25.06.12
拡大する中途採用、入社後のメンタルケア
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の学習院大学・非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「拡大する中途採用、入社後のメンタルケア」
吉田:企業が中途採用を拡大するなか、中途採用社員の「孤独」が課題になっています。即戦力としての期待や新しい環境で人間関係も薄いということで、プレッシャーと孤独感の両方を感じる傾向があるようです。中途採用社員の離職を防ぐため、対策をとる企業も出てきています。そこで、中途採用社員の入社後のメンタルケアについて塚越さんと考えていきたいと思います。
ユージ:塚越さん、まず転職市場というのは拡大を続けているようですね。
塚越さん:そうですね。労働力不足や働き方の多様化などを背景に、求人数転職希望者ともに拡大傾向が続いています。2023年の時点で転職希望者は1,000万人を超え、7年連続の増加です。また転職求人「doda」のデータによると、今年4月時点の転職求人倍率は2.36倍と高くなっています。どういうことかというと、転職希望者よりも「求人数」の方が多い状態になっているということで、労働者にとって新入社員だけでなく、「中途でも選べる時代になってきた」ということです。私も何があってもいいように求人サイトに登録しています。色んな企業があって参考になりますね。
吉田:そんな中、中途採用の社員の方が孤独やプレッシャーを感じる傾向にあるということですね。
塚越さん:そうなんです。例えば、パーソルキャリアの2020年調査ですと、転職後3ヶ月から1年となる20代から40代の男女のうち、孤独を「とても感じた」と「やや感じた」という回答は、合わせて6割近くになっています。この結果は、要するに転職後の環境になかなか慣れなかったということで、原因を調査すると「人間関係」が30%と最多、「社風や企業文化」という回答も27%ありました。他にも、暗黙の了解が分からない、なんてこともあります。転職経験者にはあるんじゃないでしょうか。
ユージ:それは、分からないですよね。
塚越さん:新卒ならまだしも、中途だと聞きにくいなんてこともあるかもしれません。もちろん人間関係はどこの職場でもありますが、ある程度キャリアがある人が転職すると、「即戦力だから」と説明が省略されたり、プレッシャーを感じることもありますね。新卒とは、また別の壁があるということです。また、少し前までは「終身雇用」の習慣があったので、シニアの方の中には「この会社一筋何十年」の生え抜きの方もいるわけです。そうなると、「若手とベテラン」ではなく、「中途と生え抜き」の間の摩擦も出てきます。そう考えると、社員の中にも色々な人がいて、考え方などのズレも出てきちゃうのかな?と思います。
ユージ:では、中途採用社員のメンタルケアは、どうすればいいでしょうか?
塚越さん:「リクルートワークス研究所」の調査ですと、中途入社した社員の3年以内の離職率が10%を超えると答えた企業は27%でした。これ、新入社員でも31%と答えた企業はあるので、実は新卒と中途で離職率に大きな差がない。つまり転職組も、わりと馴染めずに辞める人が多い、ということがある程度わかってきました。これに関しては、転職組の人にも、新入社員とは異なる研修だったり専用の上司やメンター制度を導入するなど、対応は色々とあるかなと思います。実例もあって、例えば大手鉄鋼メーカー「神戸製鋼所」は、これまで業務内容中心だった研修を刷新して、中途入社の先輩社員が経験を語ったり交流する場をつくっています。そういうことを色々な会社でやっています。また、特にIT系だと在宅やオンラインワークも増えるので、物理的に会う機会をつくったり、チャットアプリなどで雑談ができるチャンネルをつくることや色々なことが必要ですし実際やっているところもあるかなと思います。
ユージ:転職を考えている人、これから中途採用で新しい職場に向かう人は、どんな準備をすればいいでしょうか?
塚越さん:まず、転職や中途採用で新しい職場に入ると「即戦力として活躍しなくちゃいけない」と焦りがちになるそうです。意外と会社側は、最初の数ヶ月で「成果を出してほしい」というよりも「うちの会社に慣れてね」と望んでいる人が多いです。すぐに辞められちゃうと企業としては大変です。このあたりは、事前に会社と話し合っておくことが大事で企業側もそこは配慮することも大事かなと思います。小さなことを積み重ねていって、分からないことを素直に聞くこと。キャリアがある方は、新たな発見があるかなと思います。また会社側は、制度も大事ですが、制度があればいいわけではなく、日常のちょっとしたケアが重要かなと思います。私は、大学の授業で「知識より意識が大事」とよく言います。知識があっても、前提となる意識がないと知識が活かせないよとなるので、企業も全体として意識を持って「中途で入ってきた方もみんな同じ」という意識さえあれば、細かい知識がなくても何となく対応できるようにしますし、社員の方にそれが伝われば、今いる社員の方々も新しく入ってきた中途の方にどう対応すればいいか分かってくると思います。その辺りの意識改革もみんなに意識を持ってもらうことが、まずは大事だと思います。
ユージ:結構、意識が重要ですね。中途採用の方って、先輩新人みたいなところがあるので、自分より若い人がいっぱいいるのに何故か自分の方が新人みたいな。やりずらいところやルールが分からなかったりするので、そこはみんなで意識を変えていきましょということが大事ですね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 12, 2025
『拡大する中途採用、入社後のメンタルケア』
中途採用が拡大することは、働き方としてはありだと思います。
辞める予定が無くても転職サイトに登録する人も多いそうですし、
これからも増えていくのは必然だと思います。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 12, 2025
ただし中途で入社した後に、技術はあるものの、会社のルールや慣習に適応できず、
悩みを抱えてしまうようなことは誰にでも起こると思います。…
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 12, 2025
最近代わった僕のマネージャーは、中途採用で芸能とは全く違う業界から来た人間ですが、
芸能界のルール・作法を知らなくても、社会経験を通じてコミュニケーションや礼儀が守れているので、円滑に仕事が行えていると感じています。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) June 12, 2025
メンタルケアのための制度作りも大事だとは思いますが、
何よりも重要なのは人と人の関わり方だと思っています。
したがって、周りが新しく来た人をどう気遣えるか、みんなが意識することで、
中途採用でも働きやすい職場になるのではないかと思いました。#ワンモ