10年続いたこの番組も今日で、最終回!

たくさんの森の賢人たちにご登場いただきましたが
最後はやっぱり、世界が認める“フォレストヒーロー”に再会したい!
ということで、宮城県気仙沼からのレポートです!

ご登場いただくのは・・・
「森は海の恋人」代表、畠山重篤さん!
そして、森でゴリラと暮らした経験もある“ゴリラ研究”の第一人者、
京都大学総長を経て、現在、総合地球環境学研究所所長・山極壽一さん!


(世界が認める“フォレストヒーロー”・畠山重篤さん)


(ゴリラ研究の第一人者・山極さん)

今回は、気仙沼・舞根湾に注ぐ、
川の流域をめぐる「新たな森づくり」についてご案内いただきます!




(フォレストヒーロー・畠山重篤さんと共に、いざ、舞根湾を出発!)

高橋:船はいまどこへ?

畠山重篤さん:太平洋!まっすぐいくとカリフォルニア!(笑)

あの向こうに室根山という900mの山があり、そこに降った雨が大川を通して、
この海へ来ているんです。川から来る森の養分が海に来て、
もうひとつの森が沿岸域の海にあるということですね!
ですから緑さえちゃんとしていけば、この国はなんとかなる
というのが結論ですね。


NPO法人「森は海の恋人」の代表が、気仙沼の牡蠣漁師・畠山重篤さん。
国連のフォレストヒーローとして世界的にも有名な方です。
豊かな海は、そこに注ぐ川、その川の上流の「森」が大切だという
考えのもと、環境保全の取組みを続けています。

今回はこんな感じで、まずは船に乗って舞根湾の海から森を見て、
それを踏まえて、今度は海にそそぐ川を遡り、森の中へと案内していただきました。
森を案内してくださったのは、森は海の恋人・副理事長の畠山信さんです。



(左から山極壽一さん、畠山信さん、万里恵さん)


(ここからが本番!森へ入ろう!」

畠山信さん:ここは西舞根川です。
この2.5キロ先が源流になって、一滴目がでるのがそのくらい先です。
だいぶ放置された杉林もあるので人の手で回復を促していく
保全活動として活動をはじめたところです。



(川の全長は2.5辧

高橋:歩いて来て、杉林を抜けると開けた場所が!!

畠山信さん:距離としては1キロ程度だが、
流域保全としてベースキャンプを作っている場所です。
スギを植林した跡地で放置されていたのを、間伐しました。
全部一気に伐採すると土壌侵食してしまう懸念があるのでゆっくり、
学術調査しつつ間伐、森作りをやっている場所です。
逆に真っ暗な森はそれに適した生態系になるので、
大型哺乳類のたまり場になっている場所は一部残しつつ、
明るい林をできるだけ多く作っていこうというのが「森へ入ろう」という活動です。

ゴリラの生息地としてどうですか?


山極さん:ゴリラの生息地としては・・・
ゴリラは木の上のフルーツを食うかセロリやあざみを食べるから杉林は適さないね。
フルーツ生らないし、下草が生えない。日光が届かないから。
でも雑木林なら充分住むことが出来ると思うよ。
ゴリラはサラダボウルに住んでいると言われる。
野生のサラダがいっぱいあるから食べ物に困らない



(ベースキャンプ場)

畠山信さん:魚はアユ、ヤマメ、うなぎがここに上ってきます。
あと日中なので見えにくいですが川エビがいてその研究もしていて
キタノスジエビという新種が見つかっています。
川で生まれて幼生が一度海へ行って戻ってくる生態をもっています。
ちょうど今産卵して大きくなったエビが川をのぼっていくシーズン。
水の流れが早いところは避けて陸上を歩行して
ロッククライミングして上流を目指すのが見られます。
24時間観測すると夜中の1時頃にのぼり
2時、3時がおそらくピークだと思うけど、
3時くらいになると人間の方がお酒飲んでしまうから
調査にならないんですよね(笑)



(川エビの遡上も今がピーク!)

