先週に引き続き、今回も日本総研・井上岳一さんのお話です。
井上さんが提唱する「山水郷」という考え方。
これは、日本の豊かな自然とそこで暮らす人々の営みや知恵のことです。
いま、その山水郷の中で暮らすことを選ぶ人やそこで新しいことを始める人が増えている、
前回はそんなお話でしたが、まだまだほかにも面白い人たちがたくさんいます。


◆井上岳一さんの書籍「日本列島回復諭―この国で生き続けるためにー」



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高橋:日本の国土の3分の2を占める森、そして豊かな水と自然、そして培われてきた暮らしの知恵やコミュニティーが山水郷。その魅力に気づき始めた人たちが様々な価値を見出していると言うことで具体例を伺わせてください!

井上:結局、山水郷って山があって水がある所ですから、
山の恵みであったり水のおいしさを生かしている
というのが山水郷ならではかなと思っていて、
藤原味噌というのが鳥取県の若桜町と言うところにあって、
そこは水がすごく豊かなんですよね。沢ごとに水の味が違うと言って、
ここは軟水、ここは硬水みたいなのがあって、
それだけ水が豊かでそこが面白いと言うことで
藤原さんはそこに移住して味噌を作っています。
日本で天然麹で味噌を作っているのって
彼ともう1人ぐらいしかいないんです。
本当に天然の麹が降りてくるのを待って、
米を炊いておいておくと麹菌というのが空気中から降りてくるんです。
そして麹の花みたいのがパット咲くんです。緑っぽい感じで。
麹菌ってカビなんですよね。
害のないカビなんですけど、彼と話していてすごく面白かったのは、
水が綺麗なところじゃないとダメだし
農薬を回り使っていたらダメと言うのもあるんですが
「でもね、家族が仲が悪いと降りてきてくれないんですよ」っていうの。


高橋:ほんとですか?天然麹ってそうなんですか?

井上:なんか波動みたいなのがあるみたいで、
じゃあどういう感じだったらいいの?と聞いたら、
「たぶん一番最初に味噌を発見した人は神社の人たちだと思う。
神社にお米をお供えしていたら炊いたお米にカビが降りてきて、
このカビは何だ?というところから始まったんじゃないか。
だから神社みたいなところは白木があってきれいな水があって、
人々の機嫌が良い、怒っていない、邪悪な空気が流れていない、
だから家族が仲良くないとダメだと言う藤原味噌さん、
通販で買えるので。
彼のお味噌は本当に生きた味がしてとてもおいしいです。


高橋:番組でもそういう、若い方のチャレンジ、IターンやUターンした方いろいろインタビューしましたが、そういうことにチャレンジする人の共通点で何か感じるものがありますか?

井上:東日本大震災がきっかけになった人たちが
多いと思うんですけど、こないだ富山県で出会った方は、
ずっとアーティストのマネージメント、
アートで生きてきた方なんですが、
彼女は震災後に富山の高岡に定期的に通うようになって、
だんだん体が東京を受け付けなくなったって言うんです。
やっぱり富山の自然が豊かで美しい風景がある暮らしを見ていると、
なんで自分がそこになくて東京で働いているんだろうみたいなことを
すごく疑問に思うようになって、それで彼女は土徳と言う言葉に合うんですね。
土の徳と書いて土徳。
それは民芸をやっていた柳宗悦という人が
富山にいた間に作った言葉だと言われているんですが、
やはり自然とともに人が生きていく中で
作られてきた土地の品格みたいなものを「土徳」という言葉で表した。
その言葉に出会った時に、彼女はすごく腑に落ちて、
自分は土徳、富山の土徳と共に生きていきたいんだ。
土徳のある人たちと土徳のある社会の中で生きていきたい。
それを伝えることを自分の使命にしたいと変わっていくんだけど、
その土地でなければいけないものや
その土地と何か深く結びついたときに得られる満足感や
満たされた感じみたいなのが、やっぱり彼女はそこで発見した。
でも東京にいる間はどんなにすごく最先端のことをやっていても
でもそこは満たされないものがあったことに
彼女は気づいて富山に拠点を移したんですけどね。


高橋:その一方で実は最先端の研究開発の場としても、自然豊かな環境が適していると言うことがある?

