25.05.15
役目は終わっていくのか?シニア世代で進む“固定電話じまい”
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「役目は終わっていくのか?シニア世代で進む“固定電話じまい”」
吉田:シニア世代の「固定電話じまい」が加速しています。スマートフォンの普及に伴って必要性が薄れていることに加え、親族などを装い金銭をだまし取る特殊詐欺への不安なども背景にあるようです。私の実家も固定電話じまいをしました。ちょっと寂しくもなりましたが。今日は、“固定電話“の現状とこれからについて塚越さんと考えていきます。
ユージ:塚越さん、若い人は固定電話を持たない人が多いと思いますが、シニア世代でも固定電話を使う人、減っているようですね。
塚越さん:総務省の通信利用動向調査によると、65歳以上のシニア世代で固定電話を使っている割合は、2023年で82%です。まだまだ高いなあと思うのですが、2009年には保有率99.2%だったので、15年くらいで、かなり下がったかなという感じがします。一方で、先ほどの2023年の調査では、30代の世帯だと保有率9.1%。20代だと5.4%です。一方で、スマホの普及率は調査にもよりますが、大体9割を超えています。若い人は、スマホをもっていない方が珍しいですよね。若い層はスマホやタブレットが小さな頃から当たり前に存在しているので、固定電話の存在感は薄くなっています。
吉田:固定電話じまい。スマートフォンの普及は、もちろんあると思いますが、他にどんな理由がありそうですか?
塚越さん:やはり、固定電話にはセールスや詐欺電話が多くて、持っていても得なことがないと感じる人が多いようです。さらに、スマホがあるのに固定電話を使うと、その分の基本料金等がかかってしまいます。スマホならLINEなどで通話料がかからずに話もできるので、いろんな意味で固定電話は、レガシー(遺産)になっているといえますね。黒電話は、むしろアンティーク品という感じです。もっと言うと、若い層には音声ではなくテキストメッセージのやりとりが浸透していて、よくありますが電話は最低限にしよう、電話はイヤだなという議論がありますよね。音声は厳しいということもあって、徐々にシニア層にも浸透してきているかなとも感じます。
ユージ:そんな固定電話ですが、長年、日本の通信を支えてきたわけですが、今でも良いところもありますか?
塚越さん:まず、通話が安定しているという点はありますね。携帯の電波は、あまり関係しません。あとは、FAXを使っている人にとっては必須かなと思います。FAXも時間の問題というのもありますね。次に、プランによっては携帯よりも基本料金が安くなることがあったり、ネットに接続しないので、ウイルス感染や情報漏えいなどのリスクが低いともいえます。また、110番や119番といった緊急時の連絡の場合は、固定電話からの発信は住所が自動的に特定されやすいという利点があります。緊急時の時には、結構役に立つこともあるかなと思います。
ユージ:現代社会って、どんどん色々なものが便利になっていくのですが、固定電話の役目は、終わってしまうのですか?
塚越さん:そうですね。情報社会学的には、固定電話から携帯電話に移り変わる流れは、社会が「個人化」の流れと一致するかなと思います。昭和の固定電話時代は、「○○さんのお宅ですか?」といった、電話は「家にかけるもの」でした。恋人、好きピに電話をかけようと思ったら、お父さん出た~!という感じがありましたよね。僕も、「女の子から電話がかかってきたぞ!」と言われたことがありました。
ユージ:「お母さん、子機で聞くのやめて!」とかね!
塚越さん:そうそう!そういうのもありましたよね。だから、家族全体に分かっちゃう。一家に1台の固定電話で家族の人間関係が把握できたのですが、1人1台の携帯電話になると、分からなくなるということです。また、一昔前には「電話帳」というものがあって、電話番号はパブリックに公開されていましたが、当然、個人情報が重視されるようになったので、これも個人単位になりました。固定電話は家族だけでなく、住所とも紐づいていたわけですが、携帯電話になると家族や居場所も関係なくなって、個人化されたかなと思います。携帯電話が流動的になったかなといえますよね。だからこその逆説ですが、会社や学校、公共機関といった開かれた組織の電話は、やっぱり固定電話だと安心します。東京は、市外局番「03」ですが、会社代表が「03」だとパブリックな感じがするというか。
ユージ:「080・090」から電話がかかってくるよりも「03」から電話がかかってきたら、かけ直そうと思います。
塚越さん:そうですよね。「080」が会社の連絡先と言われても、「本当かな?」と思いますよね。
吉田:検索して、出ててきますよね。
ユージ:そうそう、だから安心って思うかも。
塚越さん:そういう感覚がありますよね。やっぱり、市外局番付きの番号は実在する住所と結びついているので、安心感がある。以前は、固定電話を引いているのは社会的信用と結びついていました。固定電話の役目を終える方向にはいくのですが、安心感があるという点ではパブリックなところでは、まだまだ使う機械があって無くなりはしないかな、と思います。家庭で使用するとなると、「ありがとうございました」と考えてもいいかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2025
『シニア世代で進む“固定電話じまい“』
我が家でも、固定電話は数年前に解約しました。
現在はスマホに電話登録ができるようになっているので、電話はすべてスマホを利用しています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2025
65歳以上のシニア世帯における固定電話の保有率を見ると、2009年の「99.2%」から2023年の「82%」に減少したということです。
減っているとはいえ、意外にもまだ、シニア世帯の82%も固定電話を保有していることに驚きを感じました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2025
僕が思う固定電話の良い面として、仕事において、携帯電話より固定電話から掛かってきた方が信頼が置ける気がします。
市外局番が付いていると、ネット等で電話番号を検索すれば企業名が載っているので、信頼度の指標にもなると思いました。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2025
また子どもがスマホを持っている場合、連絡を取っている相手の情報を完全に把握・管理しきるのは困難です。それに比べて固定電話は、一度親を介すので、家族の人間関係を知る一つの手段だったと思います。#ワンモ
#ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 15, 2025
今後、固定電話の利用者は減っていくことが予想されますが、まだまだ必要とされている部分はあると思うので、絶対に無くなるとは言い切れないと思いました。#ワンモ