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REPORT

第92回 7月20日「花火」前編
2025.07.20
火薬や発色剤を混ぜ合わせ、筒や玉に詰めて点火し
破裂・燃焼によって見られる色彩や美しさや音を楽しむのが花火。
花火は羅針盤・活版印刷と並ぶ世界三大発明のひとつ火薬がなければ生まれませんでした。

火薬の発明には諸説あります。
不老不死の薬をつくる研究をしていた漢方医で錬金術師が、
硝石、硫黄、木炭から黒色火薬をつくったことに始まるというもの。
また、秦の始皇帝が、北方民族侵入を防ぐために掲げた万里の長城の狼煙に
硝石を使ったことに始まるというもの。

いずれにしろ、火薬は武器として使われるようになり、世界の軍事を大きく変えました。
一方で、花火のような利用法も生まれます。
現在のような視覚と音を楽しむ花火が始まったとされるのが
14世紀後半のイタリア フィレンツェ。
これは仕掛け花火のようなもので、祭典や王族・貴族の結婚式などで使われました。

一方、日本人が火薬の存在に初めて触れたのは15世紀の元寇。
蒙古軍は、鉄砲を持っていたのです。
その後の1543年、種子島にやって来たポルトガル人によって
鉄砲と火薬製造法が伝わると、日本人はこの新しい兵器づくりに邁進します。
織田信長の時代、日本にある鉄砲の数は、ヨーロッパ全体の数を超えていたとも言われます。

戦国時代にも「キリシタン大名の大友宗麟が、
イエズス会宣教師に花火を打上げさせて人々を驚かせた」という記録や
「伊達正宗が、米沢城で花火を見た」という記録もありますが、
火薬の平和利用である花火が、庶民の楽しみになるのは、もう少し後のことです。
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