井上: 例えば山形県鶴岡には慶応大学がキャンパスを
2001年に作るんですが、ここに行った学長の富田さんなんかは
「やっぱり行ってみたら研究をするのにこんなに良い環境はなかった」と。
雑音もないし余計なものもなくて、
ご飯は美味しくて夕日も綺麗で温泉もあって、
研究に没頭できる。結構世界中の、
特にヨーロッパやアメリカの研究所みたいなところが
意外と田舎にあるんですよね。
実は学問やアートをやる人たちは、
田舎の方が良いんだろうなというのは実はあるんだと思います。
例えば山形のやつなんかも、
鶴岡で有名になったやつで人口の蜘蛛の糸を作る
スパイバーという会社があるんですが、そういうネイチャーテック、
自然を模倣してやるみたいなのは、
自然がそばにあった方が当然いいわけですよね。
クモなんかどこにでもいますが自然が豊かの方が
いろんなヒントもいっぱいあるし。
例えば鬼滅の刃を作っているアニメのスタジオ、
UFOテーブルの創業者は徳島出身で、徳島にスタジオがあるんですよね。
それをやっぱり本当に風景をきちんと描こうと思った時に、
きちんとした風景を見ていないと描けないから。
なので田舎に探して移って、結局 生まれ故郷の徳島に
作ったらしいんですけどね。そういうものが日々見られる。
ちょっと田舎にいて気づくことってやっぱり
東京にいると夜もずっとこうこうと電気がついているので、
意外と情報は東京にいっぱいあるようなんだけど、
意外と夜の豊かさに気づかないんですよね。
僕は今住んでいるところに行くと夜は真っ暗です。
真っ暗だけど、例えば電車駅からとぼとぼと帰っていると
真っ暗な中でもいろんな音がするんですよね。
海の音が聞こえる時もあるし虫の声やいろんな音が。
夜ってこんなに豊かだったんだ、
こんなにいろんな情報がいろいろあるんだと言う。
そういう意味で言うと僕らは普段すごく情報が溢れているようでいて、
実はいろんなものを遮断して感じないで生きているのかもしれない。
だからやっぱり何か感じたり気づいたりすることを
大切にする人たちが今田舎に行った時に
そっちの方が豊かに感じると言うことで、
みんな口を揃えているのはみんなそういうことなんだろう
って言う気がします。


高橋:お話聞いていると山水後の山水郷の気づかない部分が、一方でこんなに可能性があったんだと気づくかもしれないですね

井上:山水郷に行って面白いのは
自分ができることが増えるんです。そ
れこそチェーンソーを使って木を切るだとか
普段やったことないじゃないですか。でもそれが切れると、できる!と。
そうやって切った木で火起こしなんかも普通はできないじゃないですか。
でもそれができるようになるだけでも
生きていく自信が湧いてくるというか。
何にもないから結局コンビニもないから、
自分で作ったり何かするしかないんだけど、
それをやると逆に自分の自信になっていくみたいなところがあって。
そうすると見える風景がまた変わってきてと言う部分もあると思うので、
自分をバージョンアップさせる意味でも山水郷に行くのは
オススメだぜみたいなところがありますね。
誰かそういう友達を頼っていちど行ってみて、
後はやっぱり圧倒的に水がおいしいとかご飯がおいしい
と言うことだけでも全然違いますから。
空気もおいしいし。





今回も、日本総研 創発戦略センター シニアスペシャリストで山水郷ディレクターの井上岳一さんをお迎えしました。次

◆井上岳一さんの書籍「日本列島回復諭―この国で生き続けるためにー」


【今週の番組内でのオンエア曲】
・C調言葉に御用心 / サザンオールスターズ
・Ordinary Joe / Terry Callier

番組ではこれまで、森や自然の恵みから、
新しい価値を生み出している人たちを色々紹介してきましたが、
今回は、その「日本の森や自然」が価値を生む理由はなんなのか。
そもそもの部分を専門家の方とともに考えたいと思います。
ゲストは日本総研の井上岳一さん。
全国の、自然を生かした取り組みに接してきた井上さん、
本当に目からウロコな話がいっぱいありました。


◆井上岳一さんの書籍「日本列島回復諭―この国で生き続けるためにー」

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高橋:井上さんは学生時代から、森や自然に関することを学んでいたとか?

