『波力発電実験場』!? 〜ナゾの実験場を爆破せよ!〜


『坂上研究室』を出てから、およそ20分後。
林さんは、一旦建物から外に出て、敷地内の、海に面した場所をフラフラしていた。

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「あー、ここは海がすぐそばにあるので、気持ちがいいですなあ…」

と、その時である。
またしても、林さんのカリスマレーダーが、何かを察知した。

「こ、これは…!!!!」

続いて林さんが発見したのは、倉庫のような外観の、ナゾの大規模施設。
どうやら、何かの実験場の様子。一見したところ、中には誰もいないようだが…?

「危険な匂いしかしませんが… ここはカリスマスパイらしく、潜入するしかありませんな!」

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またしても、林さんはモデルガンを片手に、ナゾの実験場へと足を踏み入れた…


建物の内部は、まるで屋内プール場のようだった。
体育館大の建物の中心部に、25メートル大のプールがあり、水が張り巡らされている。ただ、水は浅い。大人だったら、腰の高さにも満たないだろう。

そして、『プール』のちょうど中心部に向けて小さな板がかけられており、そこには、ノートパソコンなどの機材が置かれている。
よく見ると、『プール』の一端には、人工の砂浜のようなものもある。

「一体、これは…?」

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林さんがプールの中心部の機材に手を触れようとしたその時!
2階から物音がした。(気がした。)

…!

必死で銃口をあちこちに向けながら、周囲の様子をうかがうカリスマスパイ。
しかし、あいにくここでは、身を隠す場所もない。
もしも敵に囲まれていたとしたら、ハチの巣にされるしかない。

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「チィッ… 失敗しましたな。私としたことが…」

…再び、静寂が実験場を満たす。
聞こえるのは、自分の鼓動の音だけ。

そんな中、なぜか突然、林さんを強烈な睡魔が襲ってきた。

なぜ今? もしやどこかに罠が…?

しかし、林さんの意識は、もはや失われようとしていた。



殺される… のか?



そんな言葉が脳裏をかすめる中、林さんは、足元に、とある紙を発見した。

その紙には、以下のようなことが書かれていた。

人類がガソリンなどの化石燃料を現状のまま消費し続けると、今後、絶滅してしまう生き物が爆発的に増える。
しかし、化石燃料を使用しない、太陽光や風力が生み出すエネルギーは、非常に効率が悪い。
だが近年、海の『波』の力を利用した、エネルギー効率のよい発電装置をつくる研究が続けられている。
この研究は非常に貴重で、優れた研究には、ノーベル賞の10倍もの賞金が与えられることもある。
そして、日本では、その最先端の研究を、日本のとある大学の『環境社会学科』が進めている。
その大学は、文系・理系を問わず、優秀な人材を集め、学内に『波力発電実験場』を設け、日夜、その研究にあたっている…

「まさか… ココがその『波力発電実験場』… という訳なのか…?」

薄れゆく意識の中、林さんはこの実験場の目的を理解した。
そして、その数秒後、深い眠りに落ちた。

…林さんが眠りに落ちてから、さらに数分後。
先程まで物陰に隠れていた男が、林さんのそばに立っていた。

男は、咳払いをしながら、林さんの倒れた横に落ちていた紙を拾い上げた。
紙の見出しには、『東海大学新聞』と書かれていた。




(果たして、林さんの運命は…?)

<続く>