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ベースキャンプのある場所は昔、人が使っていた森・里山でしたが、
その後放置され、荒れている場所をもう一度、人が手を入れている場所です。
「森へ入ろう」という活動についてさらに詳しく畠山信さんに聞きました。


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畠山信さん:「森へ入ろう」を立ち上げた理由は、
教育効果と、生物多様性への貢献、この二つが大きな理由です。
だいぶ、先の話になりますが、
それを流域単位のツーリズムみたいなところまで、
学べて、楽しく、美味しいものもある、
その奥深さをさらに掘り下げられるような、
人が来れば来るほど自然環境が良くなっていく、
経済的なサイクルも作りたいと思っています。


高橋:スタートしたのが、2020年。
もうすぐ3年ですが、その3年でも変化はあります?


畠山信さん:そうですね。3年しか経っていないんですが、
あきらかに変化が起きたっていうのは、
明るくなった瞬間にそこだけスポット的に下草が生えてきました。
暗い森の中にスポット的に明るい場所が出てきたので
私、昆虫が専門なんですが、
周りが暗いので、砂漠の中のオアシス状態で
明るい場所が好きな昆虫が集まってくるんです。
蝶々は面白いですね〜。林の上、森の木の上を飛んでいる蝶々が
吸い込まれるように降りてくるので。
その場所は大体決まっていて、あとはタモ網ですくえるので、
非常に楽に調査ができます。



(震災で出現した湿地 ここにも多くの生き物が!)

高橋:森ができて、整備され、海に栄養分が行き、美味しい牡蛎ができる。
この循環がモデルケースになるといいなと思います。


畠山信さん:モデルケースを目指してやるのは
僕はちょっと違う気がしていて。
結果論ですね。30年経って、モデルケースになっているか、
ただの山になっているか、
それは30年後に来てみないと分からないですし。
時代によって価値観は変わっていく。
ただ、価値観が変わらないものも、たぶんあると僕は思っていて
僕の生物学の師匠が、普遍的な価値あるものというのは「森」じゃないかな?
という話をしていました。
「森」は価値あるものだと思うんです。
生物のすみかであり、水を保水・供給する源でもありますから、
「森」を消せ!という事には、まずならないんです。
それは、どの時代の昔でも同じ価値観であって
価値観が変わらない、唯一、普遍的価値あるものは何か?と問われたら
それは「自然」だと僕は思います。



(万里恵さんと畠山信さん)

高橋:普遍的なものは「自然」であるというのは
今日、森に入って、その言葉を聞くと「あぁ」と思います。
私たちは、その「普遍的なもの」とどう関わるのがいいのでしょうか。


畠山信さん:おそらく「普遍的である理由」というのは、
遺伝子に組み込まれていていると思います。
「自然が大事」というのは、なんとなく誰しもが持っている感覚だと思います。
さらに一歩踏み込むという事が大事だと思います。
子供たちに向けての環境教育はウチでもやっていますが、
価値観は共有されているけど、じゃあなんで自然は大事なの?
ということを腑に落ちることを「体験」から学ぶ。
もちろん、書物から学ぶことも大事です。
ただ、限界があるので、両輪で学ぶことが大事だと思います。
なので、まずは知ること。ある程度、知識がついたら
一歩踏み出したなと思ったら、本当にリアルな自然の中に出かけて行く。
そこからあとは、自分の生活を見つめ直すこと。
自分がどう、自然と関わっているのか、
自分の言葉で表現できたら、いいんじゃないかと思いますね。



(牡蠣筏から牡蠣を引き上げるといろんな生き物が。)


( 牡蠣がとっても大きいです!!!)


(パカッと開いたら、、、)



最後の放送は、世界が認めるフォレストヒーロー、
畠山重篤さんが代表を務める「森は海の恋人」の森作り活動に
スポットを当ててお送りしました〜。

そして、コレまで番組を聞いてくださった方々から
ほんとうにたくさんメッセージをありがとうございました。

いただいたメッセージは全部、万里恵さん、スタッフ一同、
全て読ませていただいています。


またどこか、森の中でお会いできることでしょう!


