今週も引き続き、北海道の自然体験レポート、お届けします。
今回は、「知床五湖ガイドウォーク」のレポートです。
世界自然遺産・知床。冬の流氷が運ぶ栄養が、海と山を豊かにして、「命の輪」を結ぶ土地。
エゾシカ、トド、シマフクロウなど希少な生き物たちによる多様性が評価され、世界自然遺産に登録されています。そして何より知床の森は世界的にもヒグマの生息密度がトップクラスという、ヒグマの住処でもあります。
今回のガイドツアーは、そんな知床の原生林に囲まれた大小5つの湖、「知床五湖」をめぐるツアーだったのですが、ツアーの冒頭も、まずヒグマに関するレクチャーから始まりました。じつは私たちが参加した前日も、2匹のクマが現れてツアーが中止になったのだそうなんです!
ということで、ちょっとドキドキしながら、ツアーはスタート。私たちは、 知床ナチュラリスト協会「SHINRA」の畑谷雅樹さんのガイドで森へと入りました。

 今日は良い天気で暑い位ですね。。これからフィールドハウスと言う建物で立ち入り許可を受けるためのレクチャーを受けて、約3キロの遊歩道を、原生林や5つの湖など自然で解説をしながら散策していきます。今の時期は非常にヒグマが多いので安全対策のためにガイドツアーの限定利用になっています。それではこれから2時間40分くらいになりますが、よろしくお願いします。


 左の笹の中に大きな緑の葉っぱが見られます。これは熊の食べ物の一つ、ミズバショウです。これは里芋の仲間で、根本を掘り起こすと芋があります。この芋の部分が熊の食べ物です。ミズバショウが生息しているのは湿地帯なのですが、意外と知床半島は湿地帯が少なく、ここの5つの湖が点在している周囲に、特に雪解け後に多く見られます。まだ今年はあまり手をつけていませんが、前日までは全く手がつけられていないものが、翌朝きたらあらかたほじくり返しされているということもあります。


 1番近くで熊に遭遇したのは、3、4メートルくらいですね。若い熊でした。小高い丘を超えるような形で出てきて、間に立木もあったりしましたが、存在に気づいて、踵を返すように熊が別の方向に行ってしまいました。
 ここの遊歩道は食べ物持ち込まないことになっていますが、匂いで誘引しないということももちろんありますが、万が一食べ物を落としてしまって、それを熊が食べてしまって、人間の食べ物の味をしめてしまったときに、次に利用する人に危害を加える可能性があります。そういったことで、持ち込まないよう徹底しています。そういう取り組み、ルールは大事になってきますね。。本来彼らは、9割位は植物質の食べ物を食べていて、7割は草本類。意外とヘルシーな食生活なんです。例えば、これはヤマブドウのつるです。秋になると実がなり、美味しいしくて、人間も生でも食べられます。これは熊も大好きですね。このヤマブドウが絡まっているトドマツの木の幹よく見てもらうと、爪の跡があります。これは実を食べるために木に登っていったときの爪痕です。腕力もあるので、こういった垂直な木でも前足で抱え込むように爪を引っ掛けて、後ろ足の爪も使いながら上手に木登りをします。降りる時はちょっと不格好にお尻からズルズルっと下がってくるので、長い線の爪痕は降りているときのものですが、斜めに入っている爪痕は上っている時のものです。


 秋はヤマブドウやミズナラのどんぐりを食べます。熊は冬眠をする動物なので、冬眠から目覚めてすぐはまだ雪があるので、雪を掘り起こして前年の秋のどんぐりを食べて食いつないだりしながら、雪が溶けて山菜類のセリやふきなどが出てくると、そういった山菜類を食べます。夏は昆虫類、蝉の幼虫なんかもよく食べます。ハチやアリなんかも食べて、8月の後半お盆過ぎ位からは、川にサケマスの仲間が遡上してくるので、サケやマスを食べます。北海道のお土産というと、木彫りのサケを咥えた熊が有名なので、サケを沢山食べている印象がありますが、全体のメニューの中では少なく、0.4%ぐらいという熊もいます。期間が限定されているからということもありますね。たくさん食べられる時期は、メスのお腹の卵のところだけきれいにかじりとるような、贅沢な食べ方をしています。そのうち秋になると、木の実を食べます。グルメな動物というか、季節の旬のおいしいものよく知っているんです。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・打上花火 / DAOKO×米津玄師
・Fire Escape / Andrew McMahon In The Wilderness

