一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が2016年から
『信号機のない横断歩道での歩行者横断時における
車の一時停止状況 全国調査』を行っています。
     
信号機がない横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる時
クルマには一時停止する義務があります。
止まらなければ、道路交通法の「横断歩行者妨害」。

しかし、残念なことに日本では多くのクルマが停まりません。
今ではそのことが広く知られるようになりました。
JAFの調査結果にも注目が高まっています。

調査では都道府県ごとに一時停止をしたパーセンテージ発表されますが
全国最下位の47位から改善に向かっているのが栃木県。

今週は栃木県警察本部 交通企画課 
野澤健夫さんに栃木県警察の取り組みをお聞きしました。





先日発表された2019年の調査結果では、
信号機がない横断歩道を渡る歩行者のため
一時停止したクルマは全国平均で17.1%。

栃木県は去年、2018年の調査でわずか0.9%。
全国最下位でした。

しかし、2019年の調査では13.2%で全国29位に上昇。
全国平均を下回って順位も半分以下ですが、大きな改善が見られます。


    


野澤さんによるとワースト県だとわかった時は
栃木県警としては驚いたのが本音。
しかし、現状がわかり、これをピンチとするのではなく
県民の意識を高めるチャンスとしようと思考を変えました。

その上で、交通企画課 事故対策係の係員と
交通企画課の課長以下で話し合いを行いました。

まずは全国ワーストを県民に分かりやすく伝えたいということで
「止まってくれない栃木県からの脱却」というスローガンを作成。
ポスターやチラシを作って広報活動を行いました。
自虐的なスローガンですが、県民は心当たりがあるのか
この言葉を知ると苦笑いといった反応だったそうです。


さらに栃木県交通安全協会と栃木テレビでCMを放送。
インターネットやケーブルテレビ、警察施設の大型モニター、
街頭の大型ビジョンなどで放映して、
多くの県民にメッセージが届くようにしました。

また、地元の下野新聞とタイアップして、
毎月1回以上、新聞紙面での特集記事を掲載。
県のマスコットキャラクターやご当地ヒーローを活用した広報活動。
さらに「横断歩行者妨害」違反の取り締まりを強化しました。
こうしたことを1年にわたってやってきたそうです。





その結果「止まってくれるようになった」という声も聞こえるようになり、
全国ワーストから29位まで改善したということは、
県民に横断歩道の歩行者優先の意識が高まってきた、
一定数の理解は得られたのかな?と感じていると野澤さん。

ただ、そうは言っても、まだ13.2%。
8割以上が停止していないという結果があるので
まだ対策の必要性があると感じているといいます。

東京2020 オリンピック、パラリンピックが近づき、
これから、さらに外国人観光客が増える日本。
欧米諸国では歩行者優先は当たり前のこと。
日本でも法律の認識とマナー向上が進むことを願いたいものです。

みなさんがお住まいの都道府県停止率はどうなのか?
調査結果はJAFのウェブサイトに掲載されています。
いちどご覧になってみて下さい。


一般に道路上で四輪や二輪が野生動物と衝突する事故「ロードキル」。
日本では野生のシカ、イノシシ、サルが増えて
人間の生活エリアに出没することも多くなり
ドライバーがロードキルを起こしてしまう危険は高まっています。
      
ペットが轢かれるケースを指してロードキルと呼ぶこともありますが、
今回は「野生動物との衝突事故」と定義して予防と対処をお伝えしました。





日本全国で1年に何件ぐらいのロードキルがあったか?
動物はさまざまいて、報告されないものも多く、明確な数はわかりません。
ただ、ずいぶんたくさん起きているということについて、
参考になるデータをいくつか紹介すると・・・

首都高速道路・阪神高速道路・本州四国高速道路
NEXCO3社が2018年に処理したロードキルは約4万7,400件。

北海道ではエゾジカが関連した交通事故が増え
2017年度には2,430件に上っているとして
国土交通省北海道開発局が注意を呼びかけています。

死亡者が発生してしまった事故もあり、
動物との衝突は自動車やオートバイを運転する人間にとっても危険。
野生動物が命を落とせば、それはもちろん気の毒。
人間が十分に気をつけたいところです。





それではロードキルを起こさないためにはどうすればよいか。


【野生動物注意の標識を見たら速度を落とす】 

野生動物の危険が高い道路にはドライバーへの注意喚起のため
動物の絵柄などが書かれた黄色地の警戒標識が設置されています。
「野生動物に注意」の標識を見たら、注意をしつつ、スピードを控える。
ちなみに、ロードキルが多発している地域では、
自治体がサイト上で情報を公開している場合もあります。





【暗い道では上向きのライトを有効活用する】

ライトを上向きにすると遠方でも動物の目が光って発見しやすくなります。
対向車に気をつけつつ、上向きのライトを積極的に使ってください。
夜間から早朝にかけては、夜行動物が活動的になっているので特に注意。
ちなみに最もロードキルの被害に遭っているのはタヌキで
全体の4割を占めると言われていますがタヌキも夜行性です。

それでは、注意していたにも関わらず、
ロードキルを起こしてしまったとしたら・・・ どうしますか?

