警察庁とJAFが、2021年10月18日から12月3日まで、
全国の一般道路781カ所、高速道路105カ所で実施した
シートベルト着用調査の結果を発表しました。

今週は、そのデータを紹介しつつ、
自動車評論家 諸星 陽一さんにお話しを伺い
シートベルト装着の大切さをお伝えしました。





今回の着用率は


【運転者】

 一般道路 99.1%(微増)
 高速道路 99.6%(前年同期比 -0.1%)


【助手席同乗者】

 一般道路 96.7%(前年同期比 +0.2%)
 高速道路 98.9%(前年同期比 -0.4%)


【後部座席同乗者】

 一般道路 42.9%(前年同期比 +2.6%)
 高速道路 75.7%(前年同期比 -0.1%)



運転席と助手席の着用率はほぼ100%。
それに対して、後部座席はまだまだかなり低いことがわかります。





自分は事故とは無縁。
そう思いこんでハンドルを握っている人もいるのでしょう。
だから、家族や友人・知人を乗せた時、
シートベルト装着を促さないのかもしれません。
でも、事故に遭遇してしまってからでは遅いのです。

後席でシートベルトをしていないとどうなるか?
前のシートにぶつかって前の人を押しつぶす可能性があります。
もしくは車の窓を破って外に飛び出して
後ろから来た車に轢かれて亡くなってしまう…という事故も報告されています。





シートベルトの着用と非着用の危険度の差は
警察庁交通局が平成28年に発表したデータによると
交通事故死傷者数に占める死者数が
全座席の平均値で非着用時は着用時に比べて14.5倍。
運転席では57倍にもなっています。

万が一の時のため、目的地がすぐ近くだとしても、
クルマを運転する時は自分だけでなく
同乗者すべてにシートベルト着用を呼びかけましょう。

そして、正しくシートベルトを締めていることが大切です。
間違った装着では、その機能が発揮されません。





そして、もう1つ、気をつけていただきたいのがタクシーに乗った時。
自分がドライバーではない。乗る時間は短い。面倒だ。
いろんな理由でシートベルトをしない人が多いと思います。
しかし、リスクは同じです。

シートベルトは道路交通法上の免責事由に
本当に該当していて装着がままならない時を除いてどんな時でも締める。
それが自分と大切な人の命を守ることに繋がります。

交通事故を回避する、あるいは事故の大きさを軽減する、
最後の手段の1つが「急ブレーキ」。

差し迫った危険を避けられるか
衝突したとしても軽い事故で済ませられるか
それは急ブレーキを踏み込めるかにかかっています。

今回はモータージャーナリスト 菰田潔さんのコメントを通して
「急ブレーキ」について、お伝えしました。





あまり考えたことはないと思いますが
ブレーキには大きくわけて2つの種類があります。

1つはふだん使っているスムーズで角のないブレーキで、これが理想。
もう一つは緊急時にガツン!と強く踏みこむ急ブレーキ。

この急ブレーキ。
実はほとんどの方が使ったことがない。慣れていない。
だから、いざという時に、きちんとかけられないのです。
菰田潔さんもいろいろなトレーニングで見ていると
ほとんどの人が本当の急ブレーキが踏めないとか
でも、緊急事態に急ブレーキはとても大切です。





理由は最終的にはハンドルで危険を避けようというケースでも
急ブレーキでスピードを落としておけば危険回避の可能性は高まるから。

そして、60km/hで走っている場合
急ブレーキをかけてから止まるまでの距離は12、 3m。
5m遅れて急ブレーキを踏んだとすると
遅れずに踏んだ人がギリギリ止まった場合でも衝突します。
その時の衝突スピードは5m遅れてブレーキを踏んだだけなのに38km/h。
だから早く強くブレーキを踏みこめることは大切なのです。





衝突を避けられるか、避けられないかという状況に直面したら
躊躇せずに急ブレーキを踏むことが大切だとよくわかったと思います。
でもこれ、頭で解っていても、とっさの時に出来ないかもしれません。
やはり、練習が必要です。