(万里恵さん、畠山信さん、そして番組スタッフ)


(準レギュラーといっても過言ではありません。西野文貴さんとも!)

【今週の番組内でのオンエア曲】
・さびしさ / 折坂悠太
今回は、鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで
林学博士の西野文貴さんに同行取材した模様をお届けします。
場所は、東北・秋田県湯沢市。
この町に工場をもつ、アダマンド並木精密宝石という会社が取り組む森作りを、
西野さんがお手伝いしているということで
その調査に、番組もご一緒させてもらいました。
「森作りにはレシピがある」。
以前から西野さん、そんな話をしていましたが、
秋田県の森のレシピはどんなものなのでしょうか。



高橋:今日は秋田県の湯沢市に来ています!
聞こえます?蝉が鳴いていて夏の名残があります。
この番組では、東北の沿岸部に植樹をして
命を守る防潮堤作りを続けてきましたが、
森を作る原点、なぜそこにこの木たちを植えるのかを、
こちらの方と同行させていただきます。
林学博士の西野さんですよろしくお願いします。
秋田まで来ちゃいました


西野:今日は森のレシピをどう書いているのか、
植生調査を一緒にやっていただきたいなと。
なんで秋田に来たのかというと、
秋田のとある会社が森づくりをしたいということで、
並木里也子さん、通称リリーさんが
「森のレシピから一緒にやりたい」ということで一緒に来ています。




西野:今から、森のレシピを作るために
どういう植生調査するかというと、実際は鳥居の前に。
我々のプロジェクトの名前にもなっている鎮守の森を調査してみようと。


高橋:いつもこれをやられているんですね!

西野:マニアックであんまり公開していないんですけどね。
行ってみましょう。


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秋田県湯沢市の神社を訪れた我々。

森作りには、その土地に本来根付く植物を把握しないといけない。
そして、そんな植物たちが失われず残っている場所が
神社を取り囲む森・鎮守の森。ここを調査してレシピを作るわけです。

ということで、ひとつめの神社を訪れたのですが、
どうもこちらは、人の手で植えられた杉の森で、レシピづくりの参考にならなそう。
そこで早々に場所を移し、2つ目の神社へと向かいました。

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高橋:先ほど神社の植生を調査して、場所を移動してきました。
2つ目の神社は愛宕神社。登って行きましょう。植生調査は?


西野:大きい木があればなお良いですが、
日本も含めていろんなところが伐採しているので、
それよりも、地面からどんどん元に戻っている様子だとか、
それをちょっと見てきます。
周りを見ると、カエデも出てきましたし、
やっぱり常緑がないですね。




リリー:水の音が出てきました。
湧水が出ているんですね。
参道の脇に流れているのが素敵だなと思っています。


西野:調査をする前に必ず参拝をさせていただいているので、ここでも参拝をさせていただきます。

*一同参拝

西野:早速、本殿の周りをどんな木々が生えているのか含めて
歩いてみてみたいと思います。


高橋:西野さん手に何を持っているんですか?



西野:植生調査用紙を持ってきました。
ここに今から森のレシピを作るための、
目の前にある森がどういう状態なのかを
この紙にどんどん落としていこうかなと。
すごいマニアックで。森は4層構造が綺麗ですよね、
じゃあその一番高い木、次に高い木、低い木、草、
それらがどれくらいこの場所にあるのか、
どのぐらい群れているのか、どんな種類がどれくらいいるのかを、
今日はやってみようと思うんですね。
さっきの森は杉林なんですね。目の前も杉林ですが、
でもよく見たら高い木、3メートル、4メートルくらいの
トチノキだとかホオノキなどいろいろ入っています。
全然さっきと違ってミルフィーユ状じゃないですが
階層構造ができ始めているんですね。
これがいわゆる森のスタート、
潜在自然植生の最初を見ているようなものです。
まずは一番高い木が何メートルぐらいあるのかを見ていきます。
「T1」一番高い木は25メートル。
この杉の木がどれだけこの場所を覆っているかを測ります。




高橋:この杉の木がどれだけ青空を隠しているか?