実は動物に衝突してしまった、轢いてしまった時も、
一般的な交通事故と同様に警察への連絡が必要です。


【一般道の場合】

ガードレールや、その他公共物の破損の有無とともに警察に連絡します。
そして、動物の状態を確認、保護施設や動物病院に連絡して指示をあおぐ。
動物が死亡している場合は、事故が発生した市町村に連絡します。
そして、素手で触れないようにして、あれば衛生面からマスクをして、
交通の妨げにならないよう路肩に移動させます。


【高速道路の場合】

道路内に立ち入って処置をするのは危険です。
自走可能なら近隣のサービスエリアなど安全な場所にクルマを移動。
警察と道路緊急ダイヤル「♯9910」に連絡してください。
動物を放置すると二次事故を招く恐れがあります。

ロードキルが多発している自治体や警察は防ぐための施策を立てています。
それでも野生動物がまったく道路上に出てこないようにするのは難しいはず。

ハンドルを握るドライバーが全国でロードキルが増えていることを認識しつつ、
注意して運転してください。



11月半ばになりました。
クルマを利用している方は冬タイヤに切り替えましたか?

北日本では昨日の夕方から寒気が流入して本格的な冬の到来。
初雪を記録したところもあるようです。

本格的な寒さを前に、カー用品店には、
冬用タイヤへの交換客が殺到しているという報道もあります。

雪が降る地域にお住まいの方は、ここが冬タイヤへの替え時。
例年、あまり雪が降らない地域の方も、異常気象が指摘される昨今です。
念のため、装着しておいたほうがいいかもしれません。
  




今では冬タイヤとは、主に「スタッドレスタイヤ」のこと。
以前の主流はタイヤに鋲「びょう」がついた「スパイクタイヤ」でした。
しかし、路面を削って粉塵が出ることなどから使われなくなっています。
替わりに台頭したのが鋲がないスタッドレスタイヤです。





スタッドレスタイヤの目的は、冬場の道路の安全な走行。
雪道や凍った道路を走っても滑って事故にならないようにするものです。
どんな特性で、それを実現しているのかというと


【素材の柔らかさ】 

タイヤの主材料であるゴムは、
温度が低くなると硬くなり滑りやすくなります。
しかし、スタッドレスタイヤは低い温度でも硬くならない素材を使っているため
しなやかさを保って走行することができます。


【特殊な溝】 

冬の道路が滑る理由は路面の雪や氷が溶けて水膜ができるから
スタッドレスタイヤには、表面に特殊な「溝」が施されていて、
この溝がタイヤと路面の間の水膜を取り除き滑りにくくします。
ちなみに、路面がいちばん滑りやすいのは0度〜10度です。

スタッドレスタイヤは新品の場合、
性能を発揮するため、ある程度の慣らし走行が推奨されています。
時速60キロで走行距離は200キロほど。
この慣らし走行によって、タイヤの油や汚れがとれて、
より路面に均一に接地できるようになるのです。





スタッドレスタイヤの冬用タイヤとしての
寿命を見極めるポイントは2つあるので覚えておいて下さい。


【製造されてからの年数】 

一般にスタッドレスタイヤの寿命は3年から5年とされています。
そのくらい経年したものは新品に買い換え時期。
製造された年はタイヤのサイド部分にあるので確認してみましょう。


【摩耗の状態】 

スタッドレスタイヤ」は、新品の状態から50%、
半分が摩耗すると冬用タイヤとして使用してはいけません。
摩耗状態をチェックするためのタイヤの溝の中にある突起
「プラットフォーム」を確認してください。
プラットフォームはタイヤが50%以上摩耗していると
表面に露出するようになっています。
つまり、プラットフォームが露出している場合は使用NG。
プラットフォームの場所はタイヤ側面の矢印を見ればわかります。

これからの季節の安全な走行のためにも、
冬タイヤへの交換を確認してみて下さい。
不慣れな方はカー用品店などに相談することをお勧めします。


道路上では、いろいろなところに事故の危険があります。
中でも特に気をつけなければいけないのが「交差点」。
去年、全国で起きた交通事故の5割強が交差点と交差点付近で発生しました。





