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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.02.19

相次ぐ『シニア社員の待遇改善』…その背景は？

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！


【相次ぐ『シニア社員の待遇改善』…その背景は？】

吉田：シニア社員の待遇改善に踏み切る企業が、増えてきています。玩具大手のバンダイは12日、4月から61歳以上の「定年再雇用社員」の待遇を改善すると発表しました。また、三菱UFJ銀行は2025年度から60歳の定年退職後に再雇用した行員の給与を最大で4割引き上げます。塚越さん、シニア社員の待遇を改善する動きについて、詳しく教えてください。


塚越さん：まず、お話のあったバンダイは12日、61歳以上のシニア社員＝定年再雇用の社員の年収をこれまでより平均で58%引き上げると発表しました。4月から制度を改定するということですが、物価高への対応だったり、働く意欲の向上につなげるのが目的ということです。というのも、日本企業は一般的に正社員としての定年は60歳で、それを超えると65歳まで再雇用の契約を結ぶことになるわけです。65歳定年と言われています。再雇用だと給与がこれまでより大きく下がります。なので、バンダイによると社員によっては再雇用前の水準を維持できるように、給与の算定方法などを見直すということです。他にも、三菱UFJ銀行は2025年度から定年再雇用の行員の勤務日数を現在は週2日〜4日だったところを、本人が希望すれば週5日に拡大するということです。こちらもやはり、定年前と変わらない水準を維持するのが目的で、シニア層に働いてもらって、今後の人手不足にも備えるということです。対象は60歳〜65歳の再雇用者で、およそ1,100人ほどということです。現在は、給料が週4日勤務でも定年前の7割程度だったのですが、今後は週5を望むのであれば、定年前と同じ水準になるということですね。


吉田：「シニア社員の待遇を改善する動き」。こちらは、どういった背景があるのでしょうか？


塚越さん：一言でいえば、「やる気」を保ってもらうことですね。パーソル総合研究所は今月、60代の「就労実態調査」を発表しています。それによると、正社員として20年以上働いている60代前半の人のうち、6割が「給与賞与が下がった」と回答しています。これが自己肯定感や会社への忠誠心の低下につながることが分かりました。実際、自分の価値が下がったように感じると回答した人は、給料が下がる人と下がらない人では、30ポイント以上の差がありました。やはり給料が再雇用で下がるとやる気が無くなるということで、“給料は大きい意味をもつ”ということですね。これに関連して人事コンサルタントの城繁幸さんによると、従来の日本企業は、60歳の再雇用のタイミングで、給料が一律3割〜5割引き下げるのが一般的だったのですが、シニアの士気が下がるので、待遇の見直しが行われているということです。城さんの指摘で興味深いのは、今回は大幅な賃上げという見方もできますが、60歳からの賃下げを見直すことにしたというところですね。当たり前のように下がる賃金の下げ幅を小さくした、というのが実情なのかなと思います。また、再雇用でも週5のフルタイムなのかどうかなど、条件によって給料は変わるので、その人の能力や希望によって色々な働き方ができます。今のところ、大企業や一部の会社にこういうのは絞られるかなと思います。のちのち広がっていくのではないでしょうか。


ユージ：「シニア社員の待遇を改善する動き」。塚越さんは、どうご覧になりましたか？


塚越さん：人手不足もありますよ。今の60代は元気な人も多いので、「望む人は」働く選択肢が増えることはいいことかなと思います。国も例えば2021年に「高年齢者雇用安定法」が改正されています。企業に対して定年を70歳に引き上げることなどが、努力義務ではありますが書いてあります。つまり、そう遠くない将来で定年が70歳になったり、あるいは定年制の廃止など、私はあるのかなと思っています。色んな制度が今後、変わっていくかもしれない。「とにかく働いてください」ということで、ずっと働かなければならないと捉える人もいるかもしれませんが、色々な選択肢がある、人によって捉え方の違いがあるかなと思います。気になるのは、新人やシニアの方の給料が上がる中で、番組でも取り上げている「就職氷河期世代」の賃金が低いということなので、最後のボリュームゾーンといわれていて人数が多いです。こういう話題が出ると、「俺らの給料変わらないじゃん」という声はよく出ます。今、まさに感じている方がいらっしゃるかと思います。やっぱり、ここもおかしいよねということを会社も考えて、このあたりもバランスを取って、ある程度賃金を上げていくことが重要かなと思います。こういうあらゆる世代の待遇改善が政治的争点になるかなと個人的に思います。


ユージ：本当にそうですね。「氷河期世代の社員」にも注目して欲しいなと思いました。


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