25.03.25
外国人1割時代が25年後に到来する可能性について
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は、ダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「外国人1割時代が25年後に到来する可能性について」
吉田:日本に住む外国人の割合が国の予測を大幅に超えるペースで増加していて、2050年頃には日本の人口の1割を占める可能性があると朝日新聞が報じました。神庭さん、朝日新聞の記事はどういったものでしょうか?
神庭さん:朝日新聞の記事《「外国人1割時代」25年後に到来か》では、こんなことが書かれています。もともと2023年の国の推計で、2070年には日本の総人口が8,700万人まで減ってしまって1割が外国人になると試算されていました。ところがコロナ後、特に地方を中心に人手不足が深刻化しました。自治体が海外の政府や自治体、大学などと国際交流協定を結ぶケースが急増しました。外国人の方が、予測の2倍以上のペースで増加しており、2070年と目されていた「外国人1割時代」が、20年前倒しで2050年、今から25年後には訪れるかもしれない、という内容です。
ユージ:なるほど。かなり増えつつあるんですね。ところで、海外では外国人材をどう受け入れているのでしょうか?
神庭さん:カナダは移民の受け入れに非常に積極的で、4人に1人が移民です。人口4,000万人ほどの国で、年間100万人も人口が増えています。このペースでいくと、30年経たないうちに人口が倍増するかもしれない。それくらい移民をどんどん入れています。多文化主義で移民に寛容な国民性も大きいですが、単に人に優しくしようみたいな精神論ではなく、カナダにとって役に立つかどうかを非常にシビアに判断しています。ブルームバーグ通信によると、移民の年齢や英語、フランス語の能力に基づいてポイントが割り当てられ、熟練したスキルを持つ労働者は優遇されるということです。
吉田:実際に受け入れがうまくいっていない国もありますよね?
神庭さん:その通りです。スウェーデンは移民受け入れに積極的でしたが、ギャングの抗争や銃犯罪が多発して近年では移民政策を厳格化しました。移民に500万円渡して帰国してもらう制度を導入する予定だということです。デンマークも、元々は福祉国家として移民をたくさん受け入れていたのですが、社会不安の高まりから、「ヨーロッパで最も厳格」と言われる移民政策をとるようになりました。イギリスでも、反移民感情の高まりからアフリカのルワンダに500億円以上払って、不法移民を強制移送する計画が持ち上がったこともあります。これは、のちに撤回されています。こうした他国の移民政策の失敗・教訓に学ぶ必要があるかなと思いますね。
ユージ:神庭さんは、この「外国人1割時代」についてどう見ていますか?
神庭さん:「外国人1割時代」は遠い未来の話ではなく、すでに足元で始まっています。日経新聞によれば、住民の10人に1人が外国人という市区町村は14もすでにあります。20%を超える自治体も3カ所あるそうですので、まずこの現実を直視しないといけないかなと思います。その上で、移民の受け入れに関して私が言いたいのは「3つのやめとけ」です。1つ目は、【「なんとなく移民」はやめとけ】ということです。日本は「移民を入れますか?イエスorノー」という形で選挙でハッキリ民意を問うことなく、最初は特定技能実習生、批判を集めると今度は特定技能という形で、事実上の移民政策を進めてきました。「人手不足で現場が回らない」「少子高齢化してるんだからしょうがないでしょ」と分かるのですが、ただやっぱり目の前の現実に合わせて現状追認的にヌルッと移民政策に舵を切ってしまったのは、これはちょっと良くなかったのかなと思います。
吉田:2つ目は何でしょうか?
神庭さん:2つ目は、【「覚悟なき移民受け入れ」はやめとけ】です。「なんとなく移民」という流れのなかで、移民にしっかり教育をするとかコミュニティーの摩擦を減らして、社会統合を果たしていくといった基本的な対策がおざなりになっています。「労働力」である以前に移民も1人の人間です。経済だけでなく社会全体や将来世代への影響も考えないといけません。万が一、社会統合に失敗して地域社会で孤立化したり、スラム化したりしたら、治安にも悪影響が出てしまいます。そうなると、日本人にとっても移民にとっても不幸な事態。差別や偏見の温床にもなりかねないかなと思います。
ユージ:3つ目の「やめとけ」は何でしょうか?
神庭さん:3つ目は、【「責任なき移民受け入れ」はやめとけ】です。1つ目、2つ目と繋がっていますが、決断のないところに覚悟はなく、覚悟のないところに責任は生まれません。経済の論理でバンバン移民を受け入れて、そのツケを地域コミュニティーが払うというのはやっぱりおかしいと思います。将来の「国の形」を大きく左右する一大論点なので、本来は国が責任を持って対応すべき話だと思います。一口に移民と言っても高度専門職と単純労働者とでは全然違います。どんなタイプの移民をいつまでにどれくらい受け入れるのか?低賃金の移民を受け入れたときに、日本人の雇用や賃金に悪影響は出ないのか?メリット・デメリットを含めて政治がきちんと説明するべきだと思います。誤解がないように言っておくと、3つの「やめとけ」というのは移民を絶対入れるなという話ではありません。もし、移民を積極的に受け入れるのであれば最低限、覚悟と責任を持ってやらないとマズイでしょ、という当たり前の話です。強制と言うのは簡単ですが、行うのは難しいので。一方で、これから円安で日本はどんどん安くなって円安で価値が目減りしていきますから、わざわざ日本に来て働きたいと思ってくれるような方が減っていってしまう可能性もあります。その辺りのことも想定しておく必要があるのかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 25, 2025
『外国人1割時代が25年後に到来する可能性』について。…
#ユジコメ ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 25, 2025
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 25, 2025
実際に日本と外国では大きく文化が異なります。僕も外国に住んでた経験があるので日々実感していました。…