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24.10.29

石破総理、続投を表明 混乱する政界の今後

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「 石破総理、続投を表明 混乱する政界の今後」

吉田:石破総理は28日、党本部で記者会見し、与党が過半数を割り込み、大敗した衆院選結果について「極めて厳しい審判だ」としたものの、続投を表明。自民、公明両党による少数与党での政権継続に意欲を示しました。神庭さん、大波乱の政界ですが、これからどんなことが起こるのでしょうか?


神庭さん:与党は総理大臣を決める首班指名選挙を11月11日に召集したい考えですね。自民党はそれまでに少しでも多数派工作を進めたいところです。容易に想像がつくのは、裏金問題で非公認にした結果、そのあと当選した議員を追加公認することです。そのためには、裏公認料を払ったようなものですからそういうことをやるのではないかと思います。さらには、無所属の保守系議員であることや野党でフラフラしている議員で声をかけて一本釣りしちゃう。これもありえるシナリオです。1996年に自民が過半数割れしたとき、野中広務幹事長は、次々と野党議員を引き抜いて”つりぼり屋の親父”と言われました。今の自民党で誰が”つりぼり屋の親父”を行うか分かりませんが、森山幹事長かもしれません。あんまり派手にやると、これから協力を得ないといけない野党から反発されちゃう恐れもあるかなと思います。


ユージ:11月11日で調整に入った「首相指名選挙」ですが、改めて、どんな仕組みになっているのでしょうか?


神庭さん:国会議員の中から、総理大臣を選ぶ選挙で投票総数の過半数を得た議員に決まります。1回目の投票で過半数を獲得する議員が出なければ上位2人の決戦投票になります。実際、過去には4回決選投票が行われています。ここで、石破総理と書いてもらうために野党にお願いをするわけですが、その代わりに何かしら野党の要望を聞いてよ。政策を飲みこんでくださいということもあるかもしれません。あるいは連立に引き込むみたいな駆け引きが繰り広げられるという可能性があります。


ユージ:気になるのは座席数を伸ばした野党です。野党はどう出てくると思いますか?


神庭さん:野党第一党の立憲民主は、他の野党にも代表の投票を呼び掛けていく考えです。とはいえ野党の間でもかなり考え方に隔たりがありますので、野田総理にまとまれるかどうかということですが、現時点では可能性が0ではありません。そこまで高くないと思います。そして、キャスティングボードを握る維新は自民との連立を否定していまして、藤田幹事長はあくまで是々非々の構えで自民とも立憲とも党距離で話をしたいと話しています。そして、国民民主の玉木代表も与党と連立を組む気が無いときっぱり否定をしています。国民民主は、外交・安全保障やエネルギーなど政策面での一致を重視しています。この点が、右から左までかなり呉越同舟な立憲と嚙み合うのかどうかという部分、ここは見通せないところです。


吉田:選挙で負けましたが、石破総理は続投を表明しました。石破総理は、なぜ辞めないのでしょうか?


神庭さん:はい。フジテレビ客員解説委員の平井文夫さんが自民党が選挙で大負けしたのに、石破総理が【「辞められない」本当の理由とは?】という記事で解説しているのですが、石破総理が辞めた場合、自民党は新しく総裁を決めないといけません。前回の総裁選で石破総理と競った高市早苗さんや林芳正さんなど色々な人の名前が挙がっていますが、新総裁をガチンコで選ぶとしたらそこで党内対立が激化して最悪の場合、自民党が分裂するかもしれません。それが分かっているからこそ、石破総理も今は辞められないということです。このまま辞めると超短期決戦で終わってしまいますから、国民からすると「石破総理、もう終わったのかな」と思っていますが、石破総理からしたらまだ始まっていないという気持ちかもしません。


ユージ:政界の今後について、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:少数与党だとやはり政権より厳しいです。過去のケースをみると1994年の羽田内閣は、たった64日の短命政権に終わっています。今のところ与党も野党も表向き、連立の組み換えを否定しています。そうなると、現実的な落としどころとしては各政策とか法案ごとに協力しあうパーシャル連合。部分連合という形になってくるかもしれません。これ合意形成に時間がかかるのですが、丁寧に話し合って、合意形成を進めていくこともそれはそれで1つの民主主義の形なのかなと思います。ただ、そのやり方で息詰まるようだとやっぱり連立を組んで安定させないとダメという話が出てくる可能性もあります。国民民主や維新からすると衆院選でファイティングポーズをとったばかりですから、今すぐ連立を組んだら有権者に顰蹙を買っちゃうのではないかなど来年の参院選でしっぺ返しがくるのではないかなど、色々心配があるんだと思います。1994年の「自社さ連立政権」では、自民党は学術会議に人文・社会科学系の会員比率を見直すというウルトラCを行いました。その結果、社会党の支持者が裏切られたということで、政党の寿命が縮まることにもなりました。ですが、それに比べると国民民主や維新と自民の政策の距離感はそこまで大きくないと思います。なかには、裏切られたと思う方もいると思いますが、政権に入ってどんどん政策を実現してくれ、実行してくれと思ってくれている支持者も同じくらいいるんじゃないかなと思います。もちろん、パーシャルにはパーシャルの良さがあると思いますが、連立は裏切りだ!みたいにことさら無視する必要もないのではないかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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