24.09.09
自民党総裁選、注目の争点は?
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「自民党総裁選、注目の争点は?」
吉田:今週木曜日の公示日を前に、出馬表明が相次いでいます。そうしたなか、石破茂元幹事長が打ち出した金融所得課税見直しなど、候補者の打ち出した政策も総裁選の争点に浮上してきています。そこで今朝は、これまでに上がってきている総裁戦の争点について、神庭さんに解説してもらいます。まず金融所得課税について、どういったものなのか?教えてください。
神庭さん:株式や投資信託、預金などの金融商品にかかる税金のことです。現状では一律20%。給料にかかる所得税は累進課税で高くなるほど上がり、最大45%。住民税も合わせると55%になりますが、金融所得課税はどんな資産家でも20%で済みます。お金持ちほど金融所得の割合が高いため、「1億円の壁」といって所得が1億円を超えると税の負担率が下がる逆転現象が起きています。不公平なので富裕層にも応分の負担をしてもらおうと金融所得課税の強化を求める声が出ています。
ユージ:各候補者の意見、主張はどうでしょうか?
神庭さん:石破茂さんは金融所得課税を「実行したい」と表明しています。日経ビジネスによると、小泉進次郎さんは「貯蓄から投資への流れを止めるべきではない」、河野太郎さんは「再分配の強化をしなければいけないところはありますが、少なくとも今ではない」、コバホークこと小林鷹之さんは「今は増税ではなく、中間層の所得をどうやって増やすのかに重点を置くべきだ」と一様に否定的な考えを示しています。反発を受けたためか、石破さんは後日「新NISAやiDeCoへの課税強化は毛頭考えていない」と釈明しています。高市早苗さんは、前回2021年の総裁選では「2%のインフレ目標を達成した後」という条件をつけたうえで、年間50万円以上の金融所得にかかる税率を20%から30%に引き上げることを提案しています。今の段階でどう考えているのかは、ぜひ今回の総裁選で語って欲しいです。
吉田:他に総裁選で注目の争点は何でしょうか?
神庭さん:小泉進次郎さんや河野太郎さんが訴えている解雇規制の緩和です。金融所得課税は反対も多いので出現するか微妙な所ですが、解雇規制は実現する可能性が高いです。実現した場合、日本の終身雇用制が完全に終わる可能性があり、国民生活への影響は非常に大きいです。小泉進次郎さんは記者会見で「賃上げ、人手不足、正規非正規格差を同時に解決するため、労働市場改革の本丸、解雇規制を見直します」「来年、法案を提出します」と発言しました。河野太郎さんもダイヤモンド・オンラインのインタビューで「現状だといったん雇うと未来永劫抱え込まなければいけないから躊躇して、ならばパートにしよう、派遣にしようとなりがちです」「人を正規で雇えるよう、柔軟に企業が採用できる労働ルールに変えていきます」と語っています。
ユージ:解雇規制の緩和、メリットとデメリットは何でしょうか?
神庭さん:経営者側から見るか、労働者側から見るかで180度変わってきます。経営者側からすれば、労働者のクビが切りやすくなるのはメリットですし、働き手からしたら雇用の安定性が失われるのはデメリットです。社会全体で見ると、労働市場の流動化が進み、生産性の低い業界から生産性の高い業界へ人材のシフトが進むことで、国として生産性が上がるのはメリットかもしれません。終身雇用が前提だと、企業が大胆な賃上げに踏み切るのは難しいですが、そういう縛りがなくなれば能力や働き次第で高い給料を払うということもやりやすくなります。一方で、「リスキリング」の名のもとにリストラが横行して、失業者があふれて中間層が没落するようなことになると、経済格差が広がり、不満が充満して治安が悪化するということもあります。
ユージ:メリットとデメリット、どちらもありますね。
神庭さん:劇的な効果と大きな副作用の両方が起こり得る諸刃の剣のような政策かなと思います。小泉進次郎さんは、中小企業ではなく大企業に限定した政策だと発言しています。現状、会社側は配置転換や希望退職者の募集など解雇回避のために努力する必要がありますが、リスキリングや再就職支援を義務付ける形にして修正できないかと小泉進次郎さんは考えているようです。河野太郎さんは、解雇の際の金銭補償についてルール整備を進めています。一方、石破茂さんは解雇規制の緩和に慎重な考えだということです。弱肉強食で日本社会が荒廃しないように、セーフティーネットのあり方も含めて、議論していきたいなと思います。この「解雇規制の緩和」については、水曜日のトレンドネットで改めて塚越さんが、特集してくださる予定です。
吉田:それ以外に神庭さんが注目している政策は何でしょうか?
神庭さん:税と社会保険料の国民負担です。茂木敏充さんは「増税ゼロ」を表明しました。有権者からしたら嬉しい話ですが、岸田政権は防衛増税や少子化対策の支援金といった負担増の政策を打ち出してきました。茂木敏充さんは党幹事長だったわけでそこでの整合性が問われそうです。河野太郎さんは、現役世代の社会保険料負担の軽減という一大テーマを上げています。コバホークも社会保険料について言及しています。社会保険料の軽減は高齢者票を減らすので、これまでタブー視されてきましたが、どこまで踏み込むか注目です。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンDTREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 9, 2024
今朝のテーマは「#自民党 #総裁選、注目の争点は?」
僕が個人的に気になる争点は、日本が抱えている
「少子化対策」です。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 9, 2024
健康寿命が伸びて高齢者がどんどん増えている一方で、生まれてくる子供の数が多くないため、 必然的に少子高齢化になります。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 9, 2024
現在までも対策はされていますが、
次期総理になる人が少子化対策にどのくらい向き合えるかを考えた時に、注目の候補者として幼い子供がいる小泉進次郎さんの名前が多く上がっています。#ワンモ
#ユジコメ ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 9, 2024
懸念点があると言われていますが幼い子供がいることが1つの強みだと思うので、
僕自身、父親としては少子化対策が1つの争点として注目したいと思っています。#ワンモ