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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.01.26

「コロナワクチン早期接種したいですか？」記事に批判殺到

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します！！

今日、お話を伺うのは、BuzzFeed Japan News 副編集長、神庭亮介さんです。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら！


『女子高生100人に調査「コロナワクチン、6割超が受けたくない」という記事に批判殺到』


鈴村：まずは、経緯を教えていただけますか？


神庭さん：元々はオリコンニュースが配信した記事で、調査会社を通じて女子高生100人に対して、「コロナウイルスのワクチンが日本で利用可能になった場合、早期に接種を受けたいですか？」とのアンケートを取った結果、「受けたいが34人、受けたくないが66人」という結果が出たということを伝えたんですね。その理由として、“副作用”とか、“安全なのかわからないから”というものが多かったということを紹介した上で、一方でですね、エビデンスを踏まえたワクチンの有効性に触れておらず、「政府が臨床試験を重ね、安全性を確保してから接種を開始することは間違いないが、不安な気持ちは拭えないということだろう」と、副作用・副反応を強調したような記事になっていたんですね。このオリコンニュースが出した記事を毎日新聞や朝日新聞、中日新聞なども転載して、中でも、毎日新聞がTwitterで拡散したことによって、非常に批判が広がって、釈明に追い込まれたということなんです。
お医者さんたちとか医療関係者の方からも、「多くの人命が危険に晒される」とか、「感染拡大を防ぎたいなら不安を煽るよりも、安全性の報道をしてほしい」といった声が寄せられていますし、そもそも、なんで“女子高生限定”のアンケートなの？と、ちょっと意味不明ですよね…。


鈴村：そうですね、なんでそうなったんでしょうね？


神庭さん：やっぱり、“女子高生”、“ワクチン”、そして、“不安”とすごくクリックしたくなる、PVを誘う見出しのためのアンケートだったのでは？という穿った見方をしてしまいますが、オリコンニュース編集部は、BuzzFeed Newsの取材に対して、「チェック体制の不備で掲載されてしまったため、編集部内で記事が不適切と判断し、削除しました」というふうに回答していて、削除はあくまで自社判断であって、 毎日新聞のツイートに対する批判を受けたわけではないというふうに説明しています。


鈴村：う〜ん、こういう話題が出てきてしまった中ですけど、コロナのワクチンの科学的な有効性はどうなっているんでしょうか？


神庭さん：前提として、新型コロナワクチンは“有効性がある”ということが研究で示されています。厚生労働省のサイト上で、「ワクチンを摂取したグループでは、ワクチンではないものを摂取したグループより70〜95％発症者が少なかった」という海外の研究を紹介しています。「接種された方が感染したとしても、重症化を防ぐことが期待できる」というようなことも書かれていますね。


鈴村：なるほど。この不安を煽る報道というものが、確かにあるのかなというのは感じますけど、どうしてこういうふうになってしまうのでしょうか？


神庭さん：やっぱり、新しいものであるとか、よくわからないものに対して一般の方々がですね、怖いな…、不安だな…、心配だな…と感じてしまうのは、自然な感情だと思いますし、頭ごなしに否定する必要はないんですが、ただ、そこにメディアが乗っかってしまっていいのか？と…。それで、ワクチン不安を煽るということがすごく問題だなと思っていて、怖い、不安、心配という声をメディアが増幅して発信するというのは、ある意味、簡単ですし、それで数字も取れるんですけれども、ことワクチンに関しては命に関わることですし、例えば、子宮頸がんワクチンですよね、HPVワクチンでも同じようなことがあって、メディアが不安、心配を煽ったということがあって、結果、今、国では、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨というものを長年差し控えていて、発症する方は毎年1万人以上いて、亡くなる方も約3000人いるというような状況になっているんですよね。これは、“ワクチンを接種していれば救えたかもしれない命”ということも考えると、新型コロナで同じ過ちを繰り返してはいけないんじゃないかなというふうに僕は思いますね。


鈴村：報道の影響というのがあると感じますが、ワクチンに対する不安の声というのが日本では根強いというふうに伺っているんですけど、これはなんとかしないといけないものなんですか？


神庭さん：やっぱり、“正しく恐れる”ということが大事で、正しく恐れるときに、どうすれば正しく恐れられるか？というと、それは、“正しい情報が提供されている”ということが前提なんですよね。その情報の大本が、怖い、不安、心配ということに歪められていたら、受け取る側もそうなってしまいますよね。もちろん、副反応のないワクチンというのはないわけで、新型コロナウイルスのワクチンにも副反応はありますけれども、じゃあそれが、何十人でました、何百人でました、と分子だけ聞かされて、分母がわからなかったら、10万人に1人なのと100人に1人なのとでは全然違いますから、そういった正確な情報を発信をしていくというのがメディアに求められているんじゃないかなと思いますね。


鈴村：これが正確な情報ですよということが明確にならなければいけないし、それを見て、我々も判断しなければいけないということですね。



そして、今日の #スズコメ はこちら。






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