今週からは、北海道の自然体験ツアーの模様を、お届けしていきます。
今回 番組では北海道の東側を中心に、数か所のツアーに参加したんですが、今回はその中から、「釧路川源流の川下りツアー」の模様です。
この周辺区域、8月8日に名前が「阿寒摩周国立公園」に変更され、国立公園の範囲も広がったことがニュースにもなりましたよね。そんな国立公園の広大な森に囲まれているのが、「屈斜路湖」。この、国内最大のカルデラ湖を源流とするのが釧路川です。
カヌーツアー会社、River and Fieldの代表 土屋重敏さんの案内でカナディアンカヌーでゆったり釧路川を下るツアーを体験してきました。

今日のコースは、カヌーに乗って湖をしばらく進んで橋をくぐって釧路川に入っていきます。湿地帯をゆっくり下って、倒木があるので避けたりくぐったりします。途中で休憩して、1時間ちょっとで下って行きます。ウグイの大群が遡上しているので、橋の下を覗くと魚が見えます。


屈斜路湖はカルデラ湖です。火山が陥没した跡です。向こうには摩周湖がありますが、屈斜路カルデラの山の一部です。大体21キロあります。これは日本でも1番大きく、世界的にもない地形です。そこに山の水が溜まって屈斜路湖ができたんです。ここから流出しているのは釧路川だけなんです。周りの山からは34の川が入っていますが、出口は1カ所。ここが釧路川の始まりです。

源流と言うと、渓谷で流れてるのを想像するが、ここは標高120メートル位なので、そんなに高くなありません。だからゆっくりと蛇行を繰り返して流れていきます。
橋の近くまで行くと、水中にウグイが産卵しているのがたくさん見えます。川の下が真っ黒になるくらいいます。人工物は橋ぐらいしかありません。護岸もされていないし、自然のままです。ここに生えているのは谷地ハンノキです。湿地帯に生える木で、所々にイタヤカエデとかが生えていたりします。白い花が木の幹に巻きついていますが、それがツルアジサイ。ツルで生えます。
あそこの浅瀬も魚がいっぱいいますが、みんなウグイですね。ウグイ以外にはニジマスやヤマメ、オショロコマなどがいます。紅鮭も上がってくるんですよ。


釧路川は、カルデラが崩れた方向から、水が流れ出て、何度も蛇行しながら釧路湿原を流れ、太平洋に注いでいます。その始まりが屈斜路湖なんですね。
そして、カヌーは、森の緑に浸されたような静かな水の流れをゆっくりと下っていきます。

あの声はアオジという鳥です。スズメ位の大きさですね。。新緑の色に羽が似ていて緑がかっています。お腹は黄色に黒い縞模様。こういう小さい鳥は見つけるの難しいですね。
ここは覆い被さるように気木が生えてトンネルになっています。この奥で湧水が湧いています。鏡の間と呼ばれていて、すごくきれいな場所です。手を水に漬けてみてください。水温が急に変わります。

正面が丸山という山なんですが、そこの水が湧き出しています。水温は1年中9〜10度。夏の暑い日でもここだけは涼しいんです。真夏は水温も20度以上になります。川が暑くなるとニジマスやヤマメは水が冷たいこっちに来ます。真夏の暑い時期になると水族館のようにニジマスやヤマメが集まってくるんです。


今回のお話いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・The Theme From Big Wave / 山下達郎
・Inspired / Miley Cyrus
カナダとアメリカの国境付近にある「ノースウッズ」という森をフィールドに森の姿を撮り続ける写真家の大竹英洋さんのお話、今週でラストです。
大学時代に写真家を目指し、不思議なめぐりあわせでノースウッズという森と出会い、もう18年も通い続けているという大竹さん。最後は、森という存在の「神秘」について聞いてみました。


やっぱりそういうのって、先住民の中にはいまだに残っていて、とても神聖な場所というのがそこら中にあります。やっぱり森のなかには妖怪や精霊のようなものが暮らしていたりとか、そこが大事に守られていたりとか、あまりしゃべってはくれないんですけどね。それは信仰が残っているからなんですけれども、指をさすこともできない島があったりします。また、そばに通るときに目配せをしてくれるんですけど、そこにはリトル・ピープル、ちいさな小人たちが住んでいるところなんだよと言うんです。見ると丸っこい石が崖の上の方に並んでいて、誰が置いたのかわからないですが、そういう場所を紹介してくれたりとか、先住民の人たちの中にはそういう信仰は根付いています。ただ近代的な国家になってきて、そういう信仰が少しずつ薄れてきてしまっているというか、そういう伝承が受け渡されていない場合もあるので、なかなか難しい問題もあります。