西野さん:そうです。逆に言うと、
青空が20から30%くらいしか見えないと思うんですが、
その場合は80%を覆っているということになります。
こういうのを記入していきます。
次に高い木「T2」がトチノキ。次が「S」で低木ですね。
アブラチャン、カエデの中でもまるでうちわのような葉っぱをしている
ハウチワカエデ、朴葉味噌で使うホオノキも出ていますね。
ほかにもササが出ています。
そして「H」草の類はめちゃめちゃ多いです。
まずはリョウメンシダ、ウワバミソウ、フジ、ヤマイヌワラビ、
ハエドクソウ、チジミザサ、フジ、トチノキ、ハシゴシダ。


高橋:わたしには全部同じシダに見えますが、それだけたくさんの種類がいるんですね

西野さん:そう。こういう感じで調査を
どんどん繰り返していくことによって、
ここのふるさとの森はおそらくこういうもので
構成されているというのを見つけていて、
森のレシピを書いていくんですよ。


高橋:これだけ調べて、どういう苗木を植えていったらいいのかという選定に入るということですね

西野さん:そうなんです。

高橋:リリーさんは森に関する仕事ではないのに、なぜ森を作ろうと、会社の敷地に森を作ろうと思われたんですか

リリー:経営を考えるのは30年、50年先を考えてやっていました。
森づくりを知ったら、全然見える視点が変わったんですね。
100年先、300年先、それから1000年の森を作るという
植樹祭に参加したときに1000年というキーワードが出てきて、
そういったことが考えられるようになったのが
本当に私の中で大きく変化したところだと思います。
それを社員のみなさんと一緒にこれから
100年先続く森づくりをしていくことで、
想いを次につなげていくことができたらなと思っています。


高橋:どんな森になってほしいというのがありますか?

リリー:ふるさとの森というキーワードが
すごく心に残ったと思っています。
みんなの心の故郷だったり、秋田はどんどん過疎化が進んでいますが
故郷の森に帰りたくなるような、
そんな森づくりがしたいですね。


西野:植生調査だけではなくてリリーさんと話をしているのは、
これから先どんぐりを社員の方と拾って、
それを育てたり、どんぐり拾いなら子どもでも参加できるので、
そういう意味では皆が一体となって100年先、
1000年先を見ることなのかなとも思いますね。


高橋:この番組がスタートした時はどんぐり拾いからスタートしたんです。
自分で育てたどんぐりは全然苗木にならなかったんですけど、
お子さんが育てたものを植樹したら、
それは特別な場所になりますよね




西野:今日こうやって植生調査をできる場所が
まだ残されていることが日本の最後の砦というか、
ほとんどの場所が多くは切られて、
それはしょうがないことではあるんですけれども、
下から良い植生が出てきていないということが
場所によってあったりするんですね。
僕はフランスやヨルダンなどいろんなところで森作りをしているんですが、
やっぱり自然の森が残っていないんですね。
なので日本はまだラッキーと言えるくらいかもしれないですよね。


高橋:森づくりができることが日本の価値だと気づいてもらえるとね。何より楽しいしです!

西野:子どもから大人みんなでできるし、
日本人はすごいなと思うのは100年前から明治神宮の森じゃないですが、
150年先を考えて森づくりをしていたので、
ぜひみんなでふるさとの森づくりができればなと思います。


今週は、秋田県湯沢市から、地元企業の森作りと、
そのための調査の様子、お伝えしました。


先週もお伝えしましたが、
いのちの森 voice of forestは、今月をもって終了です。放送はあと1回となります。
本当に長い期間、支えてくださったリスナーのみなさん、ありがとうございました。
番組を聞いてくださっていた方
番組の感想、これまでの印象的な放送回など、メッセージお寄せください。
できるだけ紹介したいと思います。
番組webサイトのメッセージフォームからお願いします。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・Hold Me Closer / エルトン・ジョン & ブリトニー・スピアーズ
・あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。/ クレイジーケンバンド

