23.05.01
新型コロナウイルス感染症の5類移行正式決定、医療体制は大丈夫？
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
【新型コロナウイルス感染症の5類移行正式決定、医療体制は大丈夫？】
吉田：新型コロナの感染症法上の位置付けについて、ゴールデンウィーク明けの8日に、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行することが正式に決まりました。これによって国内の医療体制や感染者の費用負担などが、これまでと大きく変わります。そこで、改めてどう変わるのか？病床不足などは大丈夫なのか？5類に移行する前に、私たちが知っておくべきことについて、神庭さんに解説していただきます。まずは、改めて5類移行で何が変わるのか教えてください。
神庭さん：大きいところだと7日間外出自粛だったんですが、今後は5日間外出を控えてくださいというのを推奨しますといういう形になるんですが、それに代表されるように季節性インフルエンザと同じような扱いにしていく、有事から平時の体制に移していくということなんです。医療体制も変わりまして、外来診療は現在は約4万2000の医療機関、発熱外来が担っていますが、来年4月までに段階的に受け皿を広げて、6万4000の医療機関で診察できるようにします。入院患者に関しても対応できる医療機関が増えるとされていて、読売新聞によると、いまは4900の医療機関で最大5.3万人入院できる状態ですが、すべて計画通りにいけば9月末までに全体の9割に当たる7400の病院と、1000箇所の診療所、あわせて8400の医療機関がMAX5.8万人の入院患者を受け入れられるようになるということです。
吉田：検査費用や医療費の自己負担はどうなるんでしょうか？
神庭さん：各自治体が無料でPCR検査や抗原検査などをやってきましたが、今後は終了し、自費で受けるようになります。病院で検査を受けた場合、70歳未満の人は3割負担なので、2000円〜3000円台の自己負担を求められる見通しです。医療費に関しては、NHKが報じている厚労省の試算が参考になるんですが、それによると、70歳未満の人の負担額は解熱剤やコロナ治療薬のラブゲリオを処方した場合、検査料含めて最大4170円となります。季節性インフルの治療でタミフルを処方した場合が最大4450円なので、おおむねそれと同じくらいですね。ただ、これは9月末までの公費負担を踏まえた金額。公費負担がなくなると、コロナ治療薬の自己負担は3万円を超える恐れがあるので、何らかの手当が必要になるのではないかと思います。
ユージ：3万円超えるのはちょっとキツイですね。あと医療体制ですが、本当に計画通りに確保できそうでしょうか？
神庭さん：計画倒れになることを不安視する声も出ています。これまでコロナ患者を受け入れていなかった医療機関が新たにどれだけ受け入れてくれるか未知数なうえ、すでに受け入れていた病院でも、コロナ向け病床を減らす動きが出ています。医療機関はコロナ患者向けに病床を確保しておくことで多額の補助金がもらえていたわけですが、その金額が大幅に削減されてしまうんですね。病院経営を考えると、だったらコロナ以外の通常医療に病床をもっと振り向けよう、という判断になるのはある意味当然かなと思います。緊急時にはコロナ対応の補助金を手厚くする必要もあったと思いますが、補助金を受け取りながらコロナ患者の受け入れを断る「幽霊病床」問題も発覚化した以上、削減はやむを得ないのかなと思います。
吉田：医療体制以外ではどんな変化がありますか？
神庭さん：毎日の感染者数の報告がなくなり、1週間に1回毎週金曜日の発表になります。これまでは全数把握だったんですが、全国5000の医療機関での定点把握に変わります。5月19日から週1の定点把握に切り替わる予定です。死亡者数がまとまるのは2ヶ月後になるということです。医療機関や保健所の負担はこれでかなり軽くなるのではないかと思います。流行の起こり始めの時期や、変異株が急速に広がっている時などに、素早く察知できるような監視体制だけは整えておいてほしいなと思います。
ユージ：水際対策はどうなるのでしょうか？
神庭さん：もともとは5類移行のタイミングで5月8日から水際対策を緩和する予定だったんですが、タイミングを早めて4月29日午前0時で終了しました。連休中に海外へ行った旅行者が、帰国する際の対応をスムーズにするのが狙いです。共同通信によれば、これまでの水際対策では、すべての入国者にワクチンを3回以上接種した証明書か、出国前72時間以内の陰性証明書の提示を求めていましたが、それが不要になりました。
ユージ：5類移行について神庭さんはどう考えていらっしゃいますか？
神庭さん：正直、移行までにかなり時間がかかってしまったな、という印象は持っています。理想的には去年のうちに5類移行できていればなお良かったんですが、日本社会として受け入れていくのにそれだけ時間が必要だったということかと思います。ただ一方で足もとでは、じわじわと感染者数が増えていまして、水際の緩和やGWの移動も重なると、これから1ヶ月で感染者数もかなり増えるのではないかと思うんですね。そうなってからアタフタしないように、重症者や妊婦、高齢者向けの病床確保をしっかり進めてほしいと思います。また、5類に移行するからといって、ウイルスの性質が変わるわけではないですし、基礎疾患のある方や高齢者の方などは引き続きご注意いただいて、感染対策に留意してもらいたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ��
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2023
今朝のテーマ「新型コロナの５類移行正式決定、医療体制は大丈夫？」
5類移行により国内の医療体制や
感染者の費用負担等が大きく変わります。
なかでも僕が気になったのは、前倒しで終了した水際対策。
緩和され、外国からの帰国がスムーズになりました。#ワンモ
#ユジコメ��
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2023
実際に僕は去年ニューヨークから帰国する際に、
現地で陰性証明書を取得するのが大変でした。
帰国してからも指定のアプリによる手続きは大行列で、
スムーズになるはずのシステムは、感染対策になっているのだろうかと
疑問が生まれましたが、これが緩和されるのは良いことです。#ワンモ
#ユジコメ��
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2023
ただ、一方で水際対策の緩和やGWが重なることで、
再び新型コロナの感染者も増えてきています。
そうなった時、新たな医療体制でも国内の病床確保が
しっかりとできるように受け入れ体制を整えることで、
それぞれの対策が良くなっていくことを願っています。#ワンモ