菰田さんが勧めるのは、朝の出発前、ブレーキペダルを踏んでエンジンをかける時。
ここで一発ガツンと踏んで、いつでも緊急ブレーキをかけられる心と体の準備をしましょう。





最近は多くのクルマにABS(アンチロック・ブレーキング・システム)が搭載。
これは急ブレーキや滑りやすい道路でのブレーキ操作時に車輪のロックによる滑走発生を低減する装置。
その機能を理解しておきましょう。

ABSが無い車であればあガツンと強く踏みこむと
タイヤをロックしてハンドルも効かなくなる可能性があります。
でも、ABS搭載であればタイヤはロックしません。
制動力の、いわゆる「1番おいしいところ」を使えること
さらに思いっきりブレーキを踏み続けている最中でもハンドルが使えて
危険を避ける能力が保たれていること。
ABSによって相当数の事故は減っていると菰田さんはおっしゃっていました。





急ブレーキをきちんと使える技術。
クルマの運転には大切なこと解っていただけたでしょうか。

最後に1点、道路交通法には「急ブレーキ禁止違反」、
不必要に車を急停止させること、
または急激な減速をするような急ブレーキを禁止する規定があります。
これは、いわゆる「あおり運転」などの防止が主な目的ですが、
覚えておいて下さい。

今週は去年の暮れに入賞作品が発表された
『令和3年度 JA共済 全国 小・中学生 交通安全ポスターコンクール』についてお伝えしました。

お話を伺ったのは全国小・中学生交通安全ポスターコンクールを担当する
JA共済連 農業・地域活動支援部 大久保真紀子さんでした。

今回で記念すべき50回目を数えるこのコンクールは
交通事故死者数が非常に多かった1972年のスタート。
交通安全への意識を高め幅広く社会に呼びかけることを目的とし
これまで多くの子どもたちが参加してきました。

子供たちが創作するポスターには、
その時の社会の交通安全に対する関心ごとが顕れます。
全国から10万4,754 点が集まった今回は『スマートフォンの使用マナー』を訴求する作品が、
前回よりさらに9%増え、8年続けて最多テーマだったそうです。
“歩きスマホ”が社会問題として常態化している現状への
子どもたちの問題意識の高さがうかがえますと大久保さん。

それでは
受賞作品を4点紹介しましょう


まずは内閣府特命担当大臣賞
岡山県 岡山市立京山中学校2年 上尾 美咲さんの作品



「ながら運転・歩きスマホ」をテーマにしたポスター。
絵を通して目の前の危険に気付いてほしいという願いが伝わってきます。



農林水産大臣賞
広島県 広島市立飯室小学校6年 藤井 奏さんの作品



「ガードレール」をテーマにしたポスターです。
普段当たり前のように街で見かけるガードレールの役割、大切さに改めて気付かされる作品です。



警察庁長官賞
青森県 南部町立福地中学校3年 川守田 茜さんの作品



飲酒運転をテーマにしたポスター。
昨年には千葉県で下校中の児童の列に飲酒運転のトラックが突っ込むなど
重大事故が発生しているにも関わらず、
なくならない飲酒運転による事故が減ることを願ったもの。



文部科学大臣賞
新潟県 加茂市立須田小学校5年 織原 胡桃さんの作品



反射材をテーマにしたポスター。
運転する側、歩行者側どちらか一方ではなく、
お互いが気を付けることで事故が減ることを願っている作品です。


「子どもは大人が思っている以上に交通安全に強い関心を持っているもの。    
ポスターを見て家族で交通安全について話し合うきっかけにしてほしい」
「子ども達の交通安全への願いを自分事として、日頃から安全運転に努め
子どもたちのよいお手本になって頂きたいです」と大久保さん。