岩手県山田町で、先月末に行われた
「いのちを守る森づくり植樹祭in山田町2022」の模様をお伝えします。

植樹会場となったのは、山田町の、田の浜地区。
この地区は、東日本大震災をきっかけに、居住地を高台に移転。
その移転区域に整備した「津波防災緑地」が植樹地になっています。

 

そして実はこの植樹地、私も参加した2018年・2019年の植樹の後、
台風による被害を受けてしまった場所でもあります。
植樹会場で、山田町・佐藤町長に伺いました。




山田町長:台風19号でとんでもない雨が降りました。
77ミリ、総雨量430ミリ。
最近の雨でも特筆するもの。
花崗岩は流れて排水管を閉塞させてしまい、
水が行き場を失い、堤防が満水になりました。
なかには下の方で被災して再建した家が被災した、
首まで水に使って九死に一生を得た人もいました。
4年前に植樹した森がなくなったので、
もういちど再整備する。
もう一度頑張るという気持ちにつながると思っています。
この植樹にはいろんな意味があると思います。




高橋:3年前の台風による土砂災害…
「山津波」という言い方もされていますが、この経験を経て、
田の浜地区は、次の大雨への備え・対策を新たにしっかり整えて、
もう一度、森作りを頑張ろう!ということで今回の植樹祭になったということです。

今回の植樹では、ボランティア220名が参加。
大阪府や埼玉県からも参加者がいたそうです。

地元の方・近隣の方もたくさん参加していました。
参加者の方の声です。


参加者地元:家族です。
今回、植樹参加のきっかけは、震災で被害を体験しまして、
樹木で固めるというのが私自身が心地よい、
人工物じゃない植物でやるのが良いなと思ったので。
2018年に植えたのが、4年経ってあれくらいなんだな、
今植えたのも大きくなっていくのをずっと見ていきたいと思った。


参加者地元:婦人部です。
震災時は、自宅が上の方だがみんな親戚が下の方で、
見たときは流されて、
あとは、なにもできないで避難させることでいっぱいでした。
台風でも被害にあった方を誘導しながら。
津波の後に同じところに家を立てた人が被害にあっていて、
そのケアで大変でした。


高橋:どんな森になって欲しいですか?

参加者地元:やっぱり、来やすい、遊びやすい、
あ〜きれいだなと思う場所になってもらえれば嬉しいです。



参加者地元:AIG盛岡のかしわと申します。
住まいは釜石。せっかく震災で家を建て直した、
その矢先に大きな災害で、このへんが大きなプール状態になり
山津波といって山から雨と共に流れてきて、
新築した人が何年かけて自分の家を持ったのに被災したという形。
2度も。そういう場所に木を植えることについては、
やっぱり自然災害が多いなか、
植樹しながら防災を、地域の人達を守っていく。それが大事。


 


(地元の参加者の皆さん)

高橋:今年はこれまで、宮城県岩沼市、福島県南相馬市の植樹祭の様子も
お伝えしてきましたが、岩手県山田町は、この2箇所よりずっと北にあります。
この違いは、植樹にどう影響するのでしょうか。
鎮守の森のプロジェクト・植樹リーダーで林学博士の西野文貴さんに聞きました。




西野さん:きょうは2000本、29種類、
しかもほとんど落葉樹です。
29種類のうち常緑樹は5種類だけ。
その理由は、東北のタブノキの北限なので、ほとんど周りは落葉樹が多い。
森のレシピがちょっとずつ変わってくる。
馴染み深い落葉樹は表参道にも生えている、
仙台の大通りにも生えているケヤキ。
大きくなると30m。これが地域を支える樹種の一つ。
ほかにもイタヤカエデ、エゴノキ。
そこから植生調査をして森のレシピを書きました。
ここで大事なのが、自然に近い森の木々を植えるということは
この地域に生育する動植物、鹿もそうだが
昆虫、蝶々も喜んでいるはず。
新たな起点になれば良いと思います。


高橋:大槌の10年前の植樹地は立派な森でしたね。


(大槌町2012年に植樹した森)

西野さん:森作りとしては嬉しい。
作ったものか自然なものかわからないというのは。


高橋:これからも全国の森作りはご一緒したいので!

