今週もも引き続き、プラントハンター・西畠清順さんと番組パーソナリティ高橋万里恵によるトークイベントの模様です。

東京代々木にある、世界の珍しい植物あふれる商業施設「代々木ヴィレッジ」で行われたこのイベントは、西畠清順が先日出したばかりの新しい本「はつみみ植物園」の出版記念として行われたもの。この本でも紹介されている植物の「へえ〜」なお話、いろいろと披露してくれました。


西畠:みなさん、なんで門松を正月に立てると思います?なんでクリスマスツリーをあの時期に飾ると思います?なんで葉っぱは緑なのかなとか、森と林の違いは何なのかなとか、知ってそうで知らない植物の常識を一冊にまとめた本が「はつみみ植物園」です。
高橋:森と林の違いも聞きたいんですが、これ教えて欲しいんですけど、本のなかに野菜と果物の話あったじゃないですか。野菜と果物ってなにが違うんですか?
西畠:農林水産省が一応決めてるんですよ。あと辞書引いてみてください。どれを見ても全部曖昧でちゃんと決まってないんです。一般論としては、例えばりんごとかオレンジとか木になるものは果物。種から生えて草になるものを野菜。例えばネギとかトマトとか。でもそれに当てはまらない植物はいっぱいあるわけですよ。
例えばバナナなんかはフルーツとか思われがちですが、あれ木になってるわけじゃない。草なんです。ただでかいですが。だからあれはそういう意味では野菜なんです。そういう言い方をすればね。

スイカもフルーツっていうけど、あれは下からツルが生えてきてなります。だから本当は野菜なはずなんです。つまり野菜と果物っていう差はないんです。僕たちが勝手に野菜だ果物だって言ってるだけっていうようなことがこの本を見たらわかります。
でも一般的に果物といわれてるものと、野菜っといわれてるものの差は何?って聞いたら、果物は甘くて、野菜は甘くないというイメージですよね。自分もそうなんですが、果物好きな人はいっぱいいるけど野菜嫌いな人は多い。
実はこれ、植物の生理上当たり前のことなんです。果物が甘いのは、鳥とか動物に食べてもらって種を遠くに運んでもらうため。自分の種をできるだけ広げたいから甘くしたわけです。だから食べてもらいたいわけですね。もし食べてもらえなかったら、種は自分の下に落ちるわけです。そうすると親と子が日照権を争って戦わないといけない。それは得じゃないって、木はわかってるわけですよ。だから親はできるだけ遠くに種を運ぶために甘くして、自分の子孫を繁栄させるようにした。だから食べて種を遠くに運んでもらうためにおいしくて当然なんです。食べられたいから。
じゃあ野菜はどうでしょう。玉ねぎ、にんじん、ブロッコリー…。「野菜」って一般的にいわれるものは、キャベツでもレタスでもそうですけど、植物の体そのものなわけです。根っこであったり、葉っぱであったり、茎であったりするわけです。植物は葉っぱを食べられたくないし、茎を食べられたくないし、根っこなんてましてや食べられたくないに決まってるじゃないですか。だからまずくて当然なんですよ。だから子どもたちが野菜が嫌いっていうのも無理ないんです。まあお母さんは余計なこと言うなって、多分俺をことを怒ると思うんですけど(笑)
というような話が「はつみみ植物園」には存分に盛り込まれてるわけです。

高橋:最後に質問なんですが、「森」って好きですか?
西畠:好きですよ。森って非常にエネルギーが集まってる場所なんですよ。僕らが「森」って呼んでる場所っていうのは、元々は木とか植物が盛るように集まってる場所なんです。だからそれが転じて森になってるんですよ。
つまり何でもそうなんですけど、経済、お金が集まる大都市ってエネルギーがあります。人が集まるフェスもすごいエネルギーがあります。なんでも物が集約して集まるところには非常にエネルギーがあるわけです。森はまさに植物が集まる場所ですから、エネルギーが集まってるわけです。
だから明治神宮の森だってそうですけれども、エネルギーが集まる場所っていうのはそこに何か理由がある。もしくは作ったから理由がある。そういう場所がやっぱり僕は好きですね。

