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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.09.05

多い?少ない?こども家庭庁 概算要求6兆4,600億円

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「多い?少ない?こども家庭庁 概算要求6兆4,600億円」

吉田:各省庁が2025年度に必要な予算額を示す概算要求が、8月30日に締め切られ、一般会計の総額は117兆円超で過去最大となりました。総額は4年連続で110兆円を超え、2年連続で過去最大を更新しています。その中で少子化対策などを推める”こども家庭庁”の概算要求は、前年度から2,394億円増の6兆4,600億円となっています。


吉田:塚越さん、”こども家庭庁”の概算要求の中身はどうなっていますか?


塚越さん:まず新規事業としては、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを確認する「日本版DBS」という制度です。2026年の開始に向けたシステム開発費などに19億円を予算計上されています。また地域の不登校の子供や保護者を支える、専門の支援員を新たに配置する事業に2.6億円。他には、入院中の子供がサポートを受けながら家族と過ごせるホスピスの普及といった環境改善のための事業に1.9億円。その他、大枠でいうと例えば児童手当の拡充といったより良い子育て環境の提供に約2兆5,000億円。保育の質の向上に約2兆円。また、児童虐待の防止やヤングケアラー支援におよそ4,400億円の予算が計上されています。他にもいろいろとありますが、例えば民間企業と連携して若い世代への結婚支援の強化策なども挙げられます。


ユージ:新しくできた”こども家庭庁”の役割、色々とありますね。


塚越さん:そうですね。一方で、政府の「こども未来戦略」に明記されている3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」を対象にした大学授業料の実質無償化などについては、金額を示さない「事項要求」とされています。要するに、現時点で予算が決まっていないというもので、内容だけ書いて金額は書かないということです。子ども家庭庁に限ったことではありませんが、コロナ前まで事項要求は珍しいものだったのですが、コロナ後は事項要求が増えて、結局、概算要求よりも予算が増えてしまうことが多くなっています。例えば、2023年度の予算は物価高対策や防衛費の分野で事項要求が増えて、結局、概算要求額より4兆3,000億円も予算が増えることになりました。そういう意味では、社会的に注目される多子世帯の大学授業料の実質無料化の予算については、今のところよく分からない部分があるので今後も、きっちりみていかなくてはなりません。


ユージ:塚越さん、この6兆4,600億円で少子化対策は進むと思いますか?


塚越さん:岸田政権は去年から「異次元の少子化対策」を掲げていますよね。今年になってからは、子ども・子育て支援金の「実質負担ゼロ」を打ち出しています。これ、今年の2月頃に話題になったもので、支援金を医療保険料に上乗せして徴収するというもので、2028年度には月500円程度になると岸田総理が国会で話しています。その後、批判を受けて実は500円よりも上がるのではないかという話です。この時、岸田総理は、「実質負担ゼロ」について、歳出改革と賃上げを進めて国民の負担率を軽減できた範囲内で支援金を徴収すれば負担は増えないと話していましたが、みなさん分かりますか?


ユージ:これ、分かりづらかったですね。


塚越さん:分かりづらいですよね!簡単に言えば、医療費を削減してさらに賃上げすれば、支援金分を国民から徴収しても「実質負担ゼロ」ということなのですが、サンドウィッチマンのゼロカロリー理論ではありませんが、社会保障の歳出改革と言っていたのに、結局、厚生労働省の予算も増えています。今の概算要求段階では過去最高額になっています。さらに年金や医療、介護などの社会保障費に限っても1.1%増えていて、削減が全くできていません。こども家庭庁の問題というよりも、政府の言っていることに信頼がおけない状況になっています。これだけ予算が膨れている中でどれだけできるのかというのはやっぱり、子ども家庭長もそうですが全体を見ていかないといけないなと思います。


ユージ:こども家庭庁の概算要求6兆4,600億円、この金額についてどう見ますか?


塚越さん:全体で今回の一般会計の総額が117兆円です。子ども家庭庁も増えているのですが、先ほど話した厚生労働省も去年よりも4,500億円以上増えて、34兆2,763億円を求めています。また防衛省は、前年度の10.5%増で8兆5,389億円と10%ほど増えています。なので、こども家庭庁だけが増えているのではなく色々なところが増えているということもあるので、そこは珍しいことではありませんが、かといって全体的に色々なことが増えています。先ほど話した事項要求があるので、もっと増える可能性があります。これは、我々がチェックしていかないと勝手に増えていく一方なのでなかなか大変ですが見ていくことを忘れないようにした方がいいです。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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