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24.12.17

来年、風営法の改正案を提出へ。悪質ホスト問題の本質。

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「来年、風営法の改正案を提出へ。悪質ホスト問題の本質」

吉田:悪質なホストクラブで女性客が多額の借金を背負い、売春などを迫られている問題をめぐり、石破総理は来年の通常国会に、風俗営業法の改正案を提出する考えを示しました。神庭さん、この問題は何度か取り上げていただいていますが、悪質ホストはどんどん社会問題化していますよね。


神庭さん:ホストクラブは、初回は数千円くらいで安く飲めるのですが、2回3回と通ううちに5万円、10万円が平気で飛んでいきます。


ユージ:初回、数千円でいけるんですね。


神庭さん:安いですよ。入り口はね。その場で支払えない場合、売掛金として後からツケで払わせる。ハッキリ言えば借金。回収できずに客に飛ばれると、ホスト本人が被らないといけないので、ホスト側も必死になります。「風俗で働けばすぐに稼げるよ」と甘い言葉で誘導するような悪質ホストもいて、社会問題化しています。


ユージ:これ自体は、よくニュースになっていますが、最近だと、どのような事件が起きていますか?


神庭さん:時事通信によれば、「稼ぎが少ないと会えない」と言って女性客に売春させようとしたとして、新宿・歌舞伎町のホストが先月までに売春防止法違反容疑で逮捕されています。「額が少ない。最低でも10万円」「他の子は稼いでいるから挽回しよう」などと女性にメッセージを送信。女性が売春防止法違反容疑で逮捕された際には「今度は逮捕されないよう稼ごう」「俺とのLINEを非表示にしろ」など指示したようです。


ユージ:えげつないですね。悪質ですね。


神庭さん:大久保公園周辺の立ちんぼも大量摘発されています。今年1〜11月の間に、警視庁は88人の女性を売春防止法違反容疑で摘発しています。前年同期は135人でしたので、だいぶ減ってはきましたが、24歳以下が全体の55.7%を占めていて、16歳の女性も逮捕されるなど低年齢化が進んでいます。動機としては「ホストやメンズ地下アイドルに使うため」が最も多く31%。マインドコントロールのように女性客を型にはめて落とすマニュアルがあり、研修も行われています。金づるからお金を引っ張り、ホスト沼に落とす悪質な手法がシステム化されてしまっている状況があります。


吉田:風営法の改正はどんな内容になりそうでしょうか?悪質ホスト問題を改善できるものになるのか気になります。


神庭さん:まず「売掛金」の規制ですが、売掛金自体はホスト以外でも幅広く行われている商習慣なので、ここに網をかけるのは難しいかもしれないです。もう1つ、風俗店には「スカウトバック」と呼ばれるシステムがあります。風俗店に女性を斡旋したら、その女性が稼いだ額の10%とか15%が紹介者に半永久的にチャリンチャリン入り続ける仕組み。ホストがスカウトに女性客を紹介し、スカウトは女性を風俗店に斡旋する。自分の店でお金を使わせるだけでなく、スカウトバックでも搾り取るわけです。現状だと、斡旋した側は罪に問えるのですが、スカウトバックを支払う風俗店側はお咎めなし。そこで警察庁は支払う側の規制強化も視野に入れているようです。悪質ホストクラブの新規出店を禁じることも検討しているそうです。


ユージ:規制したら、また違う抜け道を考えそうですが、悪質ホストへの対策について、神庭さんはどう思いますか?


神庭さん:これだけ社会問題化しており、業界が自浄作用を発揮できていない以上、一定の規制強化はやむを得ないかなと思います。ホストで借金漬けになった日本人女性が海外にまで出稼ぎ売春に行くような状況は放置できないですよね。40代のおじさんがキャバクラ嬢に入れあげて消費者金融で数百万円借金しても、大して同情されません。「年甲斐もなく…」と呆れられるだけで、悪質ホスト問題と何が違うか?というと、客の年齢が大きいと思っています。お金に余裕のあるマダム、太客がホストクラブで一夜の夢を買う分には何も問題ないです。若くて判断力に乏しい、お金のない細客に太客ばりの多額のお金を使わせようとするところに歪さががあるわけです。対象年齢を25歳以上に引き上げたら、多くの問題が解決するんじゃないかなと思います。ただ一方で、とにかく規制しろ!ではなく、実効性も考えないといけません。


吉田:それはどういうことでしょうか?


神庭さん:「依存体質の人たち」は、ホストがダメとなれば、また別の依存先を探すだけです。メン地下かもしれないし、占いとかギャンブル、また別のジャンルかもしれません。スカウトバックに関しても、じゃあ店舗じゃなくて大久保公園で立ちんぼしようとなったら意味がありません。過去に店舗型風俗店を規制した結果、今度はデリヘルが流行り、より監視の目が行き届きにくくなったということがありました。法改正の方向次第では、店舗型のホストクラブが衰退する代わりに、出張ホストが流行るということもあり得ます。だから、「とりあえず見えなくすればいい」ではなく、規制強化の作用・反作用もよく考えないといけません。


ユージ:提出される予定の風俗営業法の改正案、何に気をつけるべきでしょうか?


神庭さん:風営法は1948年にできた非常に古い法律です。何か新しい娯楽が流行るたびに、古い旅館みたいに母屋に離れを継ぎ足して規制範囲を続けてきました。風営法の条文をいじることで、ホストとは無関係の業種にまで過大な規制の網がかからないように注意しないといけません。そういったことも含めて法改正、規制強化を検討する方がいいのかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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