引き続き、香川県小豆島で、農薬を使わない、有機農法によるオリーブづくりをしている山田オリーブ園からのレポートです。
この農園を営む山田典章さんは、オリーブの天敵、オリーブアナアキゾウムシの生態を独学で研究。ゾウムシが活発に動き出す早朝に、とにかく丁寧に一匹ずつ捕まえて、 オリーブを守るという、地道ですが確実な方法を見つけ出しました。
ただオリーブの最大の天敵・ゾウムシの対策はできたとしても、自然界には他にもいわゆる「害虫」と呼ばれる虫たちがたくさんいるはずです。
これにどうやって対処しているのか。答えは、オリーブ園の足元にありました。

◆農薬を使わなくても、虫がオリーブを守ってくれる
有機栽培をやっているのですが、下草はある程度はやしておくことで土がゆっくりと肥えていきます。また、ハチやクモがたくさん来てくれると、オリーブにつくハマキムシなどの害虫を食べてくれます。薬を使わなくてもある程度、益虫がオリーブを守ってくれるんです。人間がそんなに手で潰さなくても、少しだけ被害が出ますが、だんだんと収まります。ゾウムシだけですよね。ゾウムシを何とかすれば薬をまかなくていいんです。農薬はとても強い薬なので、それを散布するとゾウムシ以外の虫も全部殺してしまう。だけどこの畑は草が生えていて、草にたくさんの虫が来る。何千匹何万匹が、生きていけるわけです。それをゾウムシだけのために農薬を使って全部殺すの事はちょっとどうかなと。それは僕が虫好きだからなのかもしれません。
有機栽培のオリーブとそうでないもののいちばんの違いは、その年の気象の影響をすごく受けるということです。水はあまり上げていないくて、この気象環境と自然環境そのままで育てています。その分、実の量がちょっと少ないですが、香りが強いですね。年によってだいぶ違いますが。雨が少なくてとっても香りが強いものが取れる時もあれば、雨がどんどん降ってふわっとしたものしか取れない時もあります。農薬と化学肥料を使えば、その振り幅はぐっと小さくなって、平均的に良いものがずっと取れます。
それでも有機栽培は、何年かに1度は自分でもびっくりするような香りが出たり、日本の小豆島という環境だからこその香りというものの方が特徴的ですよね。オリーブオイルはほとんどがスペインやイタリアから輸入されていますが、そういったものではない日本のオリーブオイルを作りたいので、できるだけ小豆島の自然環境を色濃く反映させたオイルを取ってみたいと思っています。
もちろん、おいしくない時もあります。でもおいしい時もあります。自然は変えられないし、木は育つように育つ。虫は行きたいところに行きます。それをちょっとだけうまく整えてあげると言うのが僕の仕事です。それがどういうオイルになるのかというのを、お客さんは楽しみにしてくださっているので、すごくありがたいですけれどもね。
今年のオイルは辛味が強いオイルになりました。今年は日照が割と少なく、台風も何度か来て、オリーブにとっては結構大変な年でした。香りは出ましたが辛味も強い。そのまま飲むとゴホゴホ言うくらいに辛味が来ます。良いとこもあれば悪いところもあるんです。


自然の力を農薬で押さえつけるのではなく、自然の力を上手に利用する。これが、山田さんが成功させた有機栽培によるオリーブ作りなんですね。
現在、山田さんの農園には600本のオリーブの木があります。「品種」としては、ミッション、ルッカなど、世界的にポピュラーなものを含む4種類なんですが、ここで、オリーブの「品種」に関する意外なお話を伺うことができました。

◆オリーブはクローンで増やす
ここで栽培しているルッカやミッションは接ぎ木で繁殖します。ですから、ここにあるミッションのオリーブは、遺伝子的には100%一緒です。クローンですね。このミッションは、元々はスペインかイタリアにあった、いっぱい実をつける木を誰かが見つけてそれを増やしたものです。そこからアメリカに行って、アメリカで増えて、日本にやってきたわけです。すごい時間をかけて移動してここにきているんですね。
自然交配して芽を出して大きくなったものは、ミッションでもルッカでもない新しい品種です。実がつくのもあるし、なかなか実がつかないのもあるし、木の形が全く違います。いま300本ぐらい実生(みしょう : 接ぎ木ではなく種から発芽させた苗)を育てていて、その中で実をたくさんつけてくれるのが3本ぐらいなので、効率が悪いんです。それを増やしていけるなら、新しい品種として作ってみたいと思っています。まだ日本のオリーブの品種はないんです。


山田さんのお話、いかがだったでしょうか。次回も引き続きお話を伺います。
来年の放送もお楽しみに!