JA共済のホームページ内特設サイトでは受賞作品や過去の作品集も掲載しています。
是非、ご覧になっていただきたいと思います。

大賞作品12点を掲載したカレンダーが3月中旬に全国の小中学校に送付されます。
また、3月中は受賞作品を車体に掲出したラッピングバスが
福島、東京、神奈川、静岡、滋賀、徳島、熊本の全国7エリアを走っています。
見かけた時にはいっそう交通安全への思いを強く持ってください。

第51回の募集要項は6月下旬にJA共済のホームページ内特設サイトで公開予定です。
次回もどんな創造性あふれる作品が応募されるのか、楽しみですね。

3月になりました。
今はスギ、このあとでヒノキ。花粉の飛散がピークを迎えます。
クルマの運転にも影響を及ぼすのが花粉症。
今週のテーマは『ドライバーの花粉症対策』でした。





花粉症の主な症状の1つが「くしゃみ」。
運転時に出てしまうと思わぬ危険を招く可能性があります。

例えば2016年4月。
愛媛県でこんな交通死亡事故が起こりました

花粉症の症状で前方を注視しにくい状態にあったにもかかわらず
運転を続けていたところ、連続したくしゃみの影響でハンドル操作を誤り
対向車線から自車がはみ出て軽自動車と正面衝突。
軽自動車を運転していた方が亡くなり、同乗者2名も重軽傷を追いました。

時速60キロで運転したとして
くしゃみで0.5秒、目をつぶったとすると
クルマは、およそ8メートル進む計算になります。
時速40キロだと、くしゃみで1秒目をつぶると約11メートル。
そこに危険が潜んでいる可能性があります。





花粉症に由来する「目のかゆみ」も
視覚からの情報入手を妨げるかもしれません。

さらに「鼻づまり」。
呼吸しにくいことが集中力低下や睡眠不足に繋がり、
安全運転を阻害しかねません。
花粉症の方はクルマに乗る時にあらかじめ対策をしましょう。





JAF東京支部 事業課 交通環境係 栗原 悠羽さんによると
花粉の飛散が多いと予想される時には
車内に花粉を持ち込まない工夫をする事が大切です。

まずは車に乗る前に服や荷物についた花粉をよく払う。
シートやフロアマットなども叩きましょう。
そして、普段から車のシートに掃除機をかける、粘着クリーナーでコロコロする
ハンドルダッシュボード等を水拭きする、花粉を車内に持ち込まないよう努めて下さい。

走行中に花粉を車内に入れたくないという思いから
空調モードを外気導入ではなく、ずっと内気循環にしている方もいるでしょう。
しかし、どうやらその効果はない上にリスクが伴います。

実はJAFで「外気導入」と「内気循環」
どちらが車内に花粉を集めてしまうか実験した事があります。
結果はどちらも大して変わらなかったそうです。

一方で、車内の二酸化炭素の濃度には大きく影響が出ました。
内気循環モードでは二酸化炭素濃度がだんだんと上がっていたのです。

そうなると眠気や頭痛を感じることもあるので
花粉がある状況の中でも外気導入モードに切り替えたり
窓を開けたり、換気を心がけたほうがいいようです。





そして、花粉症で薬を服用している方もいるでしょう。
でも、クルマを運転する時には気をつけて下さい。

薬によっては眠気やだるさが出てしまうものもあり
個人の体質や体調との関連で運転に集中できなくなるかもしれません。

病院で処方されるものは注意事項をよく読む、説明を聞く、
市販薬を購入する時には運転に支障がないか入念にチェックしましょう。

そして、薬を服用しての運転は場合によっては道路交通法違反になることもあります。
道路交通法の第66条には「何人も過労、病気、薬物の影響、その他の理由により
正常な運転ができない恐れがある状態で運転してはならない」と記述があります。
このことも覚えておいて下さい。

クルマの運転にとって花粉症はコワイなと思った方は多いはず。
花粉は車内に持ち込まないよう注意を払い、薬の服用は気をつける。
花粉のせいで思いがけない事故を呼びこんでしまわないように気をつけましょう。