21.09.22
新規感染者数を急激に減少させた、3つの要因
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「新規感染者数を急激に減少させた、3つの要因」
吉田：新型コロナウイルスの感染状況を評価する、厚生労働省の助言機関、アドバイザリーボードは先週木曜、全国の新規感染者数が、直近3週間で6割以上減少したと分析しました。また、全国の新規感染者数の1週間平均は、8月25日時点では2万3061人でしたが、9月15日時点では7495人となり、ほぼ3分の1に減少しています。人流＝人の流れが大幅に減ったという印象はないのですが、新規感染者数が急激に減少しています。これはどうしてなのでしょうか？
神庭さん：スマホの位置情報を収集・分析しているAgoopのデータによると、渋谷のスクランブル交差点や新宿・歌舞伎町など繁華街の人手は、夏以降も大きく変わっていません。にもかかわらず、全国の感染数は8月20日の2万5868人をピークに、大幅に減少に転じています。なぜ、感染者数が減ったのか。厚生労働省のアドバイザリーボードは、主な減少の要因を3つあげています。
1つ目は「連休や夏休みの影響が減り、長雨の影響などにより外出が減少した可能性」7月の4連休から夏休みにかけて20-50代のワクチン接種が行き渡っていない世代の行動が活発化しました。夏休み、お盆というのは家族や職場の同僚のように普段会う人「以外」との接触がどうしても増えがちです。夏休みが終わってそうした接触の機会が減り、さらに天気が崩れたことで外出も減ったのでは？というのがアドバイザリーボードの説明になります。「外出が減った」という言い方だと先ほどのAgoopの人流データと若干矛盾するようにも思えますが、接触の総数というより「普段会っていない人との接触が減った」と考えるなら、つじつまが合います。
吉田：新規感染者数が減少した要因、2つめは何ですか？
神庭さん：2つ目は、「感染者急増や医療ひっ迫の情報・報道で、行動変容が起きた可能性」これはみなさん、納得しやすいと思います。オリンピックが閉会した後、8月中旬からコロナに関する報道が急激に増えました。この時期に自宅療養者も急増していて、40代のお母さんが亡くなるとか、早産で生まれた赤ちゃんが亡くなるといった痛ましいニュースも相次いで報じられました。専門家からも「災害レベルの非常事態」という非常に強い言葉がでました。
こうしたニュースに接して、「他人事じゃないぞ」と警戒感が高まった。報道以外でも、職場とか学校とか身近なところで感染者が出るなかで、「自分ごと」として危機感を持つ人が増えたんだと思います。毎日新聞は《8月以降、カラオケや飲み会、バーベキューのSNS投稿が4分の1程度になった》と分析しています。もちろん、世間体を考えて実際には行ったけど投稿だけ我慢した、という線も考えられますが、日ごろアクティブに活動している層にも危機感が届いた可能性があります。
ユージ：新規感染者数が減少した要因、3つめは何ですか？
神庭さん：3つ目は、「ワクチン接種が現役世代を含めて進んできていること」7月1日時点で2回の接種を済ませていた高齢者は35%程度でしたが、そこから爆速で接種が進み、現在は88％超。全世代で見ても、同期間に11％弱から48％超まで増えています。若者や中年の間でまず感染が広がり、そこから高齢者施設や病院などでのクラスターにつながるというパターンがありましたが、ワクチンによってそうした流行のチェーンがある程度抑止できるようになってきました。朝日新聞によると、ワクチン接種が進む前の3月1日時点では、1週間平均の感染者に60歳以上が占める割合は30%でしたが、9月7日時点では8%まで減少しました。アドバイザリーボードの脇田隆字座長は「若者で感染が増え、若者で終わるようになった」と話しています。
ユージ：今は感染者数が減少していますが、リバウンドが心配になりますよね。リバウンドを防ぐためには、どのような対策が必要だと思われますか？
神庭さん：人流がそこまで減っていないのに、感染者数が激減しました。分かっていないことも多いですが、人流をものすごく減らさなくても、行動変容で一定の効果が得られるとしたら、ある意味では喜ばしいことです。だからこそ、どんなメカニズムで感染者数を減らすことができたのか、徹底的に分析することが重要になります。アドバイザリーボードの挙げた3つの理由以外にも、「涼しくなってエアコンを使う機会が減り、換気をしやすくなったのが良かったのでは？」などいろんな説が出ています。もし換気が理由なら、これから寒くなっていくに従って、また増えてしまうかもしれません。考えられる要因を一つひとつ潰して、次につなげる必要があります。理由の2つ目に挙げた「報道の影響」というのはある意味で怖い面もあります。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 22, 2021
『新規感染者数を急激に減少させた、3つの要因』
なぜ、感染者数が減少につながっているのか。感染者数の減少はいいことですが、ラッキーで終わらせるのではなく、今後の対策で活かすために、きちんと要因を調べることは大事だと思います。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 22, 2021
今回の感染者数減少の要因として考えられることの1つ目は、長い雨が続いたり、夏休みがあったり、緊急事態宣言が出ていたりと、外出する機会が減少したこと。2つ目は、感染者数の急増や医療のひっ迫などの報道を受けての行動の変化。3つ目はワクチンの接種が進んでいること。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 22, 2021
ワクチンに関しては接種したくないという方もいますし、接種したくても何らかの理由で出来ないという方もいます。とはいえ、ワクチンの接種が進んで感染者数が減少しているというのは、何かしらワクチンによるいい影響があったのかもしれないと考えられます。
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— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 22, 2021
これら3つの要因が複合的に合わさったことで、感染者の減少に繋がっているのではないかと思います。いずれにしても、感染者数の減少は皆さんが目指しているところなので、もっと減らしていきたいですし、本当のところ、コロナがなくなるというのが一番の目標です。
#ワンモ #ユジコメ��
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 22, 2021
しかし、一つ心配なのがリバウンドです。これまでも、何度も感染者数が急激に増えて、みんなの努力で減少しても戻っての繰り返しでした。今回減少させたことをどこまで維持できるか、次に活かすか。そのためには、しっかり要因を探ることが必要なのかなと思いました。