番組内でもお知らせしていました、お年玉プレゼントです!
●有機エキストラバージンオリーブオイル[ルッカ種]
●有機ベルガモットオリーブオイル  
こちらを抽選でそれぞれ1名様にプレゼントします!

欲しい方はどちらのオリーブオイルがご希望かを書いて、住所・お名前・連絡先を忘れず、1/8 24:00までにこの番組のメッセージフォームにメッセージをお寄せください。
当選者は、番組サイトにて発表します。メッセージお待ちしています!

山田オリーブ園→http://www.organic-olive.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Live High / Jason Mraz
・KING AND CROSS / Asgeir

さあ今週も先週に引き続き、瀬戸内海の島からのレポートです。
瀬戸内海・播磨灘に浮かぶ島。香川県・小豆島で、国内初の有機栽培によるオリーブづくりを成功させた、山田オリーブ園。こちらを営む山田典章さんが、どうやって、それを成功させたのか、オリーブ園の中で、お話を伺ったわけなんですが、山田さんは日々、農園を歩いて、天敵・オリーブアナアキゾウムシがいないかチェックしているんだそうです。とにかく、オリーブの木を枯らしてしまう「害虫」であるこの虫を、どうやって農薬を使わず、寄り付かせないようにするか。もともと会社員で農業経験ゼロからスタートした山田さんの戦いについて伺いました。

◆ゾウムシからオリーブを守るために
オリーブアナアキゾウムシに関する情報を文献やネットで探しましたが、ほとんど情報は得られなかったので、自分で調べてみようと思って、島のいろんな所のオリーブ畑を回って虫をとりました。そして自分で飼育して生態を観察。最初の年に100匹ぐらい捕まえて虫かごに入れて、とにかく一緒に生活をして、ずっと見ていました。どういう動きをするのか、何が好きなのか。最初は飛ぶか飛ばないかも分からなかったので、飛んだ時はびっくりしました。
一番の発見は夜行性ということです。昼でも動いていると思っていたんですが、昼にはなかなか捕まらなかったんです。実際に飼ってみて、夜に枕元においておいたら動き出したので、夜は元気なんだ。だから昼間は見つからないということがわかりました。夜行性だから敵がいないんです。
実際に飼育してみると、この時間帯にどこにいそうか、どんな匂いを好むかということや、好きな湿度や気温がわかってくる。1年、2年・・・とデータをつけていくと傾向が見えてくるんです。そうして、朝起きて外に出て湿度や気温によって今日はあの畑のあそこの木に来ている可能性が高そうだということがだんだんわかってきました。実際に行ってみてみると確かにいる。それがすごく嬉しいんです。
1年のうちに、この日はオリーブアナアキゾウムシたちが大騒するという日は大体わかります。それは梅雨の終わりぐらい、湿度がすごく高い、むわっと熱帯のジャングルみたいな日。しかも雨が降っていないときです。オリーブアナアキゾウムシは水が嫌いなので、雨が降ると出てこない。雨が降らずに、湿度が高くて、南風が吹いているときは大騒ぎですね。そういう時にきちんと捕まえれば、オリーブが枯れることはありません。それを見逃してしまうと一気に増えてしまうのでとても怖い日でもあります。


ということで、山田さんはずーっとオリーブアナアキゾウムシと生活をともにして、「雨が苦手」「匂いは感じるが聴覚や視覚はあまりよくない」とか、その生態を身をもって発見してきました。そして、明け方に産卵のため根に集まることを知りました。
こうして山田さんは、明け方に根っこにいるこの虫を「捕まえる」という方法に行き着いた…
しかし、山田さん、お話を聞いていると、どちらかというとオリーブアナアキゾウムシのことがなんだか好きそう…?

◆オリーブアナアキゾウムシは同志!?
オリーブアナアキゾウムシは、毎年少なくとも100匹を飼育しています。8年で80〜1000匹ぐらいは飼育しています。オリーブアナアキゾウムシを見つけると嬉しくなっちゃって、飼育箱で飼うことを繰り返しています。虫が今何を考えてるのかをずっと考えていると、嫌いじゃなくて、好きなんだと思いますね。僕も虫も結局オリーブに食わせてもらっている、オリーブがあるから生きている、ということで、ずっと付き合っている同志みたいな感じがします。「お前もオリーブの世話になっているよな」とか、そんな感じの気分。とりに行っている時も、「ここに来たんか!」とか、1人で畑仕事していてしゃべっちゃいますよね(笑)