井上:森の勉強をしたいなと中学で思い、
森の勉強をしに大学へ。
林野庁へ。本当に面白くて、森を勉強して一番ビックリしたのは、
森の中には無駄な存在がない。
へんてこな生き物がいっぱいあるが全部に役割があり
、全部が関係しあっている。森林生態系ってよくできている。
土や水を蓄える森があることで、僕らは木材工場のように見てきたが、
生き物が生きる場所を作ってくれているという意味で
森はすごく貴重な存在だと思うようになって、
森の味方がすごく変わった。


高橋:山水郷ディレクター。山水郷という言葉を教えてください!

井上:昔から日本は自然のことを山水と言ってきた。
山から出る水が川になり海に流れ、魚が取れて食べられると考えると、
日本列島で人が生きていくことを成り立たせてきたのは
やっぱり山と水なんだなと思い、
だから山水という言葉を使おうかなと。
日本の自然の特徴は人の暮らしと近いこと。
例えばアメリカ人は大自然というと、ウィルダネスというが、
人間の住むところじゃない世界があって、
そこに自然公園があって自然体験をしに行くのが
アメリカ人の在り方だが、日本人はちょっとクルマを走らせれば
山があって川があって、そこでみんなが遊び、
生活も農林業なりで普通に暮らしをしている。
普通に生きている。自然と人の暮らしがすごく近いのが日本の特徴。
なので山水と人の暮らし「郷」、里山地帯や中山間地域や農山漁村と言わずに、
ちょっと言葉を変えてみようと思って山水郷と。



高橋:素敵な言葉。日本の森林占有率は世界に誇るもの。昔の人は本当に山水と近い距離で享受して生きてきたのにどうしてそれを活用できなくなって、森が放置されてしまったんですかね。

井上:一番大きいのは石油革命。
石油はエネルギーとして使えるが、一番大きい割合はプラスチック。
でもそれまでは全て木か竹で作っていた。ということは森。
資材は森にあった。森の中のものをとにかく生活に全部使っていて、
エネルギーにも使っていたし、生活するには家だけじゃなく
家の中のもの全部が森でとれるものだった。
そこに石油・プラスチックができてきて、
エネルギーとして森を使う必要がなくなり、
資材としても使わなくなり役割がなくなり、
誰も使わなくなったということです。


高橋:いまは竹で使ったものってないですよね

井上: 昔はほんとうにどんな山奥に言っても
竹の職人がいて、それが仕事になっていた。
紀伊半島に住んでいた時期があるが、
そのときに聞いた話では「俺の子供のころは住所のない人がいたよ」って。
山の中で暮らして炭焼をして暮らしている。
木を切って炭を焼いて、次の山に行って・・・という。
そこから小学校に通っているやつがいたよ、とか。
そういう時代が実は日本にはあった。
いま僕らは全然森に入らないが、
使われなくなったから森はどんどん暗くなって、
人間にとって別の世界になっちゃったが、
昔はほんとうにもっと森と近かった。


高橋:いま離れてしまったが、山水郷の力を借りて新たな価値を生み出している人が増えている?

