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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

20.09.22

世界の大手金融機関が野放しにしていた巨額な不正資金のマネーロンダリング

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日、お話を伺うのは、ジャーナリストでメディアコラボ代表の古田大輔さんです。
古田さんが取り上げる話題はこちら!


『世界の大手金融機関が野放しにしていた巨額な不正資金のマネーロンダリング』


鈴村:今朝はあの半沢直樹も顔負けの世界的な銀行による不正疑惑です。古田さん、どういったニュースなのでしょうか?


古田さん:不正資金のマネーロンダリングってありますよね?それを世界の大手金融機関が黙認していたのではないか?ということが、アメリカ当局の『フィンセン文書』という内部文書で明らかになりました。このフィンセン文書の“フィンセン”というのは何かといいますと、アメリカ財務省の中にある、金融犯罪取締ネットワークのことをいいます。そこに世界中の大手の銀行が自分たちの活動の中で、「これちょっとおかしいかも?」というのを報告するという文書があるんですよね。それは秘中の秘で隠されているわけですけど、今回、それをですね、入手した報道機関がチェックしたところ、1997年から2017年までに合計2兆ドル、日本円で約209兆円ですね。その209兆円分の、これ怪しいんじゃないか?というのが、明らかになったと。


鈴村:(苦笑)。えぇぇ…!?209兆円って、もうすごいですよ…。どこかの国ができるくらいの…。


古田さん:いや、もう、本当にかなりの規模の国ですよね。


鈴村:ですよね。大きな国ですよね。へぇ…あぁそうですか……。
この内部文書が表に出てくるというのはどうしてなんですか?


古田さん:これはですね、ちょっと誇らしいんですけど、僕が前にいたBuzzFeedのですね、BuzzFeed Newsというチームがその文書を入手したんですね。でも、あまりにも膨大すぎて、しかも、世界中の金融機関が絡んでいるから、BuzzFeed Newsだけではとても分析できないわけですよ。なので、国際調査報道ジャーナリスト連合で『ICIJ』というところがあるんですけれども、そこと共有して、世界中の報道機関、世界88ヵ国108の報道機関が一緒に連合を組んでですね、分析をして、全体像が明らかになったと。日本からは朝日新聞と共同通信が入っています。


鈴村:こういう情報が入ってきたときって、一つの会社がすっぱ抜くみたいな、独占みたいなことが多かったりするイメージなんですけど。勝手なイメージですけどね。


古田さん:歴史的にはそうですし、今も基本的にはそうなんですよね。一社で調べるのが普通で通常パターンなんですけど、ただ、こういうフィンセン文書とかは、あまりにも規模が大きすぎて、一社ではとても手に負えないわけですよね。過去の事例でいうと、『パナマ文書』とか『パラダイス文書』って覚えていますか?世界中のタックスヘイブンにお金持ちの人たち、有力な人たちがお金をそこに送って、いわゆる、脱税、節税をしていたというやつですよね。あの時も、情報を手に入れた南ドイツ新聞だったかな?が、ICIJに託して、そこでみんなが一緒に連合を組んで調査したんですよね。今回、朝日新聞と共同通信がこの連合の中に入っているのはなんで?と思う方もいると思うんですけれども、パナマ文書のときも、パラダイス文書のときも協力しているんですよね。そういう実績があるんですよね。


鈴村::なるほど、そういうことだったんですね!共有したからこそ、こういうふうに情報が出てきた、より詳細がわかってきたということですよね。
グローバル企業が絡んだ不正があった場合というのは、やっぱり、こういう協力していくということが多いわけですよね。でも、なんていうのかな…、メディアによっては、部数争いとか視聴率争いというが、やっぱり、あるじゃないですか?“競争”もやっていかなければいけないと思うんですけれど、“共有”しながらもやっていくという、バランスの取り方って難しいかなと思うんですけど、どうなんですか?


古田さん:これはなかなか難しいんですけれど、まず、一つ言えるのはですね、政治的な難しい話のスクープをポンっと一発取ったからといって、部数が上がったり、視聴率がボコーンっと上がったりするほど、メディアビジネスって簡単ではないんですよ。それよりも、そもそも、メディアビジネスの中で、特に、『ジャーナリズム』、『報道』と言われる分野というのは、もともとそんなにお金になるような分野ではないんですよね。それでも、世の中では、「ジャーナリズムが大切だ」と言われるのはなぜかというと、それは、“世の中のためになる事をするから”ですよね。今回みたいな金融のお金の流れの中に不審なものがあるのが問題じゃないか?というふうに問題提起をすることはとても素晴らしいことですよね。それをBuzzFeed Newsが、BuzzFeedが手に入れたと。でも、自分たちだけでは手に負えないという時に、「じゃあ、もう目をつぶってしまおう」とするのか?それとも、「みんなと協力してそれを明らかにしよう!」とするのか?どっちが尊敬されるのかといったら、もちろん、後者ですよね。「みんなでやろう!」と。そうすることで、間接的に信頼度が高まり、それが、「BuzzFeedってないといけない組織だね!」とみんなに思ってもらえる。という方向に、みんなの考え方が変わってきていますよね。


鈴村:そうですよね。結局、その報道にあたるものって、信頼度が大事というか、ネットの社会になって、そういうものがより繊細になってきているイメージがあるので、こういうことをやっていると、「あっ、ここは信用できるな!」ってことで、その情報が本当にどれが正しいかを見極めるためにも、こういうことがどんどん伝わっていけばいいなという話ですよね。


古田さん:そうですよね。でも、逆に、行政の方からみたら、「フィンセン文書のような、秘中の文書を漏らしやがって!」というね。なので、早速、抗議の文書を出していましけどね。


鈴村:そりゃそうですよね。半沢直樹を見てても思います、あの人たちすぐに秘密文書を探しに行くじゃないですか?フィンセン文書はそんな感じじゃないですよね?アイツについていけ、あの倉庫にあるはずだ!みたいなね。そういうわけじゃないですよね?(笑)


古田さん:あんなに簡単に出てこないですよ。(笑)


鈴村:どうやって手に入れたかは、めちゃくちゃ気になるところですけど、それはきっと一生わからないんですよね。


古田さん:そうですね、表には出せないですね。


鈴村:こうやってね、いろんなことって、やっぱり、隠せないということも伝わっていけばいいですよね。悪いことはできないということが伝わって行くことも必要だなと思いますね。



そして、今日の #スズコメ はこちら。






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