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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.10.31

政権交代を目指す野党の経済政策

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「政権交代を目指す野党の経済政策」

吉田:衆議院選挙の結果、衆院選の過半数を制する勢力が存在しなくなり、議会は宙ぶらりんの状態になっています。与野党は、首相指名選挙が行われる予定の11月11日の特別国会に向けて、政権枠組みの駆け引きに動き出しています。そこで気になるのは、我々の生活にも直結する経済政策。今朝は、政権交代を目指す”野党”の経済政策について、塚越さんと一緒に考えていきます。


ユージ:まず、最大野党となった立憲民主党の経済政策を見ていきましょう。


塚越さん:まずは、衆議院選挙の時の公約を中心にみていきます。最低賃金の引き上げなど色々ありますが、注目すべき点は立憲民主党は「分厚い中間層の復活」を目指していて、そこで「給付付き税額控除」という、経済対策を掲げています。これは、中〜低所得世帯が負担する消費税の半額相当分を、消費税から控除します。それでも控除しきれない分は「給付する」という仕組みです。消費税は所得の少ない世帯ほど負担が大きくなる逆進性があるので、ここを解決しようというものです。またこれに伴い、現在8%になっている軽減税率は廃止して、給付付きの税額控除に置き換えようと提案してます。


ユージ:塚越さんは、「給付付き税額控除」どう思いますか?


塚越さん:言いたいことは分かりますが、リスナーの方も1回聴いて、ん?複雑だな?と思ったのではないでしょうか?


ユージ:難しいかもしれませんね。


塚越さん:消費税の半額相当を控除するということなんですが、この半額相当の計算は個人がする必要はなくて手続きはなるべく簡略化すると立憲民主党が述べています。制度としては結構複雑なのかなと思います。食費など、8%の税率が10%ということなので、その分、負担があるという側面があります。


ユージ:複雑になってしまうと感じた時点で、効果があっても分かりづらくなってしまいますよね?


塚越さん:重要ではありますが、確かに分かりづらい点ではありますね。


吉田:では、公示前の7議席から4倍の28議席へと、大幅に議席を増やした国民民主党の経済政策は、いかがでしょうか?


塚越さん:自民党との連立入りは否定している国民民主党は、現役世代に向けた政策によって、今回躍進しました。ともかくスローガンが「手取りを増やす」と分かりやすいですね。内容としては、消費税を5%に減税、インボイス制度の廃止。所得税の減税策として、基礎控除等を103万円から178万円に引き上げる、いわゆる年収「103万円の壁」を撤廃するということです。あとは、立憲民主党も主張していますが、「トリガー条項」の凍結を解除して、ガソリン価格を引き下げることなども述べています。


塚越さん:さらに言うと、30歳未満の若者に対する「若者減税」で、所得税負担の軽減も掲げています。やっぱり非常に狙いを定めていて、あとは103万円の壁の突破など「分かりやすい」という点も今回の躍進に繋がったかなと思います。


ユージ:政治の話って、詳しい人はいいですが、そうではない方もいる中で難しいことが多いと思うので、分かりやすく伝えることはすごく大事なことですね。”若者減税”というのもキャッチフレーズとしてはすごく面白いのですが、例えば若者の線引きがどこかによっては不公平じゃないと思う方々もいるのかなと思います。


塚越さん:確かに、そういう課題がありますね。


吉田:他の野党の経済政策は、いかがでしょうか?


塚越さん:日本維新の会は、消費税を10%から8%へ引き下げることや、所得税や法人税の減税で可処分所得を増やして、現役世代や子育て世代をサポートする政策が多いです。消費税については、れいわ新選組も消費税の廃止か、最低でも5%に減税を掲げています。共産党も消費税に同様のことをいっていて、大企業への課税強化も主張しています。消費税については、自民や立憲が消極的なのに対して、その他の野党は概ね減税や廃止を掲げているところで、最大野党と与党が似ているという不思議な状態にあるのかなと思いますね。


ユージ:塚越さんは、野党の経済政策は実現可能だと思いますか?


塚越さん:色んなことがありますね。多くの野党で最低賃金の引き上げなどが掲げられていますし、石破総理も基本的にはそういうことを言っています。先ほど言ったように、消費税の減税については現状では自民党と立憲が消極的なので簡単にはいかないのかなと思います。昨日までのニュースで、国民民主が103万円の壁問題やトリガー条項の凍結解除等で協議に入る方針、という報道があったので、こうした政策は通るのかなと思います。個人的に、この103万円の壁は結構多くの人の利益になるので通ってくれるといいなと思います。あとは、国民民主党は連立入りは否定しているので、部分的なパーシャル連合の協力関係になると思いますけれども、どうであれ自民の無事故の単独過半数というのが、無になった今の状態だと結構野党と協議さえすれば通るところもあるということで、単独過半数が変わるといろんな面が通りやすくなるということがあるので、こういう意味では政治がかなり動いています。僕は、いい意味で動いているのかなと思います。これは選挙の結果なのかなと反映していると思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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