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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

26.02.18

社会保険料の引き下げ、実現可能なのか?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師の塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『社会保険料の引き下げ、実現可能なのか?』


吉田:第2次高市内閣が、今日、発足します。日経新聞によりますと、第2次高市内閣が、社会保障分野で直面する最大の宿題は『社会保険料の負担軽減』ということです。塚越さん、まずは、社会保険料の負担がどのぐらい増えているのか教えてください。


塚越さん:まずデータから見てみますと、みずほリサーチ&テクノロジーズの推計では、40代〜60代の保険料負担は、2004年〜2024年の20年間で1世帯当たりおおむね月2万円増えていて、40歳未満も1万円以上増えています。特に現役世代の社会保険料は、この20年間でだいたい1.4倍程度増えています。一方で70代も増えてはいますが、6,400円ほどの増加と現役世代ほどではないというところですね。また、『消費税』の負担の増加を見てみますと、これも推計だと30代〜70代のすべての層で月1万円前後増えています。消費税は一律なので、世代的な偏りはあまりないのかなというところで、やはり、いろいろな税負担を見てみると、特に現役世代の社会保険料が大きくのしかかっているということがデータから見て取れますね。


吉田:『社会保険料の負担軽減』について、現状、具体的な案はあるのでしょうか?


塚越さん:具体的な案としては、去年10月に自民党と日本維新の会が交わした連立合意書に方向性が書かれています。それによると、年齢に関わらない公平な負担ということで、例えば、医療の窓口負担について3月末までに改革の骨子をつくるとしています。どういうことかと言いますと、例えば、高齢世代の負担を増やすということで、それによって、現役世代の負担を減らすというバランスの調整ですね。維新は今回の選挙で、医療費を年間4兆円減らして、現役世代の保険料負担を1人当たり年間6万円引き下げると主張していました。そのためなのか公約として、75歳以上の医療費の窓口負担を今の原則1割から原則3割にするとしています。これについては、先の選挙で11議席を獲得した『チームみらい』も同様で、社会保険料の引き下げを主張する中で、高齢者の一律3割負担を目指すとしています。ただし、内容はいろいろあるものの、選挙では、『中道改革連合』や国民民主党なども、社会保険料の引き下げを主張していますので、大きく見ると方向性自体はあまり変わらない、同じなのかなというところです。


ユージ:『社会保険料の引き下げ』というのは、実現可能なのでしょうか?


塚越さん:社会保険はすでに社会保険料だけでは賄えておらず、全体の4割は公費、つまり、私たちの税金などがすでに組み込まれています。なので、保険料を引き下げるにしても、その穴埋めで公費を増やすとなると、結局、増税ですか?ということになってしまう可能性もある…。税金ではなく国債発行に頼るとなると、これも財政悪化の懸念から円安が進行して物価が上がる可能性もあるので、手段としてなくはないですが、ちょっと難しいところはあるのかなと思います。なので、税金や国債発行を除くと、保険料の引き下げには、私たちの負担のバランスを変える方法は3つあると思います。1つ目は、『医療費を削減する』ことです。医療費が非常に高くなっているので、例えば、電子カルテの共有やAIを活用することでムダを減らす効率化があります。あとはOTC類似薬の保険適用見直しをするといった議論もありますが、政府は慎重姿勢を取っています。いずれにしても、制度全体の見直しで医療費を削減するというものです。高額療養費制度の見直しというのもあって、反対の声も結構ありますが、賛否は別として、こういったところも議論されています。


ユージ:社会保険料を引き下げる方法、2つ目は何でしょう?


塚越さん:2つ目は、『高額所得者の社会保険料を上げる』ことです。現在の社会保険料は上限が設定されていて、細かい話を省くと、一般的な会社員なら年収が1,700万円程度を超えると健康保険料は上がりません。なので、それ以上の富裕層に保険料の引き上げをお願いするということですね。最後に3つ目が、『高齢者の保険料を引き上げる』というものです。例えば、窓口負担を一律3割に上げるという案だと財政改善が期待できます。過剰な受診も減る可能性がありますが、必要な受診まで減らないかなどの課題もあります。高齢者はすでに仕事を辞めた方や病気の方、働くのが難しい方もいらっしゃいますし、75歳以上で1割負担を前提に生活してきた人もいるので、一律で3割にすると、医療環境が悪化する可能性もあり、いろいろな議論がありまして、3割はきついので15%にするとか、細かすぎるのも問題ですがこうした調整も必要だと思います。一方で、高齢者の中には資産を多く持っている人もいらっしゃって、今も一定の所得のある高齢者は2割や3割負担になっていますが、資産、不動産や金融を持っているお金持ちの方も実際にいらっしゃるので、こういった方々にちょっとお願いしますというのもいいのかなと思います。ただ、これにも課題があって、その資産などをどうやって把握するのかということで、そこの制度作りが実は難しいというのがあるんですけれども、着々と進めていきたいというところです。全体としては、打ち出の小槌のようにお金は出てこないので、配分の見直しが大事なんですよね。ここを皆さんにいろいろお願いしていくのが政治の仕事なので、ここは注目していきたいと思います。

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