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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.03.12

広がる水道料金の値上げ、およそ40％増の自治体も…その背景は？

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！


「広がる水道料金の値上げ、およそ40％増の自治体も…その背景は？」

吉田：水道料金の値上げが広がっています。2024年度の引き上げは、全国で170以上の自治体に上っていて、ここ10年で最も多いということです。塚越さん、まずは水道料金を値上げする主な自治体について、詳しく教えてください。


塚越さん：まず上下水道は各地の自治体だったり、複数の市町村が共同でつくる「事業組合」という公共団体が運営しています。上水道、下水道ともに、使った量などに応じた料金を徴収します。こちら日経新聞が2024年度の値上げについて、自治体の公表資料から集計したところ少なくとも上水道で100、下水道で74の合計174自治体が値上げをしていたことが分かりました。総務省の調査からまとめた過去の値上げの数と比べても、3年連続で増えていて、2023年度と比べると36%も値上げが増えているということです。値上げ率も大きいです。例えば上水道だと、神奈川県は2024年〜2026年にかけて、段階的に22%引き上げとなります。新潟県新潟市は今年の1月、24年ぶりとなる29%の実質値上げです。下水道でも、盛岡市が今年の4月から2割強の値上げになります。上下水道、同時の自治体は宮崎市で4月から1〜2割の値上げを行います。


吉田：来月、およそ40％値上げする自治体もあるようですね？


塚越さん：はい。埼玉県本庄市は上水道の料金を4月から平均で40%程度値上げします。例えば、家庭で1ヶ月の使用量を20立方メートルと想定して計算すると、これまでが1,903円だったのが2,739円と836円の値上げになります。値上げの要因は、浄水場や水道管の老朽化です。修繕費用も水道料金で賄うための値上げです。修繕費用は年間およそ12億円かかると言われていて、本庄市によれば、これまで消費税を除けば15年間値段を据え置いていたのですが、人口減少などで水道料金の収入が減っている一方、老朽化対策費用が増えていて、財政的に厳しいので値上げをします。どこの自治体も基本的には厳しい状況です。


ユージ：水道料金の値上げが全国に広がっているのは、どんな背景があるのでしょうか？


塚越さん：水道事業は、上水道では6割、下水道では8割が収入だけでは運営費を賄えない「採算割れ」の状態にあります。不足分は税金や国の補助金で補っています。ただ、水道事業というのは公平性の観点だったり、また長期的な経営になるので、税金が入ると効率性が悪くなるといったこともあり、基本的には税金に頼らない「独立採算」を原則としています。なので、どうにかしないといけないと値上げに踏み切る自治体が増えています。その上で、背景にあるのが「料金収入の減少」です。人口減少や節水機器の普及で使用量が減って、2023年度の全国の収入は、その5年前から比べると上下水道で2〜3%減っています。使う人が減っても、浄水場や配水管といった大規模な設備を減らすことができないので、コストがなかなか減らせないということ。老朽化対策もどんどん増えます。色んな経営が厳しいということで、3割の値上げをしなければ厳しい状況です。節水は大事ですが、使わないと収入が減るというのは難しいところですね。いずれにしても、2025年度も現時点で100を超える自治体が値上げを決定しているので、リスナーの方がお住まいの自治体からも、値上げに関する連絡が来たという方もいらっしゃるかと思います。さらに、会計監査などを行う「EY Japan」の試算によると、2046年度までに水道の経営を健全に維持しようとすると、全国平均で2021年度のおよそ1.5倍の料金を値上げしようとしないと経営していけないということが分かっています。平均で1.5倍ですから、地域によっては4倍以上になる自治体も想定されていたり、国も色々な支援をすると言っていますが、これは喫緊の課題かなと思います。


ユージ：水道料金の値上げが広がっていること、塚越さんは、どうご覧になりましたか？


塚越さん：1月の埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故があって、インフラが大変だなということが皆さん感じましたよね。本当にインフラが大変で、上水道の水道管だけで総延長74万キロあります。それは地球18週分以上で、とんでもない量です。これを全て修繕しようとすると、ものすごく大変でITを利用して管理を簡単にしようという話もありますが、民営化の話もあったり色々問題もあります。これをどうにかするには、今の値段では厳しいです。どうするの？となったときに、単に値上げがダメというよりも防災にも役に立つし「未来の投資」ということで、少し水道料金が上がっていくことを我々がどう受け入れるか、というところが議論になるかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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