21.09.20
自民党総裁選
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
自民党総裁選
吉田:菅総理の任期満了に伴う自民党総裁選が、先週金曜日に告示されました。河野行革担当大臣、岸田前政調会長、高市前総務大臣、野田幹事長代行の4人が立候補していますが、党内7派閥のうち6派閥が支持候補を一本化しない異例の総裁選となっています。
4人は告示後、記者会見や討論会などで、それぞれの政策について訴えていますが、神庭さんはどのようにご覧になっていますか?
神庭さん:はい。各候補者の訴えのうち、ここでは特にコロナ対策と経済政策を紹介したいと思うんですが、まず、コロナについて。
岸田さんは「医療難民ゼロ」を掲げていて、パンデミック対応の司令塔となる健康危機管理庁の新設を目指しています。
河野さんは非常時の指揮命令系統や権限を見直すべきだと主張していて、今後、強い人流抑制が求められる“いざ”という時に備えて、ロックダウン法案をつくることが大事だと述べています。
高市さんは、ワクチンや治療薬の国産化に向けて投資し、創薬力や医療提供体制の強化に取り組む考えで、いまの状態ですぐにロックダウンは必要ないとしつつ、「最悪の事態を想定した法整備が必要」と訴えています。
野田さんは「こどもまんなか政治」というのを訴えていて、11歳以下の子どもについても、ワクチンを希望する人には積極的に接種できるようにしたい、という認識を示したんですね。
ユージ:経済政策の方も気になるんですけれど、そちらはどうでしょう?
神庭さん:気になりますよね。岸田さんは数十兆円規模の経済対策を掲げていて、格差の是正を訴えています。小泉内閣以降の新自由主義的な政策を転換し、成長と分配の好循環による新たな「日本型資本主義」を目指す、と言っているんですね。「令和版所得倍増」といった、野党のお株を奪うような主張なんですけれど、岸田さんは今回、積極財政を打ち出しているんですが、昨年の総裁選では「財政健全化」を主張していたので、本心はどちらなのか…?本気度が問われる部分だな、と思いますね。
河野さんのスタンスは「企業から個人へ」。アベノミクスで企業が利益を上げる一方で、労働者の賃金にまで波及しなかったと指摘していまして、雇用を重視する企業は減税する、という考えを示しました。
ただ「大盤振る舞い」の他候補に比べると、慎重な物言いが目立つんですね。テレビ番組で、河野さん以外の3人は低所得世帯への10万円給付に賛成したんですけれど、河野さんは「給付は必要だと思うが、金額については精査しなければいけない」と、ちょっと慎重な言い方でした。
高市さんは4人の中で随一の財政拡大路線と目されていて、「アベノミクス」を継承しつつ、「危機管理投資」と名付けているんですが、防災やサイバーセキュリティーなどに大胆な国費の投入をすると言っています。
野田さんはコロナ対策で経済活動を制限されている、すべての働く人に向けた一律の給付金を提案していて、飲食店などに対しては納税額や規模に応じた公平な給付をしていく、という方針を掲げています。
また「こども庁」をつくって、子どもや教育に投資していく、という考えですね。
吉田:告示ギリギリでの表明となった、野田さんの出馬の影響についてはいかがですか?
神庭さん:総裁選は国会議員票383票と党員・党友による地方票383票を奪い合うんですが、1回目の投票で誰も過半数を取れなかった場合は、上位2人の決選投票になるんですね。この場合、国会議員票は383票で変わらないんですが、地方票は各都道府県1票ずつの47票となって、影響力は1回目の8分1になってしまうんです。
決選投票では相対的に国会議員票、つまり派閥のパワーが増す…ということなんですが、一方の地方票は世論の肌感に近いと言われていますので、「自民党の次期総裁に誰がふさわしいか」を尋ねた時事通信の世論調査では、河野さんの人気が圧倒的でしたので、河野さん陣営としては、この人気を背景に地方票をがっちり掴んで、できれば1回目の投票で過半数をとりたかった、というもくろみもあったか思うんです。ところが、第4の候補者として野田さんが登場したことで目算が狂った、と。河野さんにとっては、1回目で過半数を取りにいく…というハードルが大きく上がってしまいました。自主投票が広がり「派閥色の薄い総裁選」と言われてきましたが、決選投票までもつれると、「やっぱり派閥だよね」と構図が変わる可能性があるな、という風に思っています。
ユージ:他に何か注目すべきポイントはありますか?
神庭さん:高市さんがどこまで票を伸ばすか、ですね。ネットでも非常に人気がありますし、安倍さんの支持も受けていますので、ここで高市さんが獲得する票数は安倍さんの「キングメーカー」としての党内での影響力、パワーを示す一つの目安になるかな、と思っているので、「高市さんが結構とったね」となるのか、「あまり伸びなかったね」となるのか?安倍さんの再々登板説も根強くありますので、そこにも注目していきたいと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ??
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 20, 2021
今日のテーマは、
先週金曜日に告示された
「自民党総裁選」について。
今回の総裁選には、
河野行革担当大臣、
岸田前政調会長、
高市前総務大臣、
野田幹事長代行の4人が立候補しています。
先週木曜日に立候補を表明した野田さんの登場により、1回目の投票でガッツリ地方票を掴み過半数の票を獲得したかったであろう河野さんの狙いが狂ってしまったのでは?という見方があると番組で話しました。(→続)#リポビタンD #ユジコメ #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 20, 2021
やはり候補者が増えると票もばらけてしまうので、決選投票になる確率もあがってしまいますし、まとまった票を獲得することが難しくなりますよね。(→続)#リポビタンD #ユジコメ #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 20, 2021
総裁選というのは、自民党(=現在の与党)のトップを決める選挙、つまり、次期総理に誰がなるかを決める選挙です。僕が求める総理は、国民の意見を代弁してしっかりと主張できる力、人間として人を惹きつける力が大事なのではないかと考えています。(→続)
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 20, 2021
開票が来週水曜日に迫る総裁選。この4名の候補者について、今後もしっかりと僕なりの視点で注目していきたいです。#リポビタンD #ユジコメ #ワンモ
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 20, 2021