高橋:そういうところに行くと、私たちも何かもらえるものがあるんですかね?
西畠:それはね、それぞれに人がそう思ってもらえたらいいし、植物も音楽と一緒で、同じ音楽を聞いてても気分が良いときに聞くのと悲しいときに聞くのでは、同じ曲でも違うんですよ。例えば目の前に桜の花が咲いてたとして、それ見る時に自分がなにか意志を持って頑張ろうと思ってる時に見たら希望の花に見えるかもしれないし、大切な人を失ったときに見たらその人を偲ぶ花になったりするわけです。
つまりその人の心によって植物の空間だったり、一輪の花の見え方が変わってきますから、それが一番リアルなところなんですね。だからそういう意味では、森はそういう風に自分の心の鏡になる場所にもなるかもしれないですよね。


プラントハンター 西畠清順さんと番組パーソナリティ高橋万里恵のトークショー、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも当日の楽しい雰囲気をお伝えしていますので、こちらもぜひお聞きください!

西畠さんの新しい本「はつみみ植物園」は東京書籍から発売中です。ぜひチェックしてみて下さい。
また、この夏休みにも、西畠清順さんが手がけた様々なイベントがあります。
まず7月30日〜8月28日まで、「HOUSE VISION 2016 TOKYO EXHIBITION」東京 お台場ゆりかもめ・青海駅前の特設会場では、西畠さんが手配した、見た人がアッと驚くシンボルツリーが見られるほか、あの建築家 隈研吾さんなどとコラボした「水辺のある空間」も楽しめるということです。
さらに、去年の大好評を受けた「ウルトラ植物博覧会2016 西畠清順と愉快な植物たち」が8月4日から、東京銀座のポーラミュージアム アネックスで開催されるということです。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Magnificent Time / TRAVIS
・No Such Thing / John Mayer
今週も東京・代々木の「代々木ヴィレッジ」からのレポートです。

大きなビルが立ち並ぶ新宿のすぐとなりなのに、世界各地の珍しい植物が根付く、不思議な商業施設。レストランやバーもあって、たくさんの人がくつろ
ぐ空間で、週末には色々イベントも行われています。
そんな代々木ヴィレッジの植物を全てプロデュースしたのが、プラントハンター・西畠清順さん。今回は西畠さんの新しい本「はつみみ植物園」の出版記念イベントとして、代々木ヴィレッジのイベントスペースで行われた西畠さんと番組パーソナリティ高橋万里恵による、トークイベントの模様をお届けします。


高橋:今日は本当にたくさんの方いらっしゃって頂いて、ピースフルですね、本当に。
西畠:そうですね。そういう場所を目指して造ったので、なんかまさに代々木ヴィレッジらしい感じだなと思ってます。

高橋:代々木ヴィレッジはJRの代々木駅から徒歩1、2分ですよね。でも緑も豊かだけどレストランもあるし、バーもあるし、おいしいパン屋さんもあるし、代々木のランドマーク的な存在になってきてるんじゃないですか?
西畠:ここの施設をトータルでプロデュースしたのは音楽プロデューサーの小林武史さんで、ここの施設ができたのが2011年の秋なんですけど、本当は大きなビルを建てないといけないような立地に、半分以上こういう庭になって、こうやってお日様の下で人が集えるこういうようなロケーション。こういうような緑豊かな場所っていうのは素晴らしいっていうことで、完成した後、いろんな開発業者さんやディベロッパーさん、ゼネコンさんが視察に来られて、今ではこれをモデルにして、緑を集客装置にた開発をしています。ビルを造るとか、商業施設造るとかにしても、緑をおおいに取り込んでいくっていう風潮がものすごい高まりました。そういモデルケースになったんです。そういう風な良いプレゼンテーションをするためには、普通のガーデニングしてたらあかんなと思ったわけです。

