プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。


今週は、日本から1万キロ離れた、インド洋の島国・モーリシャスで起きた貨物船の座礁事故のその後についてお伝えします。
モーリシャスはインド洋といっても、位置としてはアフリカの近くにあり、島の大きさは1980平方キロメートル。東京都とほぼ同じ大きさです。「インド洋の貴婦人」と呼ばれる、美しい海と白い砂浜。そして豊かな生態系を持つ島国です。ただ、そのモーリシャスがとても心配な状況になってしまいました。
あの事故によって、船の燃料・重油が海へ流れ出し、深刻な環境汚染が懸念されています。この問題、気になっている方も多いと思います。
そこで今日は、この事故を受けて、国際緊急援助隊として現地調査を行った国立環境研究所 生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長にお話を伺います。


〜山野さんは、8月下旬に現地へ行かれたということですが、重油流出の現場をご覧になって、率直にどんな印象をお持ちになりましたか。
私が到着した時にはすでに船からの重油の流出は止まっていまして、海の上からも重油は回収されている状況でした。ただ、マングローブ林の中は人も入りにくいのでそこには残っていたり、マングローブの根っこにくっついていたりしていました。沖合にわかしお(座礁事故を起こした貨物船)が座礁しているのが大きく見えていまして、やはり全体的にはちょっと異様な雰囲気と言いますか、やはり重油が出て大変になったんだなというのを想像させられるようなそんな光景でした。

〜山野さんは現地に行かれて、具体的にどんな調査をされたんでしょうか。
私は生態系の調査で参りまして、一つはサンゴ礁の状態の確認で、もう一つはマングローブ林の状態の確認です。私は主にサンゴの方をやってたんですけれども、サンゴ礁にボートで連れて行ってもらって、そこでがシュノーケリングをして実際に海の中に入ってサンゴの状態を確認しました。

〜実際にご覧になってサンゴの状態はいかがでしたか。
サンゴ自体は重油がかぶって死んでいるということは全然なくて、海底にも重油が溜まっているとかそう言ったことはありませんでした。サンゴは全体的には生きていました。ただ結構濁りが酷くてですね、どうも座礁したわかしおが波で揺られて、打ち上がったところのサンゴ礁を削って、それが細かい粒子を発生させて濁りを強めているようでした。それが流れてきて、全体的に特にわかしおに近いところでは水が濁った状況でした。濁ってしまうと光が届かなくなるんですね。サンゴは体の中に褐虫藻という藻類を共生させていて、それが光合成をして、その光合成で作ったものをもらって生きているんです。けれども光が届かなくなってしまうと、その光合成がうまくいかなくなってしまうんです。それから、細かい粒子がサンゴに溜まってしまうと、サンゴが窒息したり、あるいは窒息しないように粘液を出してそれを取り除こうとするんです。それが日々繰り返されてしまうと、やっぱりサンゴが弱って長期的にストレスになって死んでしまう。そういった二つの影響があると思います。わかしおがそこにある限りはずっと濁りが発生し続けるんですね。ですので、やっぱり根本的にはわかしおをなんとかしないといけないんですが、その前にやれることがあるとすれば、汚濁防止幕という、海の中にカーテンをかけて、それで濁りを遮断するようなやり方があるんです。それが設置できれば軽減されるかもしれないですね。ただそれは流れがあったり波があったりして結構難しいので、それは技術的な検討がもっと必要だと思います。

〜わかしおは撤去される見通しはでているんでしょうか。
それがまだ分からないんですね。また、全部を撤去できずに一部が残ったりする可能性もあります。今後撤去進めていく際にも、へたに動かしてしまうとさらに細かい粒子が舞ってしまうともあり得ますので、工事は十分注意をして行って頂きたいなと思っています。

〜よくサンゴについては世界的にも温暖化の影響で白化現象ということがよく言われていたりしますが、事故の前のモーリシャスのサンゴの状態というのはどうだったんでしょうか。
場所によるんですけれども、私が見た16ヶ所のうちの10ヶ所ぐらいではサンゴの状態はあまり良くありませんでした。それは今回の重油流出で死んだのではなく、2016年と2019年に水温が上がって白化現象が起ったんですが、それによって結構死んでしまったということなんです。今回の事故で濁り発生しているところは、よりによってと言いますか、ちょうど白化現象を免れたサンゴが生きている場所だったんですね。そういう意味でも今回の座礁事故とその後の濁りがをすごく心配しています。

〜日本なんかでは9月、10月も台風のシーズンと言われますが、台風が来ると海水が撹拌されてサンゴがいる場所の水温が下がるとも聞きます。モーリシャスでもそういう事が起きる可能性はありますか。
サイクロンと呼ばれますが、モーリシャスの辺りは結構台風が来ますね。今回の場合も、漂着した油を取り去ってくれるんじゃないかと期待はされています。あともちろん水温も下がりますし、潮通しも良くなりますので、サンゴにとっては台風で破壊されることもありますが、全体的にいいのかもしれないですね。それはどれくらい発生したかとか、全体的な水温がどれくらいかによっても変わるんですけれども、サンゴにとって良い効果をもたらす可能性はもちろんありますね。ただ今回の濁度まで取り去ってくれるかというと、やはりそこはわかしおがある限り濁度は発生しますので、濁度に関してはそんなに効果はないのかもしれませんね。ひょっとしたら波がすごくだって、濁度を余計に発生させてしまう可能性もありますね。そこもまさに今後モニタリングして、どういったことが起こるかというのをちゃんと見ていかないといけないと思っています。


