最近、街で電動のキックボードを見かけて「危ない」と思ったことはありませんか?
いま「電動キックボードを乗ろうかな?」と思っている方もいるかもしれません。
実は電動キックボードは、色々な課題や問題が指摘されています。

今週は自動車ジャーナリスト 高根英幸さんにお話を伺い
「電動キックボードと交通安全」をお送りしました。





まず、電動キックボードについて簡単に説明しておきましょう。
スケートボードのようなボードに前輪・後輪が1つずつ付いていて
ボードの上に片足を乗せ、ハンドルを操作しながら、
もう片足で地面を蹴って走らせる遊具、一般名「キックスケーター」。
「キックボード」は特定の商品名ですが、日本ではこの呼び方で広まり
電動化されたプロダクトも「電動キックボード」という言葉が使われています。

カタログ上の最高速度は時速25キロほどで走行し
二輪車や四輪車と並べると大した速さではありませんが歩行者と比べればかなりのスピード。
衝突すると、かなりの危険が伴います。
そこで、私有地外で乗るには本来であれば相応の準備が必要です。





警視庁のWebサイトにはこうあります。
(以下は要約してあります)

道路交通法並びに道路運送車両法上の原動機付自転車に該当します。
よって、原動機付自転車を運転することができる免許が必要である他、
以下のことが義務付けられています。

・ヘルメット着用

・ブレーキ、ヘッドライト、バックミラーの構造・装置が
 道路運送車両の保安基準に適合していること

・自賠責保険の契約

・区市町村税条例で定めるナンバープレートを取り付けていること


つまり二輪車に乗る基準と同じ。
ネット通販でも容易に購入できることが普及している理由の1つですが
使用説明書等に「遊具として日本の現在の法律上は公道では使用できない」という
趣旨の記載があるはずです。この”公道”を道路だと思い込んでいる方もいますが、
空き地や公園など人が出入りするところは全て”公道”。公園でも基本的には禁止です。
例外は私有地の庭や工場内などで、”公道”では上記の要件を満たさなければ違法となります。





しかし、今年4月に東京・大阪など一部のエリアで
「特例電動キックボードの実証実験」がスタートしたことで混乱と誤解が生じています。
それは、国に認可された事業者による電動キックボードのシェアリングサービス。
「ヘルメット着用が任意」などの特例が認められているのです。

これには原動機付自転車、いわゆる原付ではなく小型特殊として登録しているものがあり
速度15キロを制限として、ヘルメットは任意、となっています。
そこで、ナンバープレートもなく、ヘルメットも被らず、
公道を電動キックボードで走る人が面に入るようになり
個人所有のものでも同じような使い方をする人が増えてしまっています。
時には歩道を走っている姿さえ見かけることがあります。

普及とともに問題視されているのは、
電動キックボードによる事故が起こり始めたから。
大阪では、無免許で2人乗りしていた電動キックボードが、
歩道を走り、歩行者に背後から衝突。
首の骨を折る重傷を負わせた事故も起きています。
反対に自動車に対して、キックボードは、
常に危険に晒されていることを知っておきましょう。





重心が低いので肩に重たいトートバックをかけて乗ると危険です。
できればボディバックやリュックなど揺れない身につけるバックを使うのが安全。
また、便利だからと、あまり大きな道路を走るのは非常に危険です。
車輪が小さいので速度が上がってもジャイロ効果という安定性を高めるような効果が
自転車と比べてほとんどありません。スピードが出ても安定しない乗り物です。
それとタイヤが小さいことは路面の凹凸や穴に弱い上に
急制動をかけた時にバランスを崩して転倒する恐れが非常に高い。
転倒してしまうと体がむき出しなので怪我をする可能性が高いことは想像つくはず。
かなり危険な乗り物だと言えるでしょう。

昨日、無免許で電動キックボードを運転し、
赤信号を無視して人身事故を起こした20代女性を、
警視庁が自動車運転処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの疑いで、
書類送検する方針を固めたという報道がありました。

電動キックボードに乗るなら必ずルールに則って下さい。
そして、危険性を認識して安全に乗ること。

また、自動車のドライバーは運転中、
電動キックボードが近くを走っていたらスピードを落として注意を払いましょう。


もう少し続く子どもの夏休み「緊急事態宣言」や
「まん延防止等充填措置」が発令されていない地域では
親戚・友人・知人の家に行くため、行楽のため、
クルマで山間部を訪れる方もいるでしょう。