山田典章さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

山田オリーブ園→http://www.organic-olive.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Santa's Coming For Us
・祝祭広場のクリスマスマーケット
今週からは瀬戸内海の島からのレポートをお届けします。
場所は、瀬戸内海に浮かぶ島。香川県・小豆島。
国産オリーブオイルの産地として知られるこの島には、自然を相手に、大変面白いやり方で、オリーブ作りをされている方がいるんです!
今回番組が取材したのは、小豆島でオリーブ作りを営む山田典章さんの農園です。
元々会社員だった山田さんは、奥様の故郷、小豆島で地元産のオリーブに出会い、40代で小豆島に移住。2010年から、オリーブ農園を営んでいます。


◆山田典章さんのオリーブ農園
これは柑橘でベルガモットの味ですね。これを丸ごとそのままオリーブの実と一緒に絞って、ベルガモットの香りのするオリーブオイルを作っています。紅茶のアールグレイはベルガモットの香り入れてます。こういう柑橘の香りが良いものを一緒にやることによって、普通のオリーブオイルとはちょっと違った香りで楽しめるようになります。
ここには150本くらいのオリーブがありますが、これが6か所で600本ですね。オリーブの実はだんだん熟するうちに緑⇒黄⇒朱⇒紫⇒黒と紅葉していくみたいに色が変わるんです。実の熟している時期によって違います。

味の違いは、緑が香は強くて辛み、しぶみが強い。黒くなると辛みが減って、脂分が多くなるのでコクが出てきます。ここの畑には4種類あって、これはミッション。小豆島で一番多く育てられている樹です。とても香りが強くて、爽やかな香りと辛みがピリッとしています。

緑の実は生では食べません。味の確認用ではやるけど、とても苦いので普通は食べません。鳥も熟して真っ黒になるまで食べません。ポリフェノールが身体にいいんですけど、そもそもは虫とか鳥に食べられないために蓄えたものです。まずくて当たり前なんですね。
熟して黒くなるって、あとは芽が出るために下に落ちる段階になれば美味しい実になります。鳥に食べられてどこかに運ばれて芽が出るんですね。


そして、山田さんの農園は、ほかとは大きく違うことがあります。
それが、国内で初めて、オリーブの有機栽培に成功、現在もそれを継続しているということなんです!

◆オリーブアナアキゾウムシ
オリーブの有機栽培は、何人かの先輩たちがやろうと挑戦していました。しかし何年かたつと、オリーブアナアキゾウムシが発生して、木が枯れて諦めざるを得ないというのがずっと続いていたんです。でも問題がその虫だけのことであれば何とかすればできるんだったら、いけるかもと思ったんです。
オリーブアナアキゾウムシは、元々小豆島にいたようですが、100年ちょっと前にオリーブが来たときに、オリーブがどんどん枯れていくので、原因を探ったらその虫が枯らしていたということで「オリーブアナアキゾウムシ」の名前がついたんです。もともとキンモクセイやライラックなどの木にひっそりと暮らしていたんだと思います。それが海外からオリーブたくさんやってきて、それに気づいた虫たちが自分たちにぴったりだと気づき、ひっそり山で暮らしていたのが畑にどんどんやってきたようです。
オリーブアナアキゾウムシはメスが根っこに卵を産み、幼虫が幹の周りをぐるっと食べてしまうんです。そうするとその木は養分を吸えなくなって枯れてしまう。幼虫が食べることで枯れます。

これがオリーブアナアキゾウムシです。今の時期は冬眠している時期なのですが、明るいところに出てきたのでびっくりしているんですね。動きは寝起きなのでこんな感じですが、本当はもっと早く動きます。


山田さんのお話いかがだったでしょうか。来週はオリーブアナアキゾウムシについてもっと詳しくうかがっていきます。

山田オリーブ園のサイト→http://www.organic-olive.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・UP ALL NIGHT x DAOKO / BECK
・灯り / ストレイテナー & 秦 基博
「オオカミと森の研究所」朝倉裕さんのインタビューを先々週からお届けしてきましたが、今週でラストとなります。
すでに海外では、実際にオオカミを森に戻すことで、自然のサイクルが劇的に改善した例もあるということですが、最後は、日本にオオカミが復活する可能性について伺っていきます。

〜狼と森の研究所の活動としては国内の導入について、いまどのぐらいの段階ですか?
アメリカではイエローストーンでのオオカミの再導入を政府が決めて市民にアピールし始めたんですけれども、日本では政府がその気がまだないので、市民が盛り上げて政治を動かしていかなければいけないですね。日本オオカミ協会のアンケートでは、10,000人ぐらいのサンプルで45%の賛成まで来ました。反対は10%ですね。ですので市民レベルではだいぶ浸透してきていますが、政治を動かすまでには至っていないですね。