井上:これも東日本大震災が影響しているが、
地方移住者が増えた。
そういう人たちがほんとうの田舎に引っ越すようになった。
地方都市の仙台や福岡に行く人もいっぱいいたが、
仙台から1時間車で登った、
300人しか住んでいないようなところに行くようになった。
本当に使われていない山と農地と家があって、
それを使わせてもらえるという約束ができた人は、
それを使ってなにか新しいことをやっている。
誰も使っていないからこそ、土地代もほとんどかからないし、
本当に山奥でパン屋さんをやっている人も結構いて。
東京で美味しいパンを焼いても土地代がかかる。
お客さんがいっぱい来たとしても。
でも山奥でパン屋なら、小麦も育てている人もいるが、
無農薬小麦で土地代もかからず固定費がない状態で。
総務省家計調査を見ると、どんな田舎でも
日本人の平均で年に3万円パン代に使っている。
だから300人が3万円ずつ使えば900万円。
売上900万円は300人お客さんを捕まえれば取れちゃうのがパン屋。
だから意外とどんな田舎でも手作りパン屋ってすごくある。
とくにパンにこだわる人は天然酵母や、
鳥取の山奥に「タルマーリ」さんってありますが、
そこは麹も自分で取る。
本当に自然環境が良いところじゃないと麹菌が降りてこない。
「農薬を周りで使っていると降りてこないんだよ」と。
そうすると人のいないところいないところに行って、
菌をとって美味しいパンを作っている人もいる。
特にお年寄りはすごくパンが好きな人が多い。
高齢化しているところってパンが売れる。意外と。
アメリカへの憧れとかもあると思う。
だからまずパン屋はどこでも見かけるし美味しいパン屋が。
北海道岩見沢、札幌から1時間位の旧炭鉱。
昭和40年代に閉山になった。
最盛期は13000人だった人口が500人に。
行くと炭鉱住宅が長屋みたいなのがボロボロで捨てられていたりするが、
そこも奥に美味しいパン屋さんがあって。
10時開店だが9時20分にいかないと売り切れるというので
並んだら本当に30分で売り切れ。1個120円で安い。
窯で焼いて焦げ目も美味しいが、
10時20分にはビジネスが終わり、
1日の売上がとれているという。





日本総研 創発戦略センター シニアスペシャリストで山水郷ディレクターの井上岳一さんをお迎えしました。次回も、お話の続きをお届けします。

◆井上岳一さんの書籍「日本列島回復諭―この国で生き続けるためにー」


【今週の番組内でのオンエア曲】
・So Caught Up In You /  Ernie Cruz, Jr
・満月に吠えろ / チャットモンチー

この番組もずっと参加している「鎮守の森のプロジェクト」が
東北沿岸部で続けてきた植樹活動も、スタートからまる9年。
9年前に苗木を植えた場所は、どうなっているのか?
ちゃんと育っているのか?
そんな疑問に答えるべく、今回行われたのが宮城県岩沼市で行われたのが、
「鎮守の森のプロジェクト」植樹リーダーで、植物学者の西野文貴さんの案内で、
9年前の植樹地を歩くフィールドワークでした。
先週は、植樹をしたエリアの模様をお届けしましたが、
今回は、そのすぐ隣、海側のエリア、植樹をしていない
元々は松林があった場所へと移動しました。その模様をお伝えします。


「鎮守の森のプロジェクト」



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西野:ここから植樹をしていないエリア。
風が強いですねやっぱり。
木を植えていないので海の風がそのまま直接来ていますね。
寒いくらい。
もともと松林があったところに向かっているんですけれども、
どんな植物たちが出ているのかちょっと見てみたいなと思います。


西野:これは、獣道ですね。
ほらほら、出たよ。今日植えた樹種が目の前にありますよ。
何でしょうか?そんなのわかるわけねーじゃねーかと思いますよね。
でも庭木にも使われますよ


参加者:ツバキ?

西野:そうです正解。薮椿です。
自然に出てきたんですよね、薮椿は。
だから行為の僕らは調査して、この10種を入れようとやっているんですね。
あたりを見回してみると、そういう樹種がポツンポツンと出ているんですね。
自然に戻ろうとしているんです。そ
れを僕らは植樹で後押ししているようなイメージなんですね。
ここで見ていただきたいのがもう一つ。
これ知ってますか?


参加者:サンショウ?