山道には勾配やカーブの連続が少なからずあるもの。
見通しが悪いところも多く、注意が必要です。
そこで、今回は JAF 東京支部 事業課 交通環境係 
栗原悠羽さんにお話を伺い「山道走行は慎重に」をお届けしました。





山道では特に上り坂の時にカーブ同様見通しが悪いことも考えられます。
坂を登りきった先に何か危険がないか予測しながら運転するとともに
前の車に接近しすぎないで車間距離をしっかりととって走行することが大切。

下り坂では平坦な道よりもスピードがつきやすく危険です。
下り坂に差し掛かった時にはフットブレーキだけでなく
エンジンブレーキを活用してゆっくりと坂を下りましょう。
AT車はチェンジレバーをセカンドやロウや1速に入れる
マニュアル車は少し低めのギアを使います。


 


クルマで山道を走行している時、
カーブを曲がったら目の前に対向車がいた!
坂道でスピードが出過ぎてハンドルを取られそうになった! 
前のクルマにぶつかりそうになった!など
ヒヤッとした経験がある人は多いでしょう?

山道を走る時はスピードをしっかりと抑えるようにする。
見えないところから危険が近づいているかもしれないという心構えを持つ。
といった姿勢が大切です。





そして、事故を起こさないようにするため大切なことの1つは、
自分のクルマの存在を、他のクルマが気づくようにアピールすること。

日中であっても天気が悪かったり
日差しが届きづらい場所であればヘッドライトを点灯して
相手に存在を知らせることが大切です。

夜間はハイビームを積極的に使用します。
ただ、前の車や対向車がいる場合はハイビームからロービームに切り替えます。
また、霧が立ち込めている時にハイビームを使うと光が乱反射して
先が見えなくなってしまう恐れがあるのでロービームにしましょう。





日中のヘッドライトの点灯は交通事故防止のため世界で広がっています。
特に電力消費が少ないLEDライトのクルマは、
山道では昼間でも点灯を習慣にするといいかもしれません。
   
運転に不慣れだと、夜間の「ロービーム」「ハイビーム」の切り替えと
山道でハンドル操作と同時にやるのは大変ですが、
スピードを出さずに落ち着いてしっかりとやりましょう。

ヘッドライトと合わせて有効に使ってほしいのがクラクション。
市街地では止むを得ない場合を除き警笛を鳴らしませんが
山間部では警笛鳴らせの標識がある場合があります。
見通しのきかない坂道の頂上や道路の曲がり角で音で危険を知らせましょう。





そして、運転前の天気予報のチェック。
今の日本では市街地でもやったほうがいいですが、
慣れない山間部を運転する時は特に欠かさないようにして下さい。

それから、全国的に獣害が増えている昨今、
山間部では猪、鹿、猿、タヌキ、キツネ、イタチ、カモシカなどが
突然出てくることもあります。その可能性を念頭に置いて
山道での運転は、くれぐれも慎重に!


フランスのパリでは交通安全促進と騒音現象のため
もうすぐ、ほぼ全域で車の走行は時速30キロ以下に規制されます。

日本では2011年、生活道路での歩行者・自転車の安全な通行のために
区域を定めて車の走行時速を30キロに制限する「ゾーン30」がスタート。    
10年が経ちました。

今回の「なるほど! 交通安全」は「ゾーン30のこれから」。
国際モータージャーナリストの清水和夫さんにお話を伺いました。





「ゾーン30」は歩行者、自転車の重傷死亡事故が多い生活道路での
自動車の走行速度を最大30km/hに規制するルール。
令和2年度末現在で全国に4,031あります。

警察庁は2016年末の段階でゾーン30」の691ヶ所を調査しています。
それによると、人身事故件数は3割減少。
事故抑止に効果があることが検証されました。

今年4月には韓国でも都市部の住宅街など、
生活道路での速度制限を時速30キロに施策を始めました。
世界的に「時速30キロ」となってきたことには意味があります。

交通事故の重傷死亡と衝突速度の関係を見ると
時速30kh/hを超えると重傷率が上がることがデータから見てとれるのです。
自動車は速度の自乗に比例して運動エネルギーは大きくなり
時速30km/hから33km/hへと10%上げただけでエネルギーは約20%上昇します。
実際の交通事故のデータと照らし合わせ、衝突しても被害を最小限に抑えられるということで
時速30キロという数字が出されているのです。