〜いま、スタジオに羽根を一枚持ってきていただきましたが、これは何の羽ですか?
これは、白頭鷲の羽です。アメリカの国鳥でもあるんですが、指先に当たる部分の羽ですね。白頭鷲は非常に大きな鳥で、とてもパワフルな鳥なので、彼らにとっては尊敬の対象の一つです。白頭鷲の羽根は貴重なもので、先住民の人たちは儀式なんかでも使ったりしますね。平原の先住民の人たちはこれで頭飾りをつくって被ったりとかもしますし、森の民の人たちは、これを持って、集会をするんです。一人ずつがこの羽根を回しながら、それを持った人が発言権を持っていて、これを持った人の発言にはみんな耳を傾ける。それを順番に回して、ミーティングをしたりとか、そういうときにも象徴となるような、神聖なものの一つですね。白頭鷲は、かなりの数がノースウッズで暮らしています。巣を見つけることなんかもあります。

〜この自然が豊かなノースウッズという場所は、どうやって守られてきたんですか?
自然の恵みを得て暮らしている先住民の人たちは、これを破壊してしまうと、自分たちにダイレクトに返ってきてしまうので、節度を守りながら、とりすぎないように、いろんな知恵で暮らしてきたと思うんですね。そして今はカナダという近代的な国家になって、カナダは自然が豊かな国ということで、国を挙げて、様々な国立公園であるとか、州立公園であるとか、そういう場所を守ろうともしています。

〜もしフォトグラファーとして日本の森を撮るとしたら、この森を撮りたいなっていう場所はありますか?
僕は大学三年生のときに白神山地を歩いたのですが、ブナの深い深い森で、マタギの文化も残っていたり、木にマタギの人が残したメッセージがついていたり、本当に自然と文化みたいなものを感じさせてくれた森なので、またいつか戻りたいなと思っていますね。

〜「そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ」を読まれた読者の方からのはがきで感動したことがあったと伺ったのですが、、、
80代の女性の方から出版社に送られてきた愛読者カードなのですが、ナショナル・ジオグラフィックの英語版も日本語版もずっとご夫婦で読んでいたそうなんです。でもメインで読んでいたご主人は、失明してしまって、本を読むことができなくなってしまった。この本は僕がナショナル・ジオグラフィックの写真家に会いに行くっていう本なので、その方も興味を持ってくれたらしくて、奥様が読み聞かせをしてくれたそうなんですね。そうするとご主人が一緒に旅をしたような気持ちになってくれたそうなんです。若者が夢を切り開くために一歩ずつ進んでいく様子がとても面白かったということをはがきでお伝えいただいて、、とてもうれしかったです。

〜この本を読んでいると、本当に一緒に旅をしているような感覚になるので、旦那さんはすごく嬉しかっただろうし、きっと頭のなかでムースに出会ったりだとか、オオカミに出会ったりされたんでしょうね。
ぜひまた旅のお話をお聞かせください。ありがとうございました。


「そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ」あすなろ書房

「そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ」出版記念イベント
<写真展>
兵庫:大垣書店・神戸ハーバーランドumie店 エレベーターホール 7/3〜8/31
東京:モンベル渋谷店 5Fサロン 7/29〜8/13
東京:ジュンク堂書店 立川眦膕暗后8/15〜10/1

<スライドトーク>
兵庫:8月25日(金)11:30〜13:30:大垣書店・神戸ハーバーランドumie店
東京:9月30日(土)15:30〜17:00:朝日カルチャーセンター新宿

イベント情報: http://hopnews.exblog.jp
Facebook: https://www.facebook.com/HidehiroOtakePhotography/
Instagram: https://www.instagram.com/hidehirootake/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・若い広場 / 桑田佳祐
・Dream / Priscilla Ahn
今週も、カナダとアメリカの国境付近にある「ノースウッズ」という森をフィールドにオオカミをはじめ、森の姿を撮り続ける写真家の大竹英洋さんのお話です。
大学時代に写真家を目指し、不思議なめぐりあわせでノースウッズという森と出会い、もう18年も通い続けているという大竹さん。
ここまで色んなエピソードを伺ってきましたが、今日は大竹さんの写真家としての大きな目的、「野生のオオカミ」について語って頂きます!