西野:早い。そうですサンショウ、自然界のサンショウです。
これはミカン科の植物。
なのでチョウチョが卵を産みに来たりします。
これが獣道ですね。
うさぎとたぬきかな。あとはキジもいるね。
ほらほらほら、出てきましたよ、この植物。
ヤマザクラですね。



(ヤマザクラ)

西野:今日は見られるか・・・、いた。
アリがいるでしょう。さあ皆さん明日から植物博士です。
桜の葉っぱってすごく見分けやすいんですね。
この葉っぱの付け根、葉柄のところに、イボみたいなのがあります。
これは蜜腺といいます。ここから蜜を出しているんですね。
そしてこの蜜にアリがきています。
ここで問題です。なぜアリを呼ぶのでしょう。


参加者:アリがどこかに花粉をつけて?

参加者:受粉ですよね?

参加者:アブラムシ?

西野:そうです。
虫を退治してもらうためですね、おっしゃる通りです。
だから協力してもらっているんですよね。
バラ科全般ではないですね。蜜腺があるものと、ないものがあったりします。
そんな感じでヤマザクラを見ながら歩いてください。
ぜひ葉っぱをとってみてください。
イボが絶対についているので。
桜餅を食べる時にもついていますよ。



西野:いまキジが鳴きましたね。
いまの鳴き声で結構考えなきゃいけないことがあるんですね。
明治神宮の森もそうだったんですけど、全部森になれば良いわけではないんですね。
なぜかというと、キジの住処になりやすいのはススキとか
草原性なんですよね。
いますすきのゾーンにいますがこれが自然が戻って、
将来、勝手に森になるとキジはどこに住めばいいのか
ということになっちゃうんです。
実際に明治神宮の森も、最初は荒地でススキっぱらがあって
キジもいた。でも森になった。そしていまはキジはいません。
そのバランスをこれから先は僕らが考えて
森づくりをしなきゃいけないと思います。


西野:シロツメクサね。きれいですよね。
なぜツメクサかというと、昔ヨーロッパから
登記を東京へ送ってくるときに、陶器が割れると困るので
箱にシロツメクサを詰めたんですね。クッションになるから。
そして花の色は白だからシロツメクサ。
赤色はアカツメクサと言うんです。
でもアカツメクサやシロツメクサって、
葉っぱだけではわからないでしょと思うんですが、
実はそんなことはない。
シロツメクサは毛がないんですが、アカツメクサは毛があります。
もし公園に行くことがあったら確認してみてください。



西野:さっき火山の後に入るのはマツだという話しでしたが、
例えばこの辺の地面を剥いだら最初に帰ってくるのはなんでしょう。
やはり海からどれだけ近いか遠いかで、出てくる種類が変わるんですよね。
本来ならば海から近ければ近いほど、
砂浜に出てくる植物が最初に出てきたりします。
それで言うと、ハマエンドウやハマヒルガオという種類が出てきて、
だんだん砂がたまるようになるんですね、砂丘が。
それでどうしていて草が生えてきて、
草がまたどんどん土に戻っていたりして、
動物が戻ってきて森になる。ただ海に近ければ近いほど森にはならずに、
砂浜にいる植物だけになりますね。
ここが9年目ですね。皆さん左手に見えるところが、
森作り・植樹をして9年目のところです。


高橋:めちゃめちゃ大きくないですか、感動しますね。何メートルだろう

西野:7メートルくらいいってますね。

参加者:幹はあまり太くならないですね。
密に植えているから幹はあまり大きくならないんじゃないかなと思ったんですよ。
高さはあるけど


西野:面白い話ですね。僕は逆だと思っていました。
なぜかというと東北では、最初にお話ししたように、
上に伸びようとしても寒さや霜にやられてしまい、
そうすると上に伸ばしたいエネルギーよりもどちらかと言うと
肥大成長、幹が太るタブがイメージとして多いですね。
それはどういう経験から出るかと言うと、
東北のタブと鹿児島のタブでは樹形がちょっと違うんですね。
東北の方がずんぐりむっくりで、
鹿児島や大隅半島はまっすぐ上の空間を攻めるイメージんです。
なので東北はゆっくり育って幹も太くなっていくのかなと言うイメージでした。
逆にここは植樹をしている場所としては、
9年経って、九州だともっと9メートル80メートルと
大きくなっているはずです。
やっぱり今まで植樹をしたところを見て、
これでも成績は東北に関しては良い方なんですけど、
もっと上を目指したい、もっと土壌改良したり対策をしたら
もっとできたんじゃないかと思いますよね。
やっぱりそれを生かして次の植樹をして、
東北での森づくりを発展させていきたいと思います。