今回のお話、いかがだったでしょうか。国立環境研究所 生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長の今回のお話は、ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、そちらもぜひお聞きください。

【番組内でのオンエア曲】
・Falling for You (feat. Justin Bieber) / Jaden
・Somewhere Only We Know / Keane
今週も引き続き、水中写真家・中村征夫さんのインタビューです。
世界各地の海だけでなく、湖や沼をはじめ、地球上のいろんな水の中にもぐり、シャッターを切り続けている中村さん。
実は、一般人はけして潜ることのできない、特別な場所にも潜っているんです。
ということできょうは、誰もその水の中の様子を知らない神秘の沼福島県裏磐梯にある「五色沼」のお話です。


五色沼は磐梯朝日国立公園の中にあるので勝手に潜ったり、枝1本折っちゃいけないんです。ですからここは誰も潜ったことがないので、沼の底がどうなっているのかきちんと残しておかなきゃいけないんじゃないかなと思ったんです。水が将来干上がってなくなる可能性もあるし、現実になくなった沼もあります。それを残しておくことが大事じゃないかなということで、当時の環境庁と掛け合って、なんとか潜らせてもらうことになりました。これまで30〜40回位は潜っています。五色沼といっても本当は100以上あるんです。ただそれを総称して五色沼と言っているんだけれども、探勝路があって、そこをめぐると右に左に有名な沼が見えてきて、それを五色沼と言っているんですが本当はいっぱいあるんです。噴火でせき止められできたのでたくさんあるはずなんですよ。


〜今日は写真を持ってきてもらっていますが、幻想的ですよね。
こういう世界を見たことないですね。沼ごとに成り立ちが違うものですから、火山性の鉱物が沸き上がってきているかどうかで全然色が違うんですね。五色沼といわれる沼の中でも、魚が住めるのは2つか3つぐらいしかないんじゃないですかね。硫黄などの火山性の物質が湧き上がっているからほとんどの魚が住めないんです。その中に潜っているわけなんですが、素潜りで撮影しますので、ゴクリと飲んじゃうことがある。水からあがるとひゅーひゅーと声が出ないことがあります。
 最初に顔をつけたのがるり沼という沼でした。有名な沼でとってもきれいなんですが、この沼に最初に入って泳いだ時に、僕はもぐれる人間で本当に幸せものだと思いました。ものすごく大きなサイズのマリモのような、ウカミガマゴケというコケの一緒なんですが、それがつながってお茶畑のようになっているんですよ。水の透明度が良いし視界も抜けていて、何だこの世界は!と思いました。。魚は1匹もいない。沼の底を見たら何か湧き上がっているんです。これケイ酸アルミニウムが湧き上がっているんです。これが沼の神秘の色の元なんです。これに光が反射して瑠璃色に見えているんですね。
 五色沼の現地のガイドさんがいつも僕らを案内してくれたんだけれども、その方も1度も覗いたことがないから「見てみたい!」と。僕は許可を得ているので、一緒にもぐれば大丈夫ということでウェットスーツ着てもらって、みどろ沼という所に潜って見たら感動していました。その景色もまた不思議な沼なんですよ。上から見ると、手前が黄緑色で向こうが青い沼なんですね。手前は全く見えない状態なんですが、上だけでつながっているんです。そこに芦とかが生えているいるんですね。その下あたりからケイ酸アルミニウムが湧き上がっている。だから手前には魚がいないが向こうには魚がいるんです。なぜこんなに黄緑色なのかというとケイ酸アルミニウムに植物プランクトンが混じり合うとこういう色になるんです。濃い緑色になるんです。それで水の綺麗なほうに近づいていったら、植物に鉄分の粒子が覆いかぶさっている。全体に赤っぽい写真になるんですよ。
 いま五色沼の陸上をしっかり撮影しているんですよ。まもなく撮影に行くんですけれども、陸上をしっかり撮ってまとめたいと思っています。


〜すごい、水面が揺れているから紅葉も揺れて、青空も揺れています。子どもの頃やったマーブリングを思い出します。ラジオだから全部伝えるのが難しいので、見たい方は写真展が開催中です。五色沼に関する写真展を9月4日から30日まで、裏磐梯高原ホテルで開催中です。気になる方はぜひ足を運んでみてください!詳しくは中村征夫さんのHPをご覧ください。

写真家中村征夫公式ページ –https://squall.co.jp/


「中村征夫の写真絵本『サンゴと生きる』写真・文/中村征夫 監修/茅根創」

【番組内でのオンエア曲】
・LOST IN THIS CITY / Michael Kaneko
・Sunday Candy / Donnie Trumpet & the Social Experiment
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パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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