〜ノースウッズの森でオオカミとの出会ったことはありましたか?
18年も通っているので、何回かあります。ただ、なかなか近づけません。彼らはすごく警戒心が強く、第六感のようなものも持っていて、鼻も利きますし、彼らに気づかれずにこちらが先のオオカミを見つけるというのはとても難しいのです。しかし、いろんな条件がうまく合致すれば会うことができます。たとえば、森の中を歩いていて、ちょっと小高い丘のようなところがあったのですが、そこをゆっくり歩いていて、その先の崖の向こうに何かいるかと思って、すっと顔を出したんです。すると、「ウォウっ」という声が聞こえて、その下にオオカミがいたんです。ちょうど向こうから来たところで、僕はかなり高いところにいたはずなのですが、声を出したということは僕に気がついたということです。そして一瞬でバーっと森の中を走って消えてしまったんです。ピョンピョンって数秒で森の奥に消えていってしまいました。あとでその丘を降りていったら、さっき彼が二歩くらいで飛んだところはものすごく高い丘でした。常に写真を取れるように胸にカメラは構えていたのですが、とてもそんな時間はありませんでしたね。ただ、彼らが僕に気づいた間隔の鋭さとか、身体能力の凄さみたいなのは目に焼き付いています。

〜一番接近したのは?
雪が降っていて、新雪だったのですが、そこにオオカミの足跡が何頭分かついていたので、群れでいるなと思って、追いかけていったんです。でも追いかけても追いかけても全然いなくて、さすがにヘトヘトに疲れてしまって、これでは無理だと思ったので、遠吠えを真似てみることにしたんです。オオカミの遠吠えにも色んな種類があって、これから狩りに行くぞというのもあるし、攻撃的なものあるらしいのですが、僕が地元の方から教わったのは、群から離れた1頭が、自分はここにいるけれども、みんなはどこにいるんだ?という呼びかけです。それを練習していたので、それを試してみたら、なんと群れ全体が遠吠えを返してきたんです!そして、その直後に1頭、群れのリーダーが現れました。200mくらい離れていて、写真には撮りましたし、映像も残しているんですが、それが地上で近づけた一番近い距離ですね。
やっぱり出会ったときは背筋がゾクッとしました。顔には隈取のような模様があって、前足も長くて、体もすごく大きくて、ドキッとしましたね。じっとこっちを見ていたので、どうなるんだろうと待っていると、ずっと遠くに向かって鳴き続けていました。この映像を詳しい人に見てもらったりしたのですが、どうも僕の遠吠えは、経験の豊富なオオカミには自分たちの仲間じゃないということはわかるんじゃないかと思うんです。ただ、オオカミの群れはお父さんお母さんのブリーディングペアがリーダーなのですが、その子どもたちは僕の遠吠えに反応して声を返してしまう。ですから、群れのリーダーであるお父さんが森の向こうにいる自分たちの仲間に向かって「落ち着け、出てこなくていいから」というような事を言っているんじゃないかと。まあ本当のところは彼らに聞かないとわからないんですが、たしかに僕に向かって吠えているというよりは横を向いたり、上を向いたりしていましたから、そういう感じなんじゃかいかと思うんです。この後彼は森の向こうに消えていってしまったんですが、全てが終わった後に心が震えるような、ドキドキした感覚が襲ってきましたね。


〜こういったオオカミがいるノースウッズでの日々は、大竹さんにとってどのようなものでしたか?
この星が人間だけのものじゃないということは、自然の中に出かけていくとすぐにわかります。東京で暮らしていてもなかなかクマに吠えられたり、オオカミと出会うという経験はないので、どうしても人間の社会だけのことを考えがちですが、この星にはたしかに野生動物たちがいて、この星をみんなで分け合って暮らしているということをやっぱり感じますね。

大竹さんのお話、いかがだったでしょうか。今回のお話はポッドキャストでもくわしくご紹介しています。大竹さんのオオカミの遠吠えは必聴です!ぜひこちらも聞いてみてください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Story of Our Life / 平井大
・93 Million Miles / Jason Mraz
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パーソナリティ

高橋万里恵
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