25.05.28
OpenAIがiPhone設計者の企業を買収…狙いはスマホに代わる端末の開発
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「OpenAIがiPhone設計者の企業を買収…狙いはスマホに代わる端末の開発」
吉田:対話型AIサービス「ChatGPT」を開発したOpenAIは今月21日、Appleの元幹部でデザイナーのジョナサン・アイブ氏が設立したAI端末の開発会社を、およそ65億ドル=およそ9,300億円で買収すると明らかにしました。塚越さん、まずは、ジョナサン・アイブ氏について、詳しく教えてください。
塚越さん:ジョナサン・アイブ氏といえば、業界では非常に有名な「工業デザイナー」です。デザインするだけではなくて、中の情報も詳しいです。非常にレベルの高い方です。1992年〜2019年までAppleに在席していたのですが、1998年にiMacという、カラフルな色のコンピュータを設計しました。
ユージ:あー!あれのデザイナーさんなんですね!
塚越さん:そうなんです。それまでパソコンは、重いイメージがありましたが、カラフルになってパソコンのイメージが刷新されました。当時、経営危機だったAppleもこういうのもあって復活に向かいました。おなじみのiPhoneやiPad、Apple Watchの設計も行い、スティーブ・ジョブズ氏からの信頼も厚かった人の1人、伝説のデザイナーということでApple退社後は自分で会社を設立していました。
吉田:今回の買収の狙いは「スマートフォンに代わる端末の開発」と、言われていますよね?
塚越さん:そうですね。OpenAIがスマホに代わる新たなAI端末をつくるので、ジョナサン・アイブ氏とタッグを組むということです。OpenAIのサム・アルトマンCEOは、以前から「スマホに代わるAI端末をつくりたい」と言っており、今回ジョナサン・アイブ氏の会社を買収するということです。彼はデザインの担当責任者となり、もともとの会社の社員およそ50人もOpenAIに入社することになります。
ユージ:これ、すごい気になるのですが「スマホに代わる新たなAI端末」の情報は明らかになっていませんが、どういたものになると思いますか?
塚越さん:現段階では、情報が流出すると大変なことになります。極秘ということで推測することしかできません。楽しみですよね。それでもウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、OpenAIの社内説明会では、ポケットに入る大きさで、机の上にも置いておけると話したということです。さらに、メガネのようなものでもないということです。メガネ型のデバイスは最近、様々な企業が開発しているので、それではないとすると、ますます謎は深まりますよね。ただヒントとして、サム・アルトマン氏は今年1月のインタビューで、新しいAI端末は「音声がカギとなる」と言っています。2人の色々な発言をみてみると、どうやら「脱画面」、つまり使う面を減らして、さらに「音声」をもっと使うものになるという予想もあって、私も音声を使うデバイスになると思いました。なぜ「脱画面」かというと、これはジョナサン・アイブ氏の後悔にも繋がっています。というのも、彼が設計したiPhoneで世界は大きく変わったわけですが、我々スマホのせいで画面に釘付け。スマホ首になったり睡眠不足になったり、画面上で過激な情報が多くなっていきましたよね。彼はスマホで便利になった反面、こうした副作用があって「大きな責任を負っている」と、インタビューで答えています。なので、強くいえば「スマホ中毒から脱却する」、もっといえば「画面」から離れてコンピュータともっといい関係をつくるために、音声を使うのではないか、といった見方がされているというわけです。ChatGPTのような生成AIを使うと、スムーズに会話もできるので、音声は相性がいいのかなと思います。私たちラジオも「音声」ですから、その意味では嬉しいなと思います。
ユージ:OpenAIの今回の動き、塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越さん:私も情報社会学が専門ということもあり、画面(スクリーン)の悪影響は感じています。スクリーンは、情報量が多くて映像が怖いじゃないですか。コロナ禍では、恐怖を感じるような映像も多くなりましたよね。一方で私は音声に関する研究所にも所属しているので、その立場からいうと、音声は情報量が視覚よりも少ない代わりに、会話のような音を聞き続けると、ゆっくり物事を深く考えることに適しています。視覚情報よりも脳に負荷をかけづらいと思いますし音は邪魔しません。現代人はスマホの画面を見すぎていて、いらない情報を頭に叩き込みすぎているわけです。音を使っていい関係性をつくるのがいいかなと思います。アルトマン氏はインタビューで、「だからスマホがなくなるようなことはないと思う」と言っているので、あくまでスマホとパソコンに加える第三のカテゴリのものかなと思います。ユージさん、どうでしょう?課題は何かありますか?
ユージ:僕、「音声がカギ」となるのが課題だと思っています。僕もAIによく相談をするのですが、新幹線などの移動中に声を出せないので、出番が少ないかな?と思いました。
塚越さん:日本人は、スマートスピーカーに話しかけるのが恥ずかしいと思われる方が結構多いと言われています。最近、スマホを持たずにイヤホンをつけて歩きながら喋っている方いますよね?こういったものが普及しはじめているので、わりと歩きながら喋っている人をみても「この人、コンピュータと喋っているんじゃないの?」と、電話を耳にしなくても当たり前になってきました。これが普及していくと、もしかしたら当たり前になるかもしれませんね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
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