2025.05.06
日本中の子供たちを読書好きに
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週のゲストは先週に引き続き、株式会社Yondemy 代表取締役の笹沼颯太さんです。
笹沼さんは1999年生まれ、千葉県出身。2020年、東京大学在学中に「Yondemy」を創業されています。
今週は創業されるまでを伺っていきたいと思います。大学では何を勉強されていたんでしょうか?
「当時は経済学をやっていたんですが、実はその選考に入る前の3年生になるタイミングで会社を立ち上げたので、経済学とは関係ない形ですね。」
在学中に設立されたということで、きっかけは何だったんですか?
「もともと東京大学に在学中にバイトで家庭教師をしていました。 その中で、どの家庭でも全く同じことを聞かれて、「先生、小さい頃どんな本を読んでたんですか?」「どうやって本を好きになったんですか?」と、 みんなそう聞いてくるんです。
で、その話を 東大の学食で友人としてたら、「あっ、俺も聞かれたことある」「私も聞かれたことある」って結構盛り上がったんですよね。 そこで、あっ、今の子供たちはそんなに本を読んでなくて困ってるんだな、ということに気づいて。 そこからじゃあ自分にもできることはあるかな?これサービスにしたらいいんじゃないかな?と思いました。 」
実際笹沼さんは本をすごい読んでいたんですか?
「小学生の頃すごい読んでましたね。1カ月でもう7、80冊くらい読んでいたと思います。一日に2,3冊借りて読んでいました。」
すごい量!どういった本を読んでいましたか?
「ファンタジーなどが好きだったのでそういう児童書を読むことが多かったんですが、理科に関する本や電気に関する本なども読んでいて、漫画も大好きでした。
漫画もゲームも結構好きで、漫画もゲームも全部楽しいものとして、その中でどういう楽しさがって、ちょっと違いがあるだけかな、と思っています。」
会社を立ち上げたいといった夢はいつからですか?
「最初は会社を立ち上げる気は全然なく、就活をしようとか当時は公認会計士の勉強とかをしていました。
ビジネス自体には興味があったんですけど、自分でやりたいって自分でやるタイプだとは思っていなかったですね。」
おすすめの本を紹介するといったサイトは既にあった中で、ビジネスモデルはどうやって考えましたか?
「やっぱり一番大きいのは、ちゃんと子供が読むようにならないといけないっていうところ。
いくら本をお勧めしても、それって保護者さん向けのおすすめで、じゃあ子供が読みたくなってるかというとそうではなかったりする。保護者さんのお悩みとしても、子供が別に読みたいと思ってないし読みたがらない、そんなモチベーションをどう作ってあげるかが大事だと思い、じゃあそこを指導してあげよう。 そうするとまあ、習い事って形にしていこう。そんな形で決まっていきましたね。」
今はテレビやラジオ以外も動画配信サイトなど、子供にとって楽しい娯楽の幅が広がり過ぎちゃって、本当にたくさんありますよね。
「本を読むことをサポートしてあげないと、好きにならないようになってきているなと思いますね。」
動画より本だと親子の会話にも繋がりやすいので、やっぱり本を読むって大事だなというふうに思います。
「実際に利用した保護者さんから、「会話がすごい増えたんだ」や「毎日夕飯の時には必ず本の話をするようになった」、また「週末のお出かけ先に書店や図書館が入ったから、家族のお出かけも充実するようになった」、そういう話がすごく多いですね。」
他にも、本を読んでる子供たちは出てくる言葉のチョイスが豊かですよね。
親御さんへのアドバイスは何かありますか?やってしまいがちな注意した方がいいことなど。
「読みなさいって言っちゃうことですね。本を読まなきゃいけないもの、宿題や勉強みたいになってしまうと、やっぱり楽しくなくなります。僕自身もそうでしたけど、ゲームもあるし、動画もあるし、でも本も楽しい。やっぱり楽しいものの1個として子供に取り組んでもらいたい。 」
笹沼さんの最初は、親に読みなさいと言われなかったんですか?
「あんまり言われてなくて、実は小学校低学年の時はあまり読んでなかったんです。途中からお気に入りの方に出会って、そこからすごい読むようになりましたね。」
なるほど、いい出会い、いい本との出会いというのがいかに重要か、実感されているんですね!
「そこをきっかけに一気に読むようになったので、やっぱりそれと出会えるかどうかっていうのは大きいんじゃないかなと思います。」
その思い出の一冊は何ですか?
「僕の場合は『北極のムーシカミーシカ』っていう児童書で、ホッキョクグマの兄弟とアザラシのお話なんですけど、大きくなっていくと友達だったのに実は食べられちゃう関係になる、という。 そういう複雑な物語でした。
本への一歩は、徐々にステップアップしていけばいい。やっぱり入り口が大事です。それこそ利用者さんでも、小学校3,4年生からスタートしたけど一番最初におすすめされたのが絵本だった、みたいな子もいます。
絵本から始めたら、「あっ、これがちょうどよかったんだ。」「やっぱ楽しかった! 」となって、これまで難しい本を与えすぎてたんだってケースがすごい多いですね。」
入り口は本当にそこでいいんですよね。
起業についても伺いたいんですが、起業するときの人集め、お金集めというのはいかがでしたか?
「実は人集めはそんなに苦労してなくて、というのも中高大と一緒だったメンバーたちと始めてるんです。中高の文化祭で一丸となって頑張った経験がある仲間で、みんな本好き。もう一回文化祭やろうみたいな声かけで始めました。
ただお金集めは最初は苦労しました。会社の立ち上げがコロナが始まる直前ぐらいのタイミングで、zoomやオンラインのミーティングも普及していなかった頃なので、オンラインで教育するというものがなかったんです。今はchatGPTが教える、というのも広まっていますが、先生がAIってよく分かんない、誰がそんなものにお金払うのってすごく言われながら立ち上げた会社でしたね。 」
じゃあお金は最終的にどうしたんですか?
「本当にたくさんの投資家さんに会いました。その中でも共感してくださった方が、小さい頃に広辞苑を読破したという、嬉しなバックグランドを持っていて。
そういう奇跡的な出会いがあって、という具合です。」
すごいですね!今後Yondemyとして新しい展開などを考えてますか?
「習い事だけではなく、例えば今書店さんと取り組んでいます。書店さんも減っていってる中で、そこを盛り上げていこう、本も作っていこう。そんなふうに出版業界全体を盛り上げていくような形にできればなと思ってます。」
最後にこれからの夢、大きいものでも構いません、教えてください。
「『ヨンデミー』を通じて、日本中の子供たちが読書家になっていく。その読書家っていうのは、本を楽しむだけじゃなくて、学ぶこと・知ること・考えること、そういうことを楽しむ人たちだと思うので、そういう人たちがまた社会を変えていくような人になっていったらいいなと思います。」
株式会社Yondemy 代表取締役の笹沼颯太さんにお話を伺いました。ありがとうございました。