高橋:9年の森。6、7メートルも育っていて、森だったし。
さっき植えてきたばっかりでそれがああなるなんて。
本当にタイムスリップしたみたいな。
「今と未来」を見られるような感覚。
間違いなくあの森は、津波が来た時もそうだし憩いの場、
いるだけで気持ちいいし、その森を出た瞬間に風が冷たくてできれば森の中にいたい。
みんな集まる場所になるんじゃないかなと思いますよね。
山桜もあったから、ソメイヨシノみたいに派手じゃないだろうけど、
春は良いよね絶対に。私の植えたどんぐりはどうなっているんだろう。
わからないくらい育っているから。でもきっと思うようになっているでしょう





「鎮守の森のプロジェクト」  


高橋:今日は宮城県岩沼市の
「千年希望の丘 ファイナル植樹祭2022」に併せて行われた、
8〜9年前の植樹地を歩くフィールドワークの模様をお伝えしました。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・Transcend feat. Armi (Up Dharma Down) / Ovall
・明日へのマーチ / 桑田佳祐

先週お伝えした「千年希望の丘 ファイナル植樹祭2022」。
2013年の第一回から、まる9年で30万本を超える苗木が宮城県岩沼市の沿岸部に植樹されてきました。

第一回から参加しているこの番組としても、最初に植えた苗木たちはいったいどうなっているのか、とっても気になります。ということで、今回は、植樹祭のあとに行われた<9年前の植樹地を歩くフィールドワーク>に参加してきました。


「鎮守の森のプロジェクト」

 
(8年前の植樹地)

鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで植物学者の西野文貴さんに案内いただきました。

西野:今、目の前に見えている森、実は植樹してから8年経っています。8年経つと今日皆さんに植えていただいた木がこのぐらいまで大きくなるということですね。

高橋:1、2メートルじゃなくて人の倍、4メートルくらいのやつもありますね。

西野:あります。さらに近づくと5メートルくらいまであるんじゃないですかね。これはすごいですね。

西野:これはトベラですね。縁の下の力持ちの木。将来的に3メートルから5メートルになる木なんですね。そういう意味ではゆっくり成長します。2メートル近くまで大きくなっていますね。
さらに関東からお越しの方はなじみぶかいスダジイ。明治神宮の主役の木でもあります。その木が3、4メートルくらいですね。さらに、大きくなっただけではなく、大きくなるとどんな効果があるのか。森の中を覗くと全然雑草が生えていないんです。これが森になるということです。
種子はどう発芽するかというと「温度と光と空気」の三原則なんですが、光が中に入らないと雑草が出てこないということになります。そうするとメンテナンスフリー、メンテナンスをしなくても持続可能な森になっていくということなんですね。



(背の高いのが「タブノキ」です)

西野:主役の木、タブノキです。5メートルくらいまでいっていますね。8年で5メートル。これは東北では頑張ってる方だと思います。九州とかあったかい地域では大体1年で1メートル行く時もあります。東北地方は常緑樹の北限に近いので、その中ではよく頑張っていると。この地域、タブノキが主役でがんばっているなというひとつの証拠になっていますね。



西野:僕は自然を見るときは過去も見るんですが未来も見るんです。ここを想像したときに何年後にどうなっているかを想像するんですね。想像すると、今後もう少しこんもりしてもらって、ちょっと風が吹いて寒いですが、夏の暖かい日や暑い日、木漏れ日が気持ち良い日に歩くと素敵だなと思いますよね。


これはアカメガシワ。鳥が運んできた木なんですけど、
この葉っぱを擦ってみて。

高橋:緑になった!

