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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.02.05

空き家の窃盗被害が増加、去年は11億円…どんな対策が必要か?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「空き家の窃盗被害が増加、去年は11億円…どんな対策が必要か?」

吉田:空き家の金品を狙った窃盗事件が増えています。読売新聞によりますと、全国の去年の被害総額は11億円を超えたということです。塚越さん、窃盗被害の前に、まずは「空き家の現状」について教えてください。


塚越さん:空き家にも色々な定義がありますが、基本的には1年以上「住むことがない」建築物を指していて、この中には、売りたいけど1年以上売れていない家なども、空き家に該当します。その上で総務省の2023年の調査によると、全国の総住宅数はだいたい6,500万戸なのですが、その中で空き家がおよそ900万戸と過去最高を更新しています。この空き家900万戸のうち、居住や賃貸を目的としていない「放置空き家」は、だいたい386万戸で30年前と比べて約2.6倍に増えています。


吉田:その空き家で、窃盗被害が増えているんですね?


塚越さん:警察庁によると、空き家を狙った侵入窃盗事件は去年の1月〜11月でおよそ8,200件。被害額は約11億6,000万円です。統計を取り始めたのは2020年からですが、11月までのデータで最多ということで、空き家被害が増えています。地域別の件数でみると、最多が埼玉県で、群馬県や千葉県と関東に多いです。ただ、これまでは被害が少なかった東北でも、例えば山形では去年の同じ時期が1件だったのが94件に増加。岩手も7件から89件に増加しています。その他、中部では静岡や山梨、九州でも熊本や大分などで全国的に増えています。


ユージ:空き家が狙われるのは、どうしてでしょうか?


塚越さん:まず、空き家には「何もないでしょ?」と思う人も多いと思います。ですが、実際は実家で親が亡くなった空き家などは、仏壇の装飾品や家財道具が残っている場合もあったり、給湯器やエアコンの室外機などには金属部品などに価値があるものもあり、これらを盗んでスクラップ業者に売るケース等もあるということです。また、空き家は人目に付きにくくて、侵入した後も物色しやすい、事件発覚に時間がかかるという点があります。なので犯罪者にとっては、いろんな意味でリスクが低いということですね。さらに、近年は外国人の窃盗グループによる事件も目立つとのことです。例えば、群馬県警に摘発されたベトナム人の男女3人は、関東を中心に2023年9月〜2024年7月まで、空き家を中心に420件程度の窃盗を繰り返していたということです。また逮捕された別の外国人グループによると「日本の空き家は“家電”や“貴重品”が残っていると聞いた」と供述しています。警視庁幹部によると、比較的新しい空き家が被害にあっているということです。


ユージ:窃盗被害に遭わないようにするためには、どんな防犯対策が必要でしょうか?


塚越さん:空き家にも色々な種類がありますが、例えば、親が亡くなったり、施設に入居している場合に家財をそのまま実家に置いている人は少なくないです。残念ながら、こうしたケースは増えるかなと思います。こうした空き家、家財はありますが、一方で管理が難しいということで、家の前の雑草や庭木が伸びっぱなしになっていたり、郵便受けのチラシがたくさん入っていると犯罪者に目をつけられやすいということです。対策としては、「定期的に管理」をすること。また、人が近づくと明かりがつく「“人感センサー”付きの照明」だったり、夜間にだけつく「タイマー式の室内灯」、あとは踏むと音がなる「防犯砂利」というものも役立つということです。


ユージ:そうかー。空き家でも、こういったことをやった方がいいんですね。


塚越さん:そうですね。


ユージ:空き家の窃盗被害が増えていること、塚越さんは、どうご覧になりましたか?


塚越さん:防犯の話をしてきましたが、やっぱり限界がありますよね。空き家をどうするかも考える必要があると思います。まずは、リフォームやリノベーションをするとまだまだ住める家が沢山あります。例えば、最近だと、企業が空き家をリノベーションして、賃貸として提供し、家の持ち主と利益を共有するというケースもあります。「空き家バンク」という、所有者と利用者をマッチングするサービスもあるので、空き家を持て余している、という人は考えてみてください。あとは、外国の方が空き家を買ってリノベーションして住むなんていうケースもあります。築年数にもよりますが、そういったことも方法の1つかなと思います。他にも、最近は「相続をしたけど使い道のない空き家」を売却すると所得税を控除する「特例措置」もあります。特に去年の1月からは、この措置の対象が拡大していて、空き家の売却がしやすくなっています。みなさん、思い出の家や思い出の実家ってなかなか売るのに躊躇する気持ちは分かります。


ユージ:傷のついた柱に愛着があったりするんですよね。


塚越さん:そうですね。柱には、「子供の成長証」などありますよね。使わない空き家が増えると、治安の面など様々な問題が出てきます。なるべく持ち主の利益になるような形で選択肢が増えてきていますので、そのあたりのことも検討していただくのもいいのかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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