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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.10.22

"消費税減税”飲食店への影響について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
コメンテーターは情報社会学がご専門の、学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんです。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら


「"消費税減税”飲食店への影響について」

吉田:秋の臨時国会で、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる法案を巡る与野党の攻防が本格化しています。法案が成立すれば、2027年4月から2年間、食料品の税率が8%から1%になります。


ユージ:塚越さん、総理肝いりの“消費税減税”、家計にとって嬉しいことですが、経済への影響はどうでしょうか?


塚越さん:まず東京商工リサーチが今月、企業にアンケートを行っています。食料品の消費税率が1%に下がった場合、対象商品を扱う企業の76.9%が「本体価格は変えない」と答えました。つまり税率が下がった分だけ安くなりそうだということですね。次に事業への影響ですが、全産業では83.5%が「影響はあまりない」と答えています。ただ、回答企業の半分以上はそもそも食料品を扱っていないので、大事なのは業種別の数字です。飲食料品の小売業では6割超が「プラスの影響」になるだろうと、逆に飲食店では70.5%が「マイナスの影響」になるだろうと答えています。減税の影響は経済全体に薄く広がるというよりは、食に関わる業種で特に大きく、しかもプラスとマイナスにはっきり分かれるだろうということです。


吉田:食材の税率も下がるわけですが、飲食店はマイナス影響の声が多いですね。


塚越さん:ポイントは税率の差です。今は持ち帰りの食品は8%、店内飲食は10%で、差は2ポイントです。これが持ち帰りだけ1%になると、差は9ポイントに広がります。お弁当や惣菜は安くなる一方で外食はそのままなので、外食が相対的に「割高」に見えるわけです。おうちで自炊したり、惣菜を買ってきて食べる流れが強くなると、外食産業には打撃ということです。かといって飲食店が消費税分だけ値下げするというのも厳しいですよね。小売でも、レジの改修や2年後に税率を戻す際の対応など、コスト負担はあるということです。


ユージ:飲食店、外食産業には、どんな支援が考えられているのでしょうか?


塚越さん:政府からは、テイクアウトなどへの多角化支援や、資金繰りの支援を行う方針が示されています。さらに高市総理は国会で、プレミアム商品券や、コロナ禍で行われた「Go To Eat」も含めて検討すると答弁しました。これに対して日本経済団体連合会(経団連)の筒井会長は、商品券は具体的なアイデアとして評価する一方、すでに予定された予算の範囲内で検討すべきで、対象は高級レストランではなく、一般の人の食事に関わる範囲でという考えを示しています。つまり、予算を積み増すな、対象を広げすぎるな、ということですね。


吉田:これらの支援で、飲食店は、2年の減税を乗り切れるのでしょうか?


塚越さん:飲食業界といえば、コロナの影響が大きかったですけれども、外食産業の市場規模は2019年がおよそ26兆3,000億円でしたが、2020年にはおよそ18兆2,000億円、2021年はさらに落ち込みました。2023年にはコロナ前の9割まで戻りましたが、居酒屋など飲酒が中心のお店は回復が遅れました。これについては、コロナをきっかけに外食の習慣そのものが変わった面があると私は思います。だからこそ、2年間で外食から離れた人が、税率が戻ったあとに戻ってくるのか、といった懸念もあるわけです。今回はコロナのような外からのショックではなく、政策がつくる価格差です。打撃はコロナほどではないと思いますが、物価高の中では「おうちで食べよう」を後押しする方向に動いてしまうのかなというところです。ただし大和総研は、減税で家計に余裕が出る分、外食が下支えされる、そのぶん外食の機会が増える可能性も指摘しているので、どうなるかは始まってみないとわからない部分もあります。


ユージ:塚越さんは、飲食店が苦境に立たされる可能性について、どう考えますか?


塚越さん:来年、2027年4月からということで半年を切っているところで、支援策の中身はまだ予算編成待ちなので、飲食店の経営者にとっては心理的にも厳しいと思います。また、一部の小規模な農家などでも利益が減る可能性があるため、政府では個別の給付などによる支援も検討されています。減税をして、そのぶん個別の支援で穴埋めするという設計はわかりますが、事務の手間も結構かかるように思います。さらに、財源についても、2年後に税率を戻すといわれていますが、2年間で9兆〜10兆円ともされる具体的な予算編成はまだこれからです。個人的に思っているのは、去年の参院選のときには、与党以外の多くの政党が消費税減税を掲げていました。自民党も高市政権のもとで、今年2月の衆院選から減税の方向になりましたので、一度、世論として減税の方向に動いたことは、私も自戒を込めて「1回言ったよね我々」と、忘れてはならないと思います。もちろん時間が経っているので状況は変わりますが、減税は有権者の側も求めたものです。だからこそ、減税と支援の総額、そしてその財源を国会で具体的に示すところまで、私たちが最後まできちんと見届けることは重要だと思います。

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