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『手紙から始まる物語。』
ここには、様々な思いが詰まった手紙が毎週届きます。
読むと、送り主のことがもっと知りたくなってきます。
日曜の午後3時、1通の手紙から始まる物語。
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世界的な演出家 宮本亞門さんが登場! “一流”になりたくない理由とは?

  • ON AIR
  • 2023/01/22

宮本亞門さんをお迎えして

写真 今回は、スタジオに演出家の宮本亞門さんをお迎えしました。
写真 宇賀「私から宮本さんのご紹介を。2004年に東洋人初の演出家としてオンブロードウェイにて『太平洋序曲』を上演し、トニー賞4部門にノミネート。ミュージカル、ストレートプレイ、オペラ、歌舞伎など、ジャンルを問わず幅広く作品を手掛けてらっしゃいます」

小山「2004年にやられた『太平洋序曲』は、トニー賞4部門にノミネートってすごいことですよね」

宮本「いやあ、ノミネートされたからって、獲んなきゃね」

小山「これはどのくらい(上演が)続いたんですか?」
写真 宮本「最初から4、5ヶ月。70年代にブロードウェイでやったものの再演だったので、全く新しい演出で、ということで期間が決まっていたんですね。でも新作だと半年じゃダメですね、食っていけないですね」

小山「それをまとめる演出家にいちばん必要なスキルって何ですか?」

宮本「何があっても折れないことというか、すべてが予定通りに進まないので。やっぱり国が違うからしょうがないのですが、そこで折れないことかな。それでも熱く夢が持てるのかどうかの勝負みたいになっちゃいますね」

宇賀「演出って、どういうことをまずやっていくんですか?」
写真 写真 宮本「ちょっとこれから2時間くらいゆっくり話をしたいですね(笑)。まあ、全部やっちゃうんですよ。衣装、デザイン、セット、いろんな方達と話をする。最初のコンセプトからそうだし、役者の演技の指示であり、照明であり、全部を一緒にクリエイションしていく。僕だけがつくるわけではないのですが、とにかくコラボレーションとクリエイションばっかりですね」

小山「自分が思っていたものが出来上がってこなかった時は、ダメ出しをするんですか?」

宮本「しつこいですよ、僕は。これでもか、って照明一つもそうだし、衣装一つもそうだし、演技一つもそうだし。『ここが違うから、もう1回やりましょう。なぜ大切かというと……』って、もう粘着質です」

小山「それで喧嘩になることはありましたか? 怒ることとか」

宮本「今、演出家は怒っちゃうと仕事がなくなるので。どうやって相手を納得させるか、説得させるかということ。アメリカでは『おい、○○―!』とか言った段階で、いっぺんにもう噂が。狭い業界ですから、『あの人はちょっと弱いね』とか『自分をコントロールできない人だ』とか、すぐに噂が飛びます」
写真 小山「亞門さんの作品で、いちばんビビビと来たのはどんな作品なんですか?」

宮本「まだ3歳とか4歳とか、そんな感じですね。毎日、おふくろが喫茶店をやりながら、僕を抱っこしながら劇場に行って。僕は泣かない子だったので、いろいろなお芝居をほとんど見せていたんです。最初に見たのは芸者さんの芝居かもしれない」
写真 宇賀「物心ついた時からそこにあったみたいな感じなんですね。こういうお仕事をしたいと思ったら、最初に何をするんですか? 弟子入りみたいな感じなんですか?」

宮本「僕が演出家になりたかった頃は、文学座とか俳優座とか、劇団四季に入って演出助手からやるというのが、よくあるコースですね。僕はそれがやりたくなかったので、誰にも従うことなく、まず自分は出演者になって、稽古も最後まで残って演出家の指示をずっと見ていて。その演出家が指示をした後に俳優がどう変わるか、変わらないのか。ある演出家は『何やっているんだ! 集中しろ!』とか言って、役者は『はい、わかりました』って言っているんですけど、裏を向くと『あの演出家、何に集中していいのかわかんないよな』とか言われていて。指示する側とされる側、いろんな関係性があるじゃないですか。それをずっと見ているのが好きでしたね。どうやったら人に伝えられるんだろう、とそればっかり考えていて」

小山「役者目線でいい演出かってどういう存在なんだろう、ということを考えていったんですね。職業として、『これは一人前になったな』と思った、手応えを感じたのはおいくつくらいの時でしたか?」