西野さん:世界が注目しているのが面白い。
日本は明治神宮はじめ100年前から自然の森を作ろうとやっていた。
100年前の人は設計図を150年後まで書いている。
それに習って発信していきたい。



今回は、岩手県山田町で、先月末に行われた
「いのちを守る森づくり植樹祭in山田町2022」の模様をお伝えしました。





そして、番組からお知らせがひとつあります。
いのちの森 voice of forest。2012年10月から続いてきたこの番組ですが、
今月をもって終了となります。ちょうどまる10年。
本当に長い期間、支えてくださったリスナーのみなさん、ありがとうございました。
放送はあと2回となりますが、番組を聞いてくださっていた方
番組の感想、これまでの印象的な放送回など、メッセージお寄せください。
できるだけ紹介したいと思います。
番組webサイトのメッセージフォーム
からお願いします。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・ Let's Get Together / Newton Faulkner
・ソラニン / ASIAN KUNG-FU GENERATION
今週も、長野県茅野市にある「車山神社」からのリポートです。
標高や様々な条件で、そこから先は森が育たなくなるボーダーラインがあります。
それが「森林限界」とよばれるもの。
富士山で言えば標高2500mあたり(五合目)が森林限界とされています。

今回 取材した長野県茅野市・車山にある車山神社は、標高1925m…
かなり高いところにありますが、
そんなところに、土地本来の樹木でできた「鎮守の森」はあるのでしょうか。

林学博士の西野文貴さん、車山神社の宮司・宮澤さんの調査団一行、
その答えを求めて山頂を目指します。



===========


(車山の山頂を目指す一行)

西野さん:さぁ、、、そんなところに森が出てきました。
これがこの地域の、故郷の森にちょっと近い形ですね。
幹が白、茶色になっていて、これはダケカンバ。
一瞬シラカバに見えるんですが、よく見ると白と茶色の肌が見えますよね。
ダケカンバの特徴なんです。
ダケカンバはカバノキ科の仲間で、
種子が風によってどんどん運ばれるんです。
車山高原はスキー場なので夏は草刈りをしていることで
草原を維持しているんですが、
おそらく草原を維持していない場所はこのように
森林になっているんです。他にもナナカマドの仲間ですね。
葉っぱが、羽状複葉と言うんですが、
鳥の羽みたいにふさふさとしたつき方をしている。
これがナナカマドの仲間。
他にもあれはオオカメノキですね。
オレンジっぽい花と芽がちょうどついていますね。
あの苔みたいなのがコケです。



(「ダケカンバ」の林)

高橋:こんな標高が高いところに苔がいる?

西野さん:だから森の形はいろいろ変われど、
やっぱり高い木があって低い木があって、
コケや低木があるという構造はあまり大きく変わらないんですね。


高橋:じゃあ、ここはもしかして鎮守の森になり得るところ?

西野さん:はい。
これがずっと人が手を入れなければ森林の木々が太っていって、
その場所に合っている潜在自然植生、
ダケカンバやナナカマドやオオカメノキが種を落として、
ずっと自己修復を繰り返して持続し続けるんです。


宮澤さん:神職として、正月はマイナス20度の中で
神事をやるんですよ。
その中で植物たちはこんなに脈々と生きていて、
びっくりしました。


西野さん:ただ全部の場所が標高だけで森林限界で
森林になる。ならない。ではなく、
日本は風がつよいので、
風が強すぎて森にならないところもあったりします。
今日は風が強いと思って、風速計を持ってきました。



(風速計を取り出す西野さん!)

