第191回 甲子園署 ヒヤリ・ハッと地図

2018/11/22

交通事故を防ぐためには、過去に起こった事故例を集め、
分析し、原因を探り、解決方法を考え、何らかの施策を行うことが大切です。
しかし、起こってしまった事故だけではなく、
誰かが「危ない!」と感じた事例も、事故の防止に役立つでしょう。

先月、西宮市にある兵庫県警甲子園署が、小学校の協力を得て、
交通事故の危険性が高い場所を記した「ヒヤリ・ハッとマップ」を作成。
家庭へ配布しました。





きっかけは小学生が犠牲者となった死亡事故の発生。
もともと管内の子供が負傷者となった交通事故は少数。
ある程度の情報数がないと、物事の原因・理由は分析はできません。
そこで市の教育委員会を通して学校に協力を依頼。
西宮市立鳴尾小学校が手を上げて地図づくりが始まりました。





まずは全児童370人にアンケート調査を実施。
最初の質問は「危険を感じたことがあるか?」 

これに対して高学年では197名のうち、
4割にあたる79人がYESと答えました。

その児童たちには、もう少し詳しく、
アンケート上で「危険」について聞きます。

*「時間帯」
* 交差点・歩道・車道といった「場所」
* 自転車・歩行といった小学生の「状態」
* 車・自転車といった危ないと思った「相手」
* 遊戯中・買い物・登校中・下校中といった「行動形態」 など

その上で、鳴尾小学校校区の地図に、
「危険」に遭遇した場所に印をつけてもらいました。

低学年は「危険を感じたことがある」子供に
その先の詳しいアンケートは行わず、
地図上に「危険」に遭った場所の印だけをつけてもらいました。

さらに校区内で起こった重傷事故・軽傷事故の情報を付加。
それらをまとめて完成したのが「ヒヤリ・ハッとマップ」です。





危ないポイントが、地図上で可視化されると
交通事故の危険がリアリティを持って感じられます。
        
お父さん、お母さんが地図を見れば、
子どもに注意を促す気持ちが強くなるでしょう。
注意すべき場所がわかり、アドバイスもしやすいはず。

子どもも高学年なら地図を見れば
どの場所に気をつけるべきかわかるはず。
親子で「ヒヤリハッと地図」を見ながら会話もできます。

今回の地図には、特に危険な箇所と注意点も書かれています。
地図を持って親子で行ってみれば、より交通安全に役立つでしょう。

子どもが感じた「危ない」シーン。
その時は、運良く事故が起こらなかっただけで、
環境条件の何かが違えば事故になったのかもしれません。
大人が気づかない「危険」がある可能性は否めません。

こうした大人と子どもの協力で作られる「ヒヤリ・ハッと地図」。
全国でたくさん作られるといいですね。