庭を造るとなると、例えばフランス風の庭造るとか、和風の庭を造るとか、コーディネートされて造っていく。それは作り手の意図じゃないですか。作り手の作品なわけです。僕はそうではないんです。僕は庭師でもないしデザイナーでもないので、一個一個の植物が主役になればいいなと思ったわけです。
だからここにはペルーのペッパーベリーっていう木がある。ここにはインドのブッシュカンっていうみかんがある。ここにはメキシコのサボテンがある。それぞれの植物がそれぞれ主役になればいいなと思って、結論が共存っていうことをテーマにして世界中の植物が仲良く暮らす植物の楽園みなたいな庭を造りたいと思ったんです。なんか植物図鑑みたいな感じとか、動物園みたいな感じ。ぞうさんがいて、その隣行くとキリンさんがいて、その隣行くとペンギンさんがいて、その隣のお猿さんがいると。そういう感じでひとつひとつの植物がそれぞれにちゃんと自分で生きてるっていうことなんです。

高橋:本来は全然違うところの地域の木のを一気に見られる、共存共生してるのを都内で見るのってなかなかできないですよね。
西畠:そこはね、実は知識がないと成り立たなくって、例えば僕の後ろにあるこの総重量4トンのボトルツリーっていう木。これはタイの王族の方が花博をタイで開いたときに、これを6本くらいオーストラリアから持ってったわけです。そしてプロの植物業者さんが、プロのオペレーションをしたけど全部枯れた。中国の植物園、シンガポールの植物園いろんな人が世界的にこの木をオーストラリアから輸送して植えて育てようとして失敗してる中で、代々木ビレッジだけ成功したんですよ。

こういうこととかですね、ひとつひとつ自慢したらきりないんですけど、僕は何も考えてなさそうに見えるけど、意外にそういう植物の生理的条件をきちんと考えて、育てれるような状態を作って育ててるんです。

高橋:ここにはいろんな国の植物があるわけですが、家でガーデニングをするときに、一緒の鉢に植えると、枯れちゃうのが出てきたりするんですけど、土って全部一緒でも大丈夫なんですか?
西畠:やっぱり植物っていうのは、例えば酸性土を好むもの、アルカリ性を好むものなんかがあります。わかりやすい例で言うとブルーベリーは酸性の土が大好きです。でもオリーブは弱アルカリ性が好きです。だから一緒に暮らそうと思ったら、じゃあ間を取るかっていうことになってきたりとかするんですけど、そういう性質はあります。アジサイなんかは酸性でもアルカリ性でもいけるけど、それによって花の色が変わります。また、水を嫌うものもあれば、それが大好きなものもある。それはそれぞれちあります。でもここはひとつのグラウンドにありますよね。それはやっぱりほんのちょっと土の中でサポートをしてるっていうとこもあります。

高橋:なるほど。さあ、そしてこの代々木ヴィレッジには、なんでも100年に一度の出来事があるっていうことなんですけが。
西畠:はい。まあ100年に一度くらいしか咲かない。つまりそれくらい滅多に咲かない花が代々木ヴィレッジで咲き始めました。センチュリープラントっていわれていて、100年に一度咲く花っていう意味なんですけど、学名が「アガベ・サルミアナフェロックス」よくアガベフェロックスっていわれるんですけど、アメリカに生えてる巨大果肉植物です。

高橋:今、10メートルくらいはありますかね?上に蕾っぽいのが見えます。あれ蕾ですか?
西畠:そうです。今蕾が少しずつできてますね。付け根にいくと、ロゼット状に開いた太い葉っぱがあって、その真ん中からビョーンと花を揚げてるわけですよ。この植物は自殺をする植物なんですよ。自分で「よし、今死のう。」って決める植物なんですけど、その死のうって決める時はどういう時かっていうと、十分に自分の体のエネルギーが充実して「よし、これなら次世代に子供残せるぞ。」っていった時。そのときに命をかけて花を上げて、全身全霊で花を咲かして、受粉をして、そしてたくさんの子供を残して親は死んでいくっていう植物なんです。この巨大なつくしみたいなの先っちょにクリーム色っていうか、白というか黄色というかの、もう無数の花が咲きます。



プラントハンター西畠清順さんと番組パーソナリティ高橋万里恵さんのトークショー、いかがだったでしょうか。この模様はポッドキャストでも詳しくお届けしています。たのしいハプニングも聞けますので、ぜひこちらもお聞きください!

