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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.05.26

ナフサ問題「足りている」「足りない」ギャップのワケ

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターはダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【ナフサ問題、政府は「足りている」、一方、現場は「足りない」。ギャップのワケ】

吉田:中東危機に端を発したナフサの供給不安が広がっています。政府は「全体としては足りている」とする一方、流通現場からは不足感を訴える声があがっています。なぜこうしたギャップが生まれるのでしょうか。神庭さんに解説してもらいます。


ユージ:まず、ナフサをめぐる最近の動きについて教えてください。


神庭さん:カルビーがインク不足でポテトチップスやかっぱえびせんのパッケージを白黒にするという発表は、写真のインパクトもあってかなり衝撃を呼びました。ファミリーマートもサンドイッチなどに印刷する「ファミマル」のロゴを白黒にする方針です。ローソンはコーヒーのフタをプラスチックから順次、紙に切り替えるということですね。日経新聞によると、イトーヨーカ堂は食品トレーのプラスチック製のフタをラップに変更して、焼き鳥などもバラ売りにするということです。各社、涙ぐましい努力で何とか価格を抑えつつ、商品を供給しようとしているということです。


ユージ:ONE MORNINGでも神庭さんが取り上げてくれましたが、ポテトチップスの件はビックリしました。


神庭さん:政権内部からは苛立ちの声も出ています。朝日新聞によれば、官邸幹部はカルビーの対応を「売名行為」と非難。政権幹部は「不満が広がれば、矛先が政権に向かいかねない」と警戒しており、総理周辺も「カルビーは過剰反応だ。報道されて他社も不安になる」と懸念しているということです。誰だか分かりませんが、その辺の官邸幹部よりカルビーのポテチの方がよっぽど有名ですから、カルビーに売名行為をする理由はないんですよね。消費者が慣れ親しんだパッケージを白黒に変更せざるを得ないというのは、かなり苦渋の決断だったんじゃないかなと思います。高市政権としては「ナフサ由来の化学製品の供給は年を越えて継続できる」と訴えていますから、水を差すような動きに見えたのかもしれないですね。


吉田:政府が「足りている」とする一方で、現場から「足りない」という声があがっているのはなぜなんですか?


神庭さん:21日に開かれた中東情勢に関する関係閣僚会議で、高市総理は流通過程での「3つの目詰まり」を原因に挙げました。1つ目は、“川上”の石油化学メーカーが、翌月の原料供給量を未定と伝えた結果、“川中”の商社やシンナーメーカーが自発的に供給量を絞ったケースです。「来月は未定です。」と言われたら、取引先はあたふたしちゃいますよね。2つ目が、一度、シンナーの供給制約を通知した後に、供給量が回復したにもかかわらず、それを供給先にタイムリーに伝えなかったケース。そして3つ目が、大規模修繕工事の一部を受託した塗装事業者が、シンナー不足の不安から、通常は小分けに発注していたものを一括発注し、“川上”の出荷に影響を与えてしまったケースです。まとめると、供給の見通しがきちんと共有されないとか、事業者の間でタイムリーなコミュニケーションができていない、あるいは“川下”が実績以上の発注をして出荷が混乱する、といった問題が起きているようです。


ユージ:特に目詰まりが懸念される業種は何でしょうか?


神庭さん:高市総理は目詰まりが頻繁に起きている業種として「工務店」「自動車整備工場」「パン・菓子などの販売店」を挙げ、実態把握と目詰まり解消に取り組んでいると語りました。また、マンションや戸建て住宅に関しても、現時点で引き渡しの遅延などは生じていないものの、一人親方や工務店を含む“川下”の事業者が目詰まりを感じているということです。大口の取引先がどうしても優先されてしまうので、交渉力の弱い小規模事業者が後回しにされることで、局所的に不足感が強まっている可能性があります。


吉田:ナフサ問題、神庭さんはどう見ていますか?


神庭さん:「足りている」と言っている政府と、「足りない」と訴える現場、どちらかがウソを言っているという話ではなくて、マクロで見ると足りているように見えるけれど、モノが偏在していてミクロで見ると足りない、ということは現実に起こり得るんですね。ナフサ問題を読み解く1つ目のキーワードが「予言の自己成就」です。多くの関係者が「足りなくなるのではないか」と予想することで、不足「感」の「感」が取れて、本当の「不足」に変わってしまう。結果として、予言を自分で実現してしまうわけです。2つ目のキーワードが「合成の誤謬」です。“川上”の業者が「パニックや買いだめが起きないように少しずつ供給しよう」と考えて、“川下”の事業者は「不足に備えて、少し多めに発注しよう」と考える。それぞれが合理的な行動をとったはずが、全体としては目詰まりを招いてしまうということですね。


ユージ:これはどうしたらいいんでしょうか。


神庭さん:今できることとしては、ガソリン補助金は今すぐやめるべきじゃないかなと私は考えています。消費者は結果としてガソリンをジャブジャブ使ってしまいますし、製油所の方も、ナフサよりも利益が出やすいガソリンを優先することになります。政策が歪みを生んじゃうんですね。1日でも長く石油やナフサをもたせるために、早く省エネとか節約宣言を出すべきなんじゃないかなと私は考えてます。もちろん、今のアメリカとイランの交渉次第ではありますけれども。必死に供給に取り組む企業を「売名」ではないかという風にするのは、私は間違ってると思います。一方で、以前から高市政権に批判的だった人たちが、ここぞとばかりに攻撃材料としてナフサ問題を使うのもおかしいのではないかと。今は戦後最大のエネルギー危機です。たとえ総理が石破さんでも、岸田さんでも対応には相当苦しんだはずなんですよね。日本全体が協力して乗り越えなければいけない難局ですから、ナフサを政治問題に利用するべきではないと思います。

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