレンは茎をなるべく伸ばさずに太い茎を作る作用を持ってるんです。ですから植物を触りまくってたら太く短いたくましい茎の植物ができる。全然触らなかったらヒョロヒョロヒョロっと伸びてくる。
植物って賢くて、自分の体で支えられる大きさの花しか咲かしません。だから触られずにヒョロヒョロっと長く伸びた方は小さな花になります。でも太く短くたくましい茎になった方の花は大きな花を咲かすことができます。それで、きれいな立派な花が咲いたって形容されるんです。
それは風にふかれたり動物に触られたりしても、それで倒れないようにエチレンが発生するんですね。やっぱり倒れたら植物は生きていけないので、そういう防御機構って考えたらいいと思います。だから倒れにくい植物を作ろうとしたら、例えば畑なんかでは、わざわざ畑の向こうとこっちとで縄を張って、揺すって触るっていうことをやることもあります。


植物は、風にあおられ、動物に踏みつけられて、強くなるんですね!

そしてもう一つ。トウモロコシのお話しです。家庭菜園でトウモロコシを育てると、なかなか上手くいかないケースが多いそうなんですが、これには、トウモロコシが生き残るための、よくできた仕組みが関係しているらしいんです!


◆トウモロコシの秘密
お店で売ってるトウモロコシって実がびっしり詰まってるんですが、家でトウモロコシを栽培すると歯が抜けたようになってしまうんです。それは栽培が下手なわけじゃないんです。
トウモロコシは雄花と雌花っていうのがひとつの株で離れて咲きます。植物はみんなそうなんですけども、自分の花粉を自分の雌しべに付けて子供は作りたくないんです。そんなことして作ると同じ性質の子供ができるんですね。で、動物でも雄と雌に性が分化してるっていうのは、それは雄が持ってる性質と雌が持ってる性質を混ぜて色んな性質の子供を作ってきたいからなんです。ですから、雄花と雌花っていうのは分かれてるんですね。
トウモロコシの場合、上にあるのが雄花、下にあるのが雌花です。そうすると、そのままだったら、上の雄花の花粉が下の雌花に落ちてきてしまいますよね。だからどんな工夫をするかっていうと、雄花の方が先に成熟して花粉を飛ばすんです。その時はまだ雌花は熟してないんで、花粉は受け取らない。だから雄花の花粉は雌花に付かないんです。
トウモロコシの実に毛がいっぱいありますよね。あの毛っていうのはそれぞれ1本1本が雌しべなんです。だからあの毛1本に実が1個付く。だから実をビシッとつけようと思ったらあの毛に全部花粉がつかないとだめなんですね。
でも、同じ株の雄花と雌花は同時に成熟しないので、家庭菜園で5本とか10本とか植えても、なかなか全部の雌花の毛に花粉がつかない。だから歯抜け状態の実になるんです。
でもトウモロコシ畑には何百本、何千本があって、成熟のタイミングにはズレが出てきますから、全部の花粉が雌花の毛について、ビシッと実がなるんです。



最後に田中さんに、「田中さんが知っている、一番不思議で珍しい植物ってなんですか?」という質問をしてみました。すると・・・田中さんはこんなお話をしてくれました。


◆植物はすごい!
動物は移動できるけれども、植物は移動できないから、動物のほうが生き物として能力が高いというような表現をしますがそんなことはありません。植物は動き回る必要なんかないんです。
なんで動物がうろうろしてるか、それは食べ物を探し求めてです。でも植物は根から水を吸って、葉っぱで空気中の二酸化炭素を吸収して太陽の光に当たれば、いくらでも食べ物、栄養作っていけるわけですから動き回る必要がありません。しかも地球上のすべての動物は植物がそうして作ってくれたものを食べて生きてるわけです。
それに、例えばお米を一粒蒔いたら、秋には一株になって、一株になると大体20本穂が出るんです。一本の穂には約80粒のお米が付きます。
ということは一粒が春から秋までに1600粒に増えるっていうことなんです。考えてみてください。春から秋までの6ヶ月間に1万円が1600万円になるなんていうことはあいますか?
これ植物が持ってる光合成という能力のすごさなんです。ですから、身近な植物がみんなすごさを持ってるということなんです。



甲南大学理工学部教授、農学者の田中修さんのインタビューをいかがだったでしょうか。ちょっとお散歩して、公園の植物をいろいろ見るだけでも発見や驚きが、他にもいっぱいあるんでしょうね。
来週は連休ですし、そんな発見を探しにお出かけしてみてはいかがでしょうか。

こうした田中さんのお話は、7月に出た『植物はすごい 七不思議編』でさらに詳しく知ることができます。こちらもぜひチェックしてみてください!
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高橋万里恵
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