第184回 酒気残り運転

2018/10/04

先の2回は「秋の全国交通運動」がテーマでした。
その中で1つ気になったことがあります。
「酒気残り運転」という言葉。
       
クルマとお酒の関係については
以前は「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」。
「お酒を飲んだら運転してはいけない」というものでした。





しかし最近は、それは当然のこととして、
さらに「お酒が抜けたと思っても抜けていない状態」に
注意が促されるようになりました。
それが「酒気残り運転」です。





5年前にこの「酒気残り運転」という言葉をつくったのは
岡山県 倉敷市にある川崎福祉大学 
医療福祉学部 臨床心理学科の教授で
認知心理学、交通心理学の専門家 金光義弘教授です。

それまではよく「残り酒」という言葉が
お酒が残った状態を言い表すものとして使われていました。
しかし、この「残り酒」という言葉は運転に関連づけられてはいません。
そこで、お酒の残った状態を車の運転に関連づけて
金光教授は出版社と「酒気残り運転」という言葉を作りました。
そして、この「酒気残り運転」の言葉は市民権を得はじめています。





確かに少し考えればわかります。
飲んだのは前日なのに目が覚めても「二日酔い」状態があり
それは体内にはアルコールがまだ残っているということ。
二日酔いほどでなくてアルコールが残っていることもあるでしょう。
   
アルコールが残っていれば「認知」「判断」「操作」
いわゆる行動3要素を正しく出来ません。
交通事故を起こす危険性は高まります。
       

そんな「酒気残り運転」を避けるためには、
人間の体がどのくらいアルコールを分解できるのかを覚えておき
自分がその時にどのくらいアルコールを摂取したのかを把握し、
その量を分解し終わるまでの時間はクルマに乗らないことです。
       
金光教授によると人間が分解できるアルコール量は1時間平均5g。
アルコールの摂取量は飲んだお酒のアルコール度数から計算できます。
その上で摂取アルコール量 ÷ 5が、少なくても運転してはいけない時間です。



   

中にはクルマの運転があるのにお酒を飲んでしまった。
でも、仮眠をとれば大丈夫。そう考えている人もいるかもしれません。
それは大きな間違い。

寝てしまえばアルコールが早く分解されるというのは事実とは逆。
睡眠をとると体の活動が鈍るためにアルコールの体外排出は遅れます。

そして、気をつけてほしいのはこの番組を通勤途中で聴いている方、
耳が痛いかもしれませんが、早朝の運転です。

金光教授は早朝の車の事故の多くは、
前の晩に飲んだアルコールが残っていると考えています。
呼気検査をやればアルコールが結構出るだろうとのこと。

この問題は非常に由々しき問題。
早朝の車の事故はアルコール検査をやるべきだという旨を
金光教授は警察庁に訴えているそうですが
実行する都道府県、実行しない都道府県、あるそうです。

お酒が好きなドライバーのみなさん。
万が一のことがあれば好きなお酒が飲めなくなります。
「酒気残り運転」の危険性を心にメモしておいて下さい。