宮本「一流になったとまだ思っていないというか、一流になりたくないという思いが強いのですが、やっぱりニューヨークのリンカーンセンターフェスティバルで、『太平洋序曲』を日本人キャストでやって、カーテンコールがわーっと全員が総立ちで。10回以上かな、終わらないんですよ、お客さんが興奮しちゃって。すごく難しい作品で、わかりやすい作品ではないんだけど、こんなに政治的なものが入ったり、アバンギャルドな作品がうけるんだなというところで、僕はやっぱりここで生きていきたいと思ったことはありましたね」

小山「一流になりたくないというのはどういう意味なんですか?」

宮本「一流になったと思った時点で、もうつまんない人間になっている気がするんです。完璧な舞台があるわけではないし、人もみんな違うし、意見も違うし。その中で『もっとこうしたら面白いかな?』ということがよくて。ちょっと傲慢になって過去の自分の成功体験だけを人に押し付けるようになっちゃったら、僕が好きなタイプじゃない演出家になっちゃうんで、嫌なんですよ」
写真 2月からは、宮本さん演出による舞台がスタートします。

宮本「『画狂人北斎』という舞台なのですが、北斎の晩年に焦点を当てて、西岡徳馬さん、雛形あきこさんが挑戦してくれているんですけども。北斎って本当に変な人なんですよ。確か引っ越しを50回以上やっているし、自分の名前も何十回も変えているし、片付けできないし。とにかくこんなに変わった人はいないです。面白いです。全部、スタイルも変えちゃうんですよ。浮世絵をやったり、肉筆画をやったり、西洋画も描いたり、春画も描いたり」

小山「『富嶽三十六景』を72歳で描き始めたんですよね」

宮本「そうなんですよ、晩年がすごい。肉筆画も構図が1枚1枚、全部違うし。何がこの人をこうさせているの? と、それが知りたくて」

舞台「画狂人北斎」は、東京の墨田区の曳舟文化センターを皮切りに全国をめぐります。詳細は、宮本亞門さんのホームページをご覧ください。

宮本亞門さん オフィシャルサイト

舞台「画狂人北斎」

宇賀「この番組は手紙をテーマにしていますが、これまで書いたり受け取ったりした中で、印象に残っているお手紙はありますか?」

宮本「自分が演出家にも何もなれないと思っていた頃に、ぽろっと何かの雑誌を見て(送ってくれた)『ずっと応援したいです』という小さな手紙で。今でも友達なんですが」

小山「それがきっかけで?」

宮本「そうなんです。すごくその手紙は支えになって。僕、案外そういうのは嬉しいというか、実を言うとこう見えて自信が全然ないので、時々褒めてくれているのはうちに全部取ってあります」
写真 小山「亞門さんへのファンレターは書きがいがありますね」

宮本「だけど、お願いだから悪いことは書かないでください(笑)」

小山「逆にへこんでしまいますね(笑)」

宇賀「そして今日は、『今、お手紙を書きたい人』に宛てたお手紙を書いてきてくださっているんですよね」

宮本「書きたいというと、親父が去年死んだので……いいですか、それでも?」
写真 宮本さんのお手紙の朗読は、ぜひ、radikoでお聞きください(1月29日まで聴取可能)。

宇賀「今日の放送を聞いて、宮本さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 宮本亞門さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」

小山「くれぐれも前向きなお手紙でお願いします!」

宮本「落ち込みやすいので(笑)」
写真 宮本亞門さん、ありがとうございました!

皆さんからのお手紙、お待ちしています

毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。
引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。

今週の後クレ

写真 今回のメッセージは、福井県〈勝山郵便局〉山田明美さんでした!

「勝山市には、世界三大恐竜博物館にも数えられる『福井県立恐竜博物館』があります。街のあちこちにも恐竜のモニュメントがあり、勝山郵便局のポストにも、フクイリュウのブロンズ像が設置されています。 暑い日も雨の日も風の日も、お客さまのお手紙をお預かりするポストを、毎朝感謝の気持ちを込めて掃除しています。ある日、お客さまから『こうしてお掃除してくれているから、いつも綺麗なんですね』と声をかけられたことがあり、心がほっこりしました。私もお客さまと接する時に、ほっこりしていただけるように、笑顔でお迎えをしています。」
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