警察庁によると、道路で車と衝突した際の歩行者の致死率は時速50キロ台だと16.6%。
30キロ未満だと0.9%まで減少するのでゾーン30の普及には意味があります。





一方で、今回お話をお聞きした清水和夫さんは、
警視庁・国土交通省などの政策アドバイザーでもある方。
一方で自動車自体の性能でもスピードを制限するべきだというご意見です。

また、日本では高スピードで走るところで取り締まりをする比重が高いですが
歩行者、自転車の重傷死亡事故が多い生活道路で
車の速度の厳格化が必要だともおっしゃっていました。

まず、ドライバーは、
ゾーン30では、時速30キロを守りましょう。



全国各地で大雨が起こる昨今、
報道の中で「アンダーパス」という言葉を見聞きする機会が増えました。
クルマに乗っていて大雨や豪雨になった時には、
この「アンダーパス」に注意する必要があります。
今週はJAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんに話を伺い
「アンダーパスの危険性」についてお送りしました。





アンダーパスは立体交差で掘り下げ式になっている下の道路のこと。
くぐり抜け式通路とも呼ばれ、上は鉄道や別の道路が通っています。
国土交通省によると、いまその数は全国におよそ3600。

アンダーパスは周囲の道路より低くなっているために水が流れ込みやすく
台風やゲリラ豪雨の時には設置されている排水ポンプの能力を超えることもあり
すり鉢状の部分に水が溜まって冠水する危険性があります。

冠水した場所を自動車で通行すると
空気の取入れ口からエンジンルームに水が入る込むことがあります。
すると、電気系統に不具合が生じたり、エンジンが動かなくなることが考えられます。

また、車が水没してしまうと、外からの水圧でドアが開かなくなります。
そうなると水が流れ込むことも考えられるので事前に脱出を図らなければいけません。

実際に冠水したアンダーパスに車が水没してしまい
運転手が亡くなるという事故も起きています。





身近なエリアでは、どこに冠水の危険性があるのか? 
まずは把握しておきたいところです。
その上で大雨の中を運転する時は交通情報に注意しましょう。

国土交通省では道路に関するハザードマップを公開しています。
これは道路の中で冠水しやすい場所が示されているので
そういった場所を避けて走行することが重要。

また、アンダーパスが一定の雨量に達した場合には
通行止めなどの措置がとられることがあります。
電光掲示板等で「この先冠水注意」等の注意喚起が行われていないか
また路面のペイントで冠水情報を知らせていることもあるので
そういった情報に注意を払って下さい。





注意して運転していたけれど、
気がつくと目の前のアンダーパスが冠水していた
あるいは周囲の水かさが増えて冠水してしまうということもあり得ます。
そんな時の対処法を栗原さんにお聞きしました。

水の深さは見た目では分かりません。
まずは周囲の安全を確認して、引き返せるようであれば引き返します。

その上で何らかの理由で冠水したアンダーパスに車がはまってしまった場合、
水圧でドアが開かなくなる可能性があります。
車が動かなくなったら車内からの脱出することを考えましょう。

まずはドアが開くかどうかえを確かめる。
ドアが開けられる水位であればシートベルトを外して脱出します。

水圧でドアが開かなければ、窓を開けて脱出することになりますが
JAFの実験では、窓ガラスは素手・車の鍵・傘などで割ることが出来なかったそう。
水没してしまった車両の中でガラスを割るためには専用の脱出用のハンマーが必要です。

備え付けのハンマーがない時は、
焦らずに車の中に水が溜まるのを待ちます。
車の外の水位と中の水位に差があるとドアは開きませんが
水が溜まって車内と車外の水位の差がなくなると水圧が低くなりドアが開きやすくなります。
怖いとは思いますが、肩や首まで水が浸かり、外との水差がなくなったところで、
一気に力を入れてドアを開けて脱出をして下さいということでした。

もしもの時のためにクルマには脱出用ハンマーを装備しておきましょう。
その上で、大雨の時や大雨が降った後、
クルマでアンダーパスを通る時には気をつけて下さい。