25.03.13
最低賃金1,500円に向けた中小企業への支援策
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら！
「最低賃金1,500円に向けた中小企業への支援策」
吉田：政府が最低賃金を2020年代に全国平均で1,500円まで引き上げる目標を掲げたことを受けて、日本商工会議所が行った調査で、2025年度から目標どおりの引き上げが行われた場合、収益の悪化で地方の小規模企業の2割が休業や廃業を検討すると回答したことが分かりました。
ユージ：塚越さん、最低賃金1,500円、やはり中小企業への負担は大きいようですね。
塚越さん：はい。そうですね。岸田政権の頃は1,500円にするのは2030年代半ばだったのですが、石破政権では2020年代までに引き上げるとしました。予定よりも早まりました。現状の最低賃金は、全国平均で1,055円で1,500円となると5年で4割以上、上げる必要があります。そこで、中小企業を中心とした経済団体である「日本商工会議所」が調査したところ、目標達成のために2025年度から最低賃金を7.3%引き上げた場合、「収益悪化によって廃業や休業を検討している」と答えた企業が15.9%。地方の小規模企業では20.1%と人件費を価格転嫁などで賄うことへの不安が出てきました。
吉田：最低賃金1,500円の達成は、中小企業にとって国から支援がないと、かなり難しいと思いますが、補助や支援はどうなっていますか？
塚越さん：ただでさえ値上げを繰り返している中で、企業だけでは厳しいですよね。先程の調査でも、あと5年で1,500円は不可能だと応えた企業が全体の半分近くでした。急激に上げるのはやっぱり難しい。厚労省と経産省が連携して、最低賃金の引き上げを行う中小企業への支援を発表しています。ちょっと多いのですが、4つご紹介します。1つ目が、「賃上げ促進税制」です。つまり税制優遇ですね。従業員の給与などを一定割合引き上げると、増加分の一部を税額から控除します。中堅企業では最大控除率が35%。中小企業は最大45%となります。2つ目が、「業務改善助成金」です。その会社の中で1番低い時給を引き上げた場合、機械設備だったり人材育成などを行う場合の費用の一部を助成する制度です。賃金の引き上げ幅に応じて最大600万円の助成があり、社員30人未満の場合は助成額の上乗せの優遇もあるということです。3つ目が、「キャリアアップ助成金」というものもあります。これは、非正規雇用労働者の基本給を3%以上5%未満増額した場合、1人あたり5万円。5%以上増額の場合は、6万5,000円を助成するというものです。最後に4つ目が、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。これは生産性向上に関する設備投資の支援です。3年〜5年にわたる事業計画をつくって、そのたびに報告が必要なのですが、通った場合は最大4,000万円の補助を受けることができる、というものです。特にITに関しては、地域の最低賃金より+50円以上の水準になっていると、採択されやすいというものです。細かくは他にもありますが、いろいろと助成をしています。
ユージ：塚越さんは、最低賃金1,500円。実現のために必要なことは何だと思いますか？
塚越さん：去年は最低賃金の引き上げ率が5%で非常に高かったのですが、それを7.3%となるとさらに高い数字で、かなり難しいです。色々な助成もありますが、助成が終わるとどうなるの？となりますよね。それまでに、助成がなくてもできるような経営にできるのか、というと難しいので調整が難しいですね。番組でも何度かお話している「下請けイジメ」、下請法が変わるという話を何度かしましたが中小企業の方が価格転嫁、少し下請けの価格を上げて下さいよというのをちゃんとできるようにチェックをすることも必要かなと思います。こういったこともあって、昨日も石破総理が5月くらいまでに中小企業の賃上げに向けた政策の総動員する考えを示しています。ここは、注目かなと思います。ただ、そもそもこんなに賃金を上げて大丈夫なのか？日本もインフレがずっと続いているわけですが、簡単にいうと良いインフレではありません。外国の石油が高くなって今インフレが起きています。
ユージ：コストプッシュ型ですね。
塚越さん：そうですね。デマンドプルという、いわゆる需要が増えて良いインフレにするには賃上げ以外のところも考えなければいけません。助成もありますが、例えば政治の1つの争点になっているのは減税ですよね。減税について色々議論がありますが、減税をしていくことによって消費欲が上がって、それが賃上げの良いインフレになるという議論もあります。そういった、総合的な観点から議論をしていく必要があるのかなと強く思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 13, 2025
『 最低賃金1500円に向けた中小企業への支援策 』
最低賃金のアップは中小企業にとってかなり大きな負担になります。
現在の全国平均が1055円で、1500円となると
今後５年間で４割以上も上げなければならず、
企業にとっては死活問題といえると思います。…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 13, 2025
働き手の目線で言うともちろん最低賃金は上がってほしいですが、
経営が逼迫し倒産に繋がってしまうのでは元も子もありません。
日本を支える中小企業に対して、
国は支援策について十分議論することが大切だと思いますし、…
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 13, 2025
すでに実施されている政府の支援策を４つ紹介しましたが、5年後の1500円がゴールなのではなく、
10年後,15年後と更なるベースアップへ向けた、
物価上昇のスピードに負けない様な政策が重要だと思いました。#ワンモ
