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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.03.17

ライブ配信が急成長!魅力と、その課題

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンドライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「ライブ配信が急成長!魅力と、その課題」

吉田:リアルタイムで映像を生配信するライブ配信サービスが急拡大しています。一方で、11日には生配信中の女性が刺殺されるという痛ましい事件も発生しました。そこで今朝は、なぜライブ配信が流行るのか?その魅力と課題について神庭さんに解説してもらいます。改めて、ライブ配信とは、どんなものなのか?というところから、教えてください。


神庭さん:最大の特徴は、録画編集した映像ではなく、今ここで起きていることを生でそのまま流すことです。配信者はライバーと呼ばれ、視聴者は推しのライバーに投げ銭、ギフトを送ることができます。17LIVEやSHOWROOMは有名人や芸能人が多めですし、DeNAが運営するPocochaはコミュニティ志向が強くて割と治安が良く、ツイキャスは10代~20代に強い。TwitchはAmazonの子会社でゲーム実況が人気など、サービスによってカラーが違います。YouTubeやInstagram、TikTok、LINEなどの大手も、ライブ配信サービスを提供しています。


ユージ:僕もInstagramでライブ配信をこの間も行いましたし、今後もまた行う予定があるのですが、今回の事件の舞台になってしまった「ふわっち」はどんな特徴がありますか?


神庭さん:「ふわっち」は、他のサービスに比べて年齢層が高いです。決算資料によると、課金ユーザー側は30~50代で合わせて77.6%。60代も5%います。配信者側も、30~50代が7割以上を占めています。実際見てみると、かなりディープな雰囲気。自分で無職で生活苦だと明かす中年男性がいたり、体調が悪いと言って病院でもらった内臓のエコー写真を全世界に公開している女性がいたり、「地獄に堕ちろ」と視聴者を恫喝するキャバ嬢の方もいたり、お風呂から配信している女性、酔っ払ってひたすら視聴者とバトルしてる男性、目が据わっていて、一触即発の殺伐とした感じでした。あとは、80歳だという方もいました。かと思うと、主婦の方がキッチンで新じゃがと芽キャベツについて語るほっこり配信もあったりして、とにかくカオスな印象でした。


ユージ:今、聞いただけでもバラエティに豊かでバリエーションが多いなと思いましたね。


神庭さん:テレビ番組で言ったら『ザ・ノンフィクション』みたいなテイストです。全然キラキラしてないし、変にショーアップされていません。生活感がすごい。そういう自然で等身大の雰囲気がいいなど、いろんな人の生活をちょっと覗き見してみたいという需要があるのかもしれません。今回、不幸な事件が起きてしまったのですが、属人的な金銭トラブルの話とプラットフォームとしての「ふわっち」の良し悪しみたいな話は一旦切り離して考えた方がいいかなと思います。


吉田:ライブ配信は、どれくらい広がっているものですか?


神庭さん:矢野経済研究所は昨年のレポートで、2023年度のライブ配信アプリの市場規模を前年度比112.5%の720億円と推計しています。一方、中国だと40兆円とか100兆円とかケタ違いの市場規模に膨らんでいると言われています。(ライブ配信経由のオンラインショッピングも含んだ数字)逆に言えば、日本はまだ潜在的な成長余地があると言えるかもしれません。


ユージ:なぜ、そんなにウケているのでしょうか?


神庭さん:やっぱり生の魅力が大きいです。テレビはもちろん、YouTube番組などの完成されたコンテンツと比べてもライバーの存在がより身近で、親密さを感じやすいです。推しに課金して投げ銭すると、コメントを読み上げてもらえて、「〇〇さん、いつもありがとうございます!」なんて声をかけてもらえます。これは嬉しいですよね。ライバーと視聴者というタテの関係だけでなく、共通の推しを通じて視聴者同士のヨコの関係、一体感も生まれてきます。そうやってコミュニティー化していきます。ビデオリサーチが配信技研などの協力でまとめたレポートによれば、ライブ配信は他のメディアに比べて「自分も参加している気持ちになれる」と答えたユーザーが多かったそうです。レポートは、ライブ配信について《「見るもの」というよりも「居場所」》だと分析しています。ライブ配信中の広告に対しても3割ほどの人が「推しを支援してくれている」と好意的な感情を抱いているということです。


ユージ:ただ課題や注意点があるかなと思いますが、どういうところだと思いますか?


神庭さん:推し、推されの関係性が暴走すると、金銭トラブルやストーキングなどに繫がりかねないということです。「身近さ」が売りとはいえ、ライバーと配信者が一定の距離感を保てるように、運営側が適宜、監視・介入するのが大事だと思います。例えば、投げ銭額が一定額以上に達したユーザーに対して今月の合計投げ銭額を表示して、少し冷静になってもらうように促すのもあってもいいかもしれません。ホスト問題も似ているのですが、放置すると課金レースのようになってどんどん過熱していきます。「投げ銭破産」する人が増えないように、業界の自主規制ルールが必要かなと思います。特に未成年に関しては、しっかり守っていかないといけません。「1人リアリティーショー」みたいなものなので、なかには「コイツうざいな」と言いながら、ヘイトウォッチングをして、ライバーに粘着するような人もいます。配信者側も、すぐに居場所が分かるようなところでの配信を避ける、みだりにプライバシーを明かさないなど自衛策が求められるかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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