トークショーの時はまだ蕾だったアガベフェロックスの花が、7/13から咲き始めたそうです!ぜひそら植物園のサイトをチェックしてみてください!

来週もトークショーの続きをお届けします。お楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・イロトリドリ / ゆず
・Pay My Rent / DNCE

今週は、東京代々木にあります、「代々木ヴィレッジ」からのレポートです。
代々木ビレッジとは、繁華街・新宿のすぐおとなりにありながら、世界中の珍しい植物が、街と共存している不思議な商業施設。
そして、その植物たち手配したのが、以前番組でインタビューした、プラントハンター・西畠清順さんなんです。
今回は、代々木ビレッジの植物たちを西畠さんに案内してもらった模様をお届けします。


 実はオレのオススメは夜なんですけど、でもね、昼は昼でピースフルな感じがいいんですね。ここは本来、何十階建てのビルが建たないといけないような駅前の立地なんですが、半分以上庭にしています。だからその庭がなんかメッセージをちゃんと発してないといけないなと思ったんで、「強く共存」っていうテーマ、つまり世界中の植物が国境も関係なく仲良く暮らす。老いも若きも仲良く暮らすっていうのがテーマでね。その植物の空間で、人と植物も仲良く暮らすんですよ。


 この入り口にあるオリーブは樹齢500年です。スペインのアンダルシアから来たんですけど、最初は枯れかけてたわけです。大体オリーブっていうのは、いろんな人に植えられて長年オイルとかを採ったり、実を採るために育てられてきたものなんですけど、普通ガーデニングってきれいな植物をきれいに並べて植えるじゃないですか。代々木ヴィレッジのコンセプトはちょっと違って、なんかいろんな子がいてていい。例えば動物でも売れ線のペットもいれば、ちょっとケガしちゃってるとか、足がないとか病気持ってる子もいる。でもそういうものを愛する心っていうものもあるじゃないですか。だから代々木ビレッジはさっき言ったみたいに国境も関係なく、老いも若きも関係なく仲良く暮らすっていう意味で、枯れかけた植物がもう一回ここで再生しつつあるっていうのも見てもらいたいなと思って、この老木をわざと持ってきたわけです。散歩に来るたびにこの木を触って元気をもらうって人もいるらしいですよ。
 実はこの時点で僕の作戦にかかっていて、この入り口にある壺とかオリーブとかっていうのは、人の目線くらいにあるじゃないですか。上を見るような大きな木がないわけです。つまり、東京にいることを忘れるように、ゲートから入ってすぐは、目線上に見どころのある植物を配置してるわけです。そうすることによって、もう東京にいるのを忘れてこういう植物豊かな空間に入ってくるっていう作戦なんです。考えてなさそうでちょっと考えながら計画をしてるっていうことですね。

 入り口から入って進んでいくと、ロマネコンティという、ワインで有名な非品種のぶどうがあります。それとこのホップっていうビールの原料になる植物があります。それから、このサボテンは世界で一番でかくなるサボテンで、まだ肩くらいのたかさですが、いずれは隣りにある代ゼミのビルくらいはでかくなります。30メートルになるんですよね。

 ここからはね今期間限定の砂浜ゾーンになります。これはティーツリー、揉いだらすごい良い匂いがしますけど、もう緑がうっそうとしてて、どこまでが一本の木で、どこまでがこの木なんだってわからないくらい密集してますね。
 代々木ヴィレッジは8年間の限定のプロジェクトで、いま5年目なんですが、オープンしたときは植物はそれぞれまだポツン、ポツン、ポツンだったんですよ。それがすごく巨大化して密度が濃くなって、より一層共存感が湧いて来たっていうかんじですね。最初は「こんなの絶対育たないよ。」とか「こういうのとこういうの一緒で大丈夫なの?」とか言われたんですけど、この繁りようを今見てください。はんぱないです。