〜知床を取材したときに、鹿に木の皮食べられてしまって、木が死んでしまうと言う話を聞いて深刻なんだなと思いました。オオカミの再導入によってなんとかできるといいですね。
知床ではまだ木が全部倒れる事態にはなってはいないですね。ただ奈良県の大台ケ原は1960年代後半から鹿が増え初めて、木の皮を剥がして、ほとんどの木が枯れてしまっています。ちょっと前は白骨樹林と呼ばれていました。白骨のように枯れた木が立っているんです。それがさらにひどくなって、木が倒れて、鹿が食べて短くなった笹の芝生になっている。知床の最後の形はお台ヶ原のような姿かと思いますね。

〜狼がの再導入によるデメリットはほぼない?
ほぼ考えられません。家畜が襲われると想像されるんですが、羊の放牧をしているドイツでは確かにデメリットかもしれない。でも、ガーディングドッグで被害が防げています。狼が近づいてきたら吠えるので、それを避けて帰ってしまう。狼は面倒なことが嫌いなんです。

〜人に危害が及ぶ危険はないのでしょうか?
危険はほぼないと考えられます。実際にオオカミが生息している地域の人の話を聞くと、全く意識にないんです。例えば私の仲間でアメリカのミネソタ州出身の女性がいますが、アメリカの五大湖のスペリオル湖の周辺にものすごいオオカミが多い。五千頭くらいいるんです。そのエリアに住んでいたり、キャンプをしたりしている人もいますが、どちらもオオカミの姿は見たことがないと言っています。時々遠吠えが聞こえてくる事があるくらいだそうです。
オオカミが人間を怖がっているんです。警戒心が強いし、五感が発達しているので人間が見つけるより前に彼らが見つけて逃げてしまいます。ヨーロッパでもオオカミの住んでいる地域の人たちは、見たことがないと言うことが多いですね。


〜他地域から連れてこられたオオカミはその環境に馴染めるのでしょうか?
なじみます。ハイイロオオカミの生息地を見ると、北極点から砂漠まで適応する動物なんですね。そういった柔軟性が高い。私としては、モンゴルから連れてくるのがいいかなと思っています。7〜8年前に日本オオカミ協会でシンポジウムをやったときに、横綱白鵬が来てくれて、彼がその時に言っていたのが、モンゴルでも乱獲があって、家畜を守るために駆除していることが多い。今どれぐらい残っているかわからない。だけどモンゴルの狼を日本の再導入していれば、仮にモンゴルで絶滅に瀕したとしても、また日本から戻せるかもしれない、と言うんですね。友好関係にある国とオオカミの再導入で協力できれば、良いなと思っています。

「オオカミと森の研究所」朝倉裕さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。「オオカミと森の研究所」についてはFacebookページで、情報を発信していますので、気になる方はこちらもチェックしてみて下さい!
https://www.facebook.com/welcomewolf/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Gorgeous / テイラー・スウィフト
・ビッグ・アドベンチャー / ゴダイゴ
今週は、先週に引き続き「オオカミと森の研究所」朝倉裕さんのインタビューです。
朝倉さんは、日本では絶滅してしまったオオカミを復活させれば、鹿や猪の食害もなくなり、豊かな自然も復活するはずだと、訴えている方。きょうは、その「成功例」の驚きのお話、いろいろ伺っていきます。
オオカミがいなくなってしまった森に、再びオオカミを戻すと、何が起こるのか。先週は、「まず、鹿が逃げ回るため、一箇所で食事が出来ず、結果、森の植物がすぐ復活する」と朝倉さんは説明していました。
そして、その次の段階はどうなるのでしょうか。実は海外では、実際に、オオカミの再導入を行い、効果を生んでいる土地があるんです!