1つ、意識してほしいのは、
「交通事故の多い交差点」のようなランキングの上位に
名前が挙がる交差点だけが危険なわけではないということ。

事故発生件数が多いということは、もちろん危険があります。
ただ、一般的には交通量が多い交差点のほうが事故の絶対数も多くなるもの。

絶対数がそれほど多くない交差点の中に、
危険度の高い交差点があるかもしれないのです。





交差点で起きる交通事故の主なパターンは5つ。

交差する道路を走るクルマとの出会い頭の衝突 

右折時、左折時の他のクルマとの衝突 
 
横断中の歩行者・自転車などとの衝突 

右折時、左折時の歩行者・自転車などとの衝突 

停止、徐行した前のクルマとの衝突 


JAF 東京支部  事業課 交通環境係 高木孝さんによると
交差点に入るにあたってドライバーが持つべき姿勢は
「スピードを出しすぎず」「車間距離を保つ」
そして「異変に対処できる余裕を持てるようにする」ことです。





その上で大きな事故が起こりやすい、
信号がある交差点での、いくつかの細かいポイントを挙げると

左折は“巻き込み”に注意

運転席からの視界は死角があります
例えば、自分のクルマの横にバイクがいるかもしれません
ミラーでしっかり確認、首を振って目視もして、
スピードをできるだけ落として曲がります
合図を出すタイミングが遅いと後続車に追突される恐れもあります


右折はその先の“危険”の注意

前のクルマの後に続けとばかりに右折すると
対向車が交差点に入ってくるところだったりするかもしれません
また、横切る横断歩道で進行中だった歩行者が
目の前に来ているかもしれません

また、対向車に気を取られ過ぎても、
右折した先の横断歩道に歩行者がいるかもしれません
右折には特に危険が潜んでいます


交差点内には、いくつもの交通事故の危険が潜んでいます。
注意深く察知して、それらを避ける。
そして、それでも訪れるかもしれない「ヒヤリハット」の瞬間に、
危険を回避できる余裕を持つ。
交差点では特に注意を払って運転をして下さい。


ドライバーの皆さん、
数ある「道路標識」を、きちんと認識していますか?

運転免許証をとる時に学んだ「道路標識」。
でも、実際の種類と数は本当に多く、
中には滅多に見かけないものもあり、
100%わかるドライバーは少ないのかもしれません。





国土交通省によると「道路標識」には大きく4種類あります。

案内標識  

警戒標識

規制標識  

指示標識



この4種の道路標識がどんなタイプのものか見ていきましょう。


【案内標識】

種類にすると85タイプ。
目的地・通過地の方向、距離や道路上の位置を示す標識です。
例えば・・・







種類にすると85タイプ。
上のような<方向と距離><国道>のほか
<市町村>案内や高速道路の<入り口の予告>などがあります。


【警戒標識】 

「注意深い運転」を促すもの。
黒枠で囲まれた黄色いひし形の中に注意すべきものを想起させるデザイン。
例えば・・・

<学校、幼稚園、保育所等あり>




<動物が飛び出す恐れあり>




【規制標識】 

これは禁止・規制・制限などの内容を知らせるもの。
例えば・・・

  <車両進入禁止>
 



  <駐停車禁止>





【指示標識】 

「特定の交通方法ができることや道路交通上決められた場所」などを知らせるもの。
例えば・・・

   <駐車可>




   <停車可>



それでは、以下の道路標識が何を意味しているかわかりますか。   
考えてみて下さい。

  ー 第1問 ー



  ー 第2問 ー



  ー 第3問 ー
     


〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 


ー 第1問 答え ー 

指示標識の「優先道路」

太い道路と細い道路を模したもので、
 この標識のある道路が優先であることを示している


ー 第2問 答え ー 

規制標識の「追い越しのための右側部分はみだし通行禁止」

片側1車線の道路でよく見かける標識。
「追い越し禁止」の標識と認識する人が多い。
正しくは「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」。
車線をまたいでおいこしてはいけない、
逆に言えば、車線をまたがなければ追い越しして違反にはならない


ー 第3問 答え ー 

指示標識の「安全地帯」

その先にプラットホームのない路面電車の停留所や
道路を横断する歩行者のための安全地帯があることを示す標識。
安全地帯内に歩行者がいれば、車両は通る際に徐行する。
安全地帯の左側と、その前後10m以内は駐停車禁止。


「道路標識」について自信がないと思う方、
国土交通省ウェブサイトなどに詳しい情報が掲載されています。
時間がある時に、チェックしてみることを、お薦めします。