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24.10.28

きのう投開票が行われた衆議院議員選挙

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「きのう投開票が行われた衆議院議員選挙」

吉田:第50回衆議院議員選挙は27日投開票され、自民党と公明党の与党で215議席にとどまり、過半数を割り込みました。今回の選挙結果、神庭さんは何に注目しましたか?


神庭さん:1つ目は裏金問題への審判という側面です。「政治とカネ」の問題に対する有権者の怒りの強さを感じました。自民党の裏金議員の1人、東京7区の丸川珠代さんは泣きながら「どうかお助けください」と訴えたのですが、「お助け丸川」「助けてほしいのは国民の方だ」とSNSで失笑を買い、あえなく落選しました。東京24区の萩生田光一さんは「安倍派5人衆」の1人で、裏金額が5年間で計2,700万円以上あったのですが、政倫審に出席しませんでした。旧統一教会との関係性も報じられました。そこに立憲民主党は元参院議員で旧統一教会問題を追及してきた有田芳生さんをぶつけました。有田さんは知名度はあるものの、八王子の人ではありません。萩生田光一さんは何とか当選したものの、落下傘で地縁もない有田さん相手にかなりの苦戦を強いられました。左派色の強い有田さんが中間層や無党派を取り込みきれなかったことで、萩生田光一さんは首の皮一枚つながったのですが、有田さんの比例復活を許してしまいました。こういった自民党の状況にとってダメ押しになったのが、選挙戦終盤で明らかになった「裏公認料」問題です。


吉田:「裏公認料」について先週末大きく報道されていましたが、改めて説明お願いします。


神庭さん:自民党は裏金議員12人を非公認にして、このうち9人が衆院選に立候補しました。正規で公認を受けた候補者には公認料500万円、活動費1,500万円の合計2,000万円が支給されました。これは何も問題ありません。一方で、裏金問題で公認を外された候補者が支部長を務める政党支部にも、同額の2,000万円が支給されていました。石破総理は「政党支部に出したのであって候補者に出したわけではない」「選挙に使うことは全くない」と釈明したのですが、なぜ選挙の時期に公認候補と同額の2,000万円なのか?政党支部は事実上、候補者の財布のようなものです。石破さんは自民党を「ルールを守る政党にする」と言っていたのですが、その陰で「裏公認料」のようなことをやっているのは完全に国民をナメているという話です。


ユージ:公認に2,000万円、非公認に2,000万円、内訳を見ると、公認料は非公認についていませんよというのですが、逆に金額増えていますよね。


神庭さん:その通りで、石破さんも裏金候補に刺客を立てるくらいのことをやれば盛り上がったのですが、まるで逆のことをやってしまいました。当の裏金議員自身からも批判の声があがっていまして、萩生田光一さんは、「突然このような資金を振り込まれても、ありがた迷惑」と表明して2,000万円を返金しました。裏公認料騒動で、自民党への逆風は一層強まり、これで大きく票を減らしたのではないかと思います。


ユージ:野党の伸びについてはどう見ていますか?


神庭さん:日本保守党は、3議席を獲得しました。高市早苗さんを支持していた自民党の岩盤保守層の一部も、石破さんを見限って保守党に流れた可能性があります。立憲民主党が148議席に大きく伸びたのは「野党第一党バフ」で反自民票がなだれ込んだからと思います。野田佳彦代表になって共産党と距離感ができたことで、保守・中道層も票を投じやすくなりました。一方で、石破自民も野田立憲も経済財政政策は緊縮寄りで、どちらかといえば高齢者層を重視しています。「自民には入れたくないけど、民主党政権の時代を振り返ると立憲も嫌だ」とか「裏金批判より経済政策をしっかりやってくれ」という層は一定数おり、国民民主がそういう人たちの受け皿になったというわけです。その結果、国民民主は公示前の7議席から28議席まで4倍に大躍進を遂げたということです。埼玉14区で、国民民主の鈴木義弘さんが公明党の石井啓一代表を破っていますが、象徴的な事例だなと思います。


吉田:国民民主が伸びた理由、他にもありますか?


神庭さん:明確に現役世代をターゲットに据えたことが大きいと思います。「手取りを増やす」と訴えて、消費税を減税して「103万円の壁」を178万円に引き上げ、後期高齢者の医療費負担を原則2割に引き上げる一方で、現役世代の社会保険料を減らすなど、現役世代と高齢世代の世代間格差に着目した政策を積極的に打ち出しました。一方、同じように現役世代寄りの政策を掲げていた維新は関西以外で浸透できず伸び悩んでしまいました。兵庫県の前知事の問題などで響いた可能性があります。


ユージ:与党の過半数割れで、これからどうなるのでしょうか?


神庭さん:自民党は少数与党として苦しい政権運営を迫られます。石破おろし、ないしは内閣総辞職でもう一度総裁選という事態もあり得ます。連立の組み替えとなれば、国民民主や維新がキャスティングボートを握ることになります。ただ、即連立入りとなると支持者離れにつながる可能性があるので、そこのところは難しい判断に迫られます。両党とも連立を否定していますが、ここから先は「何でもあり」の未体験ゾーンになってきます。自社さ政権のように「総理のポストは渡すから連立組んで」みたいなパターンも考えられます。これから何が起こってもおかしくはないかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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