西野:そうなんです。
自然界でよくできていますよね。なぜ赤いんですかね。何だと思いますか?
これは毛なんです。一つ一つが赤い小さな毛でできています。
赤い理由は結構いろいろあるんですね。
例えば皆さんの後ろにあるあの木は新芽が赤くないですか。
あれはタブノキの新芽なんです。
植物って人も一緒ですが、最初は弱いんですよね。
肌も含めて。葉っぱも弱いからいきなり太陽の光をそのまま受けてしまうと
葉っぱが焼けちゃうので、まずは赤で太陽の力をそんなに受けないようにして、
徐々に徐々に緑にして太陽の力をいっぱい受け取るということで、
あえて赤くしているんですね。
どうですかこのしたたかな生存戦略。しかも植えていないのにこの大きさ。
じゃあこの木をいっぱい植えればいいじゃんと思いませんでしたか。
この木は寿命が15年から20年。先行逃げ切り型なんですね。
鳥が運んでフンをして出てきて、
さっと大きくなってまた花をつけてまた次の場所へ行く。
でもタブノキやスダジイは何百年その場所で
その土地を守り続ける気なんですね。
そういう木がどういうところに多いかというと神社やお寺の周り、
鎮守の森に多いということで、
鎮守の森のプロジェクトを今後ともよろしくお願いします。




西野:ここからが難しいんだよな、万里恵さん見てください。
他の場所に比べて育ちがあまり良くない気がしますよね?


高橋:年数がそんなに経っていないのかと思いました

西野:同じ8年です。

高橋:風?

西野:そう。こちらは海風が当たりますよね。
風の通り道があると木の成長がちょっと弱くなってくるんですね。
我々は鎮守の森のプロジェクトはこういうのを見て、
じゃぁ海側は樹種の構成をちょっと潮風に強い物を多めにしようとか、
陸側はもうちょっと違う樹種にしようと組み換えてやっているんですね。
なので今日参加されている方の中には海側で植樹した方と陸側で
植樹をした方で植えた種類が微妙に違うんです。
実はそんな工夫をしているんです。
やはり雑草が出てくると言う話をしたんですが
まさしくここ、やっぱり森になっていないとどんどん草が出てきます。
この草がいわゆるやばいやつ。
セイタカアワダチソウといいます。
もともとは園芸として花が綺麗だから入ってきたんですが、
増えちゃって大変になっているんですね。北米原産の植物です。
これは種をつけてどんどん増やしているんですね。
根っこを抜いたのを見せて。セイタカアワダチソウは面白い植物で、
根っこから他の植物を殺す成分を出しているんです。
アレロパシーといいます。スナイパーみたいなやつ。
だからこのセイタカアワダチソウが生えちゃうと
周りはあまり草が生えにくくなるんですね。
土壌が豊かにならない。そういう悪循環が出ちゃう。


高橋:両サイドが大きくなってくると改善していく可能性はありますかね

西野: あります。後はそれをどれぐらい人が待てるか、
認められるか、ここがすごく重要だと思うんですね。
これから先の時代は重要だと思うんですが、
自然に対する人の評価を何年スパンで考えるか。
植えて8年。森ができるまでにあと10年でできればいいねと、
そんなにすぐにできるものじゃないです。
自然が放置して駐車場が森になるまで300年かかるんですよね。
だからなぜこんなに高密度で植えるのはなぜか、
自然界では無いですよねと、いろんな質問を受けますが、
間違いなく言えるのは自然の壊れるスピードと
元に戻るスピードは一緒じゃないんです。
自然が壊れているスピードの方がどんどん規模も大きくなっている。
でも自然が元に戻ってるところ本当に少ない。
だから後押ししていかなきゃいけない、
植えなきゃいけないと、自分の中で自問自答していますね。


今日は宮城県岩沼市の「千年希望の丘 ファイナル植樹祭2022」に併せて行われた、
8〜9年前の植樹地を歩くフィールドワークの模様をお伝えしました。
来週も続きをお伝えします。


「鎮守の森のプロジェクト」  

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Heaven / Los Lonely Boys
・明日へ / Galileo Galilei

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