25.02.06
日本にも影響?トランプ関税が金融市場を直撃
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「日本にも影響?トランプ関税が金融市場を直撃」
吉田:アメリカのトランプ大統領は、4日からメキシコとカナダに課すとしていた25%の関税について、1か月間、停止することで合意したと明らかにしました。一方、中国への10%の追加関税は、予定通り発動したと海外メディアが報じています。そこで、アメリカのトランプ大統領の関税外交について塚越さんと考えていきます。
ユージ:塚越さん、25%の関税を課すとしていたカナダとメキシコは、1ヶ月の延長となりましたね。
塚越さん:はい。アメリカにとって、2023年の貿易輸入額では1位がメキシコ、2位が中国、3位はカナダということで、非常に重要です。ですが、トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名したことで、一昨日から発動する予定だったのですが、メキシコとカナダ両首脳とトランプさんが電話会談しました。関税措置を1ヶ月延長することになりました。そもそも、この関税についてトランプさんは、「不法移民の流入の問題」とアメリカで死亡事例が多発している合成麻薬「フェンタニル」がカナダメキシコ(麻薬組織)経由で入っていることを問題視していました。ちなみに、この「フェンタニル」という危険な麻薬の原料は、中国企業でつくられることが多くあります。そこが中国も問題にもなっています。結局、メキシコもカナダも「フェンタニル」と「不法移民」の対策を強化すると約束したということで、トランプさんはディール(取引)に成功したとSNSに投稿しています。結局トランプさんの圧力に押されたという感じですが、1ヶ月後には再度交渉が待っています。
吉田:一方、中国への10%の追加関税は、実施されました。
塚越さん:そうですね。中国に関しては実施されましたね。中国は、2月10日からアメリカからの輸入に「追加関税をする」と発表しました。アメリカがやるなら、「中国もやるぞ!」と。報復関税ということで、石炭や天然ガス(LNG)が15%、原油や農業用機械、排気量の多い自動車などに10%ということです。またタングステンなど、半導体にも使われる重要鉱物の輸出規制も強化するということです。さらに中国は、トランプ政権の関税措置が世界貿易機関(WTO)のルール違反になるとして世界貿易機関に提訴しています。要するに、トランプさんの姿勢に対抗するポーズをとったということです。ただし、アメリカは一律で10%の追加関税を課すわけですが、中国は関税の対象を限定していて、2月10日の関税開始前に、どうなるか色々な水面下でディール(取引)が行われることでしょう。
ユージ:トランプ大統領の関税外交、塚越さんはどう見ていますか?
塚越さん:中国も「基本的に“関税はやりたくない”」、という姿勢です。メキシコもカナダも、もちろんやりたくない感じなのでご存知の通り、トランプさんの独自のやり方です。100年ほど前にアメリカ大統領のセオドア・ルーズベルトは、軍事力を背景にした「棍棒外交」を行いましたが、これの経済版とも言えます。ただ現在は、関税をかければ色々なところに影響が出て長期的にどうなるかは別にして、短期的にはアメリカはインフレになるとみられます。アメリカ国民の多くがインフレに苦しんでいる中で、それでも関税外交を断行すれば、アメリカでも色々な問題が起きて賛否が別れ、「国内の分断」「世界の分断」が深くなることは間違いないでしょう。困る人も増えます。
吉田:トランプ関税、日本への影響はどうでしょうか?
塚越さん:関税発動前の今週月曜は、世界的に株価が下がり、ダウ平均株価は下げ幅が一時660ドルを超えましたが、その後一ヶ月停止が発表されたことで、ある程度回復しました。乱高下しているという感じですね。日本は、アメリカ輸出用の自動車をカナダやメキシコで製造する日本の自動車メーカーは、関税が発動すれば大打撃です。やっぱり、関税の直前は自動車メーカーを中心に株価を下げたのですが1ヶ月延期ということで、ある程度持ち直しました。ただし、中国が「アメリカの報復関税」を発表すると、上がっていた値上がり幅が縮小するなど、かなり一喜一憂で動いている状況ですね。
ユージ:トランプさんによる関税の動きは、結構大きいですね。そんな中、石破総理がアメリカを訪問して、トランプ大統領と日米首脳会談に臨む予定ですが、どうなるでしょうか?
塚越さん:日本にも「“追加関税”があるのでは?」という話がありますが、トランプさんが「やっぱり自動車に関税をかける」と言うかもしれない。言わないにしても無言の圧力があるので、石破さんは分かっています。石破さんとしては、「アメリカに投資する計画がある」ことや、「天然ガスの購入」、また「防衛費を増額」することなどを伝えるとみられています。その上でトランプさんがどう判断するか?いうことです。ただ、ジャイアンみたいに振り回されてもいけないので、「ディール(取引)が大事」というならやる代わりに「日本も何かをやりましょう」。例えば、USスチールに関して、あれは「バイデン政権のものだったでしょ。もう政権変わりましたよね、何か日本にできることありませんか?」そういう取引を僕は石破さんに期待していますが、どこまでできるか…という感じですね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2025
『日本にも影響?#トランプ関税 が金融市場を直撃』
トランプ大統領が、4日からメキシコとカナダに課すとしていた25%の関税措置を一ヶ月間延長することで合意しました。…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2025
トランプ政権は一方で、中国に10%の追加関税を発動しました。これを受けて中国は、2月10日以降アメリカからの輸入品に追加関税を課すと発表しました。
中国はメキシコ・カナダと違い、対抗姿勢を示したわけですが、ここで気になるのは、日本はどうなるのかということです。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2025
明日、石破総理はトランプ大統領との日米首脳会談に臨む予定ですが、両者とも初対面となるため、どのような展開になるのか未知数です。
日本も追加関税を課される可能性があると言われる中で、石破総理はしっかりと交渉できるのか注目です。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2025
アメリカ側の強気な姿勢に飲まれてしまうのではないかという前評判も見かけますが、実は案外、石破総理の”下から”の姿勢がトランプ大統領に気に入られるのではないかと個人的に思いました。
明日の日米首脳会談、出来ればポジティブに期待したいと思いました。#ワンモ