〜オオカミを森に放す実験として、アメリカのイエローストーン国立公園で行った実験があったということなんですが、これはどういったものだったんですか?
アメリカでは、白人が入植して以来、野生動物を捕獲して、捕り尽くしてしまったんです。最後に残ったのがバイソンとか鹿だったのですが、それもほとんどいなくなってしまったんです。そして、そこに牛を放牧したんですね。そうすると、オオカミはそれを捕食するわけですが、牧畜業者にとっては彼らは敵になるわけです。で、オオカミが殺されて、まったくいなくなってしまった。
その頃、いちどいなくなってしまった鹿を、人間が鑑賞するために増やしたんですけど、増えすぎて止まらなくなってしまったんですね。だから、人間が間引きしていたんですけれども、今度は動物愛護運動が都市部に起きて、それもとめられてしまった。だから、鹿が増え放題になってしまったんですよ。これは日本で起きていることとほぼ同じことですね。
で、いろんな研究も進んできて、オオカミが重要な役割をしているのではないかと、そういった認識が拡がって、イエローストーンにはオオカミが必要ではないかという議論が始まったのが1970年代です。で、20年間かけて、国民的な議論をしてですね、イエローストーンにオオカミを再導入しようということになったんですね。それが1995年です。
そして合計31頭のオオカミが再導入されました。それが一時200頭まで増えました。その過程で、大型の鹿のエルクが段々減って、最大で16000頭いたといわれていたエルクが、いまは4000頭を切るくらいまで減っているんですね。
実際に導入する前はオオカミが捕食する数だけしか減らないというふうに考えられていたんです。しかしオオカミが入るようになると、エルクが草を食べていた条件のいい場所から、条件の悪い場所に移らざるを得なくなり、そして、オオカミに対する恐怖を感じるようになって、妊娠率も下がったというんですね。捕食と恐怖効果を合わせて、劇的に減っていったんです。


〜鹿の数がものすごく減って、オオカミだけがいっぱい増えてしまうとういことではなくて、お互いにバランスが取れた数になるんですね。
鹿が減ればオオカミも減ります。そうすると、オオカミの捕食効果がなくなるので、今度は鹿が増え始めます。鹿が増え始めると、オオカミもそれを食べて増える。それが自然界のバランスなんだと考えられますね。イエローストーン国立公園のなかでは、いま100頭前後で推移しているようです。
で、その公園内の植物の様子とか、小動物の様子とかがずっと観察されているんですけれども、鹿、エルクが減るにしたがって植生が元に戻り、ビーバーが戻ってきてダムを作ったり、川の魚も戻ってきた。川の姿まで変わったんです。


〜じゃあその実験は成功ということですよね。
大成功です。だから、補足者が世界の緑を救っているんだという仮設はイエローストーンで実験されて、確認されている段階だということなんです。すごいですよね。本当におもしろい実験だと思いますね。

〜アメリカのお話しをいま伺いましたが、じつはヨーロッパでいまオオカミが増えているんですよね?
はい、増えてますね。ヨーロッパでも野生動物の保護の条約が結ばれました。29カ国くらいですかね、各国でオオカミは殺してはいけない動物になっていますね。その結果、ヨーロッパ全体で増えています。
1970年代にオオカミが残っていたのは、東ヨーロッパのポーランドとかルーマニア、それからイタリア半島、スペインくらいだったんです。それもごく僅か、いることさえわからないくらい少なくなっていたんですけれども、それが増え始めて、イタリアでは50〜60頭いるかいないかだったのが、いまは1000〜2000頭くらいに増えているんですね。スペインでも200〜300頭だったのが1000頭単位に増えている。それが、中央のフランスとかドイツに向かって増え始めているんですね。


〜移動しているんですか?
移動してます。若いオオカミが自分の縄張り、家族を作るために移動するんです。かなり長距離移動するんですね。イタリアからアルプスの脇を通ってドイツに入っているものもあって、フランスはイタリアとの国境にメルカントゥール国立公園というところがあるんですが、そこにまず定着して増え始めて、あと、ベルリンでも、ベルリンの20kmくらいのところに定着して群れを作っているものもいますね。

〜ヨーロッパで、耕作放棄地を野生に戻すという映画があると聞いたんですが、、、
「新しい野生の地 リワイルディング」という映画なんですけれども、オランダの干拓地を造成して、農地を誘致するつもりだったのが、そのまま放棄されている場所があるんです。そうすると湿地が増えたので、鳥が増え、さらに野生の鹿とか馬を再導入して、再野生化したんです。それを撮ったドキュメンタリーが去年日本で公開されているんですけれども、ここに足りないのはおそらくオオカミなんですよ。で、いまヨーロッパで増えているという話をしましたが、オランダも定着はしていないんですが、国の中を通過しているんですね。オオカミが通過しているのを見た人がSNSに写真を投稿して、次々に色んな人が撮って、リレーをしたようなこともあってですね、オランダの人たちもオオカミが定着するのを待っているようなところがありますね。

朝倉さんが活動する「オオカミと森の研究所」についてはFacebookページで、情報を発信していますので、気になる方はこちらもチェックしてみて下さい!
https://www.facebook.com/welcomewolf/

また、映画「新しい野生の地 リワイルディング」は、メジロフィルムズという会社が、自主上映会の募集もされているそうですので、気になる方ぜひ検索してみて下さい。
http://rewilding.mejirofilms.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・「The A Team / Ed Sheeran
・I Want You / Savage Garden
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高橋万里恵
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