 奥に進んでくると、とても背の高い植物がありますが、アガベっていう植物です。アガベって言われてもわからない人も多いと思うんですけど、例えば身近なところでいうとテキーラの原料になったりする植物の中の一種なんです。
 そしてこのノッポの木は、ゴッホがよく描いたイトスギです。これはホソイトスギっていう、細くにしかならない特別な品種です。この木は全然まだまだ子供なんですよ。大人になると50メートルくらいになるんですよね。これ代々木駅前の交差点を巨大なトラックで搬入してくるときは、みんなもうドン引きしてましたね。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週はこの日、清順さんの「はつみみ植物園」発売を記念して行われた公開録音の模様をお届けします。
どうぞお楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Try Everything / Shakira
・Rude / MAGIC!


前回に引き続き、宮城県南三陸から、林業のいまをお伝えします。
町のおよそ7割が森林で構成されている南三陸は、古くから、良質な杉材が取れる地域として知られてきました。
そしていま、若き林業家の方が、町の財産・杉をブランド化して発信していこうとしています。
環境に配慮して、適切に管理された森だけに与えられる国際認証「FSC」は、ドイツに本部のある森林管理協議会が、森林を評価する制度です。FSCの認証を取った森は、世界的な「お墨付き」を得たということになります。
南三陸では現在、地域の森の一部がこの「FSC」を取得。この森で取った木材で家具などを作ると、FSCのロゴをつけることができ、良質な製品であるとPR出来るようになっています。
国際的なお墨付きを得るほどの南三陸の杉。実際、どんなところが優れているのでしょうか。
この地域で代々続く林業家で、南三陸森林管理協議会の佐藤太一さんに伺いました。

◆南三陸杉の魅力
南三陸杉の優れている点はいっぱいあります。まずは樹高が高いということ。高く成長するんですけど、太くは育たないんですね。逆に言うとキュッって締まった、年輪が詰まった木になるんです。そうすると強度が増すんですね。曲がりの強度がすごく高くなるというのが南三陸の特徴の一つ。
あと何といっても、綺麗ということです。木って板にした場合、白太と赤身っていう、白い部分と中心の赤い部分があるんです。その赤身が淡いピンク色のきれいな優しい色合いなんですよね。その白と赤のコントラストっていうのがとても綺麗ですね。
強度は堅いんですけど、手触り肌触りはとても柔らかいんですよ。さらにその良さを生かす製材屋さんが地元にあって、低温乾燥にこだわった木の本当の力を活かす、引き立てるっていうところにこだわった製材屋さんなんです。そこで製材して乾燥させた木っていうのは、触るとむしろこっちの手がすべすべになるくらい、非常に良い板を作るんですね。
色合いも、より淡いピンク色が見えてですね。昔からここの地域では美人杉っていわれているんです。木って普通、上に行くと細くなっていくんですけど、ここの杉っていうのはスラッと、ほとんど上と下があんまり変わらない状態で立っていく。そんな立ち姿もまさにそうだし、板にしたときの色合いもまさに美人なんです。
「源平」っていう、白太と赤身を同時に引く取り方があるんですけど、江戸時代、政宗公の頃から源平の板を取るんであれば、この地の杉が良いって言われていた、隠れた名産なんです。ただ今まで名前が付いてなかったんですね。そこをちゃんと「南三陸杉」という名前を付けて、発信しているところです。


南三陸の山に降った雨は、川を伝い南三陸の海へ。その海のミネラルを含んだ水が霧になり、「やませ」と呼ばれる風に乗って山に戻る。年間の降雨量はそれほど多くないのですが、この「やませ」で山に運ばれるミネラルが、南三陸杉を美人に育てているのだそうなんです。
そして、この南三陸杉の魅力を全国に発信しようとする佐藤太一さんは、佐久という代々続く林業会社の跡継ぎです。実はまだ30代前半なんですが、林業を継ぐことを決めたのは30歳になってから。そのきっかけは東日本大震災でした。