高橋:なぜ風速計を持ってきたんですか?

西野さん:日本はすごく風が強く、
果たして今日はどれぐらいあるのか見てみようかなと。
いま秒速3メートルかな。
山の上に行ったらすごく風が強いと思うんです。
そうすると、風が強くて雪が降ったりすると
多分ダケカンバ等は見られないんじゃないかと。
それを見たくて今日は持ってきてしまいました、風速計。


高橋:ではその仮説を立証しに行ってみましょう!

==頂上到着!!==


(「車山神社」到着!)

宮澤さん:こちらが1925メートルですね。
車山神社の鳥居でございます。正面に見えますのは富士山ですね。


 
(「車山神社」の鳥居)


(富士山が見えます!!)

高橋:鳥居の中から富士山が見えるんですね。すごくありがたい感じがしますね。


(参拝する一行)

宮澤さん:縄文から祈りの場だったと言われる場所です。
いろんな出土品も出ていて、もともとこの茅野という
土地は縄文が日本でも一番長く続いた土地と言われていて、
向こうに行けば見えると思うんですが中に入りましょうか。


宮澤さん:どうですか、360度日本中の山々が見えて。
富士山が見えますが、南アルプス、北アルプス、八ヶ岳、
本当に山山が無数に360度。
雲が下に見えて、雲海のように見えますね。
ここはさっき言ったように縄文からの祈りの場で、
やっぱりこういう景色を縄文の人は見て
いろんなところに神が宿るのかなと感じたのかと僕は思いますね。


高橋:車山神社にお参りしてきましたが、鎮守の森ですよね。




(4本建てられた御柱)

西野さん:今回、テーマは日本全国いろんな鎮守の森を見てきた中で、
標高2000メートルくらい上がった時に果たして森があるのか
というところから始まったと思うんですが、
さっき風速計で調べたらなんと風速13メートル毎秒。
これが20メートルだと人が立っていられない。
なのでものすごく風が強いところにいるんですが、
木々が全然ないです。でも周りを見てみると、
やっぱり草があるんですね。ススキがあったり、
秋のキリンソウという仲間もいたりとか、
ハイマツ(這松)と呼ばれる這うように生える木々はあるんですよ。
さらにびっくりしたのが、神社の周りに木が4つ立ててあるんですけど、
あれは何なんですか?


宮澤さん:あれは、ここは諏訪の地なので
諏訪大社さんが7年に一度やる御柱を、
周りの神社でもみんなやっていまして、
弊社も同じく御柱祭を7年に一度やります。
今年がその7年に1度の年で、
6月くらいに周りの山々の神聖な場所から木を切って、
いまは寝かしている段階で、10月に300人ぐらいで下からあげる。
諏訪大社さんは下ろすんですが、
うちは山頂にある神社なので上げるしかないんです。



西野さん:それで僕は、やっぱり鎮守の森というのは
要するに自然と人のちょうど間にあるようなものだと思っていて、
今日そう感じたんですね。これは僕なりの意見なんですけど、
御柱を下から切って上げてくる。
やっぱり自然を敬う気持ちだとか、考える心というのを持ちながら、
なぜあれが石じゃなくて木なのか、
なぜわざわざ自然の命をいただきながら立てているのか。
おそらく人によって考え方、向き合い方、楽しみ方は別々だと思っていて、
今も目の前にたくさんの岩が積み上がっていますが、
そこに自然の雄大さとか大事さを感じる人もいれば、
御柱を見て感じる方もいらっしゃったり、
登る人や訪れる人によって鎮守の森の形って、
いろんな考え方があるのかなと考えさせられる一日でしたね。
罪、汚れが払われたような。もう僕じゃないんじゃないか。





「標高1925mの車山神社に、“鎮守の森”はあるのか」
長野県茅野市 車山からのリポートでした。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・How Deep Is Your Love / Bee Gees
・A Sky Full Of Stars / Coldplay
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高橋万里恵
高橋万里恵

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