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25.05.12

ビジネスケアラー300万人時代!「介護離職ゼロ」を目指すには?

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今日は、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【ビジネスケアラー300万人時代!「介護離職ゼロ」を目指すには?】

吉田:高齢化の進展に伴い、家族を介護しながら働く、いわゆる「ビジネスケアラー」が年々増加しています。介護離職を防ぎ、仕事と介護を両立するには、どんな対策が必要なのか?神庭さんに解説してもらいます。


神庭さん:まず、ビジネスケアラーがどれくらい増えているのかというと、日本は「ビジネスケアラー300万人時代」を迎えようとしています。経産省の試算によれば、家族を介護している人の総数が2020年の678万人から、2030年には833万人に増える見通しです。このうち318万人が働きながら介護するビジネスケアラーになると予測されています。介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」をする人は、年間10万人もいて、日本経済にも大きなインパクトを与えています。介護離職が増える、両立が難しくて労働生産性が下がるといった影響で、2030年段階での経済損失は9.2兆円弱にもなると試算されています。


ユージ:働きながら介護をするというのは、想像するだけで大変だなと思います。


神庭さん:平日の昼間は仕事、朝晩と休日は介護となると息つく暇もないですから、常に気が抜けない状態です。慢性的なストレス、疲労感を訴える人も多いです。特に大変なのが、子育てと親の介護がバッティングする「ダブルケア」の人達です。これが25万人ほどいると言われています。ダブルケアラーは女性が17万人、男性が8万人と性差による偏りも見られます。いまだにケア労働が女性に集中しがちな傾向がみられます。仕事も含めたら育児・介護と合わせてトリプル負担になりますから非常に大変なことです。そして、育児はいつか巣立っていくことが分かるのですが、介護の場合は終わりが見えないです。いつまで続くか分からない苦しさもあって、育児と違って気軽に話題にしにくく相談しづらいため、個人が抱え込んでしまう。孤立化してしまうケースも少なくありません。


吉田:ビジネスケアラーを支援する動きはありますか?


神庭さん:ありますね。ビジネスケアラーは40代、50代の脂の乗り切った働き盛りの人や管理職が多いです。企業としても、こうした中核的な人材を介護離職で失うのは痛いので、様々な支援に取り組んでいます。日経新聞によると、ハウス食品は、主要なグループ企業のすべての管理職に介護に関するeラーニングを受講させています。日立製作所では、ケアマネジャーをはじめ社外の専門家に相談できる仕組みを約60のグループ会社に導入しました。ソフトバンクは介護する社員向けの社内SNSを立ち上げたということで、社員同士の座談会も開いているそうです。育児に関する支援はだいぶ広がってきましたが、それに比べると介護支援はまだまだ遅れています。働く側としても、こういう制度があると安心できますよね。


吉田:会社の支援があるのは、ありがたいことですね。


神庭さん:本当にそうですよね。仕事と介護の両立支援などに取り組むチェンジウェーブグループの佐々木裕子代表が、PIVOTの番組で企業が半強制的に「おせっかい」を焼くことが大切だと言っていたのが非常に納得感がありました。会社で定期的に健康診断を受けるような感覚で、介護に関する情報や支援もプッシュで提供してもらえると、すごくいいなと思っています。あとは、何でも人の手でやろうとしないでIT技術や介護テックを活用していくことも大事だなと思っています。


ユージ:介護テックとは何ですか?


神庭さん:例えば、AmazonのAlexaなどのスマートスピーカーで高齢の親を遠くから見守り、遠隔介護に役立てることができます。他にもベッドに敷いたセンサーで心拍や呼吸を測定したり、起き上がったことをリアルタイムで通知してくれたりするシステムもあります。それから、入浴介護は一苦労で大変ですが、座ったままシャワーできるような装置も最近では開発されています。他にも、決まった時間になると自動で薬が出てきて、薬の飲み忘れを防ぐ自動服薬支援機なんていうものもあります。


ユージ:それは便利ですね!介護離職ゼロを目指すためには何が大事でしょうか?


神庭さん:年代的には、まだ現実味がわかない人も多いと思いますが、介護は誰にでも起こり得る話です。いつ発生するか誰にも分かりません。なので、要介護・要支援にいたる前の段階で準備をしておくことが大切です。デリケートな話題ですが、だからこそ親が元気なうちにどんな介護を望むのか、お金のこと資産状況なども含めて会話をしておくことです。日本総研の石田遥太郎さんが、ダイヤモンド・オンラインで紹介していたのが、両親を箱根旅行に連れて行って、家族で介護に関するミーティングを開いたという事例です。平場だとなかなか話しづらいですが、親孝行で旅行をプレゼントして、ついでに介護について話すのは、いいアイデアだと思いました。


神庭さん:それから、介護で辞めざるを得ないと介護離職を選ぶ前に、通算で93日の介護休業が取れることも知っておいて欲しいです。あとは、実家のある自治体でどんな介護サービスを利用できるのか、きちんと調べておく。会社の支援制度にどんなものがあるのか調べておいた方がいいと思います。とにかく1人で抱え込まないということです。日経新聞に「介護はプレーヤーでなくマネジャーに」という記事が出ていて、非常にいい言葉だなと思いました。自分だけがプレイヤーとして汗をかいて動くのではなく、ケアマネージャーや地域包括支援センターなどプロの力をしっかり借りて乗り切っていけるといいんじゃないかなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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