◆木の良さを子どもたちに伝えていきたい
僕は以前から山は好きなんです。元々物理の研究をやっていて、自然科学をフィールドにして、そのドクター2年生の時に震災があって、翌年学位が取れる、卒業できるっていう感じだったんですけど、本当は震災がなければ研究そのまま続けようと思ってたんですよ。でも震災でこっちの家も全部流されましたし、昔からずっとやってる林業をちゃんとやっていこうっていう気持ちになって帰ってきた感じですね。
リアス式海岸の形成の過程を考えてみると、ここの土地って、何回も津波でいっぱい削ってるんです。残ったところが山になってるんです。だからそう考えると恐らく南三陸町にとっても、うちにとっても将来ずっと確実に残っていく財産って何なんだろうって思ったら、やっぱり山だと思うんです。
山で儲かるようになれば、これってずっとやっていけるんだろうと思うんです。ですから、将来どういう環境になっても木材を供給できる山設計をしていかないといけないと思っていますし、今10ヶ月の子供がいるんですけど、その子が山マニアになるように育ててく。やっぱりこれが重要だと思いますね。うちの子もなんだけど、やっぱり地域の子どもたち、特に都会の方とかだと山との関わりってあまりありません。「木ってどこから来てるの?」って聞いたときにわからない子ってたまにいるんですよ。ですから、「林業っていうのがあってね、山でこういう風に育ててる職業もあるんです」っていうところから教えていく。ちっちゃい子どもたちとかに山の楽しさを教えたり、間伐体験なんかで山にいろんな人を呼ぶのが好きですね。枝をただ磨くだけのプログラムなんていうのもあります。ピカピカの枝になるんですよ。それが面白い。結構みんな夢中になりますよ。でもこれって昔は床柱とかに使われる磨き丸太っていうのがあるんですよ。それもきれいなやっぱスベスベな丸太で好まれてたんだけど、それの枝バージョンってことですね。
仙台の東口にスターバックスの店舗ができたんですが、そこに装飾としてうちの磨き枝が使われてるんで、今度はそれの延長線上で手彫りのスプーンとか、そういうのも今ちょっと作ってます。最初はうちの子供用に小さいの作ったっんですが、やっぱり子供にいいですよね。そういう肌触りが良いっていうのはね。だからそういう木の良さみたいなものを伝ええる商品を作っていきたいなと思います。


今回のお話いかがだったでしょうか。
佐藤太一さんのお話しはポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Cake By The Ocean / Dnce
・Love Me Like You / Little Mix
宮城県南三陸町でスタートしたバイオマス事業について数回にわたってお届けしてきましたが、きょうは同じく南三陸町から、林業のいまをお伝えします。
実は、南三陸には、「南三陸杉」という、かの、伊達政宗公もお墨付きの、質のよい杉が取れる地域として有名なんです。きょうは、その南三陸杉をめぐる、町の新たな動き、お伝えします。
この地域で林業を営む佐藤太一さんに里山を案内していただきながら、お話しをうかがいました。

◆南三陸の林業のいま
ここはうちの管理山林の一部なんですけど、「梨の木山」ってよんでいます。でもはえているのは梨ではなく南三陸杉です。南三陸杉は背が高く伸びる性質があって、山の中で一番高いのは52mなんですが、日本一の杉の高さって秋田の杉で54mっていうのがあるんです。それは樹齢300年くらいなんですが、うちのは樹齢120年でそのくらいの高さになるんです。そこからも南三陸杉はその高く伸びるっていうのがわかると思います。
高く伸びる理由としては、実はこの辺りは沿岸地域なので雪が少ないんですね。あと比較的東北の中でも暖かい地域なんです。だから海岸の方に行くと本来であればもうちょっと南の方で生えるタブの木が群生してるくらい暖かい地域なんです。ですから、ぐんぐん上に伸びて行く。
元々南三陸町は林業が盛んな地域で、きれいに手入れされている林は結構多いですね。ただ小さい山だったり、共同山といって色んな所有者が共同で持っているような山は、木材利用の需要が減ったせいで手が入らない山っていうのもやっぱりありますね。
実は昨年の10月にFSCという国際認証を取得したんですね。南三陸森林管理協議会という協議会を立ち上げまして、うちや町有林とか全部で4社集めて認証を取得したんです。震災があったことでやっぱり山が将来的に最終的には残る財産だっていうことに気付きました。さらに言うと山里海のがこの町の魅力でもあり、そのひとつでも欠けてしまえば、全部がコンディションが悪くなってしまう地域だっていうことに改めて気付かされて、そこで森林管理を国際基準に照らし合わせたらどうなのかっていうのを客観的な評価をして実際に取得できたという形なんですけ。
FSCは山林だけじゃなくそれを管理する方法も問われます。要はどういう背景で木材が出されているかわからないっていうことですよね。木をただ切って出すだけだとすごい簡単なんですよ。ただその代わりに色んな動植物にダメージを与える可能性があるわけなんですよ。土を崩すことによってそこにある川に土が流れて、農業をやってる方にご迷惑をかけるパターンがある。木を切ったままで木を植えないではげ山がどんどん増えて、そこから土砂崩れに繋がるような背景を持った木材が未だにまだ使われてるわけです。
そう考えると、ちゃんと生産の背景まで追えるトレサビリティがちゃんと保たれてるのかっていうことを確認しながらそういう建物を建てる。例えば新しく役場庁舎が建てられるんですけど、そこは町有林のFSC木材を使って建てようというプロジェクトを進めてまして、今実際に建設が始まっています。
そのようにFSCを使うことによって、建設そのものをプロジェクトの中に山側、生産者が入っているっていうのは今までありませんでした。ちゃんと生産者も責任を持って、どういう風に使ってください。そういう提案をする環境を整えたいというか、より消費者に近くなってるっていうのが今の状態ですね。


FSCとは、林業の盛んなドイツに本部のある「森林管理協議会」が、環境に配慮し、適切に管理された森を評価する制度です。このFSCを取得した森の木材は、ロゴマークをつけることができます。10の原則・56の項目の審査基準をクリアしないといけない大変厳しい審査を経て、取得するものなんです。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの関連施設では、FSCの認証を受けた木材が優先的に使われるそうで、新国立競技場には、南三陸の杉が使われる可能性が高いんだそうです。
しかも、町の努力次第では、FSC認証の森はどんどん範囲を広げることも可能。それを目指し、南三陸の林業関係者は継続して良い森作りを続けているそうです。
さらに、森・里・海のつながりを活かそうと取り組む南三陸では「海」に関するお墨付きも手にしているんです!

◆FSC認証とASC認証
実はあの南三陸そうですね、戸倉の牡蠣の漁協さんもASCっていう認証を取ったんです。海の養殖業に対する同じ理念の認証がASC、山側はFSCという認証で、実はこの同じ町内、同じ地域内にFSCとASCっていう国際認証が同時に存在するっていう街っていうのが多分世界で南三陸だけなんですよ。ASC自体も日本初ですし、FSCは宮城県初なんですけど、やっぱりこれが示すことっていうのは、南三陸が山と里と海が全部繋がって共存している。その特徴を今後ASCとのコラボ商品とかを作って南三陸の名の下で売り出せば、それが南三陸というブランドの物になっていくのかなと思うんです。ブランドって何かっていったら、「何を約束するか」なんですよ。南三陸町で約束することっていうのは、ちゃんと環境を配慮して生産する。さらにその資源を正しいやり方で使っていく町。それが南三陸町の約束すべきことなのかなって考えてますね。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も引き続き南三陸の林業の話題です。
どうぞお楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Ragged Wood / Fleet Foxes
・Fleet Foxes / Awesome